濫読屋雑記

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2007年01月09日
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カテゴリ: 手に取った本
はい、 今日は私のような軍事・安全保障問題に深い関心を寄せる人間とって、記念すべき1日となりました 防衛庁が防衛省に昇格を果たしたのです!
祝!防衛省昇格!!

です。これによって、自衛隊を動かすだけの実働的な内閣府の外庁から、自ら防衛・安全保障問題に関する政策立案が出来、これまでのように内閣府を通さずに予算や法案を防衛省独自に閣議に提出できるようになり、 ようやく「ふつうの国」の「軍隊」への一歩が踏み出されたという、記念すべき日となりました

この防衛庁の省への昇格は、これまで何度も何度も企画されては大騒ぎを引き起こして消えていくという状況が55年体制下の自民党と社会党の関係で中々、省への昇格は見送られ続けてきました。しかし、時代が変わったのです。 朝鮮半島では将軍様が核のオモチャを玩び、東シナ海では中国が海上権益、具体的に言いますとガス田とか釣魚島などの南西諸島近海に危険な視線を向けています 。さらに、 国際環境も変化し、金だけではなく「人」、つまり人的貢献を国際社会から(ぶっちゃけアメリカから)求められ、外交的にも自衛隊を活用せざる得ない状況に追い込まれています 。ですので、自衛隊の海外派遣が本来業務に格上げされたわけなのですが、 実際問題として今、国連やアメリカを中心とする多国籍軍の求めに応じて海外での対テロ作戦への支援や復興支援活動等が現在進行形で行われている状況では、事後確認的な意味合いしか持たないものでしょう 。ただ、日本の商社が必死になっている資源獲得競争において、資源保有国が求めてくる条件の中に軍事的要求、武器の輸出や部隊の派遣などを要求してくる国もあるそうなので、 資源を他国に依存している日本としては、自衛隊の海外での活動が国際貢献(若しくは皮をかぶった行動)の他にどのように変化していくのか、注視する必要があるかな、と考えたりもしています

この防衛省昇格に関する審議に国民があんまり関心を払わなかったのが少し気がかりではありますね 文民統制=シビリアン・コントロールの視点から考えると

そもそも、シビリアン・コントロールと言う言葉は日本が敗戦するまでに概念すら存在しないものでありまして、日本国憲法政策の際に出てきたシビリアン・コントロールという言葉を軍人ではない人間、文民が統制するという内容に訳したわけなのですが、未だにこの文民統制という言葉、おかしな使われ方をするのですよね。

元々、 西洋においては国民皆兵制度の上に文民統制が成立するという前提があったのです だって軍隊の事を何も知らない政治家や国民が、軍隊が何をしているか監視する事なんて不可能でしょう? また、軍事知識を持たない政治家によって運営される政府がどうやって軍隊を統制する事が出来るでしょうか?軍からこのような事をしたいのですが、と言われて小難しい解説を受けて、ポンと承認してしまっては、文民統制の意味がないでしょう。

ですので、 日本人は自衛隊がいかなる組織であるのか、また、どのような能力を保有し、何が出来て何が出来ないのかをしっかりと把握しておく必要があると考えます 。ちなみに、 今の日本には他国を侵略するだけの軍備はありませんよ (苦笑)。軍事を知らない人は、軍隊が根拠地を離れて行動するのにどれだけの武器・弾薬・食料等の物資が必要であるのか、またそれらを管理運用し移送するだけの輸送力がどれほどのものか分かっていらっしゃらないのですよね。ちなみに、日本のこのような部隊の展開に必要な輸送艦・輸送機は本当に必要最小限の能力しかありません・・・。輸送艦はおおすみ型輸送艦が3隻出来て多少はマシになりましたが、空輸能力と言えば・・・、というような状況です。小牧のC-130もイラクへ行っていますしね~。 実際問題、日本の離島が特定の武装勢力に制圧された場合、迅速に部隊を展開できるかは法的要素、機材の問題等々で「?」マークが付くのが実情ではないでしょうか? でも、 最近は西部方面普通化連隊がアメリカ海兵隊から島嶼への上陸作戦の指導を受けたりして、島嶼への部隊の展開を重視してきているので期待しましょう 。ただ、 国内の部隊の迅速な配置に必要な輸送機やヘリコプター、輸送艦などは使い方ひとつで防御的運用から反対の方向へも利用が可能なので、その辺を文民統制でしっかりと管理していかないといけないのでしょうね

では、 最後の自衛隊が何故必要とされ、どのように誕生しどのような過程を経て現在に至ったのかについて手に入りやすくて、分かりやすく解説してある本を紹介しておきましょう

まず最初は、前にもこのブログで紹介したことのある 永野節夫 著『 自衛隊はどのようにして生まれたのか 』(学習研究社、2003年)。この本は、警察予備隊時代からどのように陸海空の自衛隊が誕生する事になったのかを分かりやすく、今に尾を引く安全保障問題の解釈の仕方の問題点などを取り上げながら解説した、自衛隊の歴史を知る入門書としてはピッタリの1冊です。



増田博 著『 自衛隊の誕生 日本の再軍備とアメリカ 』(中公新書、2004年)です。この本では、陸・海・空の3自衛隊のそれぞれ異なる成立の事情を、占領から独立へと向かう1950年代前半に焦点を当てて、冷戦下、日本の再軍備を望むアメリカと経済復興に優先させたい日本との間で進められた交渉を通して自衛隊誕生の歴史的経過を明らかにした1冊です。



最後は、 阿川尚之 著『 海の友情 米国海軍と海上自衛隊 』(中公新書、2001年)です。これは、海上自衛隊が敗戦後、旧帝国海軍軍人と敵であった米国海軍軍人との交流と、旧海軍軍人が敗戦直後から周到な計画を立てて新生日本海軍の復活を米国海軍との2人3脚でいかに進めてきたかを解説し、今日の海上自衛隊と米国海軍との関係までも考察した良書です。



まぁ、とりあえずは『 自衛隊はどのようにして生まれたのか 』を図書館で借りて来て読んでみるところぐらいから始めてください。 自衛隊が、どうして日本に必要であると判断されたのか。なぜ、今日のようなあやふやな立場に自衛隊が置かれてしまったのかを確認して、今日の防衛省昇格がどのような意義を持つのか、考えてみていただけると嬉しいです、はい






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最終更新日  2007年01月10日 00時39分05秒 コメント(2) | コメントを書く


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