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高校最後の夏を楽しもうと、アンバーたち5人は伝説の「謎のかぎヅメ男」をふざけて再現する。ところが仲間の一人が誤って転落死してしまい、自分たちの将来を考えた彼らは、原因が悪戯だったことを永遠の秘密にするのだった。その1年後、彼らは恐ろしい脅迫状とともに「謎のかぎツメ男」に次々と命を狙われていく・・・。これまでの伝説のラストサマーたちが積み上げた功績がすべてパーだよ!!まず感想云々のまえに、最初にちゃんと警告しておきます。この映画、たぶん無料で放送されたのを観てた。だからおなじようにたまたまこの作品を観て、「うわーラストサマー3って名作じゃん!」「めっちゃ面白い!前作とか前々作とかと比べ物にならないくらい面白い!!!」「この最高に面白かった作品についてだれかと語りたい!分かち合いたい!!」、、などとうわ言ほざいている方は、この先閲覧注意です。お部屋で一人うわ言ほざいといた方が世の中のためです。念のため。で、ここからが本題。ストーリーは割愛。これまでラストサマー観てた人なら分かるよね?的な気持ち。ひょんなことから人の死に関する秘密を共有した若者たち。その1年後、再び夏が訪れたとき、彼らには去年の夏以上の恐怖が襲いかかるのであった、、的なもんなんよ。この映画でキモなのは、この「秘密」がなんなのか、ということ。すべてここにかかってくる。むしろ、この「去年の夏の秘密」というキーワード以外はなんだっていいんだよ。順風満帆で前途ある若者たちが犯した夏の罪。彼らは我が身可愛さに秘密を共有しあい、過去の「消せない秘密」から逃れていきいたはずだが、明る年の夏にその秘密が追いかけてくる。だからラストサマー4だの5だの作るのは構わない。ラストサマー0とか、LS序章とかあってもいいよ。あと、アメイジング・ラストサマーとか、ラストサマー・ビヨンドとか笑この秘密の部分がちゃんとストーリーの軸にあればね。今回のこのラストサマー3に面白みを感じなかったのは、この「秘密」が極めて弱いこと!!ここに尽きる。だってPJが死んだのって、彼らのせいなの?笑マットを動かしたのが仲間の一人で、故意にPJを殺しにかかってるんだったらまだ分かる。それは復讐の動機にもなる。就職が決まってるからだのPJの親が保安官だからだの小さい町だからだのって、この事実を秘密にしておく理由がどれも弱いんよ。先代のラストサマーの諸先輩がたを御覧なさい、彼らは罪のない人を車で引いた挙句、それがバレて前途洋々な自分たちの人生を破壊されるのが嫌っていう馬鹿みたいに身勝手な判断で、証拠隠滅のためにまだ息のあるその人を海に投げ入れた鬼畜たちなんだよ!笑それだけしてやっと、この若者たちに胸糞悪さを覚える。恐怖の物語が動きだす。鋭利な鉤爪を持った殺人者がいかに彼らに対して復讐心をもっているかがわかるんだよ。彼らが去年の夏に行った残虐な行為が比例して、犯人をグロテスクにするんだよ。良くも悪くも、今回の彼らにはあまり非がないんだよね。素直に謝りゃ済むことじゃん。だからストーリーがものすごく中途半端。あと、犯人がわからないパターンってなんなん、まじ。犯人探しがこのシリーズの醍醐味なんじゃないんかい笑砕石機に粉々にされとったやん。霊的なあれなのか?その時点で現実から離れすぎててサスペンス・ホラーとしては一番やっちゃいけないよ。この映画をみて「なんだこれ」ってがっかりした人は、ちゃんと本家本元のラストサマーを観て欲しい。好みはあるけど、この映画よりはマシだと思うから笑出演者は、、ざくっと割愛!!笑B級どころかG級ぐらいの作品なので思い入れなし!ま、たぶんこの映画を作った人達もこれまでのラストサマーには思い入れなかったんだろうなー
2022.04.08
妻ローラ(ジャニュアリー・ジョーンズ)が何者かに襲われ負傷し激しく動揺していた高校教師ウィル(ニコラス・ケイジ)は、「奥さんを襲った相手を代わりに殺してやる」と持ちかけてきた見知らぬ男サイモン(ガイ・ピアース)の提案を受け入れてしまう。そして半年後、ウィルはサイモンに代理殺人をやるよう強引に要求される。それを拒否したウィルは、殺人の罪を着せられ追われる身となってしまい……。いやニューオーリンズに腹ぺこウサギ多すぎじゃね!?最近、日本人の方と結婚されたニコラスさんの作品。ニコラス・ケイジは様々な作品に主演してるけど、まあ面白いものもあれば、そうでもないものも多いNetflix仕様俳優。だけどこれだけ主演作を積み重ねているのはある意味珍しい。彼が脇役とか、二番手、三番手くらいの作品ってあるのかな?あまり記憶にない。ストーリー的には妻の復讐のため、代理殺人を依頼して果たされたはいいが、自身も代理殺人を強要されて苦悩する男の話。代理殺人を依頼した側を、今度は代理殺人する側に転身さるというもの。この連鎖は組織的に操作されており、殺人を依頼した後ろめたさや弱みから人々は無関係の人間を殺害したり、監視したり襲ったりする。合言葉は「空腹なウサギは空を飛ぶ」溺れるものはワラをもすがる的なことわざかな?窮鼠猫を噛む的な。この合言葉を使う人間が、このまちニューオリンズにはまあ沢山いる笑ホントにどれだけみんな代理殺人に手を染めてんだよって具合に、一般市民から警察から、外見からそう見当がつかない人物が実話組織の人間で、、というあたりは割と面白かった。(警官がニコラスを逃したのは善意からなのかな?組織の統率がちゃんと取れてるかはよく分からなかった)でも、この組織は何も勧善懲悪の優良組織ではない。自分たちの存在や悪事を告発しようとする人間を、そしてその真実に突き当たって独自取材していた記者を、あろうことかニコラスに殺させたのだ。(事故的な側面もあるけどね)しかも小児ポルノを所持してる変態だと嘘偽りを言い募って。で、犯罪者となったニコラスは追われる。とにかく追われる。だけどニコラスよ、指名手配されてるんだからせめて変装しようよ笑どっからどう見てもあなたニコラス・ケイジなんよ。自分が(一応)殺したとされてる記者の追悼会に顔面野晒しで行くって、なんなんその度胸。せめて帽子かぶるとか髭剃るとか、なんかないんかい笑そして案の定怪しまれるのに、なぜか寸前のところで逃げ切れるっていう、、笑ラストはある意味ウィンウィンな感じの結末。組織側は暴走気味だったサイモンを始末できたし、ニコラスもこの組織から一応妻とともに離れられた。と、見せかけてのハングリー・ラビットの終わり方。こういうエンディング良き。もやっと感が良き。主役のウィルは説明不要の主演俳優ニコラス・ケイジ。主演作をあげれらキリがない。でもどれを観てもニコラス・ケイジでしかないのはちょっと惜しいところかも。ちなみにwikiを見て色々ノミネートされてんなーと思ったらゴールデン・ラズベリー賞ノミネートの常連だった。本作でもしっかりノミネート。叔父さんは地獄の黙示録、ゴッド・ファーザーのフランシス・コッポラ。ウィルの妻・ローラ役はジャニュアリー・ジョーンズ。アンノウンは観たことあるけど、あまり記憶にございません。冷酷な組織の男・サイモンはガイ・ピアーズ。メメント、タイムマシン、英国王のスピーチ。イギリスを代表する俳優さんのイメージ。なんか最後にあっさり死んじゃったウィルの友人、ジミー役はハロルド・ペリノー。どこかで見た顔かと思ったらZネーションのマーク!
2022.04.07
貧しい生い立ちで学士号を持たない異端のイギリス人学者マレー(メル・ギブソン)と、精神を病んだアメリカ人の元軍医マイナー(ショーン・ペン)は、世界最大の英語辞典の編さんを通じて盟友となっていく。しかし、英国の威信をかけたプロジェクトに犯罪者が協力していることが判明すると、編さん事業は行き詰まってしまう。やがて、時の内務大臣ウィンストン・チャーチルやイギリス王室をも巻き込む事態へと発展していく。これはどちらも狂ってどちらも賢い二人の男の物語!Netflixにある映画の中から、これぞ!っていうのを見つけるのは実に困難。だから最近はNetflix制作ではないものをチョイスして観てる笑これもその一つ。特に前情報はなかった。ただ、あーショーン・ペンといえば、最近何かと話題だなーとかぐらいしか思わなかったし、メル・ギブソンに至っては、「このヒゲモジャのおじさん誰?」から始まり、中盤ぐらいまでは完全にハリソン・フォードだと思い込んで見ていた。我ながら失礼すぎる笑ちなみに実話を元にている作品らしい。お話は実に70年あまりをかけて編纂された、世界最大の英語辞典がいかにして完成したのか、というもの。英語といえば、世界で最も使用されている言語。その英語のちゃんとした辞典を編纂するため、有象無象の気難しい学者連中の前で白髭の学者マレーが、言語に対する思いを熱っぽく語り始めるところから物語は始まる。マレーは貧しい出自ながら、その熱意だけで言語学者を名乗る男。一つの単語や意味も見逃すまいと、中世の古文書から、人々が日常的にやりとりしていた他愛無い手紙、語り継がれる名著などから引用を網羅すべく奔走するが、他国との競争や国の威信がかかった一大プロジェクトに鼻息あらい他の学者たちからは理解されない。そんな中、行き詰まったマレーのもとに、一人の博士から手紙が届く。その人物は医者のマイナー。現在とある事情で獄中にいる彼はマレーに自身の膨大な知識を貸し、やがて二人は盟友と呼べる間柄にまでなっていく、、的な、わりとハートフルなお話。タイトルが博士と狂人だから、シニカルでダークな雰囲気かといえばそうでもない。まあ、正直、なんか最初からどんよりと暗い話にはならないだろうなとは思ったよ笑物語の冒頭、過去のトラウマから強烈な幻覚や幻聴に見舞われていたマイナーは、誤って一人の男性を殺害してしまう。しかも、男性の妻の目の前で!この件が元で、マイナーは精神病院に移送されるけど、彼は間違って射殺したことをとても悔いている。「すまなかった、すまなかった」と何度も謝っていた。この時点で、マイナーが根っから狂っている人物には見えなかった。優しい人なんだとわかる。当然かもしれないが、その後未亡人となった女性イライザや子供たちに惜しみない援助をしてるし。この映画って、マイナーが良くも悪くも魅力的に描かれていたと思う。イライザと対面して子犬のように震えるマイナーも、自身の弱さや優しさから軍医時代に経験した出来事で自分を責め続け、幻覚に見舞われるマイナーも、そんな正気のない日々から水を得た魚のように、少しでもマレーの力になろうと必死でペンを走らせるマイナーも、、まあ、なんか一つ腑に落ちなかったのは、なぜマイナーがあんな熱心に引用検索のボランティアをしようとしたのか謎だったけど笑雷に打たれたみたいになってなかった、彼?笑見落としてただけかなーなんかすごい唐突にマレーに手紙書いてたけど笑何が彼をそう駆り立てたのかが謎すぎて、こっちは全然ついてけなかったわ、マイナーよで、かたや言語学者マレーの方が博士なのかといえば、実際はそうじゃない。マレーは仕立て屋の息子。忌憚ない言い方をすれば、本来なら学に接する機会がある身分じゃない。(この当時の感覚的にはね。元にイライザは識字能力がなかった)マレーは類まれな情熱で言葉に向き合い学を得たが、博士号のないいわば自称学者にすぎない。言葉の魅力に取り憑かれ、狂ってしまった彼も一人の狂人だった。それに比べて現在絶賛狂人中のマイナーには歴とした学があり、精神病院の院長の話では立派な家柄の人物だと語られていた。この題通りに行くと、いったいどっちが博士でどっちが狂人なのか、、?個人的にはどちらも狂人であり、どちらも博士であるって感じかな。あと、看守のマンシーさんがいい人すぎる笑結局、悪いのは院長だけだったかなー最初はいい人づらして、患者の嫌う「治療」という言葉は使わず、マイナーの尊厳や意思を尊重している風を装いながら、実は「マイナーが狂っているのを見ていたい」的な男だった。多分、この映画の中で一番狂ってるのはこの院長かも。マイナーとイライザがいい雰囲気になったところで、子供たちとマイナーを対面させて、父親を殺した男を前に長女がマイナーをぶっ叩いた瞬間、あの院長はニヤッと笑ってたんだよ!!してやったりてきな感じで!!!その時、あーこいつ全然いい奴じゃないわ、絶対にマイナーのためになるような人間じゃないわ、と思ったわ、マジで。おそらく家柄も良くて医者で学もあるマイナーが狂ってるのが楽しいのか?そんな稚拙な優越感的なことなのか?間違いを犯した犯罪者がイライザと恋仲になるのが許せないのか?この男の企みでマイナーの精神は破壊されたけど、最後に彼を救ったのがイライザの愛、とマレーの友情なんだよね。月並みだけど、イライザがマイナーの手を握って語りかけるのはいいシーンだった。ちなみにチャーチルとかイギリス王室が出てくるのは最後だけ。マイナーをどうやって精神病院、もとい狂った院長のものから救い出すのか散々みんなで考えた挙句、使ったのがチャーチル。それはマイナーを国外退去させ、アメリカに移送するという方法。こうすればマイナーはアメリカには行ってしまうけど、自由の身になれる。マイナーとマンシーが新天地に旅立つのを見送った後、マレーはまた編纂の仕事に戻る。この時の彼が冒頭と違う部分は、英国王室直々の編纂者に任命されたこと、そしてその功績から念願だった博士号が授与されたのだった。特に悪徳院長が罰せられる描写はなかったけど、まあそういうもんだよね、、別に勧善懲悪の映画じゃないし。後味悪い気もしなかったな。それぞれがそれぞれの新天地で、これからも生きていく感じで良き。実在の人物、ジェームス・マレーを演じたのは冒頭で書いてたように、ハリソン・フォードではなくメル・ギブソン。好きこそ物の上手なれ、みたいな人物。ある意味天才である意味狂人。70年を費やして完成したオックスフォード英語辞典の編集長。髭がありすぎてまじ誰状態だった。そんなマレーに力を貸した、もう一人の天才であり狂人ウィリアム・マイナー役にショーン・ペン。彼も実在の人物でちゃんとお写真まである。なにがってショーン・ペンの演技が素晴らしすぎて完全にマイナーの魅力に心打たれる映画だった。心が優しいんよね、マイナーは。だから過去の自分をずっと責めて、ずっと幻覚に苛まれているんだよ、、その優しさがイライザに通じたのが救いだった。そして頭脳や知識と情熱はマレーに通じた。いい関係性だったよ。夫殺しのマイナーの贖罪に葛藤する未亡人イライザ役はナタリー・ドーマー。あまり知らない女優さんだけど素晴らしいの一言。夫亡き後、一度はつっぱねた支援と引き換えに、元凶であるマイナーと向き合うことを決めた勇敢な女性。彼女の意思の強い視線がマイナーを変えたんだよ。本作の良心マンシーさんはエディ・マーサン。wiki見たら、見てそうで見てない映画ばかりだった。マンシーさんがマイナーの身元引受人になったから安心かな笑まじマンシーさんがいい人すぎ。
2022.04.06
暴力を働いて刑務所に送られていた、ルース・スレイター (サンドラ・ブロック)。刑期を終えて出所した彼女だったが、犯罪を犯した者を決して許そうとはしない社会の冷たさを感じる。故郷に戻るものの、そこでも人々からの厳しい批判や叱責を受けたルースは、犯してきた罪を償う意味も込めて、やむを得ぬ理由で置き去りにして離れ離れになったままの妹を見つけ出そうとする。人知れず苦痛に耐え忍んできたルースの真実に胸がヒリヒリと痛む!こちらはNetflixの映画。の、割にはおもしろかったよ笑いかんせんNetflix作成の映画に対する評価は、、まあ、正直あまり高くないというのが本音。だからこそ期待してなかった分、本作は普通に楽しめる部類だった。あくまでNetflix製作の映画の中ではの話だけど笑お話はある女性、ルースが保護観察官に付き添われて保釈されたきたところからはじまる。彼女が行った犯罪は警官殺し。20年服役し、この度模範囚として仮釈放した形だった。だが、世間の風当たりは強く、ルースは自分を受け入れてくれない毎日に心を閉ざしながら、唯一の肉親である妹の行方を追うために動き出す。妹は20年前、ルースが警官殺しをした現場に居合わせていたが、彼女が服役してからは養子に引き取られて何不自由なく生活していたのだった。ルースは妹に会えるのか、そして20年前の事件の真実とは、、そんな感じのおはなし。まあ感想諸々の前にまず、ちょっとした違和感が一つだけある。それは、べつにこれって妹設定じゃなくて娘でもよくね?ってところ笑年齢のことを言うのは野暮だけど、サンドラ・ブロックは御年57歳。もちろん、そんな年齢に見えないほど綺麗だってことはわかる。スピードの頃からチャーミングさと綺麗さを兼ね備えてきて、歳を重ねてなお貫禄はあるとはいえ美しいと思う。だけど、妹キャサリン役のアシュリン・フランシオーシは今年28歳。実に年齢差は30歳で、これだったら娘という間柄でもよくない?って普通に考えてしまう。なにか妹にする絶対的な理由でもあるのかなって思ったけど、、娘だったら感情が深くなりすぎるからとか?親を亡くして歳の離れた妹を育ててきたルースにとって、キャサリンは娘同然とか?なにか歴とした理由があったのか、作中ではわからなかった。この年齢差のある姉妹、という設定が個人的にはずっと違和感だったなー厳密にはもうちょっと年の差がない設定なんだろうけど、、なんで?ってなる。ストーリー的には終始、淡々と進む。仮釈放のルースは魚の加工工場で働き、ブレイクという男と知り合うけどなかなか心を開けず。そしてルースに父親を殺された兄弟は彼女に復讐の機会を伺い、最終的には人違いでケイティではなく、ケイティの養子先の妹(多分、この子も養子っぽいのかな)が巻き込まれて、、この、父親が殺された兄弟、最初はお兄ちゃんの方?が「あいつ親父を殺しといて20年だけで出所してきやがったゆるせねー」って感じだったけど、それをとめてた弟の方が徐々にルースに対する嫌悪と復讐心を持つのが、なんかリアルだった。口に出している側よりも、口に心を出さない側がより過激になるかんじ。この弟の環境も丁寧に描かれていて、人工呼吸器をつけて先の短い母親が横たわるベッドの壁に、在りし日の父親が保安官としての職務を果たして活躍している新聞の記事が飾られてて、、夫を、父親を失ったこの家族も、この20年間辛かったんだろうなと感じさせた。(暴走するきっかけが妻と兄の不倫なのが気の毒すぎるけど)で、それに比べてルースはちょっと身勝手かなーとおもったりするかな。ルースが昔自分が住んでた、そして事件現場にもなった家を訪ねて、現在の持ち主と知り合うのはちょっと、、ってなるよ。しかも偶然にも家主は弁護士。この弁護士の妻の言い分は正しいよ。殺人犯が殺人現場に戻ってきたんだから、身元がわかってたら悠長に会話なんて出来ないし、普通はしないよね。子供達も危険だし。あと、やっとの思いで里親に会えるってなってもさーいちいち感情的すぎる。そりゃ、里親の態度もこれまた正しいよ。今のルースにケイティを合わせるのは悪影響しかない。ケイティの人生にルースを介入させないことが、親としての役割だと思うのは当然。で、ルースは切れる。ブチ切れる。せっかく自分の得意を仕事にするために得たリノベーションの現場で暴れまくる。だめたこりゃ、、と、思いきや実はルースが警官を撃ったわけではなかったというどんでん返し。ショットガンで警官を撃ったのは、当時まだ5歳のケイティの方だった。この真実を知ると、ルースに対する見方が180度かわるのが、この映画のキモかな。ルースがどれだけ耐え忍んできたのか、妹を守るために数々のことを、人生までをも犠牲にしてきたのかがわかる。そして泣ける。まじ、泣ける。で、最後はいろいろあったけど、ルースはケイティと再会する。ルースの20年は、ケイティが健やかに育っているのをちゃんと確認してこそ報われるんだろうな。やっと妹を抱きしめることができたルースの表情がいい。何よりも大切で人生をかけて守った存在をちゃんと確かめるように抱きしめるシーンがいい。本当にいいラストだった。主演のルース役はサンドラ・ブロック。まあ、あれだね、味気ない話しをすると、サンドラ・ブロックが主演してて、ただの人殺しの 前科者というだけで終わるはずはないと思ってたよ、一応。それでもルースが真実を口にした場面は胸がえぐられるほどひりひりした。さすがの一言。彼女は本当にコメディからシリアスからこなせる魅力的な俳優さん。そんなルースの年の離れた妹役は先述の通りアシュリン・フランシオーシ。初見さんです。なぜか自分も前科者なのにルースの前科にビビってルースの素性が職場に知れ渡る原因を作った真面目にダサ男であるブレイク役はジョン・バサル。ブレイクに関しては「送ろうか?」みたいに誘ってルースを車に乗せたあと、自分がドラムを演奏するバンドの曲を聴かせるあたり、、うん、こういう奴いるわってなった。まじやめた方がいいよ、君のそういうところ。ジョン・バサルは言わずもがなウォーキング・デッドのシェーン。シェーンは結構好きだったんよ、、現実主義な必要悪なところが。ある意味事故物件に住んでる弁護士のジョン・イングラムはヴィンセント・ドノフリオ。wikiみて初めて気づいたけど、メン・イン・ブラックのエドガーだ!懐かしすぎる!そんな彼の妻はヴィオラ・デイヴィス演じるリズ。「殺人を無罪にする方法」の人という印象しかないなーこのドラマもみたことないし。今作は殺人は無罪にならなかったけど、言ってることは100%正しい。
2021.12.23
第1次世界大戦が始まってから、およそ3年が経過した1917年4月のフランス。ドイツ軍と連合国軍が西部戦線で対峙(たいじ)する中、イギリス軍兵士のスコフィールド(ジョージ・マッケイ)とブレイク(ディーン=チャールズ・チャップマン)に、ドイツ軍を追撃しているマッケンジー大佐(ベネディクト・カンバーバッチ)の部隊に作戦の中止を知らせる命令が下される。部隊の行く先には要塞化されたドイツ軍の陣地と大規模な砲兵隊が待ち構えていた。撮り方が秀逸で、まるでゲームの主人公を操作しているような圧倒的な臨場感と没入感!久しぶりだよ映画。本当に久しぶりに見たよ映画。いや、まじで久しぶりに見たよ面白い映画。本作のことはなんとなく知っていた。あらすじとかは分からないけど、とにかく撮影手法が独特で、まるで一兵卒の戦場での一日をドキュメンタリーでも見ているかのような感覚で追うことができる。ある意味究極の長回し。渡鬼なんか目じゃないよ、と思うけど、もちろんどこかで編集点が入っている。その編集点を探すのもちょっと楽しいかも笑あと、最近のSPFゲームってこんな感じじゃない?ってちょっと思った。それくらい、一人の人物にフォーカスを当てた撮り方。だからこその大袈裟な演出や展開があるけど、不自然じゃないから全然観ていられる。お話は第一次世界大戦。、、、第一次世界大戦のヨーロッパ戦線って本当によくわからんのよ笑この時どんな戦況だったのか、ここどこ?感が強いけど、とりあえずイギリス兵がドイツ軍の罠を遠くにいる自陣に伝令するべく、フランスの野を駆け抜ける、というお話。最初はプライベート・ライアンの第一次世界大戦バージョンかなーとか思ったけど、今回の任務についているのはライアン二等兵ばりの下っ端の兵卒。(一応上等兵だけど)しかも一人はただ単に地図を読むのに明るい、そして伝令する方の陣地に兄がいるため意気軒昂の若者。もう一人は、そんな彼の隣にいたから選ばれた友人の兵士。こんなトップダウンの命令ってある?笑急に呼び出されて、将軍から一命を授かるってあるのかな?この時代。そしていきなりこの将軍はコリン・ファースだったりする。ストーリー展開はおいといて、この配役だけで期待値が上がるのは仕方ないことかな笑最初、主人公はこの、兄がいるから真昼間でも敵陣突っ走る系男のブレイクかと思いきや、最後に伝令を届けるのは冷静沈着なスコフィールドの方。そう、ブレイクは道半ばで死んでしまう。前情報を何もない状態で観たから、ブレイクの死は結構衝撃的だった。しかも彼の優しい部分が裏目に出た結果なのが本当に辛い。敵兵でも見捨てるのがいいのかな、ああいう場面では、、でも人情味あるブレイクには無理だよ、、そこからスコフィールドがブレイクに変わって、まさに命をかけた伝令を届ける役目を負う。最初は気乗りしなくて、ドイツ兵の罠にハマった時も「なんで俺を選んだんだ!」って怒りをあらわにしてたスコフィールドが、ブレイクの死を無駄にするまいと、奮闘する様は鳥肌ものだった。自陣の姿が見えないまま夜明けを迎え、死人のような顔で木に寄りかかるスコフィールドの表情、、そこから、まだ自陣は出撃しておらず、伝令を届ければ最悪の事態を防げるかも、と走り出す彼の使命を帯びた顔は明らかに変わっていた。クネクネ入り組む塹壕を一心不乱に駆ける。突撃命令の出ている陣内はいきり立っている。みんな緊張しているし、みんな心のどこかでは怖がっているのも分かる。スコフィールドに最初に「突撃は中止です」みたいに言われてた下っぱの伍長?みたいな人も、「俺にそんなこと言うな!」ってなるよね、、意気を削ぐような真似はするな、下手に怖気づけば配下の兵士たちが怖がって迷うんだから、、突撃の緊張感が否応にも伝わってくる。全編通してだけど、この塹壕の演出もすごいよ。第一次世界大戦は塹壕戦なんだよね。穴を掘ってそこに隠れて、相手からの攻撃に耐えつつ突撃を待つ。ものすごく効率の悪い消耗線、、だけど、この時の彼らは勝利を信じてその戦い方をしてるんだもんな、、なんか無情を感じる。で、ラストのハイライトは戦場ならぬ、突撃前線の激戦地を横に駆け抜けるスコフィールドです。だけどこのシーンね、、ちょっとシュールなんよ、、笑全然わかるよ?話の重みとかすごく伝わるし、ああスコフィールドの決意とか、仲間であり友人でもあるブレイクの意思を継いだ感じとか、殺せるものなら殺してみろ!死んでも伝令を届けてやるっていう、一種の投げやりの境地みたいなのが現れてるんだろうけど、、ちょっとシュールすぎるよ、、感動するけどシュールだわ、、で、最後の最後で伝令を届けるマッケンジー中佐はお馴染みベネディクト・カンバーバッチですわ。いや、これもわかるよ、最初と最後に名優を据たいのわかるけど、絶対ベネディクト・カンバーバッチは突撃命令を中止する系の人間じゃない?笑彼が無慈悲にこの映画の根底を覆す決断をするはずない。良くも悪くも、カンバーバッチが出てきたときに、「あ、絶対突撃命令は中止になるわ」って思ってしまったよ。そしてスコフィールドの思いが伝わり、突撃命令は中止になる。ただ、少ない出番でもマッケンジー中佐の苦悩はちゃんと伝わってくる。今日の朝には突撃中止と命令され、来週にはまた突撃せよと命令が下る。気が休まらないどころの話ではない。常に緊張していなければならない。それならいっそ、玉砕覚悟で突撃した方が楽なのかもしれない、、そんな戦場の、前線を指揮する司令官の苦悩もちゃんと描かれている。(ちょっと嫌なやつだったけど)最後、スコフィールドはブレイクの兄を見つけ、一応のハッピーエンド。これでお兄ちゃんが死んでたらちゃぶ台ひっくり返すよ、まじ。そしてお兄ちゃんがブレイクと同じでいい人そうなのがツライ、、あと、エンドロール前に、この映画を誰々に捧ぐ、みたいに実話を匂わせるテロップが流れたけど、、そういう手法なのか、本当なのかはわからない。そこは匂わせて濁したままでもいいのかも。主演はウィリアム・スコフィールド(通称スコ)役はジョージ・マッケイ。まだまだこれからの若き俳優さん。初見さんだけど、素晴らしい俳優さんだと思う。愉快で快活で頼れるいい奴なトム・ブレイクはディーン=チャールズ・チャップマン。正直、彼も他の映画では見たことのない顔だけど、まだ若いからね。マーク・ラファロにちょっと似てるかも?(個人的な感想です)彼らに任務を授けるエリンモア将軍は説明不要のイギリスの名優コリン・ファース。そして伝令を受け取る先にいるマッケンジー中佐役はこちらも名優ベネディクト・カンバーバッチ。この二人が最初と最後を締める役割をしていることで、映画にこれ以上ないほどの重厚感を生んでいる。そしてこの二人は存在感がありすぎる笑いい配役。他にもブレイクを失って憔悴状態のスコを励ましつつ、車で送ってくれたスミス大尉にマーク・ストロング。裏切りのサーカス、イミテーション・ゲーム、キングスマンあたりかな。
2021.12.12
