バベルの図書館-或る物書きの狂恋夢

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カテゴリ: アート
 忙しさにかまけてご報告が遅れましたが、 金巻芳俊 彫刻展「春暁メンタリティー」@ Fuma Contemporary Tokyo に足を運びました。
 今回は、ラウンジサイズの新作披露ということで、前回も足を運んだfuma Contemporary Tokyoさんの持つ空間の中で、どのようなメッセージが作品から伝わってくるかと楽しみにうかがいました。果たして、まさにここしかない、という独立した風の空間に、見事なバランスで配置された新作たち。
 作風やその変遷は、機会あるごとに、追いつけとばかり可能な限り鑑賞してきたつもりですが、新しい季節を予感させながら、なんともワクワク感だけでは終わらない暗示読み取れる意味シンなタイトル。実は展覧会のタイトル=コンセプト、金巻さんの作品を鑑賞する上でタイトルの持つ意味合いはかなり重要…と今回改めて気が付いた次第。ちなみに、前回は「相対アンビバレンス」でしたが、なぜタイトルが大事と思い至ったかといえば、それらには語感も小気味よい連続性があり、かつブレないテーマ(生とその裏側としての死、あるいはその反対)が必ず据わっているのではないか、と感じたから。だからこそ、タイトルも含めて作品なのだ、と気が付いたのです。
 春めいた、淡く優しいカラーリングのシャツを着た、人間の観覧車…。そこに、出口なき現代人の立ち向かう「シジュポスの神話」を見て、息苦しくなったり。あるいは、妖怪・輪入道をマイルドにコーティングしたようなシニシズムを勝手に想像したり。すべて眼隠しでつながる環(わ)に、不透明性や匿名性の高まる現代の人間関係構築の縮図を感じたり。はたまた、童心に返って、ただただその浮遊感に胸躍らせたり。
 あるいは、「明らかに」一人にしか見えない分裂してゆく女性は、同時に側面から見ると、切っても切れぬ他者に親しげに抱きつかれているような、ねっとりとしがみつかれているような。信頼関係と依存関係の同居。それとも、この他者然とした自己は、アンビバレント(!)な、定まらぬアイデンティティの残像なのか…。いや、この三つの頭は実際に、それぞれ本当に「他者」なのかもしれない…。それが、自己のアイデンティティの揺れだなんて、誰が言った???
 一点だけ、木彫ではなく、テラコッタで作り上げた作品は、ソファに深々と身を沈める現代の如意輪観。それとも、一つところで、身動きもせず、欲しいものはすべて手の届く範囲で解決する利便の化身、コンビニの権化か…。中性的であどけない表情がますます不敵&挑戦的…。
 ご縁をいただきながら、実は金巻さんとは、初対面。賀状やメールでお互いに「今年こそ」と強く願った対面も実現(髑髏を背負った人物作品にも、幸運にもここで対面実現!!)。たくさんの方が訪れる中、ゆっくりと作品の説明や創作にかける想い、意見交換もさせていただきました。


▲会期は2013年2月19日(火)〜3月2日(土)でした。

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Last updated  2013/03/07 12:53:33 AMコメント(0) | コメントを書く


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