August 22, 2004
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        究極の願いは

       この海のようなひと


          ***






金曜日。
今日が終われば週末だ!と嬉しいながらも、増えつづける仕事に
辟易していた午後。

ぴろろろん。
私のPCに、友人からのメールが入る。


伝えてある。

顔面の半分が麻痺して動かなくなってしまうという病気に
なり、会社の夏休み中に通院していたという、友人からの
メールだった。

とても元気な彼女なので、私は驚いて信じられなくて、
PCを食い入るように見つめた。

翌日土曜日、彼女の住む蒲田というまちを訪れた。
初めて訪れた。東京都神奈川の境目に位置する、住みやすそうな
まち。
彼女がもう5年もここに住み着いているのも、うなずける。

思ったよりも全然元気そうだった。

と言う彼女と、沢山しゃべって沢山笑った。
顔がひきつって変な顔になるので嫌がる人が多いけれど、
沢山笑って動いた方が、治りが早いそうなのだ。
勿論、だから笑わせたわけではないんだけど。。。

確かになんだか痛々しい、ひきつった顔になるけれど、

やっぱり笑顔っていいよな、と思う。

その後、ダーツをしに行った。
弟の部屋にあるダーツ盤でやったことはあるけれど、
ダーツバーに来たのは初めてだ。

彼女は何度も来たことがあるらしく、構えもダーツの飛ばし方も
プロっぽい。

私は、まず盤に当てるのが難しくて、
ダーツをまわりに投げ散らかし、彼女がキャディーさんみたく
拾ってくれていた。
それに、なんとか盤に当たっても、私の投げたダーツは
「ほよよよよーん」と、だらしなく宙に舞い、力のない
当たり方をする。

でも。
それでも。

連勝してしまった!
「ほよよよーん」でも、なぜかいい点数のところに当たってしまい
彼女は悔しがっていた。
「え?私結構いけるんちゃう?」
と、いつもどおり単純な私。

随分と白熱してしまった。

****************

その日の夜は、アルバイトをしていた塾の同僚の友達と、
近所にできた韓国料理屋さんへ行った。
韓国からやってきたおばさんがたった独りでやっているお店で
その名も”韓国の家”。
一見、素通りしてしまいそうなたたずまいだ。

小さな飲み屋風のテーブル。
赤いざぶとんに座って、キムチチゲやチジミを注文した。
心がこもっていてとても美味しかった。
お客さんがひけて、私達だけになったころ、
キムチを運んできてくれたおばさんに私は、
”マシッソヨ!”(おいしいですよ)
と言ってみた。
そして、秋にソウルを訪れたときの写真を見せた。
目を細めて写真に見入るおばさん。
韓国語なまりの流暢な日本語を聴いていたら、ふいに
ソウルの匂いを思い出してくらっとした。

”若いときはどこにでもいけていいわよねぇ。あなたたち、
 お友達?”

笑顔ではい、と答える私達に、おばさんとの会話は延々と続き
お店を出る頃には日付が変わりそうになっていた。
私は心をこめて言った。
”マンナソ パンガスム二ダ!”
(お会いできて、うれしいです!)


******************

海を見てきた。
クルマで2時間くらいのところにある、大洗海岸。
以前、茅ヶ崎の海に行ったとき、本当に長靴が流れてきて、
「漫画の中みたい」と笑っていたことがある。
でもこの海は、とても綺麗だ。

海が近づいてくると、水平線のように、霞んだ空の向こうに
まあるい青が見える。
それをみると「おーっ」と叫ばずにはいられない。

曇りがちな天気だったけれど、人は沢山いて、
みんな楽しそう。
砂浜を歩いたり、水をかぶったり、貝殻を拾ったりした。
波にさらわれたまったいらな砂の上を、足跡をつけて
どこまでも歩いた。
潮風に吹かれて、透明になれる気がした。

******************

帰り道、24時間テレビをつけると、
半身不随になってしまった女の子が、森山直太郎の「さくら」
をピアノで弾く、という企画をやっていた。
その子が付随になってしまった原因は、実はお母さん。
欠席したお友達に、幼稚園からのお便りを届けに行くとき、
お母さんがきちんとブレーキをかけなかったために、
女の子をひいてしまったのだ。

自分への罪を感じながら、娘を見守る姿には、
涙が止まらなかった。

でも、動きにくい指で一生懸命にその子が弾いた「さくら」は、
本当にきれいだった。
楽器の音は、誰が出しても決まった音階だけれど、
出す人の気持ちや、心のこめ方によって全然違うような気がする。
弾いているときの真剣な顔も素敵だった。


****************

思いがけない病気に、夏休みを奪われた友人。
一人異国からやってきて、日本でお店を作ったおばさん。
何より宝物の娘に、指の自由を失わせてしまったお母さん。

多分誰もが、定められた運命の中で、
自分の未来とか夢とか、普通の希望を抱きながらも、
自分の力ではとうていどうにもならない、なにか別の者の
手によって支配されているかのような、
どうしようもない出来事に翻弄されながら生きてる。

それは時に些細なことだったり、
時に残酷でとり返しのつかないことだったり、
そのどちらでもなかったりする。

そして、それらが、些細なことなのか、
残酷で取り返しのつかないことなのか、
どうなのかを決めるのは、
もしかしたらそういう人の運命というものを、
周りで見ている人たちの心なのかもしれないと思った。

右半分は笑っていない友人の笑顔を見て、
どうしても満面の笑みをさせたくて、躍起になった。
そして一緒になって笑っていたら、なんだか彼女は思ったより
早く治るんじゃないか、そんな都合の良い予感が
だんだん心を震わすような”本物の予感”になってきた。
そして二人とも、すごくすごくハッピーな気持ちになった。

一人でがんばる韓国のおばさんを見ていたら、
韓国という国がますます好きになって、いつかまた行こう、
そんな気持ちになったし、
ピアノを弾く女の子の姿は、多分テレビを見ている膨大な数の
人たちを勇気付けた。


日本という国が便利で住みやすくて治安もよくて、
多くの国から人が移住してくるという現実がある。

住みづらい、生きづらい。
たった一人のそんな国民の気持ちが、多分多くの共感
を呼び、設備が整えられたり、法律が改正されたりしながら、
今みたいな日本が出来上がってきた。

共感する気持ち。
人の幸せとか不幸せとかを、一緒に味わってみようという気持ち。

きっとそれが、この世の誰かに、誰もに、何の前触れもなく
ふりかかる様々な出来事を、
自ら手を広げて受け止めようと思う力につながる。

***************


かいがら
写りが悪いのですが、このキャラメル色と白のコントラストの貝殻。
私はすぐに”キャラメルフラペチーノ”を思い浮かべました。
美味しそうな貝殻!笑






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Last updated  December 27, 2004 12:17:15 AM
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海のくまさん@ チン型取られちゃったw <small> <a href="http://onaona.mogmog…
チ~フデス@ Re:移動します(06/11)  いつも楽しみに拝見させて戴きました。…
yukina♪ @ Re:移動します(06/11) 靴の紐を結びなおすのですね(o^^o)。 と…
ちかこ20025390 @ 足跡ぺたり こんばんは 世につれ 人につれ 変わ…
Milky5555 @ Re:ブリジットジョーンズの日記2(03/21) お久しぶりです♪TOMOちゃんも見たんだね~…
はじめ@ おっつー なんか一人暮らし満喫してるみたいだね! …
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