いつかはカナダ犬と北京生活

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二七、恋に落ちて

二七、恋に落ちて


 私は、できる限り平静を装って、「あ、ニーハオ。」

 他に言葉が出てこない。アホか私は~っ!もっと気の利いた中国語は出てこないの!?何か言わなきゃ、会話をつながなきゃ・・・そう思えば思うほど言葉が出てこない。ビンビンが先に口を開いた。

 「美咲はこのブランドが好きなの?うん・・・ここのデザインは結構いいと思うよ。」

 「是ma(そうなんだ)。・・・(以下沈黙)。」

 いざという時、緊張で何も言えない自分を呪った。沈黙で気まずさの漂う中、彼は仕事に戻っていった。

 去っていく彼のうしろ姿を見ながら、私の心はほんわかして、不思議なほど、いま自分がここにいることが幸せに思えた。こんなに体中がドキドキしたのは何年ぶりだろう!?こんなに誰かに会いたいと思ったのは何年ぶりだろう!?

 いつも、私が好きでいたのは「私を愛してくれている人」。私を愛し、側にいてくれるから、居心地がいいから、そういう人ばかりを選んできた。こんな気持ちになるなんて・・・私、恋に落ちてる・・・

続く→


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