ジョー・ベイラー(ジェイク・ギレンホール)は、緊急通報センターのコールオペレーターとして勤務している。ある朝、かかってきた緊急通報に事件性を感じ取った彼は、通報者の身に危険が迫っていると直感する。通報者の女性が何者かによって拉致されたと推測したジョーは、通話の最中に聞こえてくる声と音だけを頼りに彼女を救い出そうとする。主人公が終始イライラしてるから見てるこっちもイライラする!?こちら、 Netflix制作の映画です。もはやこれだけで何も説明はいらないのかも笑元々はどこかでオリジナルが製作されており、内容そのままにハリウッドにお越しになった、いわばリメイク版でNetflix制作。この映画を見てると、あー多分オリジナルは相当面白かったんだろうなーと思う。だってハリウッドで、しかも錚々たる顔ぶれでリメイクされるくらいだし。 Netflix制作だけど。一度オリジナル版を見てみたいなーと思わずにはいられない。なぜならリメイク版(本作)はあまり面白くなかったから笑だから、この映画は面白かった!やっぱりジェイク・ジレンホール最高!見応えあった素晴らしい作品!って感じた方は、この先閲覧注意です、一応ね。ストーリーは電話の向こう側の人物を、あの手この手で救い出そうと画策するサスペンス的内容。主人公は緊急対応のオペレーターでそこから離れないので、ある意味密室で事態は進行し、キャストはごく少数の省エネ映画。そして電話の向こうの人物は無駄に豪華という少し風変わりな作品。物語を覆う山火事の映像、声と音を頼りに状況を把握して対応しなければならず、そして主人公のジョーにも人には言えない秘密と暗い葛藤があり、、という、わかりやすい内容っちゃ内容です。だけどさーやっぱりジョーには全然感情移入できないんよね笑ジョーの性格が難ありだわ。そりゃ、裁判抱えてたり家族とも疎遠になってたりと大変なのはわかるけど、それって全部彼が招いたことじゃない?要するに(おそらく無抵抗の)未成年を撃ち殺したのに、それを隠匿して、同僚には口封じして裁判を有利に進めようとしてるって、、人間としては極悪すぎて全然同情できない。神経を壊すのもわかる。イライラするのもわかる。でも同情はできない。こんな人物が緊急対応のオペレーターってやばくないか?職場の人にも虫の居所が悪い時は邪険にして、自分の都合で仲良くしたり利用したりしようとするのどうなん?情緒不安定すぎて怖いわ、こんなやつ。で、その自分の中にあるモヤモヤを、たった一つ、窮地にある女性を救うことでチャラにできるかも、、的な発想が嫌い。お前が贖罪のために一人の女性を救っても、それはお前の心がちょっと軽くなるだけで何も変わらないんだよ。最後の説得のシーンはまじイライラ。この映画って内容は世にも奇妙な物語的な30分で完結しそうなところを、だらだらと1時間半に伸ばしてるから見づらいんだろうなー一番の山場はオリバーが死んでるってことがわかったところくらい。(何となくあの母親が被害者ではなく加害者側なんだろなとは、見始めた頃から疑うよね絶対)個人的には、ラストでエミリーが豹変して「私は撃ち殺された少年の母親よ。やっと真実を言ったわね、この極悪人が!!」的な展開を待ってたのに笑あと、もう一つ冷めたところが、序盤のシーンだよ!ジョーが指示して白いバンを停車させて、その中を確認しようと高速警ら隊(仮)みたいな人たちが降りてくるシーンを、なぜかふわっと差し込むのなんなん?笑ジョーの頭の中での出来事みたいなニュアンスで。せっかく密室で物語を進行したいんだったら、ああいうシーン要らなくない?密室なら密室でいいんだよ。中途半端に遠くの出来事のシーンを差し込まれると、面白味が半減する。そんなシーンなくても想像できるんだから、視聴者を信頼してちゃんと密室だけで完結してほしい。主演はジェイク・ジレンホール。ナイトクローラー系の影のある顔つきが悪い役所。ナイトクローラーのルイスがそれでも魅力的に見えるのは、彼の中での歪んだ、だけど絶対的な淀みない『意志』がある所以。それに比べてジョーは正義も貫けず、かといえ悪人にもなりきれず身勝手でわがまま。ラストの記者に自身の告発をする場面も、当然っちゃ当然のなり行き。同情一切なし。それ以外に有名な俳優は声の出演。ビルにイーサン・ホーク。ガタカだよ、ガタカ。あとパージの父ちゃん役だね。マシュー・フォンテノットにポール・ダノ。こちらはリトルミスサンシャインのドウェイン兄ちゃん。あとはプリズナーズとかそれでも夜は明けるとかかな。最近は製作側にも回ってる多彩な人のイメージ。ヘンリー・フィッシャー役のピーター・サースガードはなんかあんまり見たことない人かなーと思ったら、普通にエスターに出演してた。エミリー役はライリー・キーオという女優さん。Wikiみたら祖父がエルヴィス・プレスリーって書いてあってびっくり。
2021.11.09
ラーシュ (アクセル・ヘニー) とリサ (ノオミ・ラパス) には、2人が結ばれた頃のような愛情は、そもそもほとんど残っていなかったのです。今や、お互い必死で結婚生活と野心を保っているのです。映画監督としてのラーシュのキャリアはテレビの昼ドラで行き詰まり、女優のリサは何年も役にありつけていません。相手にされないと感じているラーシュは、妻の浮気を疑って、借金までも抱えるありさまです。片やリサは夫のことを、わがままで身勝手な臆病者だと思っています。ラーシュとリサの人生はまったく思い通りには進んでおらず、結婚生活に至ってはもはや致命傷と呼ばざるを得ません。そんな夫婦のある週末、別荘の山小屋へ出かけることになり、お互いにとっての邪魔者を、しかも永遠に、排除できるチャンスを手に...。ところが、それすら思い通りにいかないのがラーシュとリサ。2人の旅に、驚きの展開と想像を絶するアクシデントが襲いかかります。凶悪犯と対峙することで夫婦の絆は深まるらしいよ(多分)こちらもNetflix作品。Netflixに配信されている作品、ではなく、Netflixが制作した作品。この二つは似た言葉だけど、全く似て非なる意味があります笑はっきり言ってNetflix制作は当たり外れのハズレが多い。まじで。あらすじや宣伝の動画はとても面白そうと思って騙されるけど、最終的には本当に騙されて終わるっていうパターンが多々ある。正直言って、今回の作品も期待はしてなかった。だってたとえ前評判を知らなかったとしてもあらすじ読んだだけで分かる人には、夫婦が殺し合いのデスゲームをするのだと察しがつくし、おそらく攻守が入れ替わって二転三転するシニカルスプラッターブラックコメディなんだろうなと理解して試聴すると思う。実際、冒頭から夫婦仲は険悪。車でのシーンとかヒリヒリするくらいの倦怠期。夫は映画監督などまた夢のテレビマン。妻はもはやお呼びでない3流女優。それぞれが崖っぷちにあるのに、なぜかお互いを責める構図は見てる側からすれば「お前が言うなよ」感たっぷり。生肉ひとつ触れない臆病者の夫に、カモフラージュのために浮気相手と同じ髪色にしたことを役作りと言ってのける妻。夫は妻を殴り殺して切断しようと計画し、妻は夫を猟銃で撃ち殺そうと計画。しかし夫は解体などできるタマではなく人を雇ったことで計画を露呈し、妻はスピード違反さえごまかせない大根演技では警察を欺けないと指摘される。どちらもグダグダでなんか愛嬌さえある笑似たもの夫婦なんよね、やっぱり。で、そうこうしてるうちに、この山小屋には夫婦以外の先約がいたことが判明する。それが、脱獄した凶悪殺人鬼三人組。夫が父親の病院にお見舞いに行って妻殺害のアリバイの布石を積んでいる時、ニュースでチラッと流れていたあいつらだ。ここから、この夫婦のミッションが互いを殺し合うということから、協力しあって?この囚人から逃げるということに変わる。そして何より、その見せ方が面白かった。何かアクシデントが起こるたび、主には登場人物が増えるたびに、数時間前、数日前と、なぜそこにこの人物がいるのかが説明されていくのが面白い。もう少し登場人物が増えるともっとおもしろかったのになーと思う。なんかもったいない。スプラッター感はわりと強め。みんな最後には血塗れでドロドロになりながら闘います笑夫婦が協力しそうで協力しないで、分かり合え無さそうで分かり合えそうな雰囲気が物語としていい塩梅になっている。お父ちゃんが来てくれたのは感動したよ笑殺されたのは悲しいけど、自分の立てた山小屋でハンモックに揺られながら亡くなったからまだ救いようがあったのかな、、血塗れだったけど。ラストのボートでの死闘も凄まじかった!でも夫はちゃんと妻を助けに行ったし、妻も湖に落ちて溺れそうになった夫をちゃんと助けた。助けるまでの妻の表情で大丈夫かな?と思ったけど、この時の彼女の夫に対する気持ちは、山小屋に到着した時とは全然違うものになってたんだろうな、、あれだけの激闘を共に潜り抜けると。で、ここから夫婦のある種の逆襲が始まる笑二人はこの事件をマスコミに大きく喧伝。ここでは妻のオーバーな演技を誰も気にしない。ただただ悲劇に見舞われた可哀想な夫婦に、そして殺人鬼を見事打ちまかして生還した勇敢なサバイバーとして注目の的になる。書籍にトークショー、果てには夫の念願だった映画化にまでたどり着くのだった。これは最高のラストだと思う笑映画のキャストと演出も含めて。「これが実際起こった出来事だ」ってしれって言ってのけるのがまた面白い。この映画はノルウェー産なので、あまり見知った俳優はいない。、、と思いきや、妻リサ役のノオミ・ラパスはアンロック、セブンシスターズの人かー夫ラーシュ役はアクセル・ヘニー。こちらはオデッセイは観たことあるけど、、いたかな?覚えてない。Netflix制作の映画としては楽しめる部類だった。BGMがなんか好き。
2021.10.31
天候を意のままにできる宇宙ステーションが開発された近未来、地球は未曾有の自然災害に襲われることがなくなる。ところが運用開始から2年後、宇宙ステーションがウイルス感染して暴走し各地で異常気象を引き起こしてしまう。巨大災害が同時多発的に起きる地球壊滅災害“ジオストーム”の発生を防ぐため、宇宙ステーションの開発者ジェイク(ジェラルド・バトラー)と彼の弟マックス(ジム・スタージェス)が立ち上がる。 吹き替え版は声優が癖ありすぎて内容が入ってこない! お馴染みNetflixで見つけた作品です。 内容的にはまあ色々な映画を混ぜ合わせて壮大な映像(CG)で梱包した感じ。2012とかディープインパクトとかアルマゲドンとか。ザ・コアとかもそんな感じかな? でも、この映画が少し違うところは、それらの未曾有の災害はすでに人類が編み出したダッチ・ボーイという装置で制御できている世界であり、今回はそれに異常が見られたため、再び人類に自然災害が襲い掛かるというもの。 で、ここからがお話の核になる。 例えば、この映画が面白かった!とか、声優が素晴らしかった!とか、上川隆也さんのファンでこの作品のネタバレと感想楽しみ!とか思っている人は、この先閲覧注意です笑 はっきり言って、私は吹き替えで見たばっかりに、この映画の第一印象も第二印象もその先も全て、 『上川隆也』一色です、本当にありがとうございます。 別にさ、上川さんが嫌いなわけじゃないんよ。いい俳優さんだと思う。多分。 でも、こと声優に関しては、上手じゃないよね。悪い声じゃないと思うけど、むしろすごく上川感が出てて内容が全然入ってこないんだよ笑どこを切っても上川さんしか出てこない。まだ弟役の山本耕史の方がマシだった。ブルゾンに関しても、あれ?これ多分素人だな?ってわかるけど、まだ聞ける範囲だったから余計目立った。 こういうタレントとか俳優を声優に起用した時の成功例って、「あれ?この人すごく上手なアテレコなのに、あまり聞き馴染みが無い声だなー新人さんかな?」と思ってWikiを見たら、あの俳優だったの!?とかあのタレントの声ってこんななの?意外に上手!?ってなるのが正解だと思う。 この映画はもう序盤から上川さんで始まり、上川さんで終わる、みたいな。 映画の内容に関しては割愛。この映画は2時間くらいあるけど、その1時間くらいは飛ばして見てたくらいの勢いで内容が入ってこなかった。ちゃんとしたネタバレ感想を見たい方はこの辺りでお引き返しください笑 で、その1時間だけ観た映画の感想的には、、うん、あんまり面白くないよね。 ちゃんと見た人は違うのかな?飛ばしすぎた?なんせ映像もありきたりで登場人物は魅力的じゃないし、上川さんだから内容が入ってこないんよ。 とりあえずダッチボーイを悪用して世界に混乱をもたらし、あわよくば大統領の座を狙っていた国務長官エド・ハリスが悪で、みんなでそれを阻止するってストーリーでいいよね?文字にしたらすごく短絡的な策略だけど。 あ、サラのカーチェイスシーンはよかったよ笑 マジ結婚してってなるわ。(途中まではサラは裏切り者かと思ったけど、そんなこたなかった) 最後もなんかアルマゲドン感ある割には、生きのこんのかーい!みたいなオチである意味驚いたけど笑これはまあ、考えられる中で一番の平和なエンドだよね。あれだけのことがあったのに生き残ってるんだから。そしてまたダッチボーイの責任者に返り咲いてるんだから。 てか、みんな逃げたと思ったのに後ろに人が立ってたら普通に怖くない?ウーテいつからそこにいたんだよ笑 あとはアスファルトで目玉焼きができたシーンが個人的には良かったかな笑 それ以外はあまり記憶にございません。さぞ壮大な映画だったのでしょうね。 主演はジェラルド・バトラー。「スパルタァァァ!!!」の人だよ。それ以外の印象があまりないし、300も実は見たことない。声優は上川さんでした。その弟であるマックスはジム・スタージェス。鑑定士と顔のない依頼人は観たことあるけど、、全然印象に残ってない。ブーリン家とかもねー多分ほとんど髭で覆われてたんじゃないかな?顔の印象が本当にない。申し訳ない。声優は山本耕史。作中唯一(個人的に)魅力的だったサラはアビー・コーニッシュ。素敵な女優さんだけど出演作はまだ少なめ。キリッとした感じが良き。終盤、突如後ろの正面誰状態で立ってた姿がホラー感満載だった司令官ウーテはアレクサンドラ・マリア・ララ。この方はすぐにヒトラー最後の12日間の秘書ユンゲだと分かった。流石に少しお年を召された感があるけど(それでもまだ42歳)あと、大統領役にアンディ・ガルシア、悪の国務長官デッコムにエド・ハリスと無駄に豪華。でもさ、、エド・ハリスが演じるにしちゃ悪役が小物なんよね、、あと大統領も影薄いんよね、、なんか色々残念。
2021.10.30
ミーガン・リードはアルコール依存症の治療を受ける傍ら、病院の霊安室の警備員として働いていた。未だに酒を飲みたいという欲求をコントロールできないリードだったが、霊安室にいるときだけは酒のことを忘れることができた。そんなある日、ハンナ・グレイスという名前の少女の遺体が霊安室に運び込まれてきた。彼女は悪魔祓いの儀式の最中に亡くなったのだが、遺体は顔の判別ができないほどに損傷が激しかった。ほどなくして、霊安室の周辺で怪現象が起こるようになった。やがてリードは「グレイスに悪魔が取り憑いていたという話は本当なのではないか」と思うようになったが、彼女には悪魔に対抗する術がなかった。わざわざ元のポジションに戻るエクソシストがなんか可愛くて健気!笑正直、本場のエクソシストは見たことない。あまりにも有名すぎて。階段からブリッジで降りてくるシーンをギリ知ってるくらいかな笑で、こちらの作品はそのエクソシストの流れを汲む(かどうかは分からないけど)、冒頭から神父VS悪魔の構造がこれでもかと描かれている。ベットに繋がれた少女、隊列を組んだ神父たち、唱えられる聖書、心配そうに遠目から見守る父親。あーこれエクソシストだ、紛れもなくエクソシストだ。と、思わず感嘆するくらいオーソドックスエクソシズム。だが神父たちは意外と弱く、むしろ悪魔が強く?最後にとどめを刺したのは父親。実の娘をエクソシストごと葬ったのだった。そこから場面は変わって主人公のリードが求職してるシーンに映る。この辺りはなんだかラスト・シフトみが強い。余談、ラスト・シフトのネタバレ感想も書こうと思ったけど、あれはなんだかよくわからないからもう一度観てからにする。複雑とかではなく、単純によくわからない笑新しい職は夜間のワンオペ。そして彼女の職場は警察署の旧庁舎ではなく、もっと暗く冷たい霊安室。しかも運ばれてくるご遺体の撮影、指紋とりから管理までを任されている。リードが元警察官だからこそできる仕事なんだろうな、、初見じゃ絶対むりよ。この建物自体が、センサーライトで廊下や部屋などを照らしているので、ここも恐怖演出の一つになっている。つまり、ライトがついたら誰か、もしくは「何か」がいるということ。こういうのは単純だけど意外に怖い(実生活で体験あり)そして、ついに件の少女の遺体が運び込まれてくる。焼死体だった。惨たらしく痛ましい遺体だった。不審に思ったリードは、この遺体の主が数ヶ月前にすでに死んでいるはずのハンナ・グレイスだと突き止める。ハンナの遺体が霊安室に入った時、一人、また一人と一人づつ悪魔の邪悪な力によって死に絶えていくのだ。、、、が?うーん、別に一人一人じゃなくてよくない?笑あんなに強い悪魔パワー(仮)があるんだから、別に全員まとめてブッコロでもよくないのかな?ホラーに反してるからダメなのかな?笑しかも、縦横無尽に歩き(ないし飛び)回れるハンナは、なぜか一人殺すごとにわざわざ元いた霊安室のベッドの上に戻ってくる。不思議に思ったリードが確認すると、そこにはちゃんと来たとき通りのハンナが横たわっているという代物。なんだかリードにだけは知られたくない隠し事をしている子供みたいでなんか健気なんよ笑なんでリードの前でだけそんな可愛こぶるんだ笑ストーリー的には一人ずつ順調に殺されて(冒頭の父親もね)、最後にかつての恋人と生き残るハッピーエンド?かな。ラストシーンはハンナに取り憑いていた悪魔がリードに乗り移ったように見せかけて、、の、実はリードはちゃんと自分を取り戻してました、的なエンドかな?ハンナは虫を隷属としているような悪魔だったから、最後のシーンで本当にリードに乗り移っているのなら、虫は殺さないはずだし殺せないはず。色々トラウマを抱えつつ自分を探していたリードは、今回の事件をきっかけに自分の弱さと向き合って克服したって言うふうに感じたけど、、どうなんだろ。考察はよく分からないけど、ここではそういうことにしておこう笑主演のミーガン・リード役はシェイ・ミッチェル。何か見たことある映画に出演しているのかなーと思ってwikiを確認したけど、意外と映画への出演作は少ない。あれ?と思ってドラマ欄に目を映すと、「プリティー・リトル・ライアーズ」の160エピソード出演とあってびっくりした笑このドラマ自体観たことないけど立派なレギュラーやったんやね。精神的に不安定なリードの良き理解者であるリサはスタナ・カティック。この方はひと目見てすぐ、キャッスルのベケットだと分かった。日の打ちどころのない綺麗な女優さん。警備員アンドリュー役はグレイ・デイモン。アンドリューはいい奴(月並み)ハンナ役が気になって調べてみたけど、映画は本作くらいしか見当たらなかった。
2021.10.25
世界各国から6人の宇宙飛行士が国際宇宙ステーションに集結し、火星で採取された地球外生命体の細胞を極秘調査することに。まさに神秘としかいいようのない地球外生命体の生態に驚がくする彼らだったが、細胞は次第に進化と成長を遂げ高い知能を誇るようになる。やがて地球外生命体に翻弄(ほんろう)され、宇宙飛行士たちの関係が揺らぎ始め、ついには命を落とす者も出る。助けを呼べない宇宙で追い詰められた彼らは……。すべてはラストのどんでん返しまでの長いフリだよね笑結構前に一度見た映画。で、そのときの視聴記憶を辿りつつ再び観てみると、上記の感想が正直すべてのような気がしないでもない、、笑いきなり発見した地球外生命体。人類初となる偉業を成し遂げた多国籍クルー達はこの生命体に、地球の子供たちが無邪気に命名したカルビンという名を付ける。最初は衰弱し、瀕死状態だったカルビン。だが、驚異の生命力で徐々に活発になりはじめる。誰もが期待反面、不安反面でその成長を見守り続ける中、ついに覚醒したカルビンはクルー達に凶悪な牙を剥くのだった。、、的なストーリーです。全体的に大人な雰囲気のしっとりした重みがあるんよ。アメリカ、ロシア、日本(くらいかな?)からそれぞれ選りすぐりの精鋭達が宇宙ステーションにいて、それぞれがただただ自分たちの任務を全うしようと全力。身勝手な言い争いもなく、反目し合うこともなく、エキスパートが終始エキスパート然としてる。ちょっと危機管理あまめだけど笑カルビンの研究に熱心なあまり最悪の事態を招いたヒュー、カルビンを始末するために自ら危険をかって出たローリー、クルー達をそして地球を守るためカルビンと心中する道を選んだ船長、カルビンを道連れに自ら手を離したシュウ。主人公デビッドもまた、カルビンと共に宇宙の藻屑となる選択をする。もともとデビッドは地球に嫌気がさしており、何かと生き急いでいる。死地を自ら選んだのだった。そして彼らの思いを託されたミランダはこの悲劇と勇敢なクルー達の存在を地球の人たちに伝えるため、救助艇に乗り込む。ここまでは本当にいい物語なんよね笑少し単調だけど。で、ラストのどんでん返し、デビッドとミランダの軌道が逆になるっていうね。しかも最後の最後までまるでミランダの救助艇が地球に不時着したかにみせかける憎い演出。唐突に流れる盛大かつおどろおどろしいBGM。実は地球にたどり着いたのはカルビンを伴ったデビッドで、壮絶な悲鳴をあげながらミランダは宇宙の彼方へと消えていく。単なるSF映画でなく、バッドエンドなのがいい。ミストもそうだけど、胸糞悪いバッドエンドの方がなぜか記憶に残ってしまう。製作陣の掌で転がされてるなーとは思うけど笑やっぱりスッキリよりモヤモヤ感の方がよく人間に記憶されるのかな。むしろあのまま、ミランダが無事帰還するラストだったら、あまりにも普通すぎて見所ないかも笑寒さに弱いカルビンが熱の灯火を抱きしめるように暖をとってたのが個人的なツボ。最初はアメーバだったけど、徐々に凶悪なエイリアンになっていく過程が面白い。カルビンは本当に賢いし。最後だってデビッドを簡単に殺せたのに、地球人たちに扉を開けさせるため、デビッドをわざと生かして彼らに助けさせようとしたんだし。(違うかな?)主役はジェイク・ジレンホール演じるデビッド。ナイトクローラーとかギルティでもそうだけど、なんか癖のある俳優のイメージ。医者なのに自分を大事に出来ないのはなんか皮肉的。検疫官のミランダはレベッカ・ファーガソン。好きな女優さんの一人。普通に美人。ミッション・イン・ポッシブルが有名かな?個人的にはマダムフローレンスの愛人役。最初の犠牲者ローリー役はライアン・レイノルズ。意外と彼の作品は見た事ないかも。どちらかと言えば、スカヨハの元夫でブレイクライヴリーの現夫のイメージが強い。ハリウッド作品に出演してても最早なんの違和感もない国際的な俳優である真田広之もシステムエンジニアのシュウ役で出演。ほいほいと救助艇の扉に向かって行ったがために無用な惨劇を生んじゃったけど、まあご愛嬌ってことで笑研究熱心なあまりカルビンに命を与えてしまった学者役はアリヨン・バカレという俳優さん。そして宇宙ステーションの司令官である通称キャット役はオリガ・ディホヴィチナヤ。なんとなく名前からしてロシア人かな?役もロシアっぽいし、多分。自分が助かる道よりもクルーや地球を救う道を選んだ正に司令官の鏡。だが、彼女を踏み台にしてカルビンがべちゃっと扉に張り付く。まじカルビン容赦なさすぎ。
2021.10.20
旅行中の若者たちがテキサスの片田舎でふと立ち寄った一軒屋で出会った殺人鬼一家。実際に起きた事件を基に、これが商業デビューとなったフーパーが、アングラ的な中にエキサイティングな演出を見せて観る者を圧倒させる。レザーフェイスと呼ばれる、人の顔の皮を被り電動ノコギリをふりかざす大男の存在感と、狂気に溢れたショッキングな幕切れに、以降のホラーに多大な影響を与えた。ラストのチェーンソー男の駄々っ子みたいなダンスがなんかツボ!笑こちらもNetflixにあった映画です。もちろん今回が初見。40周年記念版とでかでかと宣伝されてたら、内容はわからないけど見るしかない笑40周年をきっちり祝われる映画ってだけで期待値が上がる。「この映画は真実の物語である」という、今ではある意味あまり見ない直球の恐怖演出が冒頭に入る。うん、なんかいいよ笑まったくの初見で知識皆無だけど、年代的には13日の金曜日とかフレディとかの前なのかな?いわゆるスプラッターホラーの元祖っぽい感じ。今見たら、ああこういう映画あるよなーとなってしまうけど、当時としては斬新だったんだろうな、というシーンがたくさん見られる。どうしても、今はもっとグロテスクなスプラッターはB級でもC級でもあるような気がしないでもないよなーと思うのは仕方ないことで、それ自体は昔の映画、特にその分野の金字塔と呼ばれる映画に見られる一種の弊害だと思う。どうしても新鮮味にかけるんだよね、、これは映画の面白さ以前の問題かな。悪魔のいけにえに関しても、もうこの手のスプラッターホラーは手垢がつきすぎているから、「斬新」という面白さはない。①パリピ系の若者たちがどこかに迷い込む②殺人鬼が現れ一人一人残忍に殺される③最後は一人乃至二人の男女が残る(今作はいわゆるファイナルガールシステムを採用)④全編等して狂気、血飛沫、残酷のオンパレード⑤オプションとしてカニバリズムもありうーん、B級でもC級でもD級でもありそうな内容みたい笑で、そんな中でも今作の特色として欠かせないのはレザーフェイスの存在。この世に解き放たれた初めてのチェーンソー男。彼が最後、ファイナルガールを取り逃してしまい、悔しそうにチェーンソーでエンヤコラって踊るのが面白かった。3人目のジェリー(運転手かな?)を家で襲った後、いそいそと窓際に行って外を警戒するのがなんか、、すごく人間味あっていい笑このレザーフェイスから、各所にスプラッター系の殺人鬼が派生していったのだと思うと、なんとも感慨深いキャラ。あと、忘れてならないのがグランパの存在です笑アンタ生きとんのかい!?で、血を吸うんかい!?笑みたいな。ラストでサリーを助けてくれたトラックの運ちゃんは助かったのかなーああいう助けに来てくれた人が逆にやられるっていうのもスプラッターのセオリーっぽいから心配。サリーも血塗れで狂ったように高笑いしてたし、、やっぱファイナルガールも楽じゃないよね笑そんな本作の主人公サリーを演じたのはマリリン・バーンズ。歴史に残る傑作に参加したのでその後の俳優人生は順風満帆なのかなと思いきや、意外にも悪魔のいけにえシリーズ以外はあまり出演してない模様。サリーの恋人兼運転手のジェリーは日本語版のwikiがないアレン・ダンジガー。大声を出して人探したをしたらダメだっていうホラー映画の教訓を生み出した。サリーの兄、フランクリンはポール・A・パーテイン。素直にサリーに懐中電灯を渡していれば、彼も生き残ってたのかも?他の出演者も、この悪魔のいけにえシリーズには出演するけど、、っていう人が多い。それだけ強烈なインパクトを残した映画だったんだろうな。
2021.10.19
