サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2012.01.20
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カテゴリ: カーネーション
 昨日あたりから、糸子は完全に「恋に落ちた」ようですね。
 周防の話し言葉が、徹底して「長崎弁」であるのには、何かしら脚本家の意図が込められているのでしょう。一言でいうと、今までとまったく異なった「外部からの到来者」であることを印象づけるみたいな(まあ、もちろんそれ以外にも、長崎被爆者の家族持ちという伏線もあるにせよ)。

 三浦にしても北村にしても(松田も)コテコテの「泉州弁」である、というまさしくその事況において、すでに彼らは糸子の守備範囲にある、つまり「空気が読める相手」なのですが、周防はまったくその要素が欠如しているという形で登場するのです。
 当然、彼の訥弁を聞き取ろうとする姿勢を(糸子も視聴者も)余儀なくされるのですが、その周防の語ろうとしている言葉が、何やら糸子の「服飾に対する思い」を写し絵のように代弁していることに、やがて(糸子も視聴者も)気づく。ことさらにネイティヴな(したがって、他地方では聞き取り難い)長崎弁であることによって、コトバが別の表象を帯びて聴こえてくるのです。

 これがもし、従来どおりの「泉州弁」で語られていた(早い話、北村から)なら、前もって「空気が読める」ために、その言葉の意味するところを、糸子は逆に「聞き逃していた」かもしれない。しゃべりコトバというのは、当人がしゃべろうとする中味より、そのものの言い方(空気感)のほうが、先に相手に届くものです。
 同じ泉州弁であるために、前もってすでに共有された空気感が、肝心の中味を聴きそれを吟味するという気持を起動することを邪魔したかもしれない。長崎弁という「外国語」であることによって、コトバが素の状態で新鮮な響きを持って、糸子の前に立ち現れたということなのでしょう。

 さて、男(勝も含めて)はおろか、同性においてさえ糸子的なものの考え方が、正確には理解されていなかったかもしれない糸子にとって、「話の分かる者」がこうしてまったく別の回路で出てくるのは、まったく予想していなかった。不意打ちのようにして現れた「異邦人」が、じつは「私の『志』を、ホントに共有してくれるかもしれない人」、しかもそれが、いわゆる「男のフェロモン!?」なるものを、色濃く発しながら現れたのであれば、女性は誰しも抵抗できない(三浦も北村も、たんに汗臭いだけ。松田にいたっては、糸子だけでなくほかの誰にも、ほとんど男と意識されてない)。
 こういう、「意図してか」「意図せずにか」今のところ不明ですが、何をやっても男の色香をプンプン漂わせるタイプ(ブラピだの、ヨン様みたいな)というのは、確かにこの世にいるのです(女性群にも、おります!)。周防が最後に「小原さんに会いたかったから」と言ったのを以って、これが彼の口説きの「決め科白!」と罵るのは、ちょっと速い。現実問題として彼には家族の生活があるわけで、北村の会社に来たのは(給料が相場より高かった、ということと)糸子の服飾への熱意と商才が、自分のキャリアにとってプラスになると判断したからでしょう。

 それを早合点して、勝手にコーフンしているのが当の糸子であって、「恋患い」というのは、本人が意識する以前に本人の無意識に先回りして顕現する。理由なく顔が赤くなったり、相手の仕草が気になったり、要はフツーの動作が阻害される。つまり、意識がそれを否定しようとする、まさしくその身振りにおいて、彼女はすでに「恋」の虜囚(矢の刺さった状態)なのです。


 糸子の「自我」は完全に溶かされたのです。 

― つづく ―





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Last updated  2012.01.20 15:19:35
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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