濫読屋雑記

濫読屋雑記

2006年11月07日
XML
カテゴリ: 手に取った本
え~、昨日はブログを更新する前にうっかりベッドで横になって本を読み始めてしまい、そのまま寝てしまって、朝起きてから慌ててブログの内容をワードに切り取って保存して、その保存したブログを先ほど登録・更新した次第であります。全く以って、これからは、夜中に何か作業をしている間は、オチオチ寝床にも近づけない状況になってしまいました。これもみ~んな、鬱が原因です。みなさま、鬱にならない様にくれぐれもご注意下さい。正常な日常生活が本当におくれなくなってしまう、恐ろしい病ですよ(とくに何事にも興味を持って、アレコレと趣味やらその他の雑用を抱えている人間にとっては、最悪の病です)。

というような話は脇に置いてい於いて、今日も ロバート・ウェストール 作、 宮崎駿 編+「 タインマスへの旅 」、 金原瑞人 訳『 ブラッカムの爆撃機 チャス・マッギルの幽霊 ぼくを作ったもの 』(岩波書店、2006年10月) を読む前に読んでいる本をサラリと紹介&解説していきたいと思います

ブラッカムの爆撃機


その本とは、『 WW2欧州戦史シリーズ ドイツ本土防空戦 』(学習研究社、2002年4月)です。この本にも表紙画像が付いていません(怒)。表紙画像があれば、 ドイツ空軍 (=ルフトバッフェ)の 103機撃墜のエース (しかも西部戦線、つまりソ連製のオンボロではなく、米英の新鋭機、スピットファイアとかP-51とか相手の戦果です!) アドルフ・ガランド 戦闘機査察総監の上部中央にある肖像画と ボーイングB-17フライング・フォートレス (=空飛ぶ要塞)と メッサーシュミットMe262ジェット戦闘機 の迎撃戦の様子が下方に描かれ、ガランドの肖像画を挟むように 88mm36型高射砲(FLAK36) が火を噴く様子と、 探照灯で敵機を照射する様子 が見れたのですが・・・。残念です。

さて、なんでこの『 ドイツ本土防空戦 』を公立図書館から借りて来て読もうかと思ったのは、『 ブラッカムの爆撃機 』の物語が、 英国からドイツ本土を夜間空襲する爆撃機のお話だからです ゲーリング (実際に彼は太っていて、Bf109のコクピットに入ることが出来なかったそうです。第1次世界大戦中は戦闘機乗りで、プール・ル・メリット勲章を受勲したエースパイロットだったのにです。ちなみにエースパイロットとは、敵機を5機以上撃墜した戦闘機乗りのことを言います。)の英国本土空襲、最初は空軍基地やレーダーサイト等への戦術的爆撃が中心で、後には 英国空軍 (RAF)の ベルリン空襲 (英国側がロンドンを空襲された仕返しに行った攻撃)に頭にきた ヒトラー ゲーリング の指示でロンドンへの戦略的爆撃がメインとなるのですが、に 対抗すべく英国空軍とアメリカ参戦後は米国陸軍航空隊の爆撃機が毎日セッセとドイツ本土を空襲していたのです 夜間の戦略爆撃に切り替え毎夜、数百機単位で戦略目標を爆撃していました。この時の爆撃行を物語の舞台にしたのが ブラッカムの爆撃機 』だそうなので、 一体、英米の爆撃機兵団と独防空システムの戦いはどのような内容であったのかを調べたくて 、この『 ドイツ本土防空戦 』を今日の帰りに借りてきたわけなのです。

しかし、まだ読み始めたばかりですが、凄いですね、欧州戦線での「 空の戦い 太平洋戦争中の日本の本土防空の実態を知っている人間からすると、日本がB-29で焼け野原にされてしまったのも当然のように思えてきます 。何しろ、最新式の地上レーダー、ヴュルツブルグ標定・誘導・高射砲管制式用レーダーにフライア早期警戒レーダーを備えて、優秀な88mm高射砲に、その拡大版の12、7cm高射砲に、機械式信管をはめ込んだ砲弾(日本はお金がなかったので、曳火式信管、つまり導火線と同じ原理の信管。なので、非常に動作が不安定を使用していました)をぶっ放し、上空では優秀な機上レーダー、FuG202「リヒテンシュタインBC」やFuG212「リヒテンシュタインC-1」、FuG-220「リヒテンシュタインSN-2」などを搭載したBf110やHe219「ウーフー」などで迎撃したのにも関わらずに、 灰塵化したドレスデンやハンブルグなどの諸都市を見てみると、如何に戦略爆撃の威力と悲惨さが実感できます ハンブルグなどでは、1943年7月23日の空襲で英米合わせて2600機以上!の爆撃機が波状攻撃を仕掛け、6万人から7万人の死者を出したのです。他の諸都市も同様に英米の爆撃機の爆撃を受け業火の下で何万人もの死者を生み出したのです

