サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2009.05.18
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 源氏の「澪標」の帖以降を、どういうふうに話しようかと思案しているうちに、何やらまたしても世の中が騒がしい。私はテレビやNET上での騒ぎについては、九割がた割り引いて、なおかつ本当のことが残っているかどうか、判断することにしているのですが、昨日今日例によって街をうろついていると、アッと驚くマスクの人たちの群れ、花粉の季節はとっくに終わったじゃないかと思っていたところが、新型インフルエンザ対策ということらしい。
 ふだんスーパーにしても本屋にしても、透明人間のごとくすり抜けていくことを、本意としている私ですが、マスクをしていない私を見詰める周囲の目というのが、何となく気になって、うっかり大好きな本の立ち読みも出来ないありさまです(とくに奥様がたの目線がものすごいです)。うっかりセキ払いでもしようものなら、たちまちパニックが起こるんじゃないか、というような異様な雰囲気は、私たちがかつて来た道をまたまた繰り返そうとしているかとも思われ、大いに腹ふくれる思いで事務所に戻ってきたのでした。

 美女!事務に聞けば、「今ごろ何を言うてんの!インフルエンザ用のマスクなんか、とっくに売り切れてどこにもありませんよ」という由、そういえばさっき通ったドラッグストアにも奥様がたが群がっていたな、と思いつつ、ああこれでマスクメーカーだの薬用石鹸だのの医薬品メーカーは、ウハウハだろう、しかしパニックを煽りに煽って引き起こされた社会的損失については誰も責任を取らないだろうな、とため息の一つも吐きたくなります。

 「大体がやねェ!」と、どこかのおっさんみたいに怒鳴りたい衝動に駆られるのですが、実態的な新型インフルエンザの病理的な危険度と、社会風評的な危険度とどちらが大きいかと言えば、あきらかに風評によってもたらされる社会的損失のほうがはるかに大きい。スーパーも銀行も全員がマスク着用で(病院ならともかく)、お客に接したらどのような事態になるか、ちょっと考えればすぐ分かることなのに、今や事業者がいちばん恐れるのは実態より風評なのです。今世紀に入って風評による事業者の被害というのは顕著なもので、身近なところでは「赤福」だの「白い恋人」だの、一朝にして売り上げが吹き飛ぶという現象は今や珍しくなくなってしまいました。

 地域的な紐帯が外れた結果、風評はメディアとNETであっという間に蔓延するようで、仮想現実に浸りきった今どきの社会というのは、それが現実にマスクをしたおっちゃんおばはん(失礼!)に、街なかで出くわしたとたん、いっせいにある一つの方向に向かって走り出す、といったとても脆弱な社会なのです。これは保健医療体制がどうの、タミフルの備蓄がどうのといった問題ではなく、人間の振るまいかたとか文化の問題で、アメリカやヨーロッパがすでに新型インフルエンザが早くから侵入しているにもかかわらず、ヒステリックな煽りやパニックが起こっていないのと対称的ですね。
 このあたり、私は以前から日本のマスメディアの報道姿勢や、物事の捉えかたの浅はかさを多少でも取り上げてきたつもりですが、それにしても毎日流れるニュースショーに登場するキャスターたちのレベルの低さは眼を覆いたくなるばかり、しかしよく考えてみるとこの人たちというのは、多くがタレント(このタレントにはアナウンサーとか天気予報士も含まれます)や元?俳優で、言ってみれば 仮想を演技として生業(なりわい)としている わけですから、表現が芝居がかってしまうのはあたりまえなのかもしれません。嘆かわしいのは、それにつられるように本来芝居とは関係のないメディアの人たちまでが、その報道姿勢に影響を受けていることです。
 これらを観ている視聴者とは、それこそ今や仮想の空間をブログとかメールでおおいに跋扈して、自己を演技するのに長けた人たちですから、実態社会が以前に比べてヒステリックになるのはどうしょうもないのかもしれません。そういう人たちは、やがて皆さん防毒面に防護服をまとって街を歩くことになるでしょう。これぞ私の想像する究極の無名性の社会の姿であって、昔アメリカ人がレイバンのサングラスをかけて歩いている姿を見て感じた無名性の社会が、日本でもいよいよ現れつつあると思ったりもします。

 と言うわけで、私は近所の薬局のおっさんの話を信じて、

2. インフルエンザ用のマスクなんかしても(お金の)ムダ(どうしてもしたいなら、せいぜい花粉用で充分)
3. 家に帰ったら、うがい、手洗いが基本(石鹸で充分)
4. それで罹ったと思ったときは専門家に頼る(医者にかかる)
 これでいいんじゃないか、と思ったりもするのです。防毒面と防護服(ここでは今日見てきたマスク顔)で守るべきものっていったい何なのでしょう?我だけ助かって、何かそんな良いことってあるのでしょうか。「パンデミック」だの「フェーズ6」などといった、折り知り顔のコトダマに躍らされないためにも、そんなことは専門家に任せておけばよいと思うのですが、さて …





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Last updated  2009.05.18 14:29:54
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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