サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2015.05.01
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人文主義

 これは裏を返せば、春秋戦国の百家争鳴の世において、「怪力乱神」を人間の側の都合で説き、威勢を振るった勢力が一方で存在したということも示していて、それは後の「道教」のような、ごく現世的な民間信仰に繋がって行くものだったでしょう。孔子はそうした言わば非理性的な態度を退けたわけですが、それは一方で「主知主義」的な発想も孕んでいるわけで、「人間中心主義」という点では、他の古代中国の思想家たちと同一の平面に立っているわけです。

 断っておきますが私はここで、孔子その他中国思想家の価値論をしているわけではありません。彼らの発想の土壌に共通するもの、そしてその理由を考えているのです。ここで安易に「風土論」を持ち出すのは、あまり知的な態度とは言えないのですが、それでもなお中原という土地柄を、中東の砂漠や日本の風土と比較してみたい、という欲望を抑えることが出来ません。
 この三者を比較すれば、中原という土地柄はその「自然」自体の存在を、ほとんど感じる必要性の無い風土だったのだろう、と思わざるを得ないのです。無慈悲なまでに人間とは「無関係」に存在している中東の砂漠や、生半な人の智恵ではまるきり歯が立たたず、「鬼道」にすがる他なかった古代日本の風景とは明らかに違うでしょう。自然環境の違いというのは、そこに現われる「知性」の在りようにも、意識されない仕方でやはり影響を与えるだろう。孔子は「怪力乱神」を用いずとも、普通に世界を説明出来たのです。「主体の在りか」はあくまで人間なのでした。

 余談ですが、それにしても「人間の営みをいちいち斟酌するようなことはしない」ほど、「超越した存在」である唯一絶対神という在りようを見い出したユダヤ教というのは、いったいどのような歴史的経緯で、中東の砂漠から世に現れたのだろうと思ってしまいますね。これは「信じれば必ず聞いて下さるはず(逆に答えてくれないのは、信心が足りないから)」といった類の、まあはなはだ「現世ご利益的」な宗教に比べて、主体の在りかを「対置」して見ようとしている点、ずいぶん曲がりくねった発想、言い換えれば「知的在りよう」をなしているじゃないですか。
 以前別のところで、それは「たぶん、長く差別あるいは排除され続けた集団が、そう名指しされ続ける自身たちの在りようを説明するための物語として、『永遠に答えてくれない神』(むしろ答えてくれないことこそが、その絶対性の証明であり、であるにも拘らず人間の側は、それに問い続けなければならない存在)というものを作りだしたのだろう」というような話をしましたが、これは際限が無くなるうえにややこしく、また当該のテーマから離れる一方なので、一旦止めにしましょう。
 要は、西欧ルネサンスのヒューマニズム(人文主義)というのが、そうした超越的な「神」と対峙し、それを意識する過程で現れたのだろうということだけを、ここでは確認しておきたいのです。

 例によってWeb「はてなキーワード」を見ると、人文主義とは
― ルネサンス期における、ギリシャ・ローマ・ヘブライの古典的教養を通して人間形成をはかる立場。ここから人間肯定の思想、教会を中心とした世界観から解き放たれた新しい普遍的人間像が生じた ―

 具体的には、本来普遍的な権威であるべき教会が、はなはだ世俗的に権力を乱用した(免罪符の販売など)ことに対する疑問として現れたわけで、中世ヨーロッパ史とは、このローマカソリックの普遍的な権威と、ごく狭量で世俗的な王侯貴族たちの主導権争いの歴史と言っても好いのでしょう。西欧において権力が代替可能な仕組みとして観念されたのは、この両者の長い争いの結果であり、さらに教会が宗教的権威だけを残して、世俗的な権力を手放した(政教分離)ことによって、絶対王政に続く代替可能な権力構造が生まれ、西欧近代社会の芽(主体を「自己」に置くエートス)は開かれたのです。





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Last updated  2015.05.01 11:30:03
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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