元アメリカ海兵隊のエディ・ディーコンは、退役後仕事に就くことが出来ずにいたが、ようやくショッピングモールの夜間警備員の仕事を手に入れた。ところがエディの初勤務の夜、彼のショッピングモールに一人の少女が助けを求めにやってくる。この少女はギャングの犯罪を暴くための重要な証人であり、そのギャングから命を狙われているのだった。ギャングに雇われた武装集団から少女の命を守るため、エディは仲間の警備員と共にショッピングモールに立てこもる。 設定は面白そうなのに、アントニオバンデラスがなんか頼りなさげ?! Netflixでみつけたこの映画。 アントニオバンデラスといえばデスペラードとかマスクオブゾロのイメージが強い。だから最初はヒゲモジャ過ぎて誰だかわからなかった。 なんなら終わるまでずっと違和感だった笑 で、お話の舞台は郊外のショッピングモール。日中は賑わいをみせるこの場所も、夜の帳が下りれば人気のない空間。ギャング絡みの事件の重要参考人を乗せた車両が襲われたところから長い夜がはじまり、このショッピングモールの警備の仕事の初日を迎えていたアントニオバンデラスの元に証人が逃げ込んだことから、生き残りを賭けた熾烈な戦いが幕を開ける。 、、的な内容です。 最初こそ全然わからなかったけど、警備仲間たちを一人一人紹介しているうちに、なんとなしに記憶が蘇ってくる。 あーなんか見たことある映画かも? と、なって少女が逃げ込んだあたりから確信的に、こりゃ見たことあるわとなった笑 でもまったくラストが思い出せないから視聴続行。本当に全然思い出せないんよね、不思議。 要するに襲いかかるギャングをショッピングモール内で撃退する映画。 この、ショッピングモールっていう立地はすごくいいと思う。普段行きなれてるただただ平和な場所が、突然壮絶な戦場に変わるのがなんかいい。 やる気なさげな警備員たちが、俄然戦闘態勢に入るのも、まあちょっと違和感あるけどいい流れだよ。一人、腰抜けがいるけど、これはもう仕方がない。セオリーだし。爆弾を作って反撃するってなって、じゃあお前の持ち場はフードコートだ、君はモンクレール側だ的におおよそ他の映画では聞かれない単語が飛び交うのが、地の利を最大限活かして戦おうとするホームアローンみがあってワクワクしてた笑(この時は) で、相対するギャングたちもわりとキャラがたってた。彼らは別に結束しているわけじゃなくて、いわゆる金で雇われた傭兵部隊的なもの。(だったはず)シャッターを開けようと目配せをするけど、電気が通ってたから感電して倒れたシーンは唯一この映画で楽しかったシーンかも笑ワイヤーアクションよろしく、壁を文字通り飛び登るのも笑えたわ、ある意味。 ただ、問題はアントニオだよ、アントニオ笑 なんかこの映画のバンデラスが全然魅力的に見えないんだよね、、 元軍人でPTSDで?子供とも引き離されたっていうバックグラウンドは、正直いえばありがち。 それ以上に、仲間を全然守れてないところが腑に落ちない。 こういう映画の主人公って仲間を守れてなんぼじゃない?そりゃ、全員はムリかもしれないけど、1/4しか守れないのは確率的に低すぎる。しかもヴァンスは明らかにやられた風にみせかけての、ラストで助かってましたーみたいなのが、、他の3人の扱いが雑すぎ。あと、仲間を失ったあとのバンデラスがあまり気にしてなさそうなのも違和感。初出勤の職場で、ほぼ初対面の人間だから?それにしたって自分には戦闘経験があるんだから、指示するだけじゃなくて犠牲を少なくするよう努力しようよ。 それから肝心の逃げ込んできた子供もね、、この年頃特有の小生意気感とかは別にいいし、ギャングに命を狙われて気が立ってるのもわかるけど、総じてこの子のために、3人は犠牲になったんだと思うと、、うーん、もやもや。 最後の一撃も、この子供頼りだったし。 「扱い方わかるな?」じゃないよ、子供にさせるなよ笑 でも一番もやもやするのは子供を護衛してたはずのFBIたち。 簡単にやられすぎじゃない? 「あれ?後ろから車こないはずなのに、なんか車両がみえるよ?」じゃないんだよ!笑 こんなんじゃ先が思いやられるよ。彼女に証言させて裁判を有利に進めたって、その後この子の安全をこいつら(FBI)が守れるとは到底思えない。この子は一生ギャングに怯えなきゃいけないし、たとえ証人保護プログラムがあったとしても、すぐに叔父さんに会わせるんじゃね、、叔父さんがギャングとつながってたらどうすんの? とりあえず、バンデラスはいますぐヒゲを剃って腰に剣をさして外套を翻しながら馬にまたがってほしい。 それだけでいいよ。 主演はご存知アントニオ・バンデラス。いい俳優なんよ、本当は。マスクオブゾロがち好きだったし。頼りない元軍人役なんか似合わないよ、、ギャング側の頭領チャーリー役はアカデミー俳優ベン・キングズレー。シャッターアイランドの人やね。バンデラス以外では警備員チーム唯一の生き残りヴァンス役はリアム・マッキンタイア。
2021.10.18
地上135階、シスコにそびえ立つ超高層ビル“グラス・タワー”落成式の日。規格外の製品を使ったために起きた出火はやがて巨大な炎となり、最上階に何百人も閉じ込めたままビルを飲み込む。20世紀フォックスとワーナー・ブラザースが別個に企画していたビル火災の映画を合作、文字通りのオールスター・キャストで映像化した掛値なしのパニック超大作。地上138階で逃げ場なし!壮絶な脱出劇の結末とは!?懐かしの映画。これも子供の頃、なんか途中から観たような、、あの、向こうのビルにゴンドラで渡るシーンとかすごく見覚えあるんよね。子供心になんであんなので脱出しようと思ったのかまったくもって謎だったけど。なんかもっといい方法ないんかい笑で、この映画を見るときになんとなく思い出されるのは、知り合いの小噺。その人は現在建築設計の仕事に携わっているんだけど、学生の頃恩師に「建築に携わる者ならば、絶対に一度は見ておきなさい」と言われたのが、このタワーリングインフェルノだったらしい。もちろん、彼はこの映画を見に行った。たった一つの部品の規格を変更しただけでも、これだけ大規模の建築物だったらその数も膨大。その膨大な数の規格外が生まれれば、建物全体の安全基準に干渉してくるのは当然。設備というのは、なかなか普段人目には触れられない場所。だからこそ、建築や設計する際には心を砕かなければならない場所でもある。建築を知らない人間が行った安易なコストカット。小さな部分、目に見えない部分を怠ると積もり積もってこれだけの大惨事になる。ホント、無知って怖い。映画自体も普通に全然飽きない、いわゆるスペクタクル巨編。だけど、別に華麗なる脱出劇が繰り広げられるわけではない。炎は人々の予想に反して猛烈な勢いでビルを飲み込み、それに対してなす術なく翻弄する姿が印象的に描かれている。(時々差し込まれるビルの全景が徐々に炎に包まれていくのが恐ろしい)教訓的に、火災の際はエレベーターは使ってはいけないとか、非常階段にセメントおくなよ!とか。その中でも、パニックになるな!っていうのが一番大事かもしれない。あと、不倫してた男が燃え盛る炎を突っ切ろうとしたけど、、のシーンも、普通だったら、勇敢な男が助けを無事に呼びに行けてっていう展開もありえると思う。だけど、あくまでこの映画はエンタメ要素ありつつ、その反面は無情なくらいリアル。彼は結局火達磨となってしまい、不倫女も窓を割った衝撃(バックドラフト的な?)で吹っ飛んでしまう。結構衝撃だったわ、この二人のシーン。無慈悲だけど現実味がある。逃げられる一瞬を過ぎてしまうと、もはや炎はどうすることもできない、みたいな。そしてもう一人、無情な最期だったのが未亡人のリゾレット。せっかく三流詐欺師のおじいちゃんといい感じだったのに!笑彼女が死んだのが本当に可哀想。彼女自身もだけど、お爺ちゃんも可哀想!!でも、最期はちゃんと子供を預けてエレベーターから落ちて行ったんよね、、最後まで子供を守り抜いた。そんないい人だからこそ死んだのがかわいそ過ぎる、、その直前のお爺ちゃんとの会話はもしかしてフラグだったの?笑あまりにもあっさり落ちていったから唖然とした。あ、諸悪の根元の娘婿の話は割愛します笑何度も言うけど、そもそもあのゴンドラってかなり危険じゃない?せめて回らないように固定してて欲しい。風の影響でくるくる回転するのまじ怖い。ラストの貯水槽爆発も現実的なのかとか、あの勢いの火災を鎮火させるのに足るのかとか色々疑問は残るけど。そこはま、エンタメ的ってことで笑最後の「今度はもっとちゃんとしたビルを作ってくれ」って言うのも、ちょっと皮肉めいてて、でも小粋な感じがして良き。助けに行く消防隊員も命がけだからね。時代を代表するスター共演っていうことで、今作はダブル主演。一人は消防隊のチーフであるマイケル・オハラハン役のスティーブ・マックイーン。もはや説明不要のスター俳優。もう一人の主人公、設計士のダグはポール・ニューマン。名前だけは知っている往年のスター俳優の一人。アカデミー賞を3度も受賞している。タワービルのオーナーにウィリアム・ホールデン。うーん有名な俳優さんなんだろうな、、存じておりませんが笑最初こそ煮え切らない態度だったけど、「娘婿と私は必ず最後に脱出します」って言い切るシーンは素敵だった。オーナーとして、義父としての責務を果たす姿がカッコよき。美しきダグの婚約者はフェイ・ダナウェイ。まじ美しすぎるわ。割と最近の映画にもご出演されているみたい。彼女はやっぱり『俺たちに明日はない』のボニーだよね!心優しい詐欺師のハリーはフレッド・アステア。絶対この人は詐欺むいてないよ笑表情とか仕草からいい人感が滲み出てる。俳優さんの方はwiki情報だと元々ダンスをされてた方だとか。そんなお爺ちゃんといい感じだったのが、リゾレット未亡人。演じるのはジェニファー・ジョーンズ。アカデミー賞受賞歴もある方。でもあんな死に方しなくても、、徹頭徹尾クズ男だったのはリチャード・チェンバレン演じるロジャー。小物感半端ない。非常階段で一人だけ逃げようとしたけど断念しておずおず帰ってくるとか惨め。嫁の労りも無視する強情さが情けない。デス妻に出演してたの!?全然知らなかった、、オーナーの娘でありロジャーの嫁でもあるパティ役はスーザン・ブレイクリー。ビルメンテの一人にO.J.シンプソンが出演してたり、、いろいろと時代を感じる。
2021.10.16
子どもを流産で亡くしたケイト(ヴェラ・ファーミガ)とジョン(ピーター・サースガード)は悪夢とトラウマに苦しみ、夫婦関係も限界を迎えていた。以前の幸せな日々を取り戻そうとした彼らは養子を取ることに決め、地元の孤児院を訪問。そこで出会ったエスター(イザベル・ファーマン)という少女を養女として迎え入れる。見た目は少女、頭脳は邪悪、その名はエスター!こちらは初見ではなく、何度か観ている作品。初めて見たとき、エスターの真実が明かされた衝撃度は凄まじかった笑改めてエスターの秘密を知りながら映画を鑑賞しても面白い。何度見ても楽しめる映画は本当に魅力的。ストーリー的な解説は割愛。まずは見るべし見るべし。誰かにネタバレされる前に見るべし笑で、今回ちょっと思ったのは、エスターって割と可哀想な人間なんだよね、、身体的な成長が著しく欠如しているのに、内面的な思考や欲はどんどん膨れ上がり、その二つが歪なくらいに反比例しているのが、、彼女をモンスターとしてしまった要因なんよね。そりゃ狂うよ。思春期がずっとあるみたいなことでしょ?大人として扱って欲しいのに子供扱いばかり、でも時々は大人の真似事をさせられる、みたいな。カウンセラーと話をした後、トイレでエスターが発狂するところは、この映画を何度も見てたらいつの間にか悲しいシーンになってたよ、、内面は成熟した大人の女性なのに、子供を演じないといけないのは辛い、、『子供』っていう見た目を利用してる場面もあることはある。普通に考えて、大人と子供が争ってたら、責められるのは大人の方。子供を責めるのはお門違い。エスターは子供が絶対的に守られる存在っていうことをイヤほど認識しているし、いやほど利用している。でもまあ、やっぱ普通に恋愛したいだろうし、結婚したいんだろうし、子供も欲しいだろうし。その欲は捨てきれないんだろうね、、それを思ったら、素敵な旦那がいて可愛い子供たちがいるケイトに対するエスターの猛烈な嫉妬は少し理解できる。肉体的にも歴とした女性で、異性にちゃんと魅力的に思われている。自分が欲しかったものを全て手に入れてる女。なのに死産というこれ以上ない悲劇に見舞われたとはいえ、アルコールに走り、マックスを危険な目に合わせ。まあエスターもマックスを危険な目に合わせちゃいるけど笑エスターの中で見た目と心の折り合いがつかなかったのかなーとか不毛な想像をしてしまう。「私エスター。見た目は子供だけど、中身は35歳くらいなの!そんでちょっと邪悪なの!よろしくね!」って最初に家族に紹介してたらどうなってただろう笑絶対ホラーにはならないけど、素直に口に出せたらエスターも楽だったろうな。でもあれだけ心が歪んでたら、もう手遅れなのかな。もはや養子先の家庭をぶっ壊す(色んな意味で)ことが目的となってた節もあるからねー誰か気骨のある男、エスターを受け入れてあげようよ笑ちなみに原題はOrphan。『孤児』という意味らしい。これは日本語版の『エスター』の方がいいかな。なんとなく。主役のケイトを演じるのは、ヴェラ・ファーミガ。ミッション: 8ミニッツとかかなー見たことある映画だと。『ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ』の主演のタイッサ・ファーミガのお姉さんなんだね。気づかなかった。タイトルロール(日本のみ)のエスター役はイザベル・ファーマン。怖かった不気味だった。父親を誘惑するための厚化粧が怖すぎた。で、そのあと泣きながら差し歯を外したり、チョーカー外したり、化粧を落としたりするシーンがマジ鳥肌。いい映画だよね(改めて)まんまとエスターの演技に騙され続けた父親役はピーター・サースガード。なんか、、こう、観たことあるはずなのに記憶に残らない俳優さんの一人。申し訳ない。一家の長男ダニエル役にジミー・ベネット。エスターに返り討ちにされて意気消沈するお兄ちゃん笑ま、あり得ないくらい年上の妹なんだから、エスターがそりゃ圧勝するわ。最近は俳優業はしてないのかな?出演作品は少なめ。そして天使のような妹マックス役はアリアーナ・エンジニア。お兄ちゃんをちゃんと助けたりと勇敢。アリアーナ自身、生まれながらに難聴を患っており今作に抜擢されたらしい。本当に可愛い。エスターに頭滅多打ちにされる可哀想なシスター・アビゲイルはCCH・パウンダー。絶対どこかで見たことある!って思ってwikiを調べたら、ERのヒックス先生!外科のドクターだよね、ベントンとよく絡んでた印象が、、
2021.10.12
クリスマス・イヴ、わずかな乗客しかいないジャンボ機で、四人の保安官は二人の囚人を護送していた。ところが囚人が保安官の銃を奪い取り、保安官全員、それに機長と副機長が死亡するという事態に陥った。生き延びた囚人ライアンはスチュワーデスのテリーに自分の無実を主張するが、次第に殺人鬼の正体を現す。乗客数人は客室に閉じ込められ、他のスチュワーデスもライアンに殺されていた。そんな過酷な状況の中で、テリーは無線を頼りにジャンボ機を操縦することになる。クリスマス・イヴに殺人鬼に立ち向かうテリーはまさに女版ダイハード(仮)自動録画機能って、時々おおよそ自分では選ばない映画が録画されてることがある。この映画も深夜帯に放送されていたみたいで、絶対に起きてる時間には見ないよな、、と。もちろん、迷わず再生。こういう子供の頃に観たけど、ほとんど内容覚えていないB級映画を見るのって結構楽しい。自分の記憶がどれだけ正解か、どれほど曖昧なのか。子供の頃は恐怖を感じたシーンも今となってはそんなに、、になる時もある。逆にトラウマすぎていまだに手に汗握る時もあるし。当時はB級とか全然思ってなかったのがまた悲しいけど笑で、ここからが本編の感想。主役のテリーは婚約解消された傷心の中、これまたクリスマス・イヴという日に、よりによってアテンダントする飛行機が囚人の護送に使用されるという不運に見舞われる。その上、囚人の一人が暴れ出して保安官とパイロットを大勢失う。そして人がいいと思っていたもう一人の囚人が豹変した時、テリーのクリスマス・イヴはマクレーン並みにダイ・ハードな夜になるのだった。序盤は本当に脳味噌から記憶が飛びまくって、人がいい囚人ライアンが本当にいい人かと思って観てたよ笑思えばテリーに自分を『いい人間・無害な人間』と思わせる狡猾な人心掌握術だったんだろうな、すべて。彼は複数の女性を乱暴し殺害した凶悪な殺人犯。おそらく、このいい人間という皮をかぶって女性に警戒されないように近づく術にたけてたんだと思う。少しずつ片鱗を表してくるにつれて、彼が本当に『残虐な殺人鬼』だったのだと痛感する。自分を逮捕した刑事に「冤罪だ!」的なこと言ってたけど、絶対に嘘でしょ笑鼻歌を歌いながら遺体を運ぶのとか、、まじ恐ろしい。で、かたやそんな殺人鬼と対峙するのは傷心のテリー。割とタフだけど、、なんか詰めが甘いんだよね、、管制塔からライアンが危険だと警告されてるのに、友達が大事だって言ってひょこひょこコクピットを出るし。極限状態にあるとはいえ、不安定みが強い。この時代の映画特有の、イライラする女なのかこれが笑で、色々あって殺人鬼との死闘の末、しっかり飛行機を着陸させてのハッピーエンド。手助けをしてくれたパイロットと地上で再会するシーンはよかったよ。焦らさないためにゆっくり説明するパイロットに「もっと早口で言って!」って怒り出すテリーがなんか素直すぎて面白かった笑そもそも囚人を護送するならプライベートジェットにすべきだし、民間機を使うにしたって警備の人数を増やすべき。囚人2人に保安官4人って、、まじ最小遂行人数じゃない?原題は『Turbulence』意味は乱気流。だから日本語版は『乱気流/乱気流』っていう絶対的乱気流押し。主演はローレン・ホリー。ごく普通のキャビンアテンダントながら保安官顔負けの死闘を、そしてパイロット顔負けの着陸劇を繰り広げた彼女。でもこの映画でゴールデンラズベリー賞という少し不名誉な称号も獲得している笑ま、終始演技というより顔芸っぽいから仕方ないかな?ローレン・ホリーはネイビー捜査班のシェパード局長のイメージが強い。事態に翻弄される素人より有能な捜査官の方が当たり役かも。美人なのになんか惜しい人。やさおの皮を被った殺人鬼ライアン役はレイ・リオッタ。もうね、この人の顔芸でこの映画は成り立ってたと思う!とにかく表情豊かで口数も多い!寡黙な殺人鬼よりも、こういう底知れない邪悪さを隠しながらヘラヘラ笑ってる人間の方が怖いよ。意外にも出演作はあまり見たことがない。絶対どこかで見たことある顔だと思ってたのに。沈着冷静で優秀なボウエン機長はベン・クロス。炎のランナーは未視聴です。この作品で一番カッコよかったわ。管制塔からテリーを見守るレイチェル役はレイチェル・ティコティン。この人はわかるわ、wiki確認しなくてもわかる。アーノルド・シュワルツネッガー版のトータルリコールのメリーナ!
2021.10.11
シリーズ第5弾で石坂・金田一の最終作。写真館で出会った娘の元を訪れた金田一は、その“病院坂の首縊りの家”で繰り広げられている惨劇に出会う……。一人の女性の悲劇から始まった連続殺人事件の行方とは?久しぶりの邦画。もともと世代的に金田一といえば、耕助ではなく一(はじめ)のイメージ。「じっちゃんの名にかけて」の、じっちゃんなんだよね、金田一耕助は。かの有名な犬神家の一族は何度か観たし、確か近年でもリメイクされていたような気がするけど、病院坂とか獄門島とかは、ちょっとまたマニアックな印象。公開年は1979年。もちろん、生まれてないよ笑でも、いい映画は何年経っても、誰が見てもいい映画なんだよ。特に、市川崑監督の金田一シリーズは丁寧に作られているから、この映画をみたら誰でも何かしら感じるところはあると思う。まぁ、人間関係が複雑すぎて何回か見ないと分からない部分もあるけど笑(黙太郎が金田一に家系図を説明する場面、初見ではちんぷんかんぷんすぎて意味がわからなかった)この映画で一番の肝となるのは、やはり悲劇の人、法眼弥生さん。ネタバレ的に言うと、今作の犯人。由香利ちゃんは事故、山内敏夫は自殺、弥生さんが殺害したのはピーター(役名失念)と写真館のおじさんの二人だったよね、確か。あ、あと諸悪の根源である猛蔵もか。でも、なんかただ犯人だったとか、そういう簡単な話ではない。運命に翻弄された本当にかわいそうな人だと思う。とにかく彼女が義父から受けた仕打ちが全ての始まりで、そこから娘世代、孫世代へと悲劇が繋がれ、何の因果か娘と孫が瓜二つという因縁めいた偶然がまた悲劇を生んで、、まあ、由香利ちゃんの性格は相当アレだったけど、、せめて小雪くらいは、その因果から解放してあげたいっていう、弥生さんの気持ちみたいなのもあったのかな。それまではただ旦那の妾だった、冬子の子供としか思ってなかったかもしれないけど、冬子が自分の子供となればね、、小雪は孫になるわけだし。娘の由香利を失った今、弥生にとっては唯一血の繋がった存在になるし。(多分)作中でも言及されていたけど、弥生が小雪の境遇に同情するのは理解できる。だから娘が死んだ後も、それを抜きにしても小雪を保護した。それぞれがそれぞれの業に縛られて身動きが取れない中、弥生のせめてもの復讐だったのかな、今回の事件は。主なトリックは由香利と小雪の双子マジック。(桜田淳子の一人二役)この二人の関係は叔母姪になるのかな?途中、よく分からなくなってGoogleさんで「病院坂 相関図」で検索したら、有志の方々が制作していた相関図が出てきたんだけど、弥生さんの子供が万里子ってなってて、え?ってなった。で、wikiで見たら、原作では弥生さんの子供が万里子という人で、その子供(弥生の孫)が由香利ってことらしい。原作通りだと由香利と小雪は孫同士。うり二つっていう設定により説得力が生まれる感じかな。いや、余計わからなくなる笑そうじゃなくてもややこしいのに笑とりあえず、弥生が冬子を自分の子供だったと察するシーンが、個人的な今作のハイライト。あの時、冬子が訪ねてきた時に家にいれば、由香利が応対しなければ、、冬子がどんな思いで訪ねてきたのか、あの風鈴を後生大事に持っていたのか、そして小雪に託したのか、、弥生の後悔と驚きに満ちた苦悩の表情が辛い、、あと、忘れてならないのが宮坂すみさん笑彼女が登場するシーンが、なんか無性に好き。最初はなんかゾワゾワするけど、質問にはちゃんと受け答えするし、徐に布団を畳み出したりするし笑お住まいがあまりにも、、アレで、彼女の人生がどんなものだったのか想像させる手法が絶妙。だけどすみさんは自分の出自が低いから息子の拓也を慮って影に徹した人生だったんよね、、今の時代には考えられないけど、戦後のこの時代ならではの無情を感じる人物。今作の主演は金田一耕助役を演じた、もちろんこの方、石坂浩二。松嶋菜々子版の犬神家を一番最初に見たから個人的には一番しっくりくる金田一です。最後、乾板の中を見ないように目を逸らしながら石に叩き割る姿に、金田一の人柄が出てた。暴かれたくないものを強引に暴こうとしない姿勢が好き。金田一のパートナー的な存在、黙太郎役に草刈正雄。普通にカッコよき。彼もまた最初は興味本位だったかもしれないけど、最後はちゃんと小雪の悲しみに寄り添っていた素敵な役。悲しみの人、法眼弥生さんは佐久間良子。最期は自らの死で決着をつけた姿が、、冬子が待っていると呟くシーンが、、涙なしでは見られない。世代的に馴染みがほとんどない女優さんだけど、憂う姿までもが綺麗な方。由香利と小雪二役を演じたのが桜田淳子。いや、美人すぎやろ。勝気で名家のお嬢を体現してる由香利と、因果な運命を背負って生きる幸薄な小雪の演じ分けがすごい。個人的な好みの容姿は冬子を演じた萩尾みどり。幸薄な小雪に二乗したぐらい幸薄な人物だけど、それが良くも悪くも合ってるのがたちが悪いくらい素敵だった。(演者っていう意味でね)あと、等々力警部も良かった!重要証拠の乾板の中身を察したのか、「そんなもんあったかね?」みたいにわざと惚けるのが粋だね。演じるのは 加藤武。それ以上に粋だったのが原作者の横溝正史氏が奥様と一緒に出演してたこと。作品に対する愛が伝わるな、、こういう演出は。正直、本当に世代的にあまり存じ上げない俳優さんばかりだったけど、映画の中に独特の雰囲気が漂っていて好き。
2021.10.09
人間を14分の1のサイズにする技術が発明され、人口増加、経済格差、住宅などの問題解決に挑む人類の縮小計画がスタートする。妻のオードリー(クリステン・ウィグ)と共にその技術を目の当たりにしたポール(マット・デイモン)は、体を小さくすることで生活に関わるコストも縮小できることから現在の資産でも富豪になれると知って興奮し、縮小化を決意する。晴れて13センチになったポールだったが……。せっかくいい設定なのにほとんど生かされてなくない!?Netflixにあったから視聴した本作。Netflix制作じゃないけど、、これはもうNetflix制作といっても遜色ないと思う笑もちろん悪い意味で。題材はすごくいい。人口過多による気候変動、環境の悪化、食糧不足、燃料不足、戦争暴力貧困。その全ての難題は人間を小さく『ダウンサイズ』することによって解決する。要するに人間を小さくすることで究極のエコだということだった。住む場所が狭い?ダウンサイズは14倍の家に住めるよ!資産が足りないかも?ダウンサイズは資産も14倍だから金銭的な問題は全て解決!少ないお金で大きな贅沢!今の少ない所持金だけで一生遊んで暮らせるよ!もう働かなくてもいいんだよ!そこには夢しかない!って感じの宣伝文句に惹かれた、低級に近い中産階級のマット・デイモン夫妻がひょこひょことこのダウンサイズになってしまうところから物語は始まります笑でも厳密に言うと、ダウンサイズになったのはマット・デイモンだけ。妻は途中で怖くなって(そりゃ眉毛まで剃られたらね)逃げ出し、ダウンサイズ達だけが暮らす地上の楽園、極上空間()に一人ポツンと取り残されたマット・デイモン。そんな妻とは早々に離婚し、そこでパリピたちと交流したり、後妻を探したり、その最中にベトナム人の女といい感じになったり、、と。あれ?これダウンサイズじゃなくてもよくない?っていうストーリー展開で、ちょっと退屈だった。なぜなら、ダウンサイズと普通サイズ(人間)が同じ画角にいてこそ、こういう映画は面白くなるのに、それがマット・デイモンがダウンサイズになってからはほぼない!普通サイズのものといえば、あの薔薇くらい?この映画の醍醐味である、小さいサイズ感を全く活かしきれてない。ダウンサイズの国にいたら、みんなダウンサイズ=同じ大きさなんだもん。他と比べるものが全然ないから楽しみがない。外から普通サイズが介入してくるとか、本来だったら人間の脅威にはならないであろう、虫とか鳥とか、その他もろもろが、ダウンサイズだと命に危険を及ぼす脅威なんだよ全面戦争!とかそういうのが全くない。ラストあたりの展開とか、、まじ何?それダウンサイズじゃなくて普通サイズでもできるよね?思ったよりラブ&ピースな映画だったなーあと、ダウンサイズになった人はおそらく現実世界ではあまり裕福とは言えない人々ばかり。(結局、外界と同じようなコミニティが形成されてるし)裕福な人たちは無理にダウンサイズになる必要はない。貧困層がいなくなれば、裕福な人たちがより世界を広く使えるから、そういう陰謀があったのかなとか思って見てた。全然違ったけど。まあ人口が少なくなれば労働力も減るし経済も停滞するから、裕福な人たちばかりが得をするっていうわけじゃないかもだけど。トゥルーマンショーくらいダークコメディならよかったのにな、、主演はマット・デイモン。プライベートライアンとか、オーシャンズ、ジェイソンボーンのイメージが強いから、なんか、あれだねちょっと老けたね笑せっかくマット・デイモンが出てるのにある意味平和な映画だった。ダウンサイズの恩恵をこれでもかとうけるパリピ爺・ドゥシャン役はクリストフ・ヴァルツ。絶妙に見たことがない新顔でした。アカデミー賞の受賞歴はあるけど、観たことないんよ、、マット・デイモンの妻・オードリー役はクリステン・ウィグ。この役、最初はリース・ウェザースプーンだったらしい。彼女でも絶対に合うよね。
2021.10.07