ですが、 一方的にドイツ側がやられっぱなしという話ではなくて、英米両国の爆撃兵団もそれ相応の、いやそれ以上の損害を被っています 。例えば、 アメリカ陸軍航空隊 は欧州戦線において 爆撃機9949機、戦闘機8420機を失い、戦死者は5万4700人、負傷者は1万7900人、そして4万200人が捕虜となっています 。一方の 英国空軍 (RAF)は 7万6300人が戦死、2万2800人が負傷し、7400人が捕虜となっているのです 。ちなみに、日本の「 カミカゼ 神風特別攻撃隊 の戦死者は 約4000人 だそうです。

このような多大な犠牲を伴なって実施されたドイツ本土への戦略爆撃は、戦後の調査では戦略爆撃がドイツ敗戦へどのくらいの打撃を与えたのか、結論が分かれた状態にあります(ちなみに日本では、B-29の戦略爆撃ではなく、潜水艦やB-29が投下した機雷などによる「海上封鎖」だけで日本は敗戦に追い込まれたであろう、と結論付けられています。戦略物資、石油も鉄鉱石もボーキサイト=アルミの原料等々を海外に依存していた日本は、補給線、つまりシーレーンをちょん切られてしまうと、戦う事は出来なくなってしまうのですから)。ただし、確実に言える事は、ドイツにおける 空襲の犠牲者、軍民合わせて合計30万5000人以上、重傷者78万以上、家を失った人、750万と戦後の調査ではっきりと示された数字に対して 、「 戦略爆撃は戦争を手っ取り早く余計な血を流さずに終わらせる手段ではない 」ということであり、 もし戦略爆撃が戦争の終結を早めたにせよ、それによる敵味方の犠牲はあまりにも大きすぎる、ということが結論としてして見えてきます 。つまり、戦前にイタリアの ドゥーエ が主張した「 戦略爆撃 」に関する主張は、見事に裏切られたわけです(ドゥーエの戦略思想を簡単に手早く読める本として『 戦略思想家事典 』(芙蓉書房出版社、2003年10月)があります)。

そんなこんなで、『 ブラッカムの爆撃機 』の 舞台裏を覗くために借りてきた6年間にわたり「第三帝国」上空で繰り広げられた史上空前の航空戦を徹底図説した この『 ドイツ本土防空戦 』。意外と英国や米国の爆撃兵団の解説等も掲載されていて中々面白い本です。 これからもっと読み込んで ブラッカムの爆撃機 と絡めて面白い話が書けたらな、と考えています 。〈おしまい〉





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2006年11月08日 01時23分16秒
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

お気に入りブログ

sour grapesさん
ま、てきとうに Me162さん
怪鳥の【ちょ~『鈍… 白い怪鳥さん
とりあえず練習用の… バルディッシュさん
brog katu6448さん

コメント新着

背番号のないエース0829 @ 第二次世界大戦 映画〈ジョジョ・ラビット〉に、上記の内…
gordon@ nQdZmuLyMEEktLLsj KbT59H http://www.QS3PE5ZGdxC9IoVKTAPT2…
sammy@ LWuYJEqkFyjeGuJ 7VxFoY http://www.QS3PE5ZGdxC9IoVKTAPT2…
名無し@ Re:上話菜穂子さんの作品が、アニメ化されるので(07/10) タイトルが上話菜穂子さんになってますよ。
nhPSm3 nnrqsdt@ nhPSm3 <a href="http://nnrqsdtryito.com/">nnrqsdtryito</a>, [url=http://obzunpo nhPSm3 &lt;a href=&quot;http://nnrqsdt…

バックナンバー

2026年07月
2026年06月
2026年05月
2026年04月
2026年03月

カレンダー

キーワードサーチ

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: