濫読屋雑記

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2006年03月30日
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カテゴリ: 映画鑑賞
寒いです。冗談抜きに寒いです!今日は今日とて、遂に がチラホラと花を開きかけているこの時期にです。でもまあ、今日は役場でシステムの講習だったので、ストーブを片付けた図書室で凍えるという苦行を受けなかっただけ、良かったとしておきましょう。

しかし、今日の講習でやり方を教わった年次更新(利用者、この場合生徒の学年とクラス・出席番号の情報を在校生は変更して、新入生は新規に作ることです)の面倒な事。出来る事なら、今日、講習に来てくれたメーカーの担当者にやってほしいものだと、心魂から思いました。だって、新しいクラス編成がわかるのが早くても4月3日以降。それからシステム君に入力するのですが、それと併せて新入生の図書室の利用についての手引きを作って、オリエンテーションの準備をしなくてはならないのです。おまけに、まだ平成17年度予算で購入した図書のフィルム貼りが終わっていない…。助けて~、という感じです。

ああ、そうそう。ようやく来年度の事が決まりまして、 なんとか無事に同じ学校に居座る事が出来ました 。ただ、学校の仕事のほかに余計な仕事が追加されてしまったのですが…。まあ、贅沢は言ってられない身分ですからね。

さて、今日は昨日夜更かししてまで、キチンと録画していたのにも関わらず見てしまった映画『 戦艦シュペー号の最後 』について書いてみます。 この映画、海軍好きな人間には堪らない作品です。もう最高です!

時は、妄想に取り付かれたヒトラーがポーランドに侵攻した3日後の1939年(昭和十四年)9月3日。中部大西洋上、ヴェルデ岬諸島(アフリカ大陸、セネガルの首都ダカール西の大西洋上にあります)北西650海里の沖を航行中の ドイツ装甲艦 アドミラール・グラーフ・シュペー 」の艦長、 ハンス・ラングスドルフ 大佐は1230時、1枚の平文で打たれた電文を受け取ります。そこには、英語の大文字で「 TOTAL GERMANY 」(トータル・ジャーマニー)と書かれていました。「 対独全面戦争 」を全世界の英連邦海軍の全艦船、及び英連邦船籍の全ての商船に通報するアドミラルティー(英海軍省・海軍本部)からの電文を傍受したものでした。その45分後、ドイツ海軍軍令部より電文の受信を以って対英戦闘行動に入るようにとの命令が届きます。これが、 海戦史に名を残すポケット戦艦シュペー号の通商破壊作戦の幕開けでした

ここで、 ドイツ装甲艦 (Panzerschiff、パンツァーシッフ)についての解説を。この ポケット戦艦 とか 小型戦艦 、あるいは豆戦艦(どこかの錬金術師が飛んできそうですが…)と呼ばれる装甲艦(これが公式艦種です。後に、重巡洋艦に種別されました)は「 より速い敵より強く (注:巡洋艦)、 より強い敵より速い (注:巡洋戦艦・戦艦)」軍艦というコンセプトの元、建造されました。この軍艦は、ヴェルサイユ条約により軍艦のトン数を1万トン以下に制限されたドイツ海軍が、ドイツ御自慢の技術力、電気溶接に新型装甲鋼板、燃費の良く大馬力の出るディーゼル機関を搭載して何とか仕上げた船でした。この装甲艦の武装が28cm砲6門だったため、英国側が「 ポケット戦艦 足柄 」(だったと思うのですが)は艦の大きさに不釣合いな重武装(20cm砲10門!)に「 飢えた狼 」という呼称をいただいています)。

映画では、ポルトガル領アフリカ沖 (中立国の領海内!) で撃沈された商船から船長を連行するシーンから始まります 。ドイツ海軍は第1次世界大戦時にもシュペーのような通商破壊艦を世界の海に放ち、通商航路にパニックを引き起こして連合国の海軍力の分散に成功していました。第1次世界大戦時に活躍した有名な通商破壊艦としては、中国のチンタオから出撃して太平洋とインド洋を荒らしまわった軽巡洋艦の エムデン 。そしてドイツ本国から英国海軍の封鎖線を突破、大西洋と太平洋を荒らした仮装巡洋艦の ジーアードラー ジーアードラー 、とんでもない事に 帆船 、クリッパーだったのです!でも、考えてみれば燃料補給の必要が無く、まさか帆船が…、と敵に油断もさせられるという一石二鳥の発想ですよね。また、 ジーアードラー は作戦行動中、 船員や乗客に一切の危害を加えなかったことで 、艦長 フォン・ルックナー 伯爵はその騎士道精神を連合国側からも高く評価されました。ちなみに、 この船員を殺さない、という伝統はシュペーも引継ぎ、彼女が作戦を行っている間、船員は1人も殺されませんでした