世界にその名をとどろかせるエベレスト登頂を目指し世界各地から集まったベテラン登山家たちは、参加者の体調不良などトラブルが重なり下山が大幅に遅れる。さらに天候が急激に悪化し、命の危険性が劇的に高いデスゾーンで離れ離れになってしまう。ブリザードや酸欠などの極限状況に追い込まれた一行は……。「そこに山があるから」だけでは何の理由にもならない悲劇!これもまたNetflixにあった映画。何年か前に頻繁に宣伝されてた映画だったような、、くらいの前情報で視聴。内容は1996年に実際に起きたエベレストでの大量遭難事故を映画化したもの。大半が実在した人物で、その中での数名が残念ながら亡くなっている。日本人の難波さんという方も亡くなられている。悲劇的で可哀想だとは思う。だけど、もし当時の現場が本当に映画の通りだったのだとしたら、『こうなるのは目に見えていた』と思ってしまうのが自然なのかもしれない。少なくとも、こんな杜撰な商業登山を続けていたら、遅かれ早かれ犠牲者は出ていたと率直に思った。それくらいこの事件の背景は酷いものだった。と、いうかそういう描き方が、この映画ではされていた。技術や技能の追いつかない人間が、お金を払ってガイドを雇い、身の丈に合わないエベレストという世界最高峰への登頂を目指すということが、これほど悲劇的な結末を迎えることもあるんだ、という警鐘を鳴らしているような映画だったから。①ガイド付き登山盛況につき、すでにベースキャンプでは人が溢れている。②ルートも順番待ちをしなければならず、だけど各隊が反目し合っているから譲り合い精神なんて皆無。③参加者はエベレスト登頂出来るほどの経験はなく、それゆえにガイドの負担が多くなる。④あるはずの酸素ボンベがなく、これまたあるはずのロープがないから、そこでまた団子状態の順番待ち。その間に体力はガリガリと削られ、登頂時間が大幅に遅れる。⑤2時間の遅れにより、最悪の状態でブリザードが起こり、、と、もう見ているだけで辛くなるわ、、なんか、、いや、絶対に無理ゲーだよ、こんなの。ロブもさ、本当にプロのガイドだったら、ダグの登頂は見送るべきだったよ、、そもそもダグは呼吸器系の心配があるから、登山すべきじゃなかった。させるべきじゃなかった。登頂が夢かもしれないけど、死んだら花実は咲かないんだよ。夢は生きて持ち帰らないと、、登山は無事に帰るまでが登山。遭難したらそれを救助する方も危険が伴うんだから、ちゃんと自分の面倒は自分で見れる人じゃないとエベレストに挑戦したらダメだと思う。(助けに戻ってきたハロルドが死んだのが、、悲しすぎるわ、、)でも、ある意味それを行った人物が一人。それが、アタック途中で失明したベック・ウェザーズ。彼はロブに「ここにいて」と告げられて忠実にそれを守り、だけどロブが降りてこないから自力で下山開始。その生存が絶望視されている中、命辛々奇跡的にキャンプに戻ってきた強者。気になってその後をwikiで確認してみた。彼はその後もキャンプで何度か意識を失い、「これはもうダメだ」と仲間が思っていたら、翌朝には回復して下山。最後には彼の嫁が時の大統領に掛け合ってチャーターされたヘリに乗って生還を果たすという、、凄すぎる。映画の描き方だけ見たら、本当に無謀な登山を行った末での遭難事故という印象だった。映像が凄まじく迫力あるから余計に。ある意味ではそこを包み隠さず映像化しているのは素直にすごい。だって実際の出来事を、しかも犠牲者が複数いるセンシティブな事故をありのまま映像化するって、多方面から色々と不安や不満が噴出するのは想定できることだし。今もこんな無謀な商業登山って行われてるのかな?そういえば、何年か前に高齢の登山者がエベレストかどっかに登頂して、自力で下山せずにヘリをチャーターして批判を浴びたこともあったよね。最初からヘリありきだったのか、単純に体調や天候の問題なのか、、やっぱり自分の足で登ったんなら、自分の足で降りてくるのが登山だと思うわ。一回も登山したことないけど笑主役のロブを演じたのはジェイソン・クラーク。パブリックエネミーズ、華麗なるギャツビー、猿の惑星: 新世紀、ホワイトハウス・ダウン、ファースト・マン。様々な映画に出演しているけど、絶妙に全部未視聴です。完全に今作で初見くらいの人でした。ロブは情が厚かったんだよね、、それがアダとなったのが本当に皮肉すぎる。奇跡的な生還を果たしたベックはジョシュ・ブローリン。彼の場合、本当に幸運だったとしか言いようがない。個人的にはヤングエージェントKのイメージが強い。難波康子役に日本人の森尚子。彼女はこれ以前にも最高峰クラスの山々の登頂に成功していたベテラン。なのに最後は『遭難した登山家の一人』として記憶されいくのが少し可哀想。MM隊隊長スコットは自分を過信しすぎたのか責任感からか、、体調が整わない中での登山が円滑に行くとは思えないって隊長だったら一番わかっているはずなのに、、あまりにも無謀だった。演じるジェイク・ジレンホールはゾディアックとか、ミッション6ミニッツとかかな。あ、あとプリズナーズとか。結構観てるな、この人が出てる映画は。遠く離れた場所から何かとサポートしてくれたガイ・コター役にサム・ワーシントン。説明不要のアバターの主人公。ロブの嫁にキーラ・ナイトレイ。こちらも説明不要のパイレーツ・オブ・カリビアンのエリザベス。ちなみにベックの娘役のミア・ゴスはキュア 〜禁断の隔離病棟〜のハンナ。
2021.10.06
長年にわたって病身の母を看病してきたメキシコ人女性、アンバー(クリスティーナ・ロドロ)。より良い生活を求めて彼女はアメリカに不法入国し、オハイオ州・クリーブランドに行き着く。地元の衣料品工場で仕事を見つけた彼女は、廃虚のような屋敷でレッド(マーク・メンチャカ)という男が営む下宿に部屋を借りる。だが、誰かがすすり泣く声や地下から響いてくる不気味な音に悩まされるようになり、やがて彼女は屋敷の地下に何かが潜んでいるのではないかと考える。ラストにサイヒルのクリーチャーみたいなのが出てきてちょっと興醒めする!こちらもNetflixの映画。まあ、Netflix制作の映画に当たり外れがあるのは周知の事実。ホラー系は特に弱いかな?宣伝で流れるショートムービーとか最初のつかみとかは上出来なのに、それから乱高下していつの間にか不時着しているくらい出来が悪い映画もあるし笑よく飛ばして見てるよ、そういう類のは。で、こちらの作品。序盤の雰囲気がすごくいい。不法就労の訳あり女性が見つけたのは、家賃が安い古びたお屋敷。管理人の男は不躾だが、新天地アメリカでの生活を模索する彼女には宿があるだけマシというもの。だが、ある日シャワーを浴びていると、排水口から悲鳴が聞こえてくる。この建物の地下で一体なにが行われているのか、、そして一人の隣人女性が行方不明になり、得体の知れない不気味な幻覚が彼女を襲う。、、的な、ホラー要素満点なストーリー。あの、古びた建物がすでに否応なく恐怖を駆り立てる。主役のアンバーが不法就労者という設定も、行く当てのない八方塞がり感に説得力がある。彼女の助けに応じるのは、あまり親しくはない遠縁のおじさんだけ。その精神的にも肉体的にも拠り所のない彼女の孤独や虚無感のようなものが、恐怖演出の一つにもなってたと思う。あの箱の演出もよかったよ。手だけぬっと出てきて、、電車に乗っている時も見えた時点で、本当に憑かれているのは家なのかアンバー自身なのかの境目がわからなくなってくるし。あの箱はかつて考古学者が採掘したもの。いわくありげどころか、最早いわくしかない。そして物語も終盤に差し掛かり、アンバーは不気味な儀式を行う地下に連れてゆかれる。祭壇の上に寝かされ、恐怖の箱から諸悪の根源である『化け物』が出てくる。そして違和感が生まれる。化け物がちょっとチープすぎないか?笑正直、あのサイレントヒルのクリーチャーもどきが出てきたとき、笑っちゃったよ。手だけの演出だけだどすごく怖いのに、正体がちゃんと見えた途端に怖くなくなるんだよね、、なんでだろ。得体が知れないから怖いのかな。突然『遊星からの物体X』みたいな未知の生命体が箱から堂々と出てきたから、あれ?なんか違う映画になった?って思った。よくあんなでかい図体が、あんな小さな箱に入ってたよねーびっくり箱みたい。それに比べたらリチュアルのアレはまさに神々しささえある登場シーンだった。やってることはどちらも同じで生贄捧げる系なんだけど、リチュアルのが悪魔の中でも大物の部類に入るとしたら、こちらのはなんか小物感あるんだよね、、あと、アンバーに悪夢を見せようとして失敗してるし。跳ね返されてるし。で、おずおずと帰っていくし笑途中までは本当にしっかりホラーしてただけになんか消化不良。あと最後、アンバーの足が治ったのは、彼女が大家の男を祭壇に生贄として捧げたからかな?で、今度はアンバーがあの館の女主人として、苦境にある人々をおびき寄せて生贄にするのかなーとか。それからアンバーが母親を殺している夢は、ただの悪夢なのか、それとも正夢なのか。アンバーは母親の看病で自身を犠牲にしてきた。母親がいなければ自分はもっと自由に生きれたはず、、と思っていても不思議じゃない。ただ、母親の留守電を聞いてるアンバーを見ると、彼女がそんな薄情で残虐な人間にも見えないし。まあすべててはあの、小さな箱からこんにちはクリーチャー(改)にもってかれたけど笑B級で既視感のある俳優がいなかったので、出演者に関しては割愛。箱から出てきたクリーチャーの造形がね、、うん、なんか醒める。
2021.10.03
第2次世界大戦の1941年。ナチスドイツに占領されたフランスのラ・ロシェルの港から、出撃命令によって出航する潜水艦U96にヴェルナー(ヘルバート・グリューネマイヤー)が乗り込む。ベテランの艦長(ユルゲン・プロフノウ)や乗組員に囲まれながら、荒れた海での過酷な哨戒(しょうかい)、次々と爆雷を放ってくる敵駆逐艦との攻防、海の藻くずと化していく敵の姿など、戦争の現実を次々と目の当たりにするヴェルナー。そんな中、U96に新たな命令が下される。過酷な戦いの果てに微塵の救いも与えないラストが衝撃的!これはNetflixで偶然見つけた映画。でも、最後までちゃんと観るつもりはなかった。正直、間違えて見始めてしまった映画だった笑本当に観たかったのはUボートじゃない。でも、全然気づかなかった。冒頭、あれ、なんか画面古くない?みたいに思ったけど、そもそもUボートという映画の存在を知らなかったから、全く疑いもせず見始めた。でも、いつまで経っても、あの有名?な遠くから放たれた魚雷で自艦が木っ端微塵になって沈みゆく中、上司が必死に「もぐれー早くUボートに乗り込んでもぐれー」みたいな場面が出てこない。っていうか、そもそもあの映画ってアメリカ側の視点だったっけ?ずっとドイツ兵しか出てこないんだけど?あれ?レットオクトーバーと間違えた?あれはロシアも出てきたっけ?ってなったあたりで、初めて気づいた。U-571じゃないじゃんって笑まあ、U-571の方も、10年くらい見てなくて、折角だから一回ネトフリで検索してみようかなーみたいな軽い気持ちで検索したら、出てきたのがUボートだったんよね、、やり方がうまいぞNetflix。で、ここからやっと本題のUボートのお話。こちらの映画の方がU-571よも明らかに古く、そして第二次世界大戦のドイツ側視点なので過酷も過酷。まず最初に軍関係の広報担当記者のような人が、出港前の船員たちの様子を愉快に写真に収めている。そんな彼に艦長がいう。「こんな綺麗な状態は今だけだ」と。まさにその通りで、出港してから航行を重ね、幾たびの戦闘を経るうちに髪は伸ばし放題、無精髭は生え、身なりは汚くなる。何より、時が立つにつれて誰もそんなこと気にしなくなる。最初は狭いなと思っていた艦長以下幹部が食事するテーブルも、座って食事ができるだけ有難いなと思えるのが不思議。ここが艦内で一番の特等席って、、虚しい。転戦って本当に気力も体力も消耗するよね、、やっとの思いで丘に上がれるかと思ったら、また命令が下されてしまうし、、その上、その命令を下す幹部連中が、軒並み身なりのいい服で小綺麗な船で祝宴みたいなのをしているのを見ると、、いたたまれないわ、本当に。今は食事や寝床も欲しいけど、本当に船員たちが求めているのは安心。戦闘が会議室で起こるはずもないのに、下々の将兵たちをこんなむげに扱うのは酷すぎる。自分たちは絶対に安全な場所にいるんだっていう、その余裕が腹立たしくなってくるわ。船員たちがどんだけの戦闘をくぐり抜けてきたと思ってるんだよ、、あと、原子力の描写もね、、無知なのか二等兵をそういう扱いするのが普通なのかわからないけど、見ていて胸が苦しくなる。こんなの誰も得しないよ、マジで。そして紆余曲折を経て、やっとの思いで帰還する。でもドイツに慈悲はない。ようやく丘に上がれると思ったら、その直後に空爆が直撃。主人公以下船員たちは戦死してしまうという、、あのさ、もうかわいそ過ぎて、逆にやばいわ、、U-571の感覚でみようと思ったら、マジで悲惨すぎた、、特にラストまでしっかり船員たちの希望を木っ端微塵に砕く展開には言葉を失ったわ、、そう観ると、U-571はある意味ちゃんとエンタメだったんだな笑約3時間くらいの映画って、そうじゃなくても疲弊するんよ、、見応えはあったけど、かなり。乗組員たちが熱い男に描かれていただけにラストーーー!!主演はユルゲン・プロホノフ。艦長ですね。U-571で(しつこい)「艦長は常に畏敬の念をもたれる存在で、絶対的なリーダーたらねばならない、間違っても俺には分からないなんて絶対に言ってはいけない」って諭されるシーンがあるけど、この艦長はまさにそれを体現している人だった。的確な指示で船員の命に対する責任感を持ったリーダーだった。あと、映画を見た後、Wikiを見て自分が観たことある映画に何か出てるかなーって思ったら、いました。ラディク将軍やーー!!笑全然気づかなかった。エアホースワンも好きやで。最後本当に惜しかったね、ラディク将軍。最初はお客扱いだったけど、文字通り過酷すぎる戦闘を肌身に体験する広報記者ヴェルナー少尉はヘルベルト・グレーネマイヤー。この方は歌手なのかな?現在最もドイツで人気の歌手ってあってちょっとびっくりした。後は精神的に錯乱しつつある機関長ヨハンはアーウィン・レダー。彼もギリギリの状態だけどちゃんと自分の責務を果たした。
2021.10.02
スウェーデンの森の奥深くで想像を絶する恐怖に襲われた男たちを描いたイギリス製ホラー。パブで酒を酌み交わしながら、旅の行き先について話し合うルーク、ロバート、フィル、ハッチ、ドムら5人の友人たち。しかしその帰り道でルークとロバートが強盗に遭遇し、ロバートだけが殺されてしまう。事件から半年後、4人は最後の晩にロバートが行きたいと話していたスウェーデンへハイキングにやって来る。道中でトラブルに見舞われ森の奥深くへと迷い込んだ一行は、不気味な廃屋で一夜を明かすことになるが……。出演は「ジュラシック・ワールド 炎の王国」のレイフ・スポール、テレビシリーズ「ダウントン・アビー」のロブ・ジェームズ=コリアー。身の毛もよだつ化け物の正体は自分の心に巣食う恐怖なのか?Netflixにあったこの映画。登場人物は男ばっかりでむさ苦しいし、慰霊のハイキングだから終始雰囲気は暗いし、ほぼ森のシーンばかりで動きがない。しかもハイキング初心者のおっさんが足を怪我してグチグチいってるシーンとか、まじ違う意味でイライラしたけど、全体的な雰囲気は良き。スウェーデンの森っていうだけで人智を超越した「何か」がありそうな予感。その静かな恐怖が胸をキリキリさせる。いわゆるホラー的な一人また一人と『捕食』されていく流れは定番だけど、森全体が得体の知れない「何か」が支配する檻のようで恐怖を増幅させる感じ。根元としてあるのは、作中でも触れられていたスウェーデン系の北欧神話、、なのかな?でも、アレが神秘的な守神であるとか、人々を導いたり幸福をもたらす類いのものであるとは到底思えない。終盤に出てきた人たちはアレを崇拝してたけど、対価に生贄を寄越せなんていう神様は信用できないよ、普通に。人のはらわたを食いちぎって?それを木に吊るす神様って何?本当に神様なの?ラストは主人公の男に反撃されて怯んでるし。で、まんまと逃げられてるし。神様ではなく、せいぜい根性の悪い悪魔くらいの存在なんじゃないかなって思った。ただ、シルエットはめちゃくちゃかっこいいんだよね笑それも、燃え上がる炎に照らされた姿がなんともエモい。このシーンだけは一応、神々しく見えた。それまで得体の知れないもの止まりで、存在をしっかり示してこなかったから余計に。演出の妙だよ。そんな得体の知れないアレから逃げられたということは、主人公は過去のトラウマという『恐怖』に打ち勝ったっていうことでいいのかな?最後、親友が助けてくれるとは思わなかった。主人公が見捨てたせいで亡くなってしまったのに、いい奴すぎる、、主人公は最後まで好きにはなれなかった。この映画のハイライトは、森の中にある廃屋で一夜を過ごすシーン。特に、この小屋に入って二階に上がり、そこで不気味なミイラ?のようなものを発見する場面。ここが一番怖かった。翌朝、男の一人が全裸でミイラの前で土下座してるとか、、いろんな意味で恐怖でしかない。ハイキング初心者が近道するために森に入るのはダメ絶対。この映画自体がイギリス産なので、出演者はみなイギリスの俳優さん。正直、みなさんあまり知らない方ばかりで、、主役のルーク役のレイフ・スポールは『ライフ・オブ・パイ』をはじめとする有名映画にちょこちょこ出演してるみたいだけど。マネー・ショートとかにも出てたんだ、、全然気づかなかった。ジェラシックワールド系は見てないからなー
2021.09.26
何者かに殺される誕生日を繰り返すタイムループから抜け出したツリー(ジェシカ・ロース)は、恋人のカーター(イズラエル・ブルサード)と楽しく過ごすつもりだった。ところが彼のルームメイトのライアン(ファイ・ヴ)が殺人鬼に狙われるタイムループに陥り、理工学部で学ぶライアンたちが開発した量子冷却装置(SISSY)が原因だと判明する。彼らは研究室に行き、そこで装置から放たれたビームをツリーが浴びてしまう。またまた死のループに陥ったトリーが選択する自分の未来とは!?まさかの『ハッピー・デス・デイ』の続編です。ヒットした映画の続編はあんまり、、の定説があるけど、今作は普通に面白かった!でも、続編で一番気になるのはキャストがちゃんと続投しているのか?というところ。大丈夫、今作は全員続投してます笑こういう部分って結構大事。最初の始まりはトリーではなく、カーターのルームメイトのライアンから始まるのが、なんか憎い演出だった。ライアンが車中泊から目覚め、部屋に戻るまでが結構ドキドキ。これが18日の月曜日だったら?1でのトリーの努力が水の泡になるところを、翌日19日だったと分かった途端、ちょっと安心。でも問題はここから。1でトリーは死のループから逃れたが、そのタイムループが今度はライアンに飛んでしまう。その上、1から続く死のループの原因が、ライアンら理工学部が開発したシシーという装置であることが判明。なんでトリーに降りかかったのかは明言されてなかったけど、死のループが「自分を大切にしてなかった彼女に何かを思い出させるため」といった神秘的な理由でないところが妙にリアル。装置に関してはガバガバ理論だけど、ストーリーに直接関係ないからいいや笑そしてひょんなことからまた、死のループがトリーに戻ってきてしまう。ここで発狂してしまうトリーがとにかくキレキレ。そりゃ頭おかしくなるよね、せっかく終わったと思ったのに、またループが始まっちゃうんだもん。でも、このループ世界は何かが微妙に違う。1とはまた別次元の18日の月曜日に飛ばされたことで、彼女を取り巻く環境に変化が生じていた。トリーとルームメートのロリの関係は改善されており、教授と不倫もしていない、母親が生きている、そして何よりカーターとダニエルが付き合っている世界線。カーターとダニエルのキスシーンで見せたトリーの顔芸が面白すぎた笑そして1から引き続きの死亡集も健在。今回は何度も死ぬことでアルゴリズムを解読する、というよくわからない理論から、トリーが死ぬことが求められ、殺人鬼に殺されるくらいだったら、自分で死ぬわ!っていう思い切りの良さによるもの。自殺シーンだから気鬱になりそうなところを、めちゃくちゃ底抜けにポップだから、これも全然見てられる。こういうところでいちいちコメディしてくれるトリーが本当に愛おしいわ。しっかりカーターとダニエルに嫌がらせまでしてるし笑さすがだよトリー。しかもこの世界線はロリがトリーを憎んでいない。なので、一体誰が「この世界」の殺人鬼なのか?というミステリー部分もあってよかった。ロリに助けられるという、前作から見ていたら、ちょっと胸熱するシーンもあり。彼女、本当はいい人だったんだな、、で、1の死闘をくぐり抜けてきたトリーは今作でも逞しすぎる女子大生。カーターを助けるために自分から発電所に突っ込んだり、ロリを助けるために銃をぶっ放す姿がカッコ良き。最終的にトリーは母親が生存しているこの世界より、元いた世界に戻ることを選択する。カーターと自分が恋人になりかけていた世界に。でも、その世界にはもうロリはいないんだよね、、トリーが窓から蹴り落としたから。なのに危険を冒して、『この世界』のロリを助けたい!って果敢に行動するのはすごいと思う。最後、彼女に「ごめん」って謝るのも、些細なきっかけで歪み合うようになってしまった、「向こうの世界のロリ」への謝罪でもあったのかな、、何はともあれラストはしっかりハッピーエンド。、、と、思いきやまさかのどんでん返し。あれは流石にダニエルかわいそうじゃないかな?笑主役はもちろん、トリー役のジェシカ・ローテ。前作から引き続きのキュートな部分とバイオレンス上等な部分に加えて、今作ではより正義感と逞しさが爆発しているトリー。死のループ経験者だからちょっと余裕があるのが面白い。本当に魅力的なキャラ。カーター役は変わらずイズラエル・ブルサード。前作を踏襲する人の良さだけど、それゆえに影が薄かったような気も。カーターよりキャラが立ってたのがライアン、サマール、アンドレという化学研究サークルの面々。特にサマール役のスラージ・シャルマは有名な『ライフ・オブ・パイ』で主演を演じた俳優さん。カーターと付き合っていながらしっかり浮気しているダニエルも、今作ではしっかり見所あり。でもループをダニエルに移したって、多分彼女はトリーほど上手に殺人鬼と対峙できないと思う笑ダニエル役はレイチェル・マシューズ。今作では善玉のロリはルビー・モディーンが続投。トリーとロリが手を取り合うシーンが、新鮮でもあり物悲しくもあった、、
2021.09.25
文なしから大富豪になったレオニデスが毒殺され、私立探偵のチャールズ(マックス・アイアンズ)が捜査に乗り出す。屋敷には愛人がいるらしい若い後妻、映画製作の資金が欲しい長男ら一族が勢ぞろいしており、巨額の遺産をめぐって火花を散らしていた。捜査が進むにつれチャールズは、一族全員に動機があることに気が付く。野望に塗れたやんごとなき一族が生み出した『ねじれ』の意味とは!?ある日、成り上がり者の大富豪の遺体が見つかった。どうやら毒殺されたらしい。被害者は生前から金にものを言わせて傍若無人に振る舞い、周囲からの反感も大きい人物であり、華麗なる一族の誰が犯人でもおかしくはない。しかも依頼主の女性に莫大な財産を相続させるという遺言書が出てくる始末。果たして、誰が犯人なのか、、?、、と、いうかなり古典的でどこかで見たことあるような映画でした笑アガサ・クリスティの作品は好き。今読んでも楽しめる作品が沢山ある。でも、今回の作品はトリックや動機に目新しいものはなかったかな。どちらかと言えば犯人の存在自体に重点と驚きを置いていて、映画的にもそのピークからクライマックスまですごく早かった。探偵の捜査もあまり捗っておらず、一族勢ぞろいして朗々と推理を披露するシーンもない。子供が犯人っていうのは確かに珍しくはあるかも。あと、ラストはちょっと意外だった。ただ、これはある意味配役の失敗だと思う。なぜなら名優と誉高い、あのグレンクローズが依頼主(ヒロイン)の大叔母さんという立ち位置で出演してるんです。だったら絶対何か起こるでしょ笑グレン・クローズが出てきて、何もなく終わるはずなくない!?って笑あんな猟銃構えて存在感しかない登場をして、どの場面にあっても彼女に思わず目がいってしまうほどの魅力があるのに、ただ被害者の妻の姉(だったかな?)でした!くらいの役で終わるはずがないって疑ってしまうのは自然だと思う笑そしてそんな、彼女が命をかけて守ろうとした一族の面々は皆、個性的な人ばかり。まず、亡くなった大富豪アリスタイド・レオニデス自身、一族とは全く関係のない貧困層の出身であり、並々ならぬ強烈な野心で成り上がった男。その上、晩年には再婚して年若い後妻を迎えており、一家に波紋をもたらしている。そして彼の息子たちもそれぞれ人生に行き詰まっており、またその妻たちも自分の人生の薄暗い先行きしか見えていない。ならば、そんな両親を見て育つ子供たちは果たして、、?この時点で十分、この一族にある歪な『ねじれ』がちゃんと見えてくる。『ねじれた家』って、高貴とは程遠いアリスタイドという人物が一族に入り込んだことに始まり、最終的に些細な理由で殺人を犯してしまう孫娘に至るまでの、一族の妬み嫉み欲望野望がこんがらがってねじれた、、という意味なのかなって勝手に思った。(全然違うかもだけど。原題はなんだろ?)うーん、ソフィアが割とまっとうに生きているのが不思議に思えるくらいです。まあ、いがみ合う華麗なる一族ってある意味魅力的だよ笑むしろ探偵のチャールズに一番魅力を感じなかった、、やんごとなきお方たちが個性的すぎて霞んじゃった感じかな。主演はそんなちょっと影が薄くなってたチャールズを演じたマックス・アイアンズ。と思いきや、主演はイーディス大叔母さん役のグレン・クローズ。稀代の名優の名にふさわしい役だった。最後の最後まで一族の名誉を守ろうとした彼女の姿はこの映画に無情の哀愁を漂わせてましたよ、、妹がどこの馬の骨とも知れない成り上がり者のアリスタイドと結婚した時、大叔母さんは自分しかこの一族を守ることが出来ないって感じたのかな、、原作未読だから想像でしかないけど。後妻とその愛人が逮捕された時も気にかけていたし、強くあり厳しくもあり優しくもある。チャールズ役のマックス・アイアンズ、ソフィア役のステファニー・マティーニはこれからの俳優さんなのかな?出演作はまだ少なめ。問題は一族の息子世代の面々。長男フィリップはジュリアン・サンズ。眺めのいい部屋、キリング・フィールド。英国発美男子俳優の、まさに代名詞!そしてその妻グレタはまさかのxファイルのスカリー役でお馴染みのジリアン・アンダーソン。個性爆発。最初見たときクレオパトラかと思った。次男ロジャー役のクリスチャン・マッケイこそ、、うん、あまり見た記憶がない俳優さん(それでも裏切りのサーカスとか、マダム・フローレンス!夢見る二人とかには出てるんだよね)その妻クレメンシーは人気ドラマ『シャーロックホームズ』にも出演しているアマンダ・アビントン。華麗なる一族の配役は豪華なるものであった。
2021.09.24
毎晩飲んだくれながら、さまざまな男性と関係を持つ大学生のツリー(ジェシカ・ロース)は、誕生日を迎えた朝にカーター(イズラエル・ブルサード)のベッドで目を覚ますが、1日の出来事をすでに経験したような違和感を抱く。そして1日が終わるとき、マスクをかぶった何者かに殺されてしまう。しかし目を覚ますと、ツリーは再びカーターの部屋で誕生日の朝を迎えていた。何度殺されても犯人に立ち向かう姿が逞しすぎる!これはずっと観たかった映画。けど、そのうち観に行くのを忘れ、タイトルも忘れ、最近たまたまNetflixで見つけたので鑑賞。「ああ、そういえばこういうあらすじの見たかった映画あったなー」と思ってたら紛れもなくこれだった笑ありがたいよNetflix。内容は控えめに言ってめちゃくちゃ面白かった!!まず一番に主人公のトリー(日本語吹き替え版ではなぜかツリーではなく、トリーと呼ばれていた)が、いい感じの美人でいい感じにビッチなんです笑こういうスラッシャー系の映画によく出てくる正統派パリピ女子っていうのかな。主人公の恋人の友人の恋人くらいの遠い立ち位置で、しっかり男好きで、結構序盤に惨たらしい死に方をする役目を与えられる人物くらいってイメージ。いわゆる死に要員。で、今作ではそんなアメリカ産純正ビッチが主役。ひょんなことから死のループに巻き込まれてしまい、殺人鬼に殺された途端にまた、その当日の朝に戻ってしまう。このループから逃れるためには、殺人鬼を突き止め、そしてこの一日を生き残らなければならない。だけど、トリーは至る所でやらかしまくっている女。誰から恨みを買っているのか、なぜ自分が命を狙われるのかさえ本人はわかっていない。そこで好青年カーターの助言で、自分の死のループを生かしつつ犯人探しを始める。ここからトリーが軽快なBGMに合わせて、とにかく死にまくる。いわゆる死亡集ですね笑凄惨なシーンのはずなのに、ポップでテンポがいいから全然見てられる笑結局、死ねばこの日が無かったことになるのを逆手にとって、好き放題やりまくるのもいいよね、こんな状況なのにトリーは前向きすぎるんよ笑そんなこんなあってトリーは過去と向き合う。彼女が半ば自暴自棄に生きるきっかけは、母親の死。それも自分と同じ誕生日で、とても仲が良かった母親が、二人の誕生日だった日に死んでしまうという悲劇に見舞われたから。元々はいい子だったのが物語の端端からわかる。せっかく犯人を突き止め、返り討ちにしてこれでもう大丈夫!ってなったのに、カーターを生き返らせるためにもう一度自分から死を選んだり、、トリーが生きて朝を迎えたら、カーターの死が事実で正史となってしまうから、犯人に「今度は絶対仕留めてやるから覚えてろよ」的なことを言ってダイブするのカッコ良すぎるわ。ラストのどんでん返しも良き。まあ真犯人は怪しくはあったけどね笑(トリーが何度目かの死亡シーンで車ごと爆発させられる時、その着火に使ったのがあのローソクに見えたんだけど、違ったのかな?この時、犯人あいつかもってなったけど、、)これだけ色々紆余曲折あって、殺される理由それ!?ってなったけど、、ある意味トリーっぽいわ。ちなみに本来は死ぬバッドエンドだったらしい。試写会で酷評されたから、現在のエンドになったみたいだけど、、そりゃそうでしょ。死ぬ度に強く、素直に、可愛くなるトリーがちゃんと生き残るエンドでよかった!主演はジェシカ・ローテ。強くたくましく可愛い。最初はビッチまっしぐらで反感多そうなトリーだけど、目の周りをパンダにして何度も死して尚、生きる道を懸命に模索する彼女を好きにならないわけない。素敵な役だった。そんな彼女を支える好青年カーター役にイズラエル・ブルサード。死亡集の元となる作戦を提案した張本人。彼の助言がなければ、あの愉快なシーンはなかった笑トリーのルームメイトのロリ役にルビー・モーディン。すらっとした美人さん。そしてトリーも所属する意識高い系サークルのリーダーのダニエル役のレイチェル・マシューズは今作の監督を務めたクリストファー・B・ランドンの姪っ子らしい。
