サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2006.09.01
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カテゴリ: 科学
 ヒトはホメオスタシス(恒常性維持機能)で厳密に、身体の内と外を区分けします。内部には細菌は棲息できません。侵入した細菌類はすぐ免疫系、マクロファージが撃退します。しかし皮膚や腸など外部との境界面には、多量の細菌類が棲息していて、我々はいうなれば細菌をまとって生きているようなものです。従来の人体模型では、こうした説明はありませんでしたね(「ニュートン」もなぜか触れません、どうも健康食品などに見られる、エセ科学のニオイが邪魔しているようです)。
 生体は完全な閉鎖系だと、呼吸も食物吸収も行えないので、生存できません。したがって内と外の境界面では厳密な物質の交換が行われています(必要なものは吸収し、不要なものは捨てる)。小腸内には腸内細菌といわれる嫌気性細菌が多量に生息し、この交換に一役買っているといわれています。
 小腸の外部と接触する面(食物が通過する側)には、多数の絨毛組織が構成されて、栄養素の吸収をすべく待ち構えています。その表面積はヒトの場合およそテニスコート2面分といわれます。驚くことに腸内細菌はその表面をコーティングしたように、一面に覆っているのです。これを腸内細菌叢(腸内Flora)といいます。(ビロウな話で恐縮ですが、ウンチの中味の半分は大腸菌その他の腸内細菌、ないしその死骸だそうです。腸内には100種以上、100兆個以上の腸内細菌が棲息しており、数だけでいえば宿主のヒトを構成する細胞数が約60兆個~70兆個といわれるところからみても、その分量が知れます。ただしヒトの細胞よりはるかに小さいので、私たちの身体が、ほとんど細菌で占拠されているというわけではありません。それでも1人あたり1.5Kgほどいるそうです!ギャッ)

 いつからそんなものが棲み付いたのか、ということですが、おそらく生物が誕生してからずっとということでしょう。ヒトの場合生まれて最初の授乳その他で口から入り込み、3,4時間以内に腸内に棲みつくと言われています(胎内では無菌状態なのです)。
 ここで出てくるのが、俗にいう善玉菌、悪玉菌であります。この名称はヒト(宿主)からみての話で、別に バイ菌に善意や悪意があるわけではありません 。彼らは彼ら独自の生存をかけての闘いを、腸内で行っているわけで、結果として、それがヒト(宿主)に役に立ったり、害を与えたりするのです。いずれの細菌もヒト(宿主)が食べた食物の一部を腸内でかすめ取ることで生存しているのですが、結果として細菌が代謝して産生した物質の中に、ヒト(宿主)にとって有用なものがある場合、これを善玉菌といいます。
 気の遠くなるような年月をかけて、宿主のほうも腸内細菌が棲息することを前提とした体内構造に、進化していきます。例えば牛などは、硬い繊維物質を消化吸収するのに反芻を行いますが、硬いセルロースは四つの胃に生息する腸内細菌によってグルコースに変換され、小腸で吸収されます。こういう関係が共生といわれるのは、よく知られています。ヒトでもパプアニューギ二アでは穀類(タロイモ、炭水化物)しか食べてないのに、筋骨隆々のヒトが多いのは、彼らの腸内細菌が炭水化物を蛋白質に変換しているのではないかといわれています(ホンマかいな)。

 腸内細菌の分布は、腸の部位によって異なり、例えば胃に近い部位では、酸素を呼吸する好気性細菌が棲みつき、酸素のほとんどなくなる大腸に近い部位では、嫌気性細菌が広大な細菌叢(Flora)をつくっています。この棲み分けは、先ほどの部位によるだけでなく、宿主の年齢や食生活、性格?によっても、限りなく変化するようです。
 もともと腸内細菌は、細菌類の中でも弱い部類なのだそうで、早い話、酢酸(お酢)のひと拭きでたちまち死滅します(宿主の急激な気分変化でも、死滅するというのですが、例えば交通事故を起こしかけてヒャッとストレスがかかったときとか。そういえば、うちの若年寄はちょっと私がストレスをかけると、たちまちトイレに駆け込む。きっと腸内細菌が全滅したのでしょう)。

 腸内細菌にかぎらず、皮膚の表面も、皮脂を食べる皮膚常在細菌におおわれていて、一種外界とのバリヤになっている。あんまり清潔にしすぎると、かえって皮膚を傷めるといわれる所以です。
 というわけで腸内や皮膚の表面では、あらゆる常在細菌が棲みつき、お互いに攻防を繰り返しているわけですが、これらの攻防にははたして、何かの意志(生存本能)のようなものが働いているのでしょうか?

 ここで問題になってくるのが、生物と無生物の境界線です。先に挙げたWikipediaの生命の定義
1.外界および細胞内を明確に区別する単位膜系を有する。
2.自己を複製する能力を有する。
3.外界から物質を取り込み、それを代謝する系を有する。
は例えばウィルスのような生物と無生物の境界線上にいる存在には、適用できません。
1.ウイルスは非細胞性で細胞質などは持たない。
2.ウイルスは単独では増殖できない。他の細胞に寄生したときのみ増殖できる。
3.ウイルスは自分自身でエネルギーを産生しない。宿主細胞の作るエネルギーを利用する。― Wikipedia
という特色からウィルスを非細胞性生物、ないし非生物と位置づけており厳密な定義ができていないのが、現状のようです。

― ウィルスに唯一できることは他の生物の遺伝子の中に彼らの遺伝子を入れる事である。厳密には自らを入れる能力も持っておらず、ただ標識ドメイン(入場許可証のようなもの)を持っているだけであり、後はその 生物の細胞が勝手に導き入れてウイルス蛋白を増産し病気になる 。この事からウイルスはまるで、 意思も増殖力も生命力もないただの分子機械 だと捉える考えもある。 ― Wikipedia
ということになると、いったいに生命とか意志(生存本能)とかの定義が、その境界線でたちまち不分明になってくるのがわかります。

                                     ― つづく ―





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Last updated  2006.09.01 11:07:36
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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