濫読屋雑記

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2006年09月15日
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カテゴリ: 手に取った本
今日は、 最近読み込んでいる本について簡単に紹介してみたいと思います 戦争 というきわめて複雑である「現象」を、政治的で社会的な要因を含めて総合的に考察し、理論的、体系的に解説した偉大なる古典『戦争論』を分かりやすく解説した良書 川村康之 著『 クラウゼヴィッツの戦争論 』(2004年8月)です。

クラウゼヴィッツの戦争論


出版当時、本屋の店頭では見かけたことがあった本なのですが、本の表紙に「 絵と文章で分かりやすい! 」という文句と、「 図解雑学 」というふたつの文句に惑わされて、最近になるまでページを開いたことが無かった本でした。

クラウゼヴィッツの戦争論 』があったので、何気なく手に取って著者名を奥付で確認してみたら 川村康之 先生となっているではありませんか!

川村康之 先生とは、 防衛大学校の教授で戦争史と戦略思想史がご専門です。しかも、防衛大学校を卒業後、陸上自衛官として奉職され、その途中でドイツ連邦軍指揮大学を修了、一等陸佐で退官後も文官として防衛大学校の教授として教壇に立たれているという筋金入りの、そして日本を代表する「戦争学」の第一人者であり、クラウゼヴィッツ研究の権威でもあります。

私は、川村先生の著書として先に編著になりますが『 戦略論大系(2) クラウゼヴィッツ 』(芙蓉書房出版、2001年)を読んでいたのですぐ「 あっ、この先生の書かれた本なら内容はしっかりしているわ と思って借りてきて読んでいるのですが、これがドンぴしゃりの大正解だったのです

戦略論大系(2)


『戦争論』を一度でも紐解かれた方ならお分かりになると思いますが、 原典は非常に文章が難解であります 。素人さんやただの興味本位で読もうと思われた方々は、この文章の難易度の高さにあえなく挫折された方々が多いと思います。私も大学院時代にどうしても通して読んでおかないといけない事態に陥り原典を読んでみたのですが、内容を理解しきれず、先に紹介した『 戦略論大系(2) クラウゼヴィッツ 』を読んでようやく内容を大まかに掴む事ができました。で、それ以上は深く読み込む必要はなかったので(専門は海軍史だったので、その次により重要なジェミニとマハンも読まなくてはいけなかったので・・・)なんとなくウヤムヤのうちに『戦争論』は私の頭の中にしまい込まれていたのです。

ですが今回、『 クラウゼヴィッツの戦争論 戦争論 』を読んでみると 意外なことに昔読んだ時に「難解だ」「意味がよく掴めない」と思った文章がすんなりと読んでいけるのですよね

戦争論(下) 戦争論(上)


これはやはりクラウゼヴィッツの『戦争論』を専門に研究されている川村先生が『戦争論』の述べている理論を神髄を抽出し、さらにそれを分かりやすく解説されているからなのでしょう 。また、第6章の「 『戦争論』を理解するための時代背景 」や第7章の「 クラウゼヴィッツの生涯 」で『戦争論』誕生の背景を分かりやすく紹介して『戦争論』理解の一助となされている事が大きいと思います。私は、先の『 戦略論大系(2) クラウゼヴィッツ

また、『 クラウゼヴィッツの戦争論 』の第8章「 『戦争論』の与えた影響 」と第9章「 現代に生きる『戦争論』 」では、クラウゼヴィッツの死後から今日に至るまでの『戦争論』と題して普仏戦争から第二次世界大戦、そして米ソの核を持ったにらみ合いの冷戦、ベトナム戦争などを経て今日の「テロとの戦争」に至る「戦争」で『戦争論』がどのように、正邪問わずに用いられてきたのかを紹介し、また、『戦争論』の理論を用いて今日までの「戦争」を簡単に解説して、現在の国際社会が抱える問題に『戦争論』がどのような役割を果たすかを分かりやすく論じられています。

この『 クラウゼヴィッツの戦争論 』は、 原典の『戦争論』に挫折された方や、読む時間が無いという方、これから『戦争論』などの戦略理論を学んでみよう、読んでみようという方におススメの1冊です 。それから、もしこの本を読んでみてクラウゼヴィッツに関心のある方は以下の本も手に取ってみられると良いのではないでしょう。

クラウゼヴィッツ改版 戦争概論


私は、ジョミニの方が分かりやすかったのですが、これは出版当時からそのように世間から受け取られていたようで、難解なクラウゼヴィッツに対してジョミニの方がやっぱり人気があったそうです。なぜなら、ジョミニは戦争を政治的・社会的背景から切り離してナポレオン戦争に関して図式化された解釈(要するに戦争に勝利するための方法論・勝つための幾つかの法則を抽出したもの)を提供した本だったからだそうです(で、軍人にとっては戦争にすぐ役立つ戦術理論のほうが「哲学的」な『戦争論』のような戦争理論より重要だったのです)。川村先生はクラウゼヴィッツの理論を 「What is War」型 、ジョミニを 「How to Win」型 と説明されています。詳しくは、『 クラウゼヴィッツの戦争論 』を手に取って読んでみてください。 これらを説明するとまた疲れますので。では今日はこの位で





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最終更新日  2006年09月16日 00時28分39秒 コメント(7) | コメントを書く


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