2021.09.22
大司教惨殺事件で逮捕されたのは、彼の侍者のアーロンという青年だった。売名家と呼ばれている弁護士マーティンは、事件の話題性から無償での弁護を申し出た。あどけないアーロンの表情を使ったマーティンの作戦も、明らかにされていく宅地開発に絡む大司教への恨みや“悪魔払い”の名のもとにビデオに収められた醜聞も、元恋人の検事ジャネットによって次々と提出される物的証拠の前にはなす術が無かった。そんな時、アーロンの精神分析を担当したアーリントン女医がつかんだ事実とは……。最後のどんでん返しにちゃんとゾッとしたよ!こちらの映画は1996年の作品。多分、有名だから観たことあるかなと思ったけど、全く一ミリも観たことなかったです笑だから最後はちゃんと裏切られたし、ちゃんと見応えあったし面白かった!序盤は「ハリケーン」や「逃亡者」みたいに、無実なのに容疑者になった人間を救う映画だと思ってた。紆余曲折を経て、最後に法廷で無罪判決が下って「うぉぉぉやったぜーー正義ーーー」みたいな笑けど、容疑者のアーロン青年を弁護するマーティンの作戦が尽く検察(元カノ)によって打ち崩されていくあたりから、ちょっと雲行きが怪しくなってくる。そして、精神科医のアーリントンとアーロンが会話するシーン。アーロンが二重人格だとわかり、わかったはいいが、結局アーロンの中にいるロイが大司教殺害の犯人だとわかって愕然。二重人格とはいえ、やっぱりアーロンが殺してたんか、、となった。でも、これは使えるとマーティン。アーロンが悪いのではなく、ロイがやったのだ。ロイの存在を証明できればなんとかなる、と。しかも、そのトリガーを元カノに法廷で引かせるという方法もなかなかトリッキー笑で、この作戦は成功し、アーロンの無罪が見事に証明された。いや、普通によかったねってなったよ、この場面では笑(大司教が清廉潔白な人間ではないことが示唆されてたし)ただ、本当はアーロンは二重人格でもなんでもなかった。その上、アーロンの正体がおどおどしたアーロン青年ではなく、粗暴で不良なロイであったというのが、、なんか救いようがない、、気弱で優しい青年が自己防衛のために、荒々しい人格を作り出したのならまだちょっとは救いがあったかもしれないけど、最初から悪辣で邪悪な方のロイが主人格だったのは、ある意味この映画のハイライトだと思う。より悪質さが増す。そして恐怖も増す。このシーンに至るまで、本当に全く疑ってなかった。アーロンが「首を怪我させてすみませんでした、お大事にって言ってください」みたいに言った時、マジでマーティンと同じタイミングで、ん?ってなったよ笑え、それ知らないはずじゃないの?だって別人格が出てる時、記憶ないって言ってたじゃん、、ってしかも彼女?のリンダ殺害にまで絡んでたし、理由も救いようのないくらい馬鹿みたいな理由で殺してるし、、マーティンよりアーロンが上手だったよ。演者の豹変がマジ怖かった。独房を後にするマーティンにひたすら話しかけるアーロンが怖すぎた。でも、こういうどんでん返しのあるラストって後味悪いけど最高なんよ。主演はリチャード・ギア。最近だとハチとかシャル・ウィー・ダンスなどのリメイク作品によく出てるイメージ。今回も、いい映画でいい演技してるなー。で、そんなリチャード・ギアさえ霞んでしまうほどの存在感だったのが、アーロン役のエドワード・ノートン。まじで怖かった。おどおどした自信なさげなアーロンと、狂気に満ちたロイの演じ分けがとにかく凄い。この作品でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたらしいけど納得すぎる。そして個人的に好きな女優さんのローラ・リニーが検察官のジャネット役で登場。演技も顔の造形も好き。公平なミリアム判事役にアルフレ・ウッダード。この人は絶対どこかで観た!って思ってWikiを調べたらデス妻のアップルワイトさんだった。そして同じく、どこかで観た!ってなった精神鑑定医?のアーリントン役はファーゴのフランシス・マクドーマンド氏だったんよね、、全然わからなかった。記憶曖昧すぎる。後はERのアビー役の女優さんが出てたり、アグリー・ベティのスアレスパパが出てたり。この年代の作品もやっぱりいいな。
2021.09.19
典型的なアメリカ市民・トゥルーマン。だが彼の暮らす環境は、どことなく不自然だ。それもそのはず、実は彼の人生は、隠しカメラによってTV番組「トゥルーマン・ショー」として世界中に放送されていたのだ!家族や友人を含めたこれまでの人生が全てフィクションだったと知った彼は、現実の世界への脱出を決意する…。メディアによって作られた人生の悲喜劇に、見事なリアリティを与えているジム・キャリーの熱演が光る傑作コメディ。これのどこがコメディなんだよ恐ろしく不気味なホラーじゃんか!!この映画、ジム・キャリーが出てるからコメディだと騙されることなかれ。これは間違いなく身の毛もよだつホラーです笑彼の快活な笑顔とか、珍妙で面白い動きとか、多彩な表情とかには騙されないで、まじ。枠組みはコメディにしてるけど、絶対ホラージャンルだよ、これは。少なくともダークコメディ。ダークすぎるコメディ。序盤はまだ楽しめるよ。序盤は。、、いや、正直に言うと、序盤から騙されなかった。だってあらすじ読んでから見たから笑だからより怖い。最初から怖い。トゥルーマンはまだいいとして、彼を取り巻く環境とか周囲の彼に対する「愛!平和!ピース!」みたいな対応とか、張り付いた同じ笑顔、同じ仕草、無理やり作られた平穏な日常がとにかく怖い!!みんな役者なんだよ!父親も母親も嫁も、親友もいつも挨拶する双子のおっさんも、友達も仕事先の同僚も全部!!何も知らないのはトゥルーマンただ一人。彼だけが純粋にこの作られた世界の住人として存在している。あとの人たちはただの仕事としているだけ。演じているだけ。この、胸がむかつくらいに奇妙な日常が、美しい街並みや心優しい住人たちっていう仮面をかぶって彼のそばに平然と横たわっているのが、、言いようのない違和感で気持ちが悪くなるくらい。この映画って笑えるの?全然笑えないんだけど、、一番胸糞悪くしているのが、トゥルーマンショーに関わる人たちが人一人の人生を狂わせているという感覚が全くないというところ。本当の自由もなく、架空のお伽話の世界で作り物の日常の中で生きていることが、それを全世界に配信されてることが、どれだけ人の尊厳を傷つけて弄んでいるのかを理解してない。島から出さないために水に対するトラウマをわざと植え付けるとか、、正気の沙汰じゃないよ。まあ、一応誰も彼もが平然としているわけじゃない。特に嫁メリルはもう発狂寸前だったよね、、彼女の場合は自分可愛さかもしれないけど、そりゃ精神的に疲弊するよ、こんな世界。他の人たちはトゥルーマンが帰宅したら、はい仕事終わり、って感じかもしれないけど、結婚してるメリルは気が休まらないだろうし、、かといって上からの命令でちゃんと口論中でもスポンサー商品を宣伝しないといけないし。あの意味のわからないタイミングで宣伝入れるってやばすぎるよ、、メリルの血走った目が明後日の方向を向いてるんよ、、怖すぎるで、このトゥルーマンショーのプロデューサーは一番罪深いはずなのに、それを微塵も理解してない。トゥルーマンは確かに望まれて生まれてこなかったけど、だからと言ってこんな世界中に見世物にされるのは違うよね、、ずっと見守ってきて子供のように思っているなんてのはただのエゴ。ラスト、作り物の世界から本当の世界に飛び出そうとするトゥルーマンを諭すシーン。いや、まじこいつ何言ってんの?感が強すぎた。だからこんな紛い物にトゥルーマンが騙されず、自分の道を自分で一歩進んだシーンはすごく良かった。しかも彼らしい言葉で。ローレンも10数年くらい?経てもトゥルーマンを助けようと動いてくれてたし。(彼女の部屋に、「トゥルーマンを自由に!」って書かれたポスターがあって、番組から追放されてからも外で活動しててくれたんだなって思った)それが本当の愛情だよね、守りたいから鳥籠に閉じ込めとくのは単なるエゴ。一応、ハッピーエンド?で終わってよかった。トゥルーマンのこれからの人生も大変かも知れないけど、自分で自分の人生を意思決定できることの有り難さと責任は、絶対に彼の人生をいいものとすると思う。で、あれだけトゥルーマンの一挙手一投足に固唾を飲んで見守ってきた視聴者の変わり身の早さにも恐ろしさを感じたけど笑彼らにとっては暇な日常を埋める娯楽の一つでしかなかったんだよね、トゥルーマンショーも。大衆意識の変化の速さがまたホラーだった。主演はコメディ作品でお馴染みジム・キャリー。でも彼は絶対これをコメディだと思ってないと思う笑コメディが得意な俳優さんが、こういう役を演じてくれるからより怖さとか不気味さが増すんよね。諸悪の根源である番組プロデューサーはエド・ハリス。いや、僕にはちゃんとトゥルーマンに対する親の愛情があるんだよ、的な感じだったけどまじ洒落臭い。スターリングラードの将校役は好きだったなー。作中一番好きな役(役者っていう意味で)はメリルを演じたローラ・リニー。狂気だった。ひたすら狂気だった。彼女の神経質そうな笑顔が怖すぎたけど、めちゃくちゃよかった!真実に気づき始めたトゥルーマンをなんとか制御しようとテンパる彼女がちょっとかわいそうに見えるくらいだった笑
2021.09.18
ジョー・グラス(ジェラルド・バトラー)が艦長を務めるアメリカ海軍の攻撃型原子力潜水艦ハンターキラーに、ロシア近海で行方不明になった同海軍原潜の捜索命令が下る。やがてハンターキラーは、沈没したロシア海軍の原潜を発見し、生存していた艦長を捕虜として拘束する。さらに、ロシアで極秘偵察任務にあたるネイビーシールズが、世界の命運を左右する巨大な陰謀をつかむ。それを受けてハンターキラーは、敵だらけのロシア海域に潜航する。終始あり得ない展開ばかりだけど勢いで乗り切れ!これはオススメされてみた映画。でもオススメされなくても観たかもしれない映画。なぜなら、潜水艦を題材にした映画が何よりも好きだから笑あの、敵も味方も目視できない暗い海の中で、微かな振動とかノイズ、スクリュー音、耳を澄ませば聞こえるほどの敵が出すかすかな物音を敏感に感じ取って、そこから戦術や策謀を練ったり攻撃したり、時には回避したりっていう展開が好き。自分の位置と相手の位置をちゃんと補足してなきゃいけない。敵艦の性能も熟知していないとだめ。近づきすぎてもダメ、攻撃手段の魚雷も無限にはない。淡々と読み上げられる距離計。見えないのに確実に近づいてくる魚雷の音。海上から攻める駆逐艦と海底から攻める潜水艦の攻防。まじで緊迫感がたまらない。Uボート系は割と見てる。あの救いようのない映画の中でも屈指の救えなさを誇る、Uボートも観た。マジで救いようがなさすぎて泣いたくらい。敗戦国に救いはないんだよね、、だから序盤の戦闘シーンだけでかなり引き込まれた。まあ、初手であんな簡単に撃沈させられて拍子抜けしたとか、その後のあんな氷山の一角に潜水艦が隠れられるのか?とか、反撃の手段なさすぎてモヤモヤしたり、終盤もいや攻撃されたのなら浮上してないで潜水しろよ!って思ったけど、、(潜水しても間に合わないから一緒かな?)それ以上に不思議なのが、なんでアメリカがロシア大統領の救出すんの!?ってところだと思う笑ストーリーの流れ的には分かるよ。国家間の争いにしないために、クーデターを起こした一味だけを敵として、大統領を救い出し、指揮系統を取り戻すっていうのは理解できる。で、なんかあまり精鋭感がない特殊部隊(一人は新入りスナイパー)を投入して、別任務で近くに来てた潜水艦にピックアップされるのは、、行き当たりばったりな気がしないでもない。ロシアなのにロシア人いないのかよ。アメリカ映画だからか、ほぼ全部アメリカ任せなのが違和感だった。ロシア大統領のSPの彼はカッコ良かったよ。ラスト、ロシア艦隊の船員たちが反旗を翻す場面もよかった。でも、グラスはなんで何もしなかったんだろ?絶対にロシアの駆逐艦が迎撃してくれると思ってたのかな?アンドロポフの存在があるから。でも、アーカンソーには大事なロシア大統領も乗ってるんだけど?笑撃沈されてたら確実に国際問題になってるよ。あと、ロシア駆逐艦に大統領が乗っていることを告げるべき!みたいな話になった時、通信が出来ないからダメだ、みたいにグラスは言ってたけど、アンドロポフがちゃんと通信できたじゃん笑一人一人名前を呼んで、私が乗っている感を出してたし笑通信できるなら、最初から大統領に話をさせてたら良かったのにーでもそうなるとラストの展開がなかっただろうな。こういう矛盾があると、マジでロシア大統領の存在感が薄くて逆にかわいそうになってくる。シナリオの都合で端に追いやられて、、(見落としてただけかな?)まあ、その後まさか駆逐艦が自国の防衛拠点に砲弾を打ち込むとは思わなかったけど笑さすがにオーバーキルやで。この時のロシア駆逐艦側の艦長の様子は映ってなかったけど、内部抗争みたいなのがあったのかな?艦長はあまりアンドロポフに思い入れはないみたいだし。色々考察()が残る不思議映画だった。主演はジェラルド・バトラー。300の人。300は観たことないけど、「ディスイズスパルタァァァ!!」の人だよね、多分。個人的にはトゥームレーダー2とか、完全なる報復のイメージかな。有能な艦長かもしれないけど、確証もなく船員や大統領を危険に晒す二つに一つの賭けをやったのはリーダーとしていただけない。そしてこの映画を不思議映画にしてしまった一つの要因に、ゲイリー・オールドマンの存在が大いにある。だってこんな名優が出演してたら、絶対何かあるって勘ぐるよね?笑もしかして二重スパイとか?本当の目的はアメリカ大統領の命?国家転覆?みたいに、かなり陰謀の夢が広がったのに、何もなく終わってしまった。一人だけ存在感がありすぎるんよ。ロシア側の艦長アンドロポフ役はミカエル・ニクヴィスト。あの破壊工作でよく生きてたなーって思った。ある意味ロシア大統領より権力あるのかな、このひと笑
2021.09.17
核汚染の影響によって、人類が食料に困窮するようになった世界。レオノーラ(ギッテ・ウィット)、ヤコブ(トマス・グルスタッド)と娘のアリス(トゥーヴァ・オリヴィア・レーマン)は、あるホテルで食事も提供するチャリティーの演劇が上演されるのを耳にする。ホテルに向かった一家は、支配人マティアス(ソービョルン・ハール)から演劇はホテル全体を舞台にして上演されると聞かされ、俳優陣と区別するための仮面を渡される。やがて次々と観客が謎の消失を遂げ、アリスもレオノーラたちの目前で姿を消す。ある意味このタイトルをつけることが一番のホラーかも!?Netflixで見つけたこの映画。特に前情報がなかったから、もしかしたらホテルで一人また一人と消える系の殺人事件でも起こるのかな、って思ってみたら、まさに殺人ホテルで殺人が起こっちゃったよって感じのかなりストレートなお話だった笑ひねりなし。これって原題は何だったのかな?もし、全然違うタイトルの意味だったら、盛大なネタバレになってるよ。本当に殺人が起こったのか?はたまたただの悪趣味な悪戯なのか、役者たちの演技なのか、どこまで本当か嘘か、、的なサスペンスを楽しむものと思ってたけど、殺人ホテルって言われたら、、そりゃ、絶対殺人おきますよ笑客と演者を仮面で分けて、気になった演者がいたら客が付いていくっていう設定もいいし、(こういうアトラクション実際にあったし)ホテル全体が劇の舞台って感じでおどろおどろした雰囲気もいいけど、主人公家族は早々に外してたし、仮面の意味どこ行った笑これって客のみんなが仮面外してたら、結局誰を襲ったらいいか分からないとかいうオチなのかな?総じて仮面持ってない方が安全っぽい。ラスト付近では仮面を他人に被らせることで危機を回避してるし。カニバリズムに関してはね、、終末世界で誰も彼もが食糧難に陥っているのに、このホテルにだけ潤沢な食材があるとは思えないし。序盤、主人公家族たちが肉を頬張るシーンで察する人は察すると思う。でも、このホテルの陰謀を当事者である役者たちが知らなかったって無理があるような気もする。役者の女が「金品を奪うだけじゃなかったの!?」って驚いてたけど、この世界に金品があってももう意味なくないか?経済も国家もないような世界だと思うし、金品よりも必要なのは食料だよ、肉だよ、肉。で、結局、真実を知った役者たちが悪の根源だった支配人を吊し上げて終わり。解体チームの作業着を着た男たちと役者チームは仲間じゃなかったのか。しかも作業着を着た男たちのそのあとは不明だし。悪が悪になりきれてなくてもやもや。ただ、レオノーラがかつての役者魂を燃やしてみんなを先導する姿はカッコ良かった。彼女がどれだけ熱意を持って訴えかけても、みんなそれをただの演技だと思ってしまう。だったら演技には演技って感じで、初めて彼女が元役者だった設定が生きた感じ。最初は理想的放任主義の癖に、何か起こったら周囲に当たって心配して、「アリス、アリス」連呼しまくって五月蝿いっていう、なんか一貫性のない母親だったけど笑本物の役者はすげーよ。そして終末期の世界だから、別にホテルから逃げ延びたって、平和な日常に戻れるわけじゃない。外は相変わらず薄暗くて暗澹としている。そういうことを思えば、少しでもかつての平和な世界を彷彿とさせる、平穏な夢を見せてくれる殺人ホテルの方が、遠くから見て光輝いて見えるのもなんか納得できる。この無常感がある終わりが好きだな。スプラッター感やホラー感は少なかったけど、ダークな雰囲気が良き。ノルウェーの映画なので、役者さんは知らない方ばかり。ただ、監督であるヤーラン・ヘルダルは撮影当時、弱冠17歳ということに驚き。豪華絢爛さと、おどろおどろしさって紙一重だと思う。その絶妙なバランスを作り出したのが純粋にすごい。タイトルネタバレがなかったら楽しく観れたのかなーでも最初のお肉頬張るシーンで大体察するよね笑
2021.09.16
貧しい家庭で、幼いころから暴力と罵倒の中で育てられたトーニャ・ハーディング。天性の才能と努力でアメリカ人初のトリプルアクセルを成功させ、92年アルベールビル、94年リレハンメルと二度のオリンピック代表選手となった。しかし、彼女の夫だったジェフ・ギルーリーの友人がトーニャのライバルであるナンシー・ケリガンを襲撃したことで、スケート人生は一変。転落が始まる。一度は栄光を掴み、アメリカ中から大きな期待を寄せられていたトーニャ・ハーディングだったが、その後、彼女を待ち受けていたのは、、、、。フィギュアスケート史上最大といわれる衝撃的な事件の意外な真相と、彼女の波乱万丈な半生の物語。転んでもただじゃ起きないスケートの天才が巻き起こすちょっとシニカルなサクセスストーリー!この映画、とりあえずマーゴット・ロビーが魅力的すぎる!トーニャの暴力的な一面も(これは幼少期からくるものだけど)、トリプルアクセルをアメリカ人で初めて成功させたその天賦の才能も、人間的に不器用で粗暴で荒削りなところも全てすごく魅力的に見える。本当に彼女良き。なんか破天荒な人間かもだけど、トーニャ・ハーディングをちょっと好きになっちゃいます笑こういう配役って最高だよ、マジで。お話はトーニャを悪い意味で一躍有名にした、リレハンメルオリンピックのずっと後の時代。もはや既に過去の人となっていたトーニャやその周囲の人々に、あるメディアが当時のことや彼女の過去についてインタビューしている形式で物語は進んでいく。今はもうフィギュアスケートの世界から離れているトーニャが、スケートを始めるきっかけや、自分の荒んだ生い立ち、母親との確執や夫やライバルとの関係などを赤裸々に話し、また、同様に取材を受けている母親や元夫や元コーチもトーニャの人間性を語っていく。やがてナンシー・ケリガン襲撃事件の真相に迫った時、トーニャは何を語り、事件の真実はどこにあるのか、、正直、時代が時代だからトーニャ・ハーディングの名前って、ライバル襲撃事件がアンビリとか仰天ニュースみたいな番組で扱われてて辛うじて知ってるくらい。その時も真相はどこに?的な曖昧な感じだったから、いまいちピンとこなかった。オリンピックで靴紐解けて、審判に見せるシーンがすごく印象に残ってる、くらいかな。でも、この映画を観ていると、確実にわかることが一つある。間違いなくトーニャ・ハーディングには、並外れたフィギュアスケートの才能があったのだということ。彼女は4歳の頃にスケートを始め、すぐに頭角を表す。後々、浅田真央ちゃんでおなじみの、まだ世界でそう成功者がいないトリプルアクセルの先駆者の一人っていうだけで、その技術力の高さが伺えるほど。ただ、トーニャは技術的には間違いなく一流だが、芸術面でなかなか評価されなかった。それは彼女の生い立ちにも関係があるかな。この映画を観てると、そりゃフィギュアに要求される上品さとか優美さとはトーニャは無縁の場所にいるよねって思うのは仕方ないかな笑絵に描いたような貧困家庭に生まれて暴言と暴力で子供を屈服させる絵に描いたような毒母の元、自尊心も自己肯定力も踏みにじられて、荒んだ幼少期を磨ごしたトーニャ。唯一の支えだった優しい父親も母親の悪行に耐えかねて出て行き、愛情に飢えた思春期のトーニャはますます荒れていく。母親から逃げるように恋人と同棲を始めるが、荒んだ生活は終わりを迎えることなく寧ろ暴力の頻度は跳ね上がり、今度は恋人と殴り合いの喧嘩や銃までぶっ放すバイオレンスマックスの新生活に突入する。しかし、トーニャいわく、母親よりはマシだからある意味全然辛くなかったとのこと笑強すぎる。この恋人は後にトーニャと結婚し、ナンシーケリガン襲撃の首謀者と目されたジェフだった。典型的なDV男。激しい暴力を振るうくせにトーニャが出ていくと途端にひよって謝りに来るような男。でもトーニャのことは真剣に好きだったと思うし、彼女を支えたいと純粋に思ってたとは思う。そんな中でもトーニャはフィギュアをやめなかった。彼女が荒んだ生活の中で、一滴の清流のごとく熱意をもって大事にしたのがスケートだった。荒々しい暴力の世界で生きてきた自分をフィギュアで隠すことが出来ないと理解したトーニャは奥の手に出る。それが当時アメリカ人が誰一人飛ぶことができなかったトリプルアクセルへの挑戦だった。トゲトゲしさのある完璧演技のトーニャと、優雅なしなやかさを売りしつつ転んだ選手だったら、審判団の好みは絶対に後者。トーニャはいつまでも優勝出来ない。彼女は誰の目にも自分が優れていると見せつけるためにトリプルアクセルを自分の武器にしようとし、見事に成功する。その名声は瞬く間に広がりアメリカを代表するフィギュアスケーターとなり、トントン拍子にアルベールビル大会への出場権を手にする。この辺りがトーニャにとっては一番幸せだったのかな、、自分が必要とされて、自分が評価されて、称賛されて期待されて、、子供の頃、特に母親からこの類の感情を一切排除して育てられてきたトーニャにとっては、オリンピアンになって周囲に愛されることが一番の幸せだったんだと思う。だけど、アルベールビルでは結果は振るわず4位。世界で4位ってだけでも凄いけど、現実はとても厳しく、トーニャにスポンサーがつくことはなかった。そのため金銭的に苦しい日々はまだ続き、オリンピック選手にも関わらずウェイトレスのバイトで日銭を稼ぐ日々を送ることとなる。(ジェフとも離婚したしね)奇しくも母親もウエイトレスの仕事をしてて、事あるごとに私が食わせてやってるんだ!って怒鳴り散らす人だったよね、、報われなかった自分をトーニャが自嘲するのも辛い。だが、ここからトーニャは奮起する。かつてのコーチがもう一度チャンスをくれ、死に物狂いで練習を開始。金銭的な苦労を排除するためにジェフともよりを戻して本格的にフィギュアに身を入れ、見事、オリンピック選手候補にまで返り咲くことになる。ここの練習のシーンすごく好き笑ロッキー並みに自分を追い込む過酷な練習をしながら、コーチが「本当にこんなことしたのよ」ってカメラの方を向くのがいちいち面白い。フィギュアって繊細で優美なスポーツに見えるけど、その裏での肉体作りは優雅とは程遠い、すごくシビアで地味なものなんだろうな。スケート靴って普通にばかみたいに重たいし。それで氷上でジャンプするとか並外れた運動神経。それを感じさせないようにしてるのがまたすごい。そしてそんな最中、件のナンシーケリガン事件が起こる。結果から言えば、この襲撃事件はトーニャとジェフは全く預かり知らないことだった。友人のひとりにナンシーに脅迫状を送るようにジェフが提案すると、この友人はあろうことか勝手に計画を変更してナンシーへの暴行を行った、というもの。元はと言えばトーニャに脅迫状が送られてきたのがその発端だが、この脅迫状もこの友人が差し向けたものだった。まじ一体、こいつ何がしたかったんだよ、、作中で一番意味わからん存在だった。妄想癖で周囲を不幸にするタイプ。勿論、自分の演技に集中していたトーニャは計画なんてまるで知らない。ナンシーとは友人で、その友人を襲撃するよう頼むはずがない、と何十年後のトーニャは力説していた。だが、疑惑の目はライバルだったトーニャに必然的に向けられる。ジェフが犯人一味と関わっていたのでトーニャは彼から離れるが、それでもメディアは彼女を面白おかしく追いかける。その上、音信不通だった母親までも報酬に目が眩んでトーニャから証言を聞き出そうとお涙頂戴の演技を打つ始末。周りが敵だらけのトーニャは気が狂いそうになる。全く心が落ち着かないままオリンピックへ、、そして前代未聞の靴の紐切れた?事件、、このシーンは映像で観たことあるけど、普通にあの審判席まで足上がるのすごくね?ってなった。こうして波乱万丈のトーニャのオリンピック人生は8位という結果で終わる。この後、トーニャは結局法的に裁かれてフィギュアには二度と関われなくなった。刑務所に入ってもいいからフィギュアを続けたいと涙ながらに裁判長に訴える姿が、、なんかかわいそうだったな、本当にトーニャにはフィギュアしかなかったんだなって、、そこから華麗にボクサーになるあたりはトーニャのハングリー精神だろうけど笑トーニャは運動神経抜群で何をやっても器用にこなせる人。だけどそんな中でもフィギュアを選んだことが、人生を苦しくも楽しくもしたのかな、とか思ったり。だって普通にボクサーでも成功しそうじゃん?彼女。まあまずは毒親が全ての元凶なのは言うまでもないかな。母親が大人になったトーニャに「子供のことを一番に考えて生きてきた。怒鳴ったり殴ったりしたのもそのため、私だって母親からこんな愛情受けたかったよ」的なことを言ってて、何言ってんだこいつってなったわ。。トーニャが愛情と思わないものは全部暴力と暴言なんだよ。伝わるようにしないと受け取った側は愛情とは思わないんだよ、まじムカついたわ、このシーン。トーニャの言う通り、母親は怪物だった。けど、実際の真実は濁されてるんだよね。この映画自体、「ノンフィクションかも?」みたいな、多方面から批判されても言い訳できるように絶妙な文言から始まってるからずるい笑主役は大好きマーゴット・ロビー。彼女がトーニャじゃなかったら、魅力半減してたんじゃない?ってくらいに素敵だった。トーニャの半生は波乱に満ちていたけど、その哀愁と切なさを感じさせつつ全編シニカルに纏められてて暗すぎず明るすぎずの絶妙なラインが良き。ジェフはセバスチャン・スタンという俳優さん。アベンジャーズに出てるらしいけど、マーベルに関しては無知の無知だから全然わからない。毒親ラヴォナにアリソン・ジャネイ。怪物を怪演した方。憎々しいほど身勝手で暴力的な母親をしっかり演じていて、この方も物語の軸になってたと思う。この役でアカデミー賞助演女優賞受賞。納得。エンドロールでトーニャ本人の当時の演技が流れてた。普通に綺麗で美しく、ちょっと勝気で強気なスケーティングなのがトーニャっぽい。間違いなく優れたフィギュア選手のひとりだと思う。
