濫読屋雑記

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2006年01月04日
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え~、皆様。本日が世間一般の仕事始めなのでしょうが、私は今日明日と、 お休みです 年間契約で働いているためでして、生徒のいなくて、且つ暇なこの時期に休みを取らされた訳です 。(夏休みは、蔵書点検に燻蒸作業。年度末は各種書類の作成で、正月が一番、暇なわけです。先生方にとっては、とくに3年生の担任、進路指導の先生にとっては地獄絵図な日々の只中なんですが…。ご免なさい!)

ということで、 正月三ヶ日の酒気を抜き、アルコール漬けの頭をシャンとするべく 、今日は、遅ればせながら書初めを行い、正月に見ようと思って借りてきたDVDを見ました。

そのDVDとは、『 砂漠のネズミ (The Desert Rats)』という映画です。以前、 スーザン・トラヴァース 女史の『 外人部隊の女 』でも紹介した、 第二次世界大戦の北アフリカでの戦いを、連合国側から描いた作品です

実は、『 外人部隊の女 』を読んだ後に、ブログでも紹介しました アラン・ムーアヘッド の『 砂漠の戦争 』(早川書房、1977年)を読みまして、その後、砂漠の戦争を描いた作品はないかと行きつけのレンタル屋さんで探してみたら見つけたのが、ロバート・ワイズ監督の『 砂漠のネズミ 』だった訳です。

さて、ここでDVDを借りるきっかけになった アラン・ムーアヘッド 氏とその著者『 砂漠の戦争 』ついてに紹介しましょう。氏は、 第二次世界大戦中、5本の指に入るほど著名な従軍記者でした 。1910年にオーストラリアのメルボルンに生まれた氏は、大戦中、ロンドンに本社がある『 デイリー・エクスプレス紙 』の特派員となり、1940年5月、エジプトのカイロに降り立ちます。氏は当時、ギリシャに派遣されていたのですが、戦争の気配が全くしてこなかったので、イタリア軍と英連邦軍が戦闘を繰り広げていた北アフリカ戦線の入り口、カイロへとやってきたのです。

この当時、北アフリカのチェニジア・リビアを植民地にしていたイタリアは、版図拡大のため英保護領のエジプトへと侵攻を開始。英連邦軍は、兵員と兵器、そして準備不足により敗走をしていたのですが、ムーアヘッドがカイロに到着後の12月、イタリア軍に対して英連邦軍は反撃を開始、一気にイタリア領まで侵攻して大勝利を収めてしまいます。そこで危機感を抱いたヒトラーが1941年送り込んだのが、ドイツの軽師団(一部機械化された歩兵部隊。)とフランス侵攻で名を馳せた将軍、ロンメルだった訳です。彼らは、リビアの首都、トリポリに到着後、直ちに反撃を開始。あっという間にリビアを英連邦軍の手から奪い返し、エジプト国境に迫ります。それに対して、エジプトを守るべく英連邦軍は港がある トブルク トブルク は、ドイツ・イタリア枢軸軍に12月になるまで包囲されます。これが、今日見た『 砂漠の鼠 』のお話です。

この トブルク は、リビアの砂漠のど真ん中で(エジプトよりで。)、唯一、まともな港湾施設があり、且つ、要塞化された都市でした。(イタリア軍の手によって。)そこを死守する事は、ドイツ・イタリア枢軸軍の部隊を分割させ、彼らの後方を脅かす事になり、さらに、エジプト国境を守備し、反撃のための部隊を編成する時間が稼げる。つまり、 トブルク を死守する事は、 戦略上極めて優位に立つことが出来るという訳です

そして、この トブルク を死守する事になるのが 第9オーストラリア師団 です。映画では『 砂漠の鼠 』と題されていますが、ムーアヘッドの『 砂漠の戦争 』では「 トブルクのねずみたち 」と表現されています。実際、「 砂漠の鼠 」という称号は、 英本国軍の第7機甲師団 に与えられています。(そして、現在でも使用されています。)映画では、史実に基づき、猛砲撃・爆撃の中をひたすら耐え(撮影にどれだけ爆薬を使ったのか?というぐらい派手です。)、ドイツ軍の幾度もの来襲に応戦し、防衛戦だけではなく、小規模の奇襲部隊を放ってドイツ軍を攻撃するシーンが描かれていました。(英連邦軍お得意のコマンド・奇襲作戦です。この戦術が極められたのが、この北アフリカの砂漠で、あのイギリス特殊空挺部隊・SASもこの北アフリカで誕生しました。)また、敵の包囲下にある部隊の緊張感・焦燥感や将校や兵士の苦悩も描かれていて、 マアマア楽しめました 。ただ、この映画、 モノクロなんですよね 。これは、 当時の実際の戦闘シ-ンのニュース映像を挿入するため工夫なのでしょうが 、そこがチョッと不満でした。また、 ドイツ軍の持っている兵器も、おかしかったですしね 。(機関銃が一律、英軍のヴィッカース水冷式重機関銃というのは…。MG34を出せ!!!英軍はキチンとブレン軽機関銃まで出てきているのに!)

その後12月にトブルクを解放した英連邦軍(何度も出てきたので、簡単に説明を。この軍は、英植民地or保護領の南アフリカ・インド・オーストラリア・ニュージーランド、そして英本国軍の各軍から編成された軍隊の事を指します。)、リビアの何にも無い砂漠の真ん中に、英連邦軍は1942年に「ガザラ・ライン」という防衛線を構築します。この防衛線の中にあった防衛拠点「ボックス」の1つが『 外人部隊の女 』で出てきた ビル・ハケイム です。この後の事は、『 外人部隊の女 』編を読んでみて下さい。

ところで、この アラン・ムーアヘッド 氏の『 砂漠の戦争 』。これは、北アフリカの戦いを描いた作品ですが、氏はその後、英連邦軍に従軍して、シチリア島、イタリア半島、英本国からノルマンディーへと上陸し、フランス、・ベルギー・オランダ、ドイツへと戦場を駆け巡ります。このヨーロッパの戦いを描いた作品が『 神々の黄昏 』という作品です。 ムーアヘッドは、戦場に自ら赴き、特ダネを手にする事が仕事でした 。そのため、自ら銃弾飛び交う最前線へと赴いたわけですが、 彼は、新聞記者という戦場での中立的な立場から、敵 (捕虜や指令部、情報筋から得た知識。) 見方 (これは、高位高官でも、取材と称してインタビューできますので。) 双方を客観的、且つ冷静に分析しています 。また、 作品の中では戦場での日常生活や、戦場でのユーモラスな出来事も紹介して、人間味溢れる生の戦場を今日の私たちに伝えてくれます

今日はこの他に、「 砂漠の戦争 」という題でしたので、第一次世界大戦中、アラビア半島で活躍した「アラビアのロレンス」こと、 T・E・ロレンス の『 砂漠の反乱 』や北アフリカの戦いをドイツ側から見た、ドイツの著名な戦史作家、 パウル・カレル の『 砂漠のキツネ 』なども紹介したかったのですが、文字数が一杯一杯になりましたので、この辺で止めて置きます。

砂漠の鼠 砂漠の戦争 砂漠の戦争





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最終更新日  2006年01月05日 00時45分37秒 コメント(2) | コメントを書く


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