こうしてシュペーは 合計9隻、6962総トンの商船を沈めた のですが、頭にきた英国海軍はシュペーを血祭りに上げるべく、8つの偵察艦隊を編成、巡洋艦から戦艦、航空母艦まで引っ張り出します。そして、計22隻の軍艦が大西洋に、たった1隻の装甲艦を探すべくばら撒かれたました。まさしく、ドイツ海軍が狙った兵力の分散に見事に成功したのですが、ドイツ海軍軍令部はこの機会を利用することに失敗します。

一方、シュペーは1939年12月13日、英国海軍の ハーウッド 准将指揮下の8インチ砲搭載重巡洋艦 エクゼター 、6インチ砲搭載軽巡洋艦 エイジャックス アキリーズ (ニュージーランド海軍所属)からなる3隻の戦隊に発見されてしまいます。 ラングスドルフ 大佐は 軽巡2隻を駆逐艦と誤認して戦闘を開始、相手に甚大な損害を与えるもののシュペー自らも命中弾を被り、弾薬を消耗したため、船体の修理のために南米ラプラタ河の河口にある中立国アルゼンチンの港、モンテヴィデオに入港します この海戦のシーンがまた見ものなのです。あー、震える!とくに、露天艦橋で指揮をとる英国海軍の艦長以下の艦首脳部の様子が (艦橋の下には装甲版で保護された司令塔があるのに、そこに篭らない)、 ネルソン時代とほとんど変わらないというのが、素晴しい!

そして、 モンテヴィデオに入港した後の英国側の諜報作戦と情報操作がこれまた見ものです 。このシーンがあることによって、 ただのドンパチ映画ではない戦争の裏側が覗ける味わい深い映画になっていると思います 。そして、この英国側の情報操作により、ラプラタ河河口にて英国海軍に完全に包囲された思い込んでしまった ラングスドルフ 大佐は乗員を退避させた後、 シュペーを爆破・自沈させ、自らは収容先のホテルで拳銃自殺を図り、自決します

イギリス映画界の重鎮、 マイケル・パウエル エメリック・プレスバーガー らが脚本を書いて監督し、 英国海軍とアメリカ海軍などの各国の海軍が協力して、本物実物の軍艦、シュペーは明らかにアメリカの重巡洋艦 (多分、ボルチモア級だと思うのですが…) で、アキリーズとカンバーランドの方は本物だと思います (協力のテロップにニュージーランド海軍とインド海軍が出ていたので…)。また、洋上での夜明けのシーンや、巡洋艦が戦隊を組んで単縦陣で航行するシーンなどはとても美しく、 戦闘シーン以外でも見どころ満載です 英独両艦の艦上の雰囲気も良く出ていますし、所々に出てくる英国海軍らしさ、洋上で短艇を出して艦長を旗艦に参集させて作戦会議を開くとことや、その命令を受け取った艦長が「ネルソン流だな」とつぶやくシーンなど、細かい演出が光る史実に忠実なドキュメンタリーのタッチの作品です

という感じで、今日は『 戦艦シュペー号の最後 』について、気合を入れて書いてみました。ちなみに、開戦時の状況や文章を書くときに参考したのが、 カーユス・ベッカー 著、 松谷健二 訳『 呪われた海 』(中央公論新社、2001年)です。これはドイツ側から見たドイツ海軍の衰亡史です。あとは、 テオドール・クランケ 著、 ハンス・ヨアヒム・ブレネケ 著、伊藤哲訳『 ポケット戦艦 』(早川書房、1980年、表紙画像なし)があります。シュペーについては、こちらの方が、詳しいです。気になる方は、手にとってみて下さい。

戦艦シュペー号の最後 呪われた海





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最終更新日  2006年03月31日 01時10分42秒 コメント(9) | コメントを書く


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