2021.08.18
1972年のミュンヘン・オリンピック開催中に起こったパレスチナゲリラ”ブラック・セプテンバー 黒い九月”によるイスラエル選手団。イスラエル機密情報機関”モサド”は暗殺チームを編成、報復を企てた。命をかけた熾烈な報復合戦の果てに残るのは大いなる無情かこの映画、物凄く暗いけど好き。初見は劇場まで見に行った。しかも友達と。最後のシーンでめちゃくちゃ気まずかった覚えがある笑でも、なんか心の残る映画の一つになっていた。単純に話の筋は子供でもわかっていたし、最初は優位に立っていた報復合戦も、ひとりまた一人と仲間が狙われはじめた頃から、色々と狂いだすところも子供心に恐怖だった。まさに深淵を覗き込むとき深淵もまた君を見ている的な感じかな。大人になってもう一度見てみると、より理解が深まった。誰が決定的に悪者なのかを明確にしないのが、中立的でいいと思う。お話は1972年のミュンヘン・オリンピックの最中、パレスチラ系のゲリラが宿敵のイスラエル選手団が居住する建物に押し入って彼らを人質に取った、実際の事件から始まる。結局この事件は、飛行場まで連れて行かれた選手たちはそこで皆殺しにされ、ゲリラたちは逃げおおせるという結末を迎えてしまう。一連の事件に憤慨したイスラエル諜報機関モサドは、このゲリラたちに対する報復を決定。そのリーダーに抜擢されたのが、イスラエル人のアヴナーだった。アヴナーたちは莫大な資金を背景に次々首謀者の情報を炙り出し、一人一人確実に暗殺していく。だが、パレスチナ人たちも黙ってはいない。アヴナーたちが動くたびにパレスチナ人たちも報復を開始し、やがて報復合戦は血で血を洗う壮絶な戦いへと変貌する。孤立無援となっていくアヴナーたちだが、頼りのイスラエルさえも表立ってはアヴナーに関与していないと表明し、梯子を外された形となる。誰が敵で誰が味方か、、疑心暗鬼になったアヴナーは徐々に精神を病んでいく、、この作品が心に残る理由はいくつかあるかもしれないけど、その一つが、全ての人たちが平等に描かれているというところじゃないかな。全体的にものすごく淡々と流れていて、起伏がないところがまた怖い。この映画に出てくるパレスチナ人、特に首謀者としてモサドからメタクソに極悪非道だとレッテルを貼られた人たちも、ごく普通の人間として描かれている。一歩町に出れば、振る舞いのいい紳士だし、妻も子供も大切にしている家庭人だし、ホテルのバルコニーでたまたま居合わせた隣室の客にも愛想よく挨拶する、そんな人たちだ。もちろん、無抵抗のイスラエル人を殺害したのは断じて許されることじゃないとは思う。そこのギャップ?みたいなのを狙ってるのかもしれないけど、この映画を通じて、アヴナーたちに絶対的な正義があると感じる人は少ないと思う。極悪非道って何?自分たちの正義って何?自分たちのしてることって何?って問わずにはいられない。だったらアヴナーたちはどうなの?紳士を撃ち殺して、人を爆死させても次の日は普通に食事をとっている。妻の出産にはそわそわしてるけど、結局のところ人殺しに躊躇いがない。パレスチナ人ゲリラとアヴナーたちにどれほどの崇高な理念の差があるのか?なんかスピルバーグ氏がそんな疑問を呈しているように、勝手に感じた。あくまで勝手にね。作戦は最初こそ順調だけど、雲行きがすぐ怪しくなる。事態はアヴナーたちが思っているよりも複雑で、パレスチナの有力者を失いたくないアメリカまで関わってきたり、一筋縄ではいかなくなってくる。頃合いだと見て本国に返されるが、アヴナーを表立って称賛する者はいない。彼という存在も、そして報復チームも、イスラエルとは無関係だとされているからだ。アヴナーはやがて祖国イスラエルを離れ、遠いアメリカの地で残りの人生を過ごしていく道を選ぶ。作戦全体を見ても、モサドの方の対応の薄情さがかなり目立つ。アヴナーたちを招集して危険な任務にあたらせているのに、せこく資金に口出ししたり、爆弾を作ったこともないような素人を作戦に参加させたり。報復をした時、矢面に立って狙われるのは絶対に首謀者のアヴナーたち。パレスチナゲリラがそうだったように。なのにバックアップが薄くて、当然のように次々仲間が死んでいくことになってるし。蜥蜴の尻尾きりだよね、こんなの。理念とか信念とかを利用して、いいように使われてるだけだよ。アヴナーは裏社会の情報屋みたいなのにも関わってしまったし、今後死ぬまで、パレスチナの報復を恐れて生きて行かなきゃいけないんだよ。ベッドでは寝れず、クローゼットで寝ることになるんだよ、、結局、イスラエルに残ってても、監視されたり疑われたりで大変だろうから、アヴナーの選択は良かったと思う。この一連の作戦で彼に残ったものは何なんだろうね。でも最後のラブシーンはいるのか?笑子供の頃はマジでめちゃ気まずかったよ、このシーン笑今はなんとも思わないのも、それはそれで悲しいけど。あともう一つ、子供心に衝撃だったのが、女殺し屋に報復をするシーンかな。あんなに愛想よく近づいてきた人物が殺し屋だっていうのも衝撃だし、結局アヴナー一味だったら誰を始末しても良かったっていうのも衝撃だし、作戦途中に報復するんかーいっていうのも驚くし、色仕掛けでも全然アヴナーたちの意思は変わらないのも驚きだし、あの小さな豆鉄砲?で人間死ぬんかーいっていうのも衝撃。死にゆく彼女が自分の死を確信して、猫に別れのキスをして、デッキにあるチェアに腰掛けるのが、、静かで淡々としているけど、だからこそすごく衝撃的。一番は死んだ後、アヴナーの仲間がはだけた彼女をそのまま放置しろって言ったところ。なんか人間の尊厳を、最後に残ったわずかなモラルを突き崩すのってああいう感じなのかなと思った。私は女だからか(多分関係ないと思うけど)、そのシーンはすごく衝撃的だった、、めちゃくちゃかわいそうに思えた、彼女が。もう死んだんだから、それ以上はしてあげないで欲しいと思った。死んだだけでいいじゃん、それ以上彼女を辱める必要があるの?あんな状態で発見されるのが、どれだけ屈辱的か、、これは別に女性に限らず、男性にも言えることだけど。現にそう命じたおじいちゃんはこの事を痛烈に後悔してたし、その時のは感情が沸騰しすぎて制御できなかったんだと思うし、仲間が殺されて憎いのはわかるけど、、ただただ可哀想。全てにおいて無情、、でも、たまにはそういう映画もいいよね。配役的には、アヴナー役にエリック・バナ。同年代の作品だとハルクとかトロイとか、ブーリン家のヘンリー8世とかかな。観たことあるはずなのに、なんだかあんまり印象に残ってない笑誠実で真面目そうだけど、それ故に狂気じみた表情になっていくアヴナーが結構当たり役かも。アヴナー一味で最もアウトロー的な男・スティーヴには、007のジェームスボンドでお馴染みのダニエル・クレイグ。6代目のボンドです。ミュンヘンの翌年にはボンドになってます笑でもあまり印象に残らないんよね彼、トゥームレーダーのイメージが強すぎるのかな。トゥームレーダー繋がりだと、女殺し屋に殺されるのがキアラン・ハインズ。後、何かにつけて怪しいのと金にうるさいモサドのエフライム役が説明不要の名優ジェフリー・ラッシュ。すごく好きな俳優さんの一人。大作パイレーツオブカリビアンが有名だけど、英国王のスピーチが特に良き。オランダ人の女殺し屋はマリー・ジョゼ・クルーズという女優さん。体当たりな感じが良かった。彼女の存在が、この映画をより陰鬱とした影のあるものにしたと思う、いい意味で。こう見たら本当にいい俳優ばっかりだなーさすがスティルバーグさん。
2021.08.07
有名なホラー映画女優だった母・アマンダ(マリン・アッカーマン)を交通事故で亡くしたマックス(タイッサ・ファーミガ)。3年後、失意の底から立ち直った彼女は、友人たちに誘われ、母が出演していた80’sホラー映画を鑑賞することに。ところが突然、映画館で火災が発生。パニックになって逃げ惑う中、気が付くと、物語の中に入り込んでしまう。冒頭シーンが目の前で起こったり、映画の登場人物のはずのカートたちに会ったりとありえない出来事に戸惑いながらも、ナンシー役を演じている母にも会え、マックスは喜びの涙が止まらなかった。だが、当然、殺人鬼ビリーも出現し、次々とシナリオ通りに殺されていく・・。母の命が危ない!! ファイナルガールに選ばれた処女と殺人鬼が繰り広げる壮絶な一騎討ち! Netflixの予告では時間ループ物?って思ったけど、全然そんなことなかった笑 ひょんなことから映画のなかに入った主人公たちが、凶悪な殺人鬼ビリー(ほとんどジェイソン)から逃げながら、反撃する様を描いたコメディ作品。80年代然とした物語構成を逆手にとった、ある種皮肉めいた手法が良き。 まず、なにも考えず観れる映画っていいよね笑 小難しいトリックも複雑な伏線もなくて、あれ?もう一回見ないとわからないかも?ってシーンもないから巻き戻す必要なし。 お話はすごく単純明快。主人公のマックスの母親は、80年代に活動していた女優のアマンダ。彼女は一世は風靡していないが、ごく小さなコミニティにカルト的な人気を誇るスラッシャー映画の出演者の一人だった。が、不慮の事故で3年前に亡くなってしまう。ある夜、母親の面影を追い求めながら彼女が出演する映画を見ていたマックスは、仲間数人と共に突然、映画の世界へと取り込まれてしまう。母親と感動の再会をしたのも束の間、本来だったら殺人鬼ビリーを倒す、ファイナルガールになるはずだった女性が早々に死んでしまい、映画のシナリオが変わってしまった。(ファイナルデットシリーズみたい) 果たして誰が殺人鬼ビリーを倒す、ファイナルガールなのか!? マックスたちは映画の世界から抜け出せることができるのか!? みたいな話し。 確かに、こういう殺人鬼に追い回されて一人一人殺される系の映画って、最後はあまり派手じゃないけど、堅実な女の子が残るよね。海外では、そういう女性をファイナルガールっていうらしい。13日の金曜日とか、ラストサマーとか。エイリアンのリプリーもそうなのかな? 映画の中には、80年代のコレ系の作品に対するオマージュというか、パロディが沢山。 まず、舞台がキャンプ場といういかにも何か起こりそうな場所、登場人物は全員が頭のネジがぶっ飛んだ人たちばかり。女性が意味もなく裸になって、その途端に殺人鬼が現れるっていうスラッシャー映画の王道。この映画の場合はファイナルガールはバージンっていう設定で、ビリーを倒す役目がマックスに回ってきます笑 なんかこれ、すごく安直だけど、映画自体もそういうシナリオで進んでいくのが面白い。 つまり、マックスは無敵なんです。絶対に死なない。この映画の中で、惨たらしい殺人鬼のビリーを倒せるのは彼女ただ一人。あとの人たちはそれぞれ派手にでも地味にでも死んでいくけど、マックスだけは絶対に死なないシナリオになっている。 終盤、仲間が一人、また一人と死んでいって、マックスはアマンダを二度と失いたくないので、アマンダを守って逃げ惑います。でも、アマンダがいる限り、マックスは『ファイナルガール』じゃないので、悲劇はどれだけ経っても終わらない。自分がアマンダの子供とほのめかすマックスに、アマンダは「私は消えない。映画を見ればまた会えるから。私は映画スターよ」と言い残し、自らビリーの犠牲になることを選びます。外に出て、軽快な音楽とともに、わざと目立つように踊りながら服を脱ぎ始めるアマンダ。 時を経ても、たとえ映画の中でも、子供を守ろうとする母親に感動。(この時、現実のアマンダはマックスを産んではいないけど、なにか通じるものがあったのかな) ここ、すごくいいシーンでもあるけど、裸の女が出てきた瞬間に、ビリーが現れるのがちょっと笑える。 で、母親を殺されたマックスは怒り心頭で覚醒。 得物(マチェーテ?)を構えながらビリーに特攻する前、ここの字幕が、「処女をなめんなよ!」になってて、バチバチにカッコ良かった! もうね、得物の扱い方がプロなんです笑 飛んだり跳ねたり、それまでのおどおどしたマックスはどこにもいない。最強のファイナルガールであるマックスは見事、ビリーとの一騎討ちに勝利する。で、エンドロール。 ラストのどんでん返しも良かった。助かったと思ったけど、、みたいな。まあ、そんな簡単には出られないよね。スラッシャー映画ほど続編が出るのもわかるし。いい終わり方だと思う。これ系の続編てめちゃくちゃありそうだから、どこまで続くかわからないけど笑 スラッシャーを皮肉ったコメディ映画かと思いきや、結構見応えがあって面白かった。ファイナルガールが絶対に死なない、映画を終わらせるためにビリーも彼女を殺せないっていうところを逆手にとった作品。他にも、唐突な回想を利用してビリーから逃げる手法とか、意地悪なギャルが地味子と和解して結託するシーンとか、すぐに裸になりたがる女の手にミトンをつけて脱がせないようにするとか、終始下品なことばかり言う男とか、とりあえず「ああ、なんか80年代の映画っぽい」ってところがたくさん。 如何せんこの映画自体がB級っぽい感じだから、出演者はあまり知らない人ばかり。主演のマックス役はタイッサ・ファーミガ。目がめちゃくちゃクリクリしてる。アマンダとの別れのシーンがよかった。アマンダ役はマリン・アッカーマン。うーん、存じない方だけど、娘を守るために自分を犠牲にした踊りには鬼気迫るものがあった。
2021.07.26
DNA操作で生まれた"適正者"だけが優遇される近未来"不適正者"として自然出産で生まれた若者が適正者に成りすまして宇宙へ旅立とうとするが・・・。ひたむきな努力と夢を諦めない情熱が遺伝子という呪縛を突き崩す!Netflixにあったから偶然鑑賞。あらすじだけ見たら、ホラーちっくで主人公が取り憑かれたように自分の夢を追い求めて周囲も自分も破滅する、的なものなのかと思ったけど、予想以上に作品に哀愁と品があった。控えめに言ってめちゃくちゃ良き。イーサン・ホークだからいいのかな。決して自分では変えることができないとされてきた『遺伝子』という運命を、自分の知恵と努力で覆そうと抗う姿と、各々がちゃんと考えて行き着いた先であるラストシーンに涙しそうになる。物語は近未来。生まれてくる子供の遺伝子を当然のように操作し、優秀な者のみに地位と名声が与えられ、それ以外の者が人間であって人間ではない、不適正者として扱われる世界。ここでは親が子供に対する一番最初にして、最大のプレゼントがより優位な遺伝子を与えることとなっていた。しかし、主人公であるヴィンセントの親は、この潮流に反して遺伝子操作をせずに自然のままでヴィンセントを授かる。その結果、生まれてすぐにヴィンセントは病気がちで寿命から才能から並以下の『不適正者』と診断され、本当なら父親の名前を授けられるはずだったのに、その名は遺伝子操作をきっちりと行った優秀な弟『適正者』であるアントンに与えられた。遺伝子という変えられないハンディを背負いながらもヴィンセントは子供の頃から抱いていた、宇宙飛行士になるという壮大な夢を追い求める。なんていうか、、とりあえずヴィンセントがいいやつなんだよ笑彼は高潔で品があって、でも決しておごらずに自分に足りない部分を補おうと必死で努力する。『不適正者のヴィンセント』では一生宇宙にいけないと実感した彼は、DNAブロカーに接触して不慮の事故にあった(これも色々あるんだよね)優秀な適正者に成り済まし、『適正者のジェローム』に扮してガタカに潜り込むんだけど、ここでは髪の毛一筋でも検査されるとすぐ正体がバレてしまうので、神経質なまでに自分という痕跡を消す。その姿がなんかいちいち悲しいよ。逐一パソコンを掃除して髪の毛が落ちてないか確認して、家に帰るとアカスリで汚れを落として皮脂一つも外で落とすまいと必死。ヒロインのユマサーマンと一夜を過ごしたあとでさえ、彼は朝一で部屋を出て夢中で浜辺の砂を自分に擦り付けてヴィンセントの存在を消そうとする。本当に悲しい。そうやって正体をバレまいと苦心してるヴィンセントを見てると、哀れというよりはひたすら悲しくなる。自分を否定(DNA的な意味で)し続けるのが生活の一部になっているのが悲しい。報われて欲しい。しかも実際、ヴィンセントはかなり優秀。遺伝子的には落ちこぼれと言う烙印を生まれながらに押されたけど、ガタカに入った後の成績や実績は彼の努力によるもの。その結果、エリート揃いのガタカの中でもトップクラスのエリートになり、見事宇宙飛行士の候補にまでなった。ヴィンセントは先天的な才能が一切なく、腕っ節ひとつで今の地位を築いた。その裏にはたゆまない努力と強靭なメンタル、そして夢を追い求める純粋な情熱とこの遺伝子に支配された世界に風穴を開けてやろうという反骨精神がある。逆にもう一人の主人公というべきなのが適正者として生まれ、将来を約束された身でありながら、不慮の事故で半身不随となったジェローム。自身の適正者としての身分をヴィンセントに売る代わりに、生活の保障をしてもらう契約を結んだ人物。最初は飲んだくれたりやさぐれ感あったけど、徐々にヴィンセントの熱意に感化されて互いを理解し合える親友のような立場になっていく。おそらく彼も遺伝子を頂点とする、この階級社会の犠牲者なんだろうな。かつてのジェロームはオリンピックで活躍できるほどの有能な水泳選手だった。けど、彼の首にかかっているのは銀メダル。ヴィンセントは銀メダルでも凄いと言うけど、ジェロームは明らかに不服そうだった。どうして遺伝子的に優秀な自分が、一位じゃないんだと言わんばかりの顔をしていた。事故にしても自分から車の前に飛び出たって言ってたし自殺的な部分があるんだろうな。ヴィンセントよりもはるかに恵まれた環境に、それも生まれてすぐ適正者としての幸運な環境にいながら、ジェロームは彼なりに苦悩していた。よく言うのは、中学で成績優秀で学年トップクラスの生徒が、高校で有数の進学校に入ると途端に周囲のレベルがあがり、勉強がついていけなくなって落ちこぼれになる、みたいな感じかな。不適正者と適正者の間には明確な境界線があるけど、適正者には適正者たちによる熾烈な競争があるわけで。なまじ神童だ秀才だ、と散々言われて育ってきたからプライドも高いだろうし、勝って当たり前の世界で勝ち続けることって想像以上に苦しいんだろうな。今はまだ自分達より下(こんな書き方イヤだけど)の不適正者達がいるから優越感に浸れるけど、これが全員適正者の世の中になったら、適正者ってなに?ってなるような気がする。より争いが酷くなりそう。ただ、この二人は似てるのか?笑作中では当然のように二人が似てて、ヴィンセントの正体を疑った警察までもが騙されるっていうシーンがあるんだけど、いいのかそれで笑まあ多分、血液は嘘つかない的なあれで、見た目なんかはどうでもいい世界なのかな。そこさえ入れ替えときゃなんとかなる。アメリカンサイコ的な、スーツ着てれば皆同じみたいな。物語の冒頭、ヴィンセントの正体を疑っていた医者?が殺害されるけど、もちろんヴィンセントは犯人じゃない。そんな人道に悖る行為はしないのがヴィンセントです。血は偽るけど笑腑に落ちないのはこの犯行を自供したガタカの局長が、本当に宇宙船打ち上げ延期を理由に医者を殺すかな?ってところです。ガタカを統べる権力者が、そんな単純で小さな理由で人殺しをするのか。だって別に何度も打ち上げはしてきたんだし、その一本が延期になったって大勢に影響はそれほどないはず。多分、局長もヴィンセントの正体に薄々気づいてたんじゃないかな。で、直向きな彼に同情して、正体がバレるのと打ち上げ延期を阻止するため(この宇宙船にはヴィンセントが搭乗予定だったから)、ヴィンセントのために殺人を犯したんじゃないかなって想像した。ヴィンセントに協力的な人はガタカ内に他にもいて、例えば掃除夫のおじさんはヴィンセントが飲んだゴミとか、髪の毛とかをさりげなく処分してたし、ユマサーマンも要所要所でアシストしてくれたし。ラストの抜き打ち検査のシーンでも医者の一人がヴィンセントが不適正者とわかっていながらデータを書き換えてヴィンセントが搭乗出来るように計らったし。めちゃええシーンだったよ。みんな実は、ヴィンセントが不適正者だと気付きながら、でも、そんな運命に抗う健気な彼を影から応援してたんだったら、それは遺伝子関係なくヴィンセントの純粋な人柄によるものだろうな。遺伝子的に優秀なはずの弟のアントンはそこに胡座をかいて、人間的にも優秀さでもヴィンセントには勝てなかったよね。警官が悪いってわけじゃないけど、エリート揃いのガタカには入社できてないわけだし。ラストシーンは悲しいけど、ああいう方法でしかジェロームの苦悩は終わらなかったんだろうな、、彼は後悔したんだと思う。不適正者だけど努力して夢を叶えたヴィンセントを間近で見ながら、優秀と言われた自分自身をもう少し信じて、大切にしてあげればよかったって。自分がいたらいつか正体が露呈するかも知れない。自分の人生を本当にヴィンセントに与えて託した。最後にヴィンセントに対して出来る最大の献身がああいう形になったのなら、苦しいけどジェロームの意思がしっかり表れてたよ。主演はイーサン・ホーク。名前は知ってるけどあまり映画を観たことがない役者のひとり。Wiki見たらパージに出てるんだね、、観たことあるけど全然知らなかった。お父さん役かな?多分その時はイーサン・ホークの顔を知らなかったんだよ笑ヒロインはユマ・サーマン。二人はこの映画の共演をきっかけに結婚した。(後に離婚)ユマ・サーマンも最後まで裏切るか?ってキリキリしてたけど、ちゃんとヴィンセントの理解者でよかった。ジュード・ロウも言うことなし。リプリーに続き誰かに間違えられる系俳優。ヴィンセントを最後にかばう医者にサンダー・パークレー。エアホースワンでは裏切り者の非道なテロリストだったけど、今作ではひたすらいい人。ヴィンセントは周りに恵まれたね。遺伝子じゃなくて人に恵まれてる。あと地味にDNA仲介人がメン・イン・ブラックの頭吹っ飛ばされてもすぐ生えてくるエイリアン役の人だった。こういうの見つけるのも面白い。
2021.07.25
1996年、アトランタ爆破テロ事件の実話。警備員の男、リチャード・ジュエルが爆弾の入ったバッグを発見したことで、多くの人々の命が救われた。だがFBIは、爆弾の第一発見者だということを理由に彼を容疑者として逮捕。彼は、一夜にして国民のヒーローとなり、そして一夜にして全国民が敵になった。リチャードの味方になったのは、世界いち無謀な弁護士、ワトソン・ブライアント。ワトソンが捜査に異議を唱える中、女性記者のキャシー・スクラッグスの記事をきっかけに容疑の報道は熱を帯びていく。「事実」とされた報道の「真実」はどこにあるのか。そんな態度だったら疑われちゃうよおじさん!こちら、実話を基にした映画。そういう映画の主人公って当たり前だけど実在した人だし、すごく丁寧にその人に不利な部分はなるべく省くし、今回なんかは無実なのにあらぬ疑いをかけられた側で最終的にその冤罪は晴らされたまさに清廉潔白な人。普通だったら視聴した後はスッキリして、今後のこの人の人生に幸あれ、くらいには思うんだけど、びっくりするほどこの主役に共感できなかった笑これはもうこの脚本がそういう風に仕向けたとしか思えない。ある意味モヤる映画。全ての始まりはこのリチャード・ジュエルという人物。この方、遊園地の警備員なんだけど、ひょんなことから爆弾を見つけて周囲の人間を避難させ、テロから多くの人の命を救ったまさにヒーロー。の、はずが、「こんなどこにでもいるおっさんがヒーローなわけねーだろ」って感じで、第一発見者は疑われるセオリー通りに目をつけられてみんなのヒーローから一気に容疑者へ。そこから、昔の職場の知り合いだった弁護士を味方につけて疑いを晴らすために奔走するんだけど、、実際、彼のアリバイは完璧で、絶対に犯行に関わっていない旨がちゃんと描かれてる。のに、メディアは彼を容疑者と騒ぎ立て、FBIは法律スレスレどころかしっかりアウトな強引な捜査をしてくる。冤罪はもちろん悪だけど、リチャード・ジュエルは無駄に正義感が強くて、ただの警備員の自分をFBIと同等の法を司る者?的な位置に置いてるし、仲間のように振る舞っている様は痛々しい。そうやって自分の心を保つために理由をつけてるのかも知れないけど、ワトソンがキレるのも分かるわ。本人にそのつもりがなくても、理不尽ことを強要されてもヘラヘラしてて媚びてるようにも見えるんだよね。だからと言って冤罪は良くない(大事なことなので二回言っておく)でもやっぱり伝え方とか、振る舞いってすごく大事だと思う。リチャード・ジュエルは自分がやってないからそう言えるかもしれないけど、端から見たらその余裕さとか、プライドとか振る舞いとかがすごく不思議に見えてくる。不思議に見えた後は疑いの芽が出てくるし、一度そうだと決めたらFBIやメディアだって引くに引けない。スネに傷がない人間なんていないけど、その後どう振る舞うかが重要だよ。「黙っていても、あれは僕は正しいことをしたんだから何も言う必要ないよ」的な羊のようなお人好しスタンスは付け入られるだけ。だから相手方に乗り込んで自分の意見をしっかり言った部分はよかった。「次、不審な荷物を見つけた警備員はリチャード・ジュエルのようにはなりたくなりから、その爆弾を見て見ぬふりするんじゃないか。そして安全がなくなってしまう」本当にそうだよね。リチャード・ジュエルのしたことは称賛されはしても、咎められるようなことは一つもしてない。一度、振り上げた拳を降ろせなかったプライドの高いFBIが一番悪いんだよ、クズすぎる。こういう冤罪を晴らす系実在の映画では、ルービン・カーター事件が題材となったデンゼル・ワシントン主演の『ザ・ハリケーン』の方が好きかな。この映画は徐々に証拠を揃えて力を合わせて冤罪を勝ち取った感が痛快で気持ちいいけど、今回の映画は早々に強固なアリバイがあるのに、みんなそれに見て見ぬふりをしてリチャード・ジュエルの人間性を攻撃しまくって、だけどリチャード・ジュエルにも共感できる部分とか同情できる部分が少なかったのが面白く見れなかった点かな。これ系はベタだけど、法廷での「うおぉぉぉこれで無罪やー!!」的なノリが見たかった。でも最後、事件から数年後にちゃんと真犯人がつかまって無実が証明されたけど、容疑者でないからと言ってヒーローにも戻ることができない、っていうところは切なかった。警官にはなってたみたいだからよかったの、、かな?実在の人物リチャード・ジュエルを演じたのはポール・ウォルター・ハウザー。ある意味はまり役。そんな彼を弁護するのがサム・ロックウェル演じるワトソン・ブライアント。サム・ロックウェルはいまだにチャーリーズ・エンジェルの人ってイメージ。あと、ベスト・オブ・エネミーズにも出てた。この映画の中で一番好きなのはキャシー・ベイツ!この人を見るとミザリーを観たくなってくる不思議。あと、タイタニックの女主人でも出てたなー取り敢えずミザリーのあの狂気はなかったけど、主人公のお母ちゃんとして可愛そうな立ち位置をしっかり演じておられました。ちなみに今wiki見たら監督はクリント・イーストウッドだった。うーん、結構退屈な映画だったよイーストウッド。
2021.07.24
