サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2009.09.16
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テーマ: 古典の日(312)
カテゴリ: 文学
 さて、源氏の大宮への述懐めいた長話は、まだまだ続くのですが、教訓めいた道徳話なので端折ることにします。ただその話のおわりに、

― … 猶、才を本としてこそ、大和魂(やまとだましひ)の、世に用ゐらるゝ方も、強う侍らめ。さしあたりては、心もとなきやうに侍れども、遂の、世のおもしとなるべき心おきてを、ならひなば、侍らずなりなん後、うしろやすかるべきによりなん。 … 」 ― (山岸徳平校注、岩波文庫()筆者)

  … 結局、(しっかりした)学問の土台があってこそ、もともとの資質が(生かされて)、世に用いられることも、大いに出てくるのでしょう。さしあたって、心もと無いようにも思うかもしれませんが、将来、世の重臣となるべき心がまえを、(今)習っておけば、(私が)亡くなって後も、向後の不安を抱くことなく(過ごせるでしょう)。 … 」

 ここの「大和魂」という用語は、史料的に認められる、この用語が使われた最初の例なのだそうです。しかし意味するところは今とだいぶ違って、山岸さんの校注によれば、「常識的な判断、良識」の意となっていますが、ちょっと私なりの解釈を加えました。なんとなくこの用語に、紫式部がニュアンスを込めたように思うからですが、その話はもう少しあとにします。
 源氏の整然とした話に、大宮はため息を付きつつ、

― 「げに、かくも、おぼしよるべかりけることを。この大将なども、「あまり引き違へたる御事なり」と、傾(かたぶ)け侍るめるを。この幼心地にも、いと口惜しく、大将・左衛門の督の子どもなどを、「われよりは下臈」と、思ひ貶(おと)したりしだに、みな、おのおの、加階し昇りつゝ、およすげあへるに、浅葱(あさぎ)を、「いとからし」と、おもはれたるが、心苦しう侍るなり」
と、きここえ給へば、うち笑ひ給ひて、
 「いと、およすげても、恨み侍るなりな。いと、はかなしや。この人の程よ」
とて、「いと、うつくし」と、おぼしたり。

と、きこえ給ふ。 ― (山岸徳平校注、岩波文庫()筆者)

 「なるほど、そこまで、お考えになっていらっしゃったのですね。(しかし)うちの大将(頭の中将)なども、『(それは)あまりにも例の無いなされようだ』と、首を傾げておいででした。(他ならぬ夕霧自身も)子供心とはいえ、大変口惜しくて、大将や左衛門の督の子供など、『自分よりは身分が下』と、思い貶めていたのが、(その子達は)皆、それぞれ、昇段し、大人びているのに、(我が身だけは)浅葱色(という六位の低位)なのを、『本当に辛い』と、思ってらっしゃるのが、可愛そうでなりません」
と、おっしゃるのを聞いて、(源氏の君は)微笑なさって、
「ずいぶん、生意気な、怨みごとを言ったものだな。あ~あ、たわいないことよ。この子の歳頃というのは」
と云い、「(それでもそれは)とても、可愛いことだけど」と、思われる。
「学問などをやって、少しでも物の道理も心得たなら、そんな恨みごとなど、自然と、消えて無くなるでしょう」
と、おっしゃる。

 源氏は落ちついたものです。

― つづく ―





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Last updated  2009.09.16 16:21:13
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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