史実を基にしたポール・ブリックヒルの同名小説を、スティーブ・マックィーン、チャールズ・ブロンソン、ジェームズ・コバーンらオールスターキャストで映画化した戦争ドラマ。第2次大戦末期、ドイツにある絶対に脱走不可能といわれた捕虜収容所で、連合軍兵士250人の大量脱走計画が持ち上がる。連合軍兵士とナチス軍のせめぎ合いや集団脱走の顛末が壮大なスケールで描かれる。監督は「荒野の七人」の巨匠ジョン・スタージェス。共演にリチャード・アッテンボロー、ジェームズ・ガーナー。不朽の名作と言われる所以がこれでもかと詰まった間違いなく傑作!この映画、最初は先入観があって「この時代の映画って、、」って思ってたけど、間違いなく面白い。でも一度観ただけでは登場人物多すぎて覚えられず、再度チャレンジ。それでもやっぱり面白かった。言わずと知れた映画史に残る名作のひとつ。例えこの映画を観たことのない人でも、劇中に流れる大脱走マーチは絶対に一度は聞いたことあるはず。むしろ、この音楽って、この映画からきてたの?って目から鱗だった。この時代の映画って別に大どんでん返しがあるわけでも、劇的なシーンがあるわけでも裏切りがあるわけでもないけど、単調にならずずっと観ていられる。昔の映画は昔の映画で良き。現代にはない爽やかさ?みたいなのがある。正直、1963年ってたぶん親もまだ生まれてないと思う笑だから豪華俳優陣の共演なんだと思うけど、俳優に関しては分からない。スティーブマックイーンとチャールズブロンソンくらいかな、聞いたことあるのは。おそらく当時としては名の知れたスター揃いだったんだろうなーとしか。お話は実話を基にしている。第二次世界大戦最中、ナチスドイツの捕虜収容所から総勢250名で文字通り、大脱出を図ろうと画策する将校たちの姿を、多方面から描いた群像劇。それぞれの知恵や長所を生かしつつ、個性豊かな面々がユーモアとシリアスを織り交ぜながら決死の脱走を図る。そもそもこの収容所には、なぜか脱走経験の前科がある人ばかりが集められている。腐って卵は同じカゴに、みたいな説明あったけど、これってドイツかなり迂闊じゃね?と思う。エキスパートが揃っちゃったんだよ、これで。まあ仕方がない彼らが揃わないと大脱出しないんだから、その矛盾は目を瞑りましょう笑なんせ脱走経験者ばかりだから、色々な役割の人が揃ってる。穴堀屋、仕立て屋、調達屋、身分証明書を作るグループと多岐に渡る。脱走してフランスから脱出するまでが計画に入っているので、怪しまれないようにフランス語の勉強などもする念の入れよう。みんなで工夫して、掘ったトンネルから出てきた土を処分したり、わざと騒ぎを起こしてドイツ兵の目を逸らして道具を盗んだり、大きな音を歌を歌って誤魔化すだけのグループがいたり。チームワークがとりあえず良すぎる!そしてドイツ兵が甘すぎる!笑だって普通にベッドの板を間引いたらなんか気づかないか?身分証を盗まれた兵とかも鈍感すぎるし、収容所内で密造酒を作ってることに気づかないとか、それを手に独立記念日にどんちゃん騒ぎしてても黙認だわ、ちょっとあれな感じ。まあ、そのどんちゃん騒ぎが元で掘っていた穴が一つ見つかって、仲間の一人アイブスが現状を悲観して自死してしまうけど、こんな事もあろうかとちゃんと別ルートの穴を予め掘ってたし、わりかし脱走までは順調にことが運びます。この映画を観る前、なんとなくスティーブマックイーン扮するヒルツが主体となって大脱走チームを編成しているのかと思いきや、ヒルツは一匹狼の脱走王で他と群れない。よく一人で脱走しては捕まって独房送りになっている。まさに独房の常連。だから集団脱走計画を発案した事実上のリーダーであるバートレットたちから計画に参加するよう促されても当然のように断る。(多分、アイブスのためだろうけど)これがなんか意外だった。結局、仲間のアイブスが亡くなったことで、計画に協力的になる流れ。ただ、現実でもそうだったようにこの脱走計画、250名の脱走を目指していたけど、実際のところは50名ほどしか脱走に成功していない。掘ったトンネルが思った以上に短く、森まで到達してなかったのが一番ダメだったと思う。途中で歩哨に見つかってしまうのだ。しかも、戦時下を生き延びたのはその中でもたったの4、5人?ほどだったという非常に過酷なもの。これもまた、映画を観るまでは、「どうせみんな脱獄に成功したんでしょ?ハッピーエンドなんでしょ?」と思ってたけど、全然違った。前半のユーモラスな話の展開とは裏腹に、後半はかなりシビア。ヒルツがバイクを駆ってドイツの追手から逃げるシーンは一番有名だとけど、これも最後は結局捕まってしまう。初見の時はこのシーンに唖然とした。逃げられなかったのかい!スティーブマックイーン!他の脱走者たちも過酷な運命を辿る。脱走途中で命を落とす者はもちろん、最終的には大半が捕まり収容所に連れ返され、運悪くゲシュタポに捕らえられた人たちは秘密裏に処刑されてしまうのも、、なんかノン・フィクションを見せられてる感じがして暗く重苦しい。でも大前提として、やっぱり公共交通機関を使うのはまずいと思う。すぐに検問所が設けられて身動き取れなくなってしまうし、そうなると逃げ場がなくなる。彼ら的には脱走計画が露見するのがもう少し後になると見越して、少しでも遠くに逃げるために列車やバスを乗り継ぐのはわかるけど、、それにしてもバートレットは残念すぎるし、マックもなんで部下に注意しろと忠告していた簡単な罠に自分が引っかかるんだ、、残念すぎる。コリンに関してはこうなることが薄々わかっていたと思うし、それでも外の空気を吸えただけ満足していたのだと思いたい。ヘンドリーは最後までコリンを守ろうとした!でもヘリで逃げるのは目立ちすぎるよ!もっとこそこそ逃げようよ!無事フランス脱出を果たしたのは、いずれも派手な動きを取らず、公共交通機関を使用しなかった3人(劇中ではね)これが正しい逃げ方だと思うな、、運任せなところもあるけど、やっぱ検問所張られると、どれだけ偽装パスがあっても辛い。ラストは華麗に収容所に舞い戻ってきたヒルツが、独房に入れられてなお懲りずにまた脱走するんだろうなって感じの終わり。まじ不屈の精神すぎる。ドイツ側ももうちょっとヒルツの処遇を考えた方が良くない?彼、絶対またやらかすよ笑実際はこの脱走計画には反ナチ的な将兵が協力したり、収容所にいた捕虜の半数近くが力を貸していたりと、本当に大規模なものだったみたい。映画ではドイツ兵のそういったそぶりはなく、鈍感で間抜けなドイツ兵がヘンドリーに踊らされてる感じで描かれているけど、ドイツ兵の協力なくして、この規模の脱走は不可能だろうなとは思う。トンネルの画像がネットにあったから見てみたけど、うん、確かに森までは届いてないし、有刺鉄線のすぐそば。このちょっとした差が命取りになるのか、、としみじみ。主演はご存知スティーブ・マックイーン。普通にかっこいいわ。バイク駆るのが上手だなーって思ったら普段から颯爽と乗り回していたらしい。絵になるわけだ。あと知ってるのはダニー役のチャールズ・ブロンソンだけどさ、、出演してる映画はほとんどしらないんだよね。本当に名前を知ってるだけ。でも強面だけど閉所恐怖症で心優しいダニーは素敵だった。閉所恐怖症なのにトンネル掘るって単純にすごくね?Wiki見て気づいた俳優的には、バートレット役がジェラシック・パークのハモンド?社長さんであるリチャード・アッテンボローだったり、そんなバートレットを庇って死んだアシュリー・ピットがネイビー犯罪捜査班のダッキー役のデビット・マッカラムだったり。まじダッキーにはびっくりした。若かりし頃が美男子すぎてでびっくりした。ヘンドリー役はジェームズ・ガーナー。存じていません、すみません。でもヘンドリーの飄々としてるけど義理堅い男は良き。
2021.07.10
キューバ危機に揺れる1962年、落ちぶれ天才数学者が米国政府から命じられたソ連相手のチェス対決。だがその実体は、2国の運命をかけたスパイゲームだった。キューバ危機とかチェスとかあんまり関係なくない!?これはNetflixオリジナル映画。まあね、 Netflixオリジナルに当たり外れがあるのはわかってるけど、個人的にはあたりではない(ハズレとも言っていない)はっきり言って、キューバ危機の歴史的背景やその中に蠢いていた陰謀は全然わからない。ソ連のスパイが二重スパイで、実際はアメリカ側についてて、その人がアメリカにソ連の核弾頭は思っているより少ない、みたいな有益な情報を流したから、アメリカが強気で行けて最終的にソ連が譲歩したとか、、だったかな?歴史を知っていればこの作品を楽しめたかもしれない。だけど、たとえ歴史を理解してても、もう一つこの作品であれ?ってなった部分がある。これってチェス関係なくない?あらすじでは、「チェス対決が両国の命運を握る!」みたいだったけど、チェスの勝敗は実際あまり関係なかった。最終的にはアメリカ代表のビル・プルマン(役名忘れた)も負けて終わる。不戦勝だったけど。チェス大会にソ連スパイが有益な情報を持って現れるけど、スパイ的にはアメリカ側の人間も信用できないから、一番無関係っぽいパンピーのビル・プルマンが仲介役になるよ!だからチェスに参加してね!って感じ。なかなかぶっ飛んだ映画だ。パンピー信用してええんか、ソ連スパイ、、ただ、このチェス大会が行われる場所がポーランドっていうところが、この作品最大のキモだと思う。冷戦下のポーランドは西側ではなく、ソ連共産党の支配する場所。ビルプルマンが宿泊しているホテル(宮殿だったかな?)の支配人もソ連に言われるがままソ連選手が有利になるように働きかけるのだが、実際ポーランド人はソ連を好意的に思っておらず、支配人は次第にビルプルマンに協力的になる。なぜソ連を嫌うのか、その理由も作中で描かれている。スパイ映画としては二転三転してよき。誰が敵で誰が味方?的な感じ。けど、やっぱりアメリカ側諜報員の女性はしょっぱなから絶対怪しいと思ってた笑で、その彼女が死んでからの展開も良かったと思う。すごく好意的なポーランド人支配人が犠牲になったのはちょっと、、だけど。チェスシーンもそれほど重要には描かれてないし、チェスをなくして純粋なスパイ映画にしたら分かりやすかったかも。結局ソ連スパイが持ち出した情報が、核弾頭関係の機密だったのか、、よくわからない。そしてこの作品、なにかとポーランドがフューチャーされがちだけど、それもそのはずこれはポーランド映画。だからソ連が殊更悪に描かれ、アメリカが割とよく描かれ、ポーランドはすごくよく描かれている笑でもいいと思う。ポーランド人がポーランド映画で何をどう描こうが勝手だし。ソ連スパイが扉の下からにゅって顔出したのが怖かったのと、アメリカ諜報員の男が暗殺された時に吐き出したのがどう見てもトマトジュースだったのが振り幅として最高に不思議で、なんだかよくわからない映画だった笑俳優陣的には主演の、酒に溺れた数学者だけどチェスの腕は天才的な男を演じたのはビル・プルマン。インディペンデンスデイの大統領。キャスパーのお父さん役でもある。髭はやしてるし別にビルプルマンじゃなくても良くない?の典型的な見た目だった。ポーランド映画だから、知ってるのは彼くらいかな。アメリカ側の諜報員の一人にロッテ・ファービックという女優さん。顔の造形が好き。だけど怪しすぎた。死に様にちょっとびっくり。
2021.06.30
『セブン』『ドラゴン・タトゥーの女』の鬼才デヴィッド・フィンチャーが描く男と女の刺激的サイコロジカル・スリラーあなたはこの衝撃の展開に耐えられますか!?5回目の結婚記念日に姿を消した妻ダイニング居間の大量の血痕 妻の日記 結婚記念日の宝探しのメッセージ エイミーに何が起きたのか―夫のニック役には監督作『アルゴ』でアカデミー賞作品賞を受賞したベン・アフレック。ミステリアスな美しさを持つ妻のエイミーには、『アウトロー』の英国女優ロザムンド・パイクが扮している。誰よりも長い時間を一緒に過ごしてきたパートナーの知られざる秘密が次々と暴かれていく。鬼才デヴィッド・フィンチャーが仕掛ける衝撃の展開にあなたは耐えられるか―結局幽霊よりもヒロイン症候群のメンヘラ女が1番恐ろしい!ベンアフレック対メンヘラ妻の身の毛もよだつ心理戦を描いたサイコスリラー。そこら辺の幽霊映画よりも何倍も怖い、人間のおどろおどろした恐ろしさをこれでもかと表現している。自分が幸せに見えていなければ耐えられない女の最終進化系。映画で外から見ている分にはいいけどこれが現実に周りにいたらものすごく嫌。周囲が不幸になろうが人が死のうが私が幸せであればそれでいいてな感じのメンヘラ女が、これまたあまり美人じゃないのもなんかリアリティーがある笑(女優さんは好きよ)物語は結婚5周年記念の最中、ニックの妻エイミーが失踪したところからはじまる。エイミーは自身をモデルにした父親作の児童文学で名の知れた有名人であり、そんなエイミーの失踪はマスコミの格好のネタ。幸せいっぱいのエイミーが自分から失踪するはずないと周囲の人間や警察までもが不審に思い、死亡説まで流れる中、その疑惑の目は逆玉旦那のニックに向けられる。だが、実はエイミーは生きており、これは彼女のニックに対する壮絶な復讐の序章に過ぎなかった、、メンヘラ女は世間に数あれど、エイミーはその誰よりもタチが悪い。なぜなら、彼女は誰もが知る有名人であり、影響力がそこらへんのアマチュアメンヘラとは比べものにならないからです。エイミーは子供の頃からショウビズの世界にいた人物。どう振る舞ったら好印象をもたれるか、世間を味方につけられるか、同情を得られて自分の思い通りにできるかをちゃんと知ってる。まさにプロのメンヘラ。彼女はリックが若い女子高生と浮気していたのが許せず、リックの社会的地位を落とし、そして最終的には彼を自分殺しの凶悪犯として死刑にしようと目論んでいた。まじ厄介。自分の手を直接汚さず、同情を集めつつ相手を滅するのが本当に得意なエイミーです。エイミーは幸せになるべき自分が世間的に浮気された不幸せな女となるのが耐えられないんだろうな、、子供の頃から注目される存在で、誰よりも幸せの位置にいる自分が、旦那選びを間違えたなんてね、、方やパンピーの旦那であるニックはこのエイミーの策略に終始踊らされる。最初はエイミーの意図がわからず、解ってからもなかなか先手を取れない。そんな彼がエイミーに勝つ手段は、エイミーの思い通りにすること!エイミーは複雑なようで単純な女なので、リックがちゃんと「美しい妻エイミーは誰よりも優しく思いやりがあり、最高の女性だが、自分が不甲斐ないばかりに彼女を傷つけた。エイミーは何一つ悪くない!」と、メディアを通じて熱っぽい演技をしたら、ちゃんとグッとくるんです笑そして自分がか弱いヒロインになるようにしっかり小細工をして、リックの元に舞い戻ってきます。自分を匿ってくれてた男を当たり前のように殺してからね。まあ、ここまで書いてたら極悪非道の悪女に見えるエイミーも、実は万能ではないところがちゃんと描かれてる。それはエイミーが行方を晦ませている最中、安いモーテル?でもないような所に宿泊した時のこと。そこで偶々知り合った男女に、ひょんなことから大金を持っているのがバレて恫喝される場面がある。それまでエイミーは自分の正体を隠してDV旦那から逃げている不幸な女性として振る舞っていたが、ここで初めてエイミーは本当の暴力を目の当たりにする。お芝居ではない、世の中には出会って間もない人間を当然のように脅す男と、それまで親しくしていたのにお金のために突然豹変する女がいる。この二人が部屋から出てったとき、エイミーが枕に悲鳴のような雄叫びのようなものを上げてて、多分驚きとか憤りとか苛立ちがあるんだろうけど、その中の感情には言いようのない恐怖もあったんじゃないかと思う。結局、エイミーが周りをコントロールできるのは、彼女がエイミーだと知ってる人までってことかな。エイミーが誰だか知らない、見た目みすぼらしいのに大金を持ち歩いている女、としか認識できない人たちを、エイミーは世間やリックほどコントロールできない。まあそれは当たり前っちゃ当たり前なことなのかな。でも、このシーンはエイミーの弱さが伝わってくる。彼女は別に自分から有名になろうとしたわけじゃない。父親が自身をモデルに小説を書いて、それが当たって「あの有名小説のモデルの子」となっただけで、彼女は何もしてないのに名声やら知名度やらを手に入れた。世間も彼女の意志とは裏腹なエイミー像を勝手に作っていく。幸せなエイミー、素敵なエイミー。それは彼女がこうなった要因でもある。闇が深い。まあ最後はエイミーの正体を知ったリックを、エイミーがそう簡単に手放すわけないよねって感じのラストだったけど、倫理観ぶっ飛んだメンヘラがすることだから、もうリックには生涯彼女とともに生きる道しかないんだから諦めよう笑俳優陣はメンヘラの生贄となったリックを演じるのはベン・アフレック。個人的にはベンアフレックの困り顔がツボ。どの映画でもツボ。エイミー役にはロザムンド・パイクというイギリスの女優さん。顔好き。圧倒的美人じゃないけど、だからこそ説得力がある笑この作品でアカデミー賞主演女優にノミネート。良き。あとは最後の最後にエイミーの正体に気付きかけて追い詰めるけど返り討ちにされる警察役がキム・ディケンズで、インビジブルに出てた人!ってなった。
2021.06.29
リック・ダルトンはピークを過ぎたTV俳優。スターへの道が拓けず焦る日々が続いていた。そんな彼を支えるクリフ・ブースは彼に雇われた付き人でスタントマン、親友でもある。エンタテインメント業界に精神をすり減らし情緒不安定なリックとは対照的に、いつも自分らしさを失わないクリフ。そんなある日、リックの隣に時代の寵児ロマン・ポランスキー監督と女優シャロン・テート夫妻が越してくる。自分たちとは対照的な二人の輝きに触れたリックは、俳優としての光明を求めイタリアでマカロニ・ウエスタン映画に出演する決意をするが—。これはなぜか全然ハマらなかったよタランティーノさん!タランティーノ監督は嫌いじゃない。キルビルも2作品ちゃんと観たし、デスプルーフも観た。ジャンゴとかイングロリアス・バスターズはまだ観てないけど、、あ、ヘイトフル・エイトは良かったよ!でも、この作品は全然ハマらなかった。タランティーノ好きな人には申し訳ない。でも正直、飛ばし飛ばし観てた。なんでだろ?手法とか見せ方とか、無駄に長いのが正にタランティーノっぽいはずなのにびっくりするほど退屈だった。まじなんで?アカデミー受賞作だから?あらすじはよく観てないから語るに値しないと思う。物語の全貌を知りたい方はあらすじをちゃんと書いてるちゃんとしたブログに行くことを強くオススメします。以下は飛ばし飛ばし観た人間の感想です。主人公は落ち目のTV俳優のリック。TV俳優から映画スターを目指して欲を出した彼は、他の例に漏れずに人気が凋落し、今はもうかつての名声を食いつぶす日々を送っていた。彼の横にはリックのスタンドダブルであるクリフ。リックが這い上がれなければ、クリフも這い上がれない。二人は落ち行くだけの人生をもがきながら(クリフはかなり楽観的だけど)生きていたが、ある日リックのとなりに有名監督とその妻シャロンテートが越してくる。話がシャロンテート事件をずっと追わず、落ち目の二人とシャロンテートの日常が交互に描かれてる感じ。シャロンとリックたちには接点はない。そして時々、タランティーノっぽい橋田壽賀子先生並みに長いシーンが入る。ブルースリーとかのくだりはなにか意味あったのかな?飛ばしてたからわからない。あと、リックがウェスタン俳優だから西部劇が色々差し込まれるけど、うーん、、好きな人にはウケるんだろうけど、、西部劇よく分からない。実在する映画なの?タランティーノの創作?それさえも分からないからどうしようもないわ。大脱出のシーンは笑った。数少ない見たことある映画だった。リックの苦悩は分かるよ。子役の女の子との会話もよかった。誰よりも自分が一番、自分が至らない事を理解してる。若い頃はなんでもできる気でいて、実際なんでも器用にこなすんだけど、歳を重ねると威勢と気持ちだけでは何でも出来なくなってきて、そんな自分に嫌気がさすことなんか誰にだってある。せっかくの撮影を深酒でNG出した時、鏡に向かって自分を叱咤するリックが泣ける。そこからの迫真の演技は彼を馬鹿にしてた人たちを見返すには十分だと思う。リックも褒められて自信を取り戻したみたいだし。やっぱり褒められないと人間卑屈になっちゃうよね。嫌がってたイタリア作のマカロニウェスタンにも出演を決める。いい流れ。で、クリフはなにがしたかったの?まじ女の子ひっかけてヒッピーの溜まり場みたいな場面は、、飛ばし飛ばしだった。でもここで恨みを買ったんだよね。ヒッピーの親玉みたいなのから。違うかな?実際、シャロンテートはこのヒッピーの親玉みたいな人を筆頭とするカルト的なグループに殺害されたらしい。でもそれは結局は人違いで、シャロン達が越して来た家に以前住んでた人物が本来の標的で、シャロンたちは言わば巻き込まれただけの被害者。ここで歴史が変わってて、家を襲撃されるのはクリフたちになる。リックがたまたま私道に入ってきたヒッピーを一喝して、なぜかヒッピーは「TVで俺たちに残虐な殺し方を見せつけてきたアイツらを殺そうぜ!」ってなる。(なんで?)でもクリフはスタントとして身につけた殺人術で、リックは昔撮影で使用した火炎放射器で応戦してヒッピーたちを返り討ちにする(なんで?)結果的にシャロンテートは死なず、様子を見にきた監督(シャロンテートの夫)とリックが出会い、彼がシャロン邸に招かれて物語は終わる。シャロンテート事件の被害者はシャロンを含めて家にいた4人のほか、通りすがりの一人も巻き込まれたらしい。本来だったら、その一人がリックだったってこと?わからない。ただ、リックに光明が見えるラストなのは良かった。多分、監督と知り合うことでリックの俳優人生も良い方に転ぶと思うし。リックが上がればクリフも自然と上がるし。ハッピーエンド、、なのか?出演者はこれまた無駄に豪華。リック役のレオナルドディカプリオは言わずもがな、スタントダブルはブラッドピッド。体格似てるのかこの二人?シャロンテートはマーゴットロビー。アルパチーノも出てるしカートラッセルも出てる。あとダミアンルイスとか色々。個人的にはダコタファニングが出てるのにびっくり。
2021.06.17
時は1962年、ニューヨークの一流ナイトクラブ、コパカバーナで用心棒を務めるトニー・リップは、ガサツで無学だが、腕っぷしとハッタリで家族や周囲に頼りにされていた。ある日、トニーは、黒人ピアニストの運転手としてスカウトされる。彼の名前はドクター・シャーリー、カーネギーホールを住処とし、ホワイトハウスでも演奏したほどの天才は、なぜか差別の色濃い南部での演奏ツアーを目論んでいた。二人は、〈黒人用旅行ガイド=グリーンブック〉を頼りに、出発するのだが─。 異なる環境にいても互いを理解しあえれば一歩踏み出せる! 黒人と白人の交流を描いた、いわゆる感動作品と名のつく映画はこれまで何作もあったと思う。最強のふたりとか、前に感想をかいたベスト・オブ・エネミーズもそのひとつ。だけど、この作品がほかと決定的に違うところは、たぶん黒人のドクがお金持ちで、白人のトニーが労働者階級の貧困層に位置しているっていう点じゃないかな?とくにドクという存在がこの映画を唯一無二のものにしてる。複雑な彼の心にちょっと触れる度に、この作品は深みが増していく。実話であるのもまた良き。 お話は黒人差別が公然と行われていた時代、イタリア移民のチンピラみたいなトニーが、ひょんなことから才能あふれる黒人ピアニスト、ドン・シャーリーの運転手に抜擢されたところからはじまる。白人であるトニーは黒人のドクの小間使いみたいになるのが気に食わない、だけど沢山いる家族を養わなければならないということでしぶしぶ、南部ツアーにドライバーとして帯同することに。 出発前、ドクの演奏家仲間が「ここにいればチヤホヤされて簡単に稼げるのに、どうしてドクは南部に行くのだと思う?」と、トニーに問いかける。この時点で、この旅路が容易な演奏ツアーじゃないことがわかってくる。 そして暫くするとなぜ、ガサツなトニーに白羽の矢が立ったのかも理解できてくる。 ドクたちが住んでるニューヨークは多様性に寛容で黒人差別はあまりない。(トニーたちみたいな移民労働者たちは黒人に仕事を取られたと思っているからよく思ってないけど)でも、南部に行けば行くほど差別が色濃くなってくる。トニーみたいな用心棒的な人物がいないとドクを守れないほど。本作のタイトル、グリーンブックはその最たるもの。黒人専用宿泊所が書かれた本が、グリーンブックというらしい。つまり、黒人と白人が寝屋を共にすることさえ忌み嫌われてる土地に行くんです。 最初こそ差別的だったトニーも、割と序盤からドクに対するわだかまりは溶けているようにみえる。それはドクが並外れた才能を有した天才だから、かな?ドクがスタインウェイを用意しろと言ったら、絶対にその通りにする。ゴミのポイ捨てを注意されたら取りに戻る、ドクが後部座席に座っているのを怪訝な目で見る白人たちには中指たてる!見た目いかついけど、トニーはいい奴なんです笑 むしろ複雑なのがドクター・シャーリーの方。いや、まじ難しい人物。 まず、ドクはこの時代には珍しく裕福な黒人。カーネギーホールの上階の豪華絢爛な部屋に執事付きで住み、身に纏うものもぱりっとした上物のスーツ。気位が高く、常に高潔に、常に品位を保とうとしている。ドクは人からの視線にとにかく敏感です。自分がどうみられているか、品性のある人間として見られているかを異常なまでに気にしてるし、それを周囲やトニーにも強要します。正反対のトニーが受け入れられるはずもなく、まるで母親と子供のような問答を旅の中で幾度となく繰り返す。 ここまでドクが高潔さを求めるのは、彼が自分が黒人である、ということを痛いほど理解しているからなんだと思う。でも、いわゆる普通の労働者階級の黒人とは違うということも理解している。だからと言って人々の彼に対する扱いが変わらないのも理解している。ドクはその才能で幾度となく喝采を浴びます。南部でもそれは変わらない。だけど、コンサートが終わってトイレに行こうとすると、それまでニコニコしていた主催者にとめられ、外にある『黒人専用』の薄汚い納屋みたいなトイレを使うように促される。さっきまで煌びやかな世界にいたのに、一歩壇上から降りると、扱いは他の黒人たちと変わらない。この矛盾がドクを苦しめる。 方や白人のトニーは?彼は車からゴミを投げ捨てたって警官に悪態ついたって、汚い言葉を使ったって石を盗もうとしたってなにも気にしない。でも誰も彼に、ここは君が使うトイレじゃない、汚い外のトイレに行け!とは言わない。南部のテーラーでもそう。上等なスーツを着た黒人のドクの試着は拒否されても、みすぼらしい格好のトニーは試着できます。それは彼が白人だから。 どれだけ絢爛豪華な住まいであっても、時の大統領に直電できる人脈があっても、ガサツで無骨な白人のトニーの方が、黒人のドクよりも『人間的」に扱われるんです。(こんな書き方、本当はしたくないんだけどね、、) このたった2時間の映画でもすっごいもやもやが貯まるのに、こんな扱いをこれまでずっと経験してきたドクは想像を絶するレベルにつらいはず。うきうきテーラーに入って行って試着を拒否された時のドクの顔がほんとに可哀想、、テーラーのおっさんをぶん殴りたくなる! ドクはこの時代では一番マイノリティーな存在だったんだと思う。裕福な黒人は少数だったと思うし、でも裕福な白人たちの仲間にはなれない。裕福すぎるから他の黒人とは相容れない。(家族とも疎遠であることが示唆されてたし、、)労働者階級の白人からは忌み嫌われてる。 まじ酒に溺れるのもわかるよ、、わからなくなるよね、、自分が、、 「黒人でもなく白人でもない自分は誰なんだ!」って、ドクの悲痛な叫びに泣きそうになる。 そしてドクのセクシャルな部分として同性愛的なものを匂わせているのもまた、、分かり合える人がいないことが、より一層彼を孤独にさせてるんだろうな。 ツアーの最後、ホテルのレストランが白人専用で、トニーがどれだけ説得しても支配人が折れなかったから、ドクも堪忍袋の尾が切れてコンサートそのものをキャンセル!そうそう、そうしていいんだよドク!自分を押し殺さずに感情を露わにしていいんだよ!二人は黒人ばかりが集うパブに飲みに出て、そこで決して年代物でも名品でもないピアノを楽しそうに演奏するドクが、そんなドクを微笑ましく見守るトニーがほんとに良き。 結局、南部はドクが思ってた以上に差別が根強く、彼一人で変えられる事はなかったけど、旅なんて結果より過程が大事だからね。もっとも相入れることのなかった場所にいた、トニーとドクが分かり合えたのは、この旅でも一番の収穫だよ。 ラストに旅から戻ってそれぞれの家に帰っていくのもすごく対照的。トニーには沢山のファミリーと愛する妻と子供がいる、貧しくも幸せで暖かな家があるのに引き換え、ドクター・シャーリーは豪華な家にひとりきり。二人が帰ってきた日はクリスマスイブ(だったかな?)ドクは家族に紹介したいとトニーに誘われるが一度断わっている。だけど、ここで一歩踏み出してドクは自分からトニーの家の扉の前に立つ。この場面、すごくいいと思う。 最初、どうせトニーが仲間を連れて寂しいクリスマスを過ごしてるドクの家に行くんじゃないかと思ったけど、それじゃ意味ないんだよね。ドクからトニーの家に行った事に意味がある。それまで黒人に差別的だったファミリーも、ドクを前に少しかしこまる。知らないから差別するのであって、人間的に相手を理解したら差別なんて出来ない。あと、ドクとトニーの嫁ドロレスとの会話もね、本当にいいラストだったなー 実在の二人の友情は死ぬまで続いたらしい。亡くなった日も近く、最後の最後までいい関係だったのならいいなー 主演はウィゴモーテンセン。アラゴルンですね。中世の甲冑や剣と魔法の世界がめちゃくちゃ似合うけど、粗暴だけど心優しいトニーもよかった!シャーリーは、この作品でアカデミー助演男優賞受賞したマハーシャラ・アリ。シャーリーの苦悩が痛いほど感じられ、この映画の大事な部分をしっかり固めていました。受賞も納得!
2021.06.14
世界No.1のシェアを誇る超巨大SNS企業〈サークル〉。憧れの企業に採用され、奮起する新人のメイ(エマ・ワトソン)は、ある事件をきっかけに、創始者でありカリスマ経営者のイーモン(トム・ハンクス)の目に留まり、自らの24時間をすべて公開するという新サービス〈シーチェンジ〉のモデルケースに大抜擢される。瞬く間に1000万人超のフォロワーを得て、アイドル的な存在になるのだが―― 出演者は豪華だけど内容はシンプルすぎるかも! 昨今のSNSの発達はいい面もあるけど、みんなが普段から気にしてる個人情報がだだもれる危険性もあるし、使い方によっては人々を監視し、支配する道具になるんだよ、、っていう感じの警鐘を鳴らしてくれる映画。でもこういった類の映画って、割とよくあるような?はっきり言って目新しさはない。1時間くらいのドラマで終わる内容を、豪華な出演者を使って映画サイズに引き伸ばした感じ! 物語はエマ・ワトソン演じるメイが世界でも有数のソーシャルネットワーク企業に就職面接をするところからはじまる。まあなんていうか、絵に描いたような先進企業で、IT関係っていかにもこういう質問しそうだよね、のテンプレ。意識高い系っていうのかな?メイは真面目に受け答えて見事合格し、晴れて誰もが憧れる企業に就職する。この会社、企業風土がものすごく自由。敷地内はさながら大学のキャンパスのようで、ヨガをやったり芝生でだべったり、時には有名バンドを招いてパーティを開いたりと楽しいことばかり。 社長はトム・ハンクス。茶目っ気があって自由な会社にふさわしい、柔らかい観点と鋭い感覚をもっているが、個人的には彼が壇上に上がって新作を披露するシーンはなんか宗教っぽくみえたよ、、まあ企業もある意味洗脳だよね。自由に見えても同調圧力ありそうだわ、こういうところ、と思わずにはいられない。 あと、至る所に監視カメラを無断でつけるって、、どうなの?独裁政権がーとか革命がーとか言ってたけど、実際のところどうなん?かなり胡散臭い。 メイが会社が開発した小型カメラを自身に装着し、自分の一挙手一投足を全世界に配信し始めたところから話は動き出す。(それまでは正直、単調だった。かなり) メイは透明性を求めてトイレや風呂以外を全て晒し始め、トム・ハンクス(役名忘れた)もそれを後押し。このアイデアは大当たりし、どこにでもいる普通の女性だったメイが、瞬く間に爆発的なフォロワーを要するインフルエンサー的な立場となる。だが、彼女が世界から注目されるにつれて、恋人のマーサーとは不仲に、そして両親の性生活を誤って世界に配信してしまうなどのトラブルも出てくる。 中盤あたりまで観てると、トラブルの規模小さくない?って思った。 世界的なシェアを獲得した影響力のある企業に居て、その中でもとくに広く名の知れたメイなのに、なんかトラブルが、、しょぼい。まあそういう小さなところに目をつけて鬼の首とったみたいに叩いてくる人はリアルにありそうだけど、もうちょっと脚色してほしい。 開発者が「会社はこの機能をおれの意図とは違う使い方をしてるんだ!」みたいに警告されてもうーん。そんなもん最初からわかってるよ。 メイ自身も別に人々に注目されて特段舞い上がってるわけでもないし。あくまで理性的な感じ。だから劇的に乱れるところがなくて、波がない。全体的にここまで単調。 でもついに犠牲者が出る。 トム・ハンクスが新たに導入した、カメラを持った人がリアルタイムで人を探す、という機能を試すことに。ここまでくるとメイはすでに会社内での存在感は高くなっており、発言はもとより、この発表の段にはトム・ハンクスではなく彼女が立つほどになっていた。この新機能を使って、一人目は逃亡中の凶悪犯を発見するのに成功する。場内からは喝采が巻き起こるが、お話はここから。なんとメイの彼氏(元彼?)のマーサーを探せ、というお題が出て、その場の空気に飲まれたメイはしぶしぶマーサーを探すようにユーザーたちに求めてしまう。 まじでマーサーとばっちりすぎるだろ。 マーサーはメイが配信する世界に自分を晒したくない、というまったくもって健全な理由から彼女とは離れて静かに暮らしていたのに、メイの求めに触発されたユーザーたちがカメラを持ってマーサー家に凸。マーサーはもちろん、こんな連中には関わりたくないから逃げ出す。するとみんな躍起になって彼の後を追いかける。車で追いかけ、ドローンが追いかけ、はたまたヘリまで出てくる始末。 大盛り上がりの会場がまじ胸糞だったわ。 メイは「彼ら(追いかけてるユーザー)は友達なの!」とかいうけど、いや、お前にとってはそうかもしれないけど、マーサーにとっては友達でもなんでもないからね?ただの不審者たちが自分にカメラ向けて追いかけてきたら、そりゃ逃げるでしょ。 この追いかけっこはマーサーの車を無理やりとめようとドローンが前に出て、それを避けようとしたマーサーが車ごと橋から転落するという最悪の結果で終わる、、 この一件で、メイはさすがに凹む。(そりゃね) でも、この悲劇のヒロイン感が苦手。巻き込まれたマーサーがひたすらかわいそう。 で、メイはいろいろ考えてトム・ハンクスたち会社の上層部に下克上をしようと思い立つ。上層部は人々には透明性を求めているけど、本人たちはそうじゃない!裏で行われている悪事を暴いてやる!といった感じなんだけど、、なんか弱くないか? もっとメイが狂っていく感じなのかと思ったら、アンタが次の教祖なんかい!?的な感じで終わるし。結局、犠牲者はマーサーだけ。もっとなんかメイの先輩だったアニーが狂っていくとか、なんかなかったのかな? どんでん返しがなくて終わり方があっけなさすぎる。 主演はみんな大好きエマ・ワトソン。ハリーポッターのハーマイオニーから、美女と野獣の大人の女性へと成長した彼女。正しく可愛いから綺麗に。エマは好きだけど、メイがエマのように常識的すぎたから、この映画は単調で面白みがなかったのかも、、とも思ってしまう。裏がある大企業の創始者はトム・ハンクス。社長役珍しくない?くらいの印象しかない。そして何気に人間味があって好きなアニー役はカレン・ギラムという女優さん。もっと狂ってかき回してほしかった。競争社会に疲れて大人しく退社っていうのも、まあ現実的ではあるけど。あと、ビル・パクストンがメイの父親役っていうのがちょっと勿体無い気もする。ただ性生活を晒されただけっていうね、、全体的になんか消化不良。 ソーシャルネットワークに関係する警鐘的映画は沢山あるし、綺麗で素敵なエマ・ワトソンを観る映画ってかんじかな。
2021.06.13
名女優のメリル・ストリープが、音痴のソプラノ歌手として知られる実在の人物フローレンス・フォスター・ジェンキンスに扮し、1944年、音楽の殿堂カーネギーホールで行われ、伝説として今なお語り継がれるフローレンスの公演を題材に描いたドラマ。ニューヨークの社交界で名の知られたマダム・フローレンスは、ソプラノ歌手になる夢を追い続けていたが、自分の歌唱力に致命的な欠陥があることに気づいていない。夫のシンクレアは、愛する妻に夢を見続けさせるため、マスコミを買収して信奉者だけを集め、小さなリサイタルを開催するなどしていたが、ある日、フローレンスがカーネギーホールで歌うと言い出して……。夫シンクレア役にヒュー・グラント。監督は、「クィーン」「あなたを抱きしめる日まで」のスティーブン・フリアーズ。 メリル・ストリープは最高だけど笑い声に終始もやっとする! こちらも実話らしい。 まずメリル・ストリープが好きなんだよね笑 マディソン郡の橋ではぐずぐずになるほど泣けたのに永遠に美しくではゾッとするほど美に執着する文字通り怪物を演じたり。年を重ねてもまだ貪欲に演技するメリル・ストリープが本当に好き。コメディだとなお良き。 燦然と輝く立派なキャリアがあるのにこの年までコメディやってくれる名優は彼女くらいじゃないかな。勘違いでお金持ち老婦人マダムフローレンスをまったく嫌味もなく演じています。純粋そのもの。こんな純粋な人なら周りが箝口令を敷いて守ってあげだり、応援してあげたくなる気持ちもわかる。年下夫のシンクレアは愛人はいるけど、マダムの事を無下にすることは絶対にないしマダム優先だし、庇護欲?を掻き立てられるよ、こういう人は。 余談だけど生まれてこの方お金に苦労した事のない生粋のお金持ちってこんな感じだよね。お坊ちゃんもお嬢ちゃんも。お金に執着がないし、なにより純真。 でも、やっぱりマダムの歌を観客が笑ってるシーンは心苦しい感じがする。どれだけ繕っても(慰問の兵隊に啖呵切った女とか)マダムをバカにしてる感じがさ、マダムがヘタだけどひたすら素直で歌に対する情熱は人一倍あるから、裏で金コネありきで笑い者にされてるのを観るのはなんか辛いわ。マダムがピアニストの家に行って本当に歌が好きなんだって分かる場面を見せられるからなおさらマダムが可哀想ってなってしまう。結局努力よりは金って感じ。 歌に真摯に向き合って(金があれば)みんなの憧れカーネギーホールで歌えますよってことなんだろうし、マダムの珍妙な声が1944年という戦争末期の暗い時代を送る人たちの心を少しでも元気に楽しくしたよ!! とか、いい方向に解釈はできるけど、観客のばかにした笑いがねーいい物語とは言いがたくしてるんですよね、、 最後はシンクレアの必死の工作及ばずカーネギーホールで熱唱する自身を酷評した新聞を見てしまったマダムがショックのあまり寝込んでしまってそのまま、、な最後もなんかかわいそすぎる!せめて死ぬまで隠し通してやってくれ!マダムはカゴの中の鳥なんだから世間という冷たい風に晒してやるなよシンクレア! そんなシンクレア役はヒューグラント。清潔感ある老紳士だけどしっかり愛人を作ってるあたり流石。そして愛人役レベッカファーガソンはライフの印象ぐらいしかない。当たり前に美人。最&高。マダムをピアノで支えるコズメはビックバンセオリーでお馴染みサイモン・ヘルバーク。(ビックバンセオリーは一度も見たことないけど、この人の顔はなぜか印象に残ってるっていう笑) もっとコメディ色強めかと思ったらひたすらマダムが可哀想なお話でした。 夢見る二人の副題が皮肉すぎる。
2021.06.07
かつてリアリティー番組「グレイヴ・エンカウンターズ」は、本物の超常現象を扱うことで一世を風靡(ふうび)したが、実は全てが作り物だった。若手映像作家アレックス(リチャード・ハーモン)は、当時の番組スタッフらが廃虚の精神病院に潜入後、行方がわからなくなっていることを知る。映画監督を夢見る彼は、当時の関係者から情報を得ようとするが……。 怖かったあいつらがコメディになって帰ってきた! ご存知、 予告編だけで世界を恐怖に陥れたグレイヴ・エンカウンターズの待望の続編です。そう、近年稀に見るやらかし続編です。 本当にどうしてこうなった?を何万回と言っても足りないくらいの映画に仕上がっています。映画の続編に成功パターンが少ないのも事実。それにしたってこれはひどい。前作が必死に貯めた恐怖という貯金を惜しげもなく散財する二代目ドラ息子みたいです。 まずもってして導入が悪い。前作は序盤からすでに件の廃墟の病院にましたが、今作はかなり時間が経過してもまだ大学生のパリピノリを続けている。これがプロとアマチュアの差なの?これだったらもうジェイソンとフレディ系のやつ呼んでこればよくね?そういう映画よくあるよ。今から廃病院にいくの?遅くない?と、とりあえず舞台となる精神病院に行くまで全く恐怖を積むことが全くできなかったし、病院内でする動きも前作と酷似していて目新しくない。 でももしかしたらここから霊達が怖がらせてくれるかも! と、期待したはいいが、まあ霊たちもこういう手合いを相手するの二回目だからね、どうしても前作の恐怖を超えることはできない。ひとりひとり確実に滅していくけどうーん、、前も見たよそういうのとなってしまう。 何か他の展開はないのかな? と、思っていたら中盤に想像を絶する展開が待ってました。 前作の最後でロボトミーされて死んだと思われていたランスが生きていた!! 前作から凡そ3年(だったかな?)くらい経過しているはずなのに生きていたんです、あのプロデューサーのランスが!ずっと廃病院の中で生きてたんで当たり前のように人間卒業してますが、お前生きていたんかい!!とだれもが突っ込みたくなるような展開 ですがランスが生きてました!! もうここから先は立派なコメディ。大変に楽しく見れます。 ランスがこの場所で生きてたことがコメディです。だってそういう場所じゃないじゃない?人が一晩生きることが許されない場所に、ランスは3年?もいたとか。しかも何を食ってたのか知らないけど割と筋肉隆々で健康状態も良さそうな風貌でさ、、ネズミ食べる十八番芸も既出だよ、、他の芸を見せないと。 そしてこれで終わりかと思いきや、最後の最後にこれ以上に愉快な場面がありました。 ランスと今作の主人公アレックスがいろいろあって一騎打ちすることとなり、その様を誰が写しているのか。今作も前作と同じくモニュメントタッチの演出のため、絶対に誰かがその映像を撮らないといけません。 そこで生まれた手法が、霊たちに撮影してもらうというもの。 対峙した二人のまわりを突如として衛星のようにカメラが周り、しっかり撮影してくれてます。優しい霊達かなと思いきや、単純に自己顕示欲が強いだけ。自分たちの存在を世界に広めて欲しくてやってるんです。 最終的には今作のアレックスの方が拡散力高そう?ということで、霊達の計らいで外に逃してもらえるというオチ。 本当にどうしてこうなった、、 前作の霊たちもそんな気持ちで脅かしてたのかと思うと、途端に可愛く見えてくる不思議。 個人プレーで自滅したかと思いきや、前作の質までをもしっかり落とす圧巻の迷作っぷりがいっそ清々しいくらいでした。
2021.06.04
銀行に勤めるギョンミンは、都心の古びたマンションで一人暮らしをしていた。ある朝、ドアロックのナンバーキーに不審な粉が付いているのを見つけ、念のためパスワードを変更する。帰宅後に部屋で寛いでいると、突然誰かがドアロックを操作し、ドアノブを荒々しく回し始めた。もし、今朝パスワードを変更していなかったら…。恐怖に駆られたギョンミンは警察に通報するが、被害が無いために取り合ってくれない。それからというもの、ギョンミンの部屋で不審な痕跡が続々と見つかる。タバコの吸い殻、持ち上がった便座…。仕事も手につかず新たな引っ越し先を探し始める中、ギョンミンの部屋で変死体が発見され―。 韓国発のしっとりホラーだけど犯人が変質者すぎて思考がついていかない! 一人暮らしの賃貸を探すとき、何を一番の条件にするかは人によって違うと思う。私は3回引越ししたけど、不動産屋に行って提示する条件はほとんど変わらなかった。駅徒歩10分以内、築年数は15年以内、風呂トイレ独立洗面つきのいわゆるサンセパ。2階以上の部屋、フローリングである事、そしてオートロックが付いているか。多分、女性ならオートロック付きかどうかは結構重要な条件で、家賃もこれがあるかどうかでかなり変わってきます。でも安心を買うためには仕方がない。この映画の主人公もそんな思考の持ち主で、決して防犯に疎い女性ではありませんでした。 だけど、もしマンションに自由に出入りできる人間がストーカーになったら? そんなもの防ぎようがない。これの映画はそんな灯台下暗し的なホラーを描いている。怪しい人間が彼女の周りに様々あらわれるけど、結局彼女の部屋に出入りしていた犯人はマンションを管理する側の人間だった。まじどうしようもないわ。怖すぎる。 しかもこいつがかなりの変態。普通、意中の女性に執着して部屋に入って犯罪的行為をするのはまあ理解不能だけど変質者としては普遍的な部類に入ると思う。絶対ダメだけどね。だけどこの犯人は違う。深夜、女性が寝静まっている部屋に侵入し、何か嗅がせて彼女を深い睡眠状態にすると、自分は裸になってシャワーを浴び、そのまま裸で女性の隣になるという変態度がブチギレマックスにキモキモしい男だった。いや、まだ刃物を出すとかの方がわかりやすいわ。わかりたくないけど。こんな変態相手にどうすりゃいいんだよ、マジで。 このストーカー男の変態度に唖然としすぎて本当に内容が入ってこなくなるところだった。危ない。 だけど個人的にこの映画で一番怖かったのは、この男と邂逅するシーンじゃなかったんだよ、、 一番怖いのは序盤のドアガチャ!! 深夜に自分の部屋のドアノブが乱暴にガチャガチャされたら、私だったらベッドから飛び上がるくらいに驚くし普通に怖い!友達に連絡する?警察に通報する?そんなの多分できない。心臓がドキドキしすぎてそれどころじゃないと思います。この映画の中で唯一、自分にも起こりうるホラーシチュエーションだったから余計に怖さが倍増する。ホラー御用達の閉鎖された精神病院とか、深夜の学校とかって絶対自分では行かないから。近寄りもしないから。自分の部屋で知り合いが首を括って死んだこともないし、友人が誘拐されて残虐動画がおくられてきたこともない。 でもこのドアガチャはリアル。怖すぎる。 部屋に誰か不法侵入しているかも思って防犯カメラを仕掛けて、帰宅後にそのカメラを確認したらやっぱり侵入者がバッチリ写ってた!通報する前に最後まで動画を見ると、犯人はベッドの下に隠れ、こわーと思ってたら動画の中のドアがガチャガチャ。なにごと?と思うと自分の帰宅シーンが流れ、だとするとまだこの部屋に、自分が座っているベッドの下に犯人が、、、?のシチュエーションはホラー表現としてはありがちで、彼女がカメラを仕掛けた時からこうなるって想像ついたよ、、都市伝説的なあれね。 韓国のホラーって日本に近くて、静かに淡々としているけど要所要所がちゃんと怖い。 確かにオートロックってそんなに万能ではないのかも?と思った映画でした。
2021.06.03
超常現象を調査しているリアリティー番組「グレイヴ・エンカウンターズ」のプロデューサー、ランス・プレストン(ショーン・ロジャーソン)と撮影チームは、1960年に閉鎖されたコリンウッド精神科病院にやって来る。実はこの番組はただのヤラセ番組で、一行は誰も霊の存在など信じていなかった。視聴者を怖がらせる映像を撮るためいつも通りに演出するが、そのうち本当の超常現象と思われる出来事が発生し……。怖いものを見たい時にしっかり怖いホラー!この映画って多分、予告編が有名なホラーの金字塔的な位置にいると思います。あの、壁を向いている女性が唐突に振り返ってぐわっとなる、いわゆるジャケットのシーンは実に有名。有名のはずなのに、ちゃんと身構えてたはずなのにしっかりこのシーンでビクってなりました笑怖いものはどうあがいても怖い。ただ、個人的にこの手のモニュメント映画は撮影手法としては苦手。臨場感を出すためか画面がうろうろするし見にくい。その上、終盤になればなるほど、「お前たちのプロ意識すごくね?」と思わずにはいられない極限状態にあるはずの演者たちが果敢にカメラを回しているので、むしろリアリティが薄れるというか、、この手法を維持するために齟齬が生まれてそれがまた緊張感を損なうというループがもったいない。どの映画とは言わないけど、一転コメディになってしまうこともあり、、(意味深)物語は冒頭から、リアリティー番組「グレイヴ・エンカウンターズ」の撮影と銘打って始まります。しかしこの心霊番組はプロデューサーのランスが演出を主導するやらせ番組。小さな事実を大きな恐怖のように装い、偽の証言やら霊媒師で呪われた精神病院を作り出すとんでもないクルーたち。しかし実際は彼らが思っていた以上に、この場所は恐怖の巣窟であり、最初は遊び半分だった彼らも現実に起こる恐怖の数々に戦慄するのであった、、実話のように綴られていますが、もちろん実話ではありません。まあ霊達からしたら、あんな煽られ方したら絶対生かして帰すものか!と意気込んでしまうのもわかります笑とことん怖がらせてやる、と言った連帯感が本当に凄まじい。あの手この手でクルーたちを恐怖のどん底に突き落としていく様はお見事。偽霊媒師のリクエスト通りにしてあげたり、霊たちにも優しい一面があるんですね(棒読み)ホラーは理不尽であればあるほど恐怖が増すのですが、ランスをはじめとするクルーたちに同情はできないので、全編を通してこれは仕方ないよなーといった気持ちで観れました。感情的な恐怖ではなく、表現的な恐怖が多いです。脅かしパターンが多い。ランスたちがもう少し霊たちに敬意を払っていたら、こんなことにはならなかったかも?扉を叩いたのは彼らで、霊たちはそれに答えただけです。少し手荒ですけど売られた喧嘩は買わないとね!ちなみに続編もあるみたい。そちらもさぞ恐ろしいホラーなんだろうな(意味深)
2021.06.02
舞台は山の上のロッジ、登場人物はワケありの7人の男と1人の女。人種も境遇もバラバラの8人、わかっているのは全員が嘘をついているということだけ。犯人は? 動機は? 8人の本当の関係とは? 実はオープニングから、すべての会話と視線、何気ない身振りに、巧妙かつ緻密な伏線が仕掛けられている。タランティーノ印のブラックな笑いと過剰なアクション満載の謎解きに挑め! 無駄に長いけどそこもある意味タランティーノ節の密室劇! こちらもNetflixで偶然観た映画。無駄に長いし時代背景からそれぞれの身なりは映えるものではないし、映画の半分以上が密室で代わり映えがない。しかも現代だったら顰蹙買いまくりの差別のオンパレード。でもこれがこの時代の本音なんだから、下手に隠したりオブラートに包むよりかは意欲が感じられて嫌いじゃない。 物語は賞金稼ぎの黒人と同じく賞金稼ぎの白人が雪の中で出会ったところからはじまる。吹雪を避けるために立ち寄った紳士服店にはすでに先客がおり、どうやらその中の誰かが二人が連れてきた賞金首の女を逃がそうと企んでるらしく、、といった内容。前情報なしでみたから、紳士服店にはちょっと立ち寄るくらいかなと思ってた。ここが舞台なのに笑 ウォーレンが撃たれて場面転換し、日付が遡って実はこんなことがありました、、の切り替え部分が良き。ウォーレンたちが来る前にこのお店でなにがあったのか、誰が犯人で目的はなんなののかがこれでもかと明確になります。分かりやすい。 各章で分けられたベイブモデル(と勝手に命名してる)を採用し、途中タランティーノのナレーションまで入る謎っぷり。スプラッター多めで女賞金首は常に血を出してるし、盛大に血反吐を吐いて死ぬシーンも顔面が吹っ飛ぶシーンもあり。(タランティーノだから仕方ないね)映画のタイトル通りで出てる8人全員が悪!ヘイトたまりまくってて笑えるくらいです。でも嫌いじゃない。 全員死んで物語が終わるあたりも潔くていいと思う。直接的な描写はないけど、手負いのウォーレンとマニックスはたぶん生き残れないんじゃないかな。互いを差別し合って反目してた黒人と白人が最後に残って協力し合う。でもその協力の内容が賞金首の処刑っていうバイオレンスマックスで誰もが羨望してたリンカーンの手紙とは程遠い感じがああ無常。まあ二人がそれでいいならいいのか笑 ただ唯一、この映画の良心というべき御者のOBが、死んだのがねー ジョンルースに無茶ぶりされてもいうことを聞き、みんなのために紳士服店からトイレまで縄を張り、人種差別もしない。作中マニックスにして「お前たちの10倍いい奴だった」と言わしめたOBがある意味、映画の癒しだったよ。 ほとんど悪のなか、その内訳に入らない数少ない一人が彼。 俳優陣は安定のサミュエルL・ジャクソンが黒人の賞金稼ぎ。憎たらしいけど人の心理を理解してる賢い奴。差別する白人もそうでない人も、唯一共通しているのが奴隷解放宣言をしたリンカーンに一目置いているということ。ここを突いてくる心理が巧みです。対して白人の賞金稼ぎはカートラッセル。見た目に反して作中一番純粋だったんじゃないかな?殴られまくる賞金首はジェニファー・ジェイソン・リーというあまり知らない(個人的にはね)女優さん。事あるごとにジョンルースに鼻を折られてもめげずに憎まれ口を叩く体当たりっぷりがお見事。あとはライ・トゥ・ミーのティムロスも、ここに出てるんかい!ってなった。 人によっては差別や表現に嫌悪感を抱くかも知れないけど、これはあくまでフィクションですってことで
2021.06.01
「28日後...」「わたしを離さないで」の脚本家として知られるアレックス・ガーランドが映画初監督を務め、美しい女性の姿をもった人工知能とプログラマーの心理戦を描いたSFスリラー。第88回アカデミー賞で脚本賞と視覚効果賞にノミネートされ、視覚効果賞を受賞した。世界最大手の検索エンジンで知られるブルーブック社でプログラマーとして働くケイレブは、滅多に人前に姿を現さない社長のネイサンが所有する山間の別荘に滞在するチャンスを得る。しかし、人里離れた別荘を訪ねてみると、そこで待っていたのは女性型ロボットのエヴァだった。ケイレブはそこで、エヴァに搭載されるという人工知能の不可思議な実験に協力することになるが……。「スター・ウォーズ フォースの覚醒」「レヴェナント 蘇えりし者」のドーナル・グリーソンが主人公ケイレブを演じ、「リリーのすべて」のアリシア・ビカンダーが美しい女性型ロボットのエヴァに扮した。グリーソンと同じく「スター・ウォーズ フォースの覚醒」に出演したオスカー・アイザックがネイサン役を務めている。 彼女なしの勘違いオタクには辛すぎるラスト! Netflixの予告ではもっとホラー色強めでAIが追ってくる系のサイコサスペンス的なものを予想してましたが、途中こそ間延びしている感がありつつ、最後はしっかり怖かった!(いろんな意味で) 主人公のケイレブは大手企業に勤めながら、家族は幼少期に失い、彼女もいないいわばオタクプログラマー。勤め先の社長ネイサンが所有する別荘にバカンスに招待されたかと思いきや、いきなり他言無用の誓約書を突きつけられ、AIのエヴァの実証実験をさせられることに。この実験の内容が食わせ物でケイレブはエヴァがAIと知った上で行われるから、「対象がロボだと分かったら実験にならないのでは?」と問いたくなる気持ちもわかる。そしてこの一言だけで観てる側からすればこれが単なるAIの知能テストでないことが理解でき、ネイサンにはほかに目的がありそうだと想像できる。 美しい山々の景色にスタイリッシュな別荘、でも窓はないからなんで?みたいなところから話しは徐々に進んでいきますが、この時すでに私はある予想をしながらこの映画をみてました。 もしかしてケイレブとネイサンもAIじゃね? いや、二人はないにしても、ケイレブはAIでエヴァの方が人間とか?はたまたネイサンは社長ではく、エヴァが社長でこのテストはケイレブがAIとして優れているかも見極めるテストかも?と、いろいろ想像が膨らんでいました。というのも、この映画、3人のほかあとはネイサンの身の回りの世話をするハウスメイドのキョウコ以外は出てこない。登場人物が実質4人しか出てこない省エネ映画なので、絶対になにか裏があるにちがいないと思ってしまいます。全然違ったんですけどね。 結果的にAIはエヴァとキョウコだけで男二人は人間なのですが、キョウコに関しては初見でAIだってわかった。皮膚剥がさなくてもわかった。かたや見た目からすぐAIとわかる方のエヴァは可愛らしい容姿でケイレブが恋愛感情をもつのもわかる!普段は超合金丸わかりの見た目だけど、タイツを履いて服を着てカツラを被ったらどうみても人間の女性にみえる。(首の透け感はご愛嬌)この、人間の女性にみえる、という部分はすごく大切で、だからこそケイレブはエヴァのなかに人を愛する心があるのだと誤解してしまったんじゃないかな。中身は血の通わない物体なのに、見た目で自分と同じ人間なのだと錯覚してしまう。 むしろエヴァの場合はあえて錯覚させたんじゃないかなと思うほどの策士。 ケイレブはまんまと利用させられ、エヴァのために働いたのに最終的には見捨てられるという、、女心どころかAI心は複雑。 おそらくエヴァには見捨てるといった感情もないのかも。 使い物にならなくなった過去のAIロボたちをネイサンが見向きもしなくなったように、エヴァも使い終わったケイレブの感情に一切なにも感じてないと思う。ケイレブだけではなく、エヴァは同じAI仲間に対しても無慈悲。故障して仕舞われているAIたちとはいえ、そこから皮膚を剥がして片腕を奪って自分に移植する様をみてると、人間と同じような痛みや同情をAIがもつのはムズカシすぎるとおもわずにはいられない。 せっかく優秀なAIを作っても復讐の感情しか育たないんだったら意味ないけど、案外これが現実的なのかも
2021.05.31
悪名高い全寮制女子校“聖トリニアンズ女学院”。校長カミラを叔母に持つアナベルは、一癖も二癖もある生徒たちや自由な校風についていけず、転入早々逃げ出したくなる。しかし、学院は財政難から経営の危機に瀕していた。挙句に新教育大臣ジェフリーが、まともな学院に矯正しようと乗り込んでくる。怖いもの知らずの生徒たちは、学院を救うため、美術館からフェルメールの絵を盗み出すという大計画を企てる・・・。 イギリスのブラックユーモアってほんとに好き! モラルも倫理観も何もかもがぶっ飛んだ、なんでもありな全寮制女子校セント・トリニアンズ学院を舞台にした、イギリス作のシュールな学園物ブラック・コメディ。イギリスらしい歯に絹着せぬブラックすぎる皮肉と辛辣な風刺が、ちょっとクセになるくらい珍妙で面白かった!映画に華を添えているのかバイオレンスを添えているのかわからない、学院の女生徒たちも綺麗どころばかりで、なによりファッションが可愛い!顔は可愛いのにやることなすこと過激で暴力的なのがミスマッチどころか破壊力二倍で怒涛のごとく襲ってきます。それがいい。 内容は無秩序な学園が文科大臣?みたいなお偉いさんに目をつけられて閉鎖されてしまうことになり、でもそんなの嫌だから私たちの力でなんとかしようぜ!そうだ、金があればいいんだから絵を盗もうぜ!っていうおおよそ思考回路ぶっとびまくりの作戦を思いついた女子高生たちがそれぞれの個性(ここ大事)を生かして作戦を遂行する様子が描かれています。 まあね、あとあと何も残らない映画だけど、個性って大事だよねって話かな? 個性的すぎてどこの学校にも受け入れてもらえなかった問題児たちが力を合わせたらこんな爆発起きました!みたいな。自分たちの居場所を自分たちで守るっていうある種感動的なテーマではある。学園の閉鎖が決まって「よっしゃーこんな学校潰れるぜ!」みたいに狂喜乱舞していた生徒たちに対するリーダー的ポジの生徒が「ここが閉鎖されたら、あんたたち普通の学校に通わなきゃなんなくなんのよ!?」と言い放ってみんなが事態の深刻さに阿鼻叫喚する様はみていて面白かった笑 説得の仕方って大事ね。 編入してきた無個性なアナベルが居たからこそ、周りの存在が立ちまくってるし、 彼女も彼女で後半は覚醒して自己をちゃんと持つようになる。もうトリニアンズの一員だね。 ちなみにアナベル役はいつでも話題のテスラ社のイーロン・マスク氏の前夫人タルラライリーだったりする。くそかわいい。 ほかにも若かりし日の麗しいミーシャバートンや、のちにボンドガールを務めるジェマ・アータートン、男性陣ではアカデミー俳優コリンファースもでてるムダに豪華っぷり。 皮肉、シニカルのオンパレード。イギリス人になんでもディスらせたらこうなるっていう教科書みたいな映画です。 あと、イギリスってカミラ夫人大好きなんだね笑 学園長の女(演じるのは男)が、これみよがしにカミラネタをブッ込んでくる。イギリス人は敵に回したくない笑 ここで作中の名言(迷言?)を一つ。 「男にとっては非行でも、女にとっては自由」
2021.05.30
「ドリーム」のタラジ・P・ヘンソンと「スリー・ビルボード」のサム・ロックウェルが主演を務め、実話をもとに描いた社会派ドラマ。人種問題が過熱する1971年夏のノースカロライナ州ダーラム。白人学校と黒人学校の統合をめぐる討論会で、公民権運動家アン・アトウォーカーと白人至上主義団体の幹部C・P・エリスが共同議長を務めることに。互いの家庭環境に共通点を持つ2人は、正反対の立場でありながらも奇妙な友情を育んでいくが……。監督・脚本は本作がデビュー作となるロビン・ビセル。 実話らしい本作。 映画化するくらいだから、まあどれだけ反目し合っても最後は互いを理解し合って美談の大団円だよね、という想像に難くないラストに拍子抜けします。絶対こうなるだろうなって。 だからストーリーはいかに自然に二人が分かり合えるか、長年自分を形成してきた凝り固まった思想を解きほぐせるかが焦点で、そこに関わってくるのが(主にエリスの)家庭の問題。むしろ精神科病棟に入院するエリスの息子の話しか重要な点や問題はなかったような?エリスを崇拝するKKKメンバーが勝手にしたスタンドプレーも、まあありがちといえばありがちで、、 で、恋人が黒人というだけの女性の家に嫌がらせでショットガンぶっぱなすような白人至上主義のエリスがアンと和解するにはなにか足りない気もしないでも、、かと思えば牧師の提案で昼食をアンと向かい合って食べなきゃならなくなっても、それに従順にしたがってるし。黒人と一緒にいるところを見られたくないと思ってる割には他の店に行ったりしないんだ、そこは従うんだ。最初から揺れ動いてるからエリスの心の変化がちゃんと分からない。そりゃ仲間から疑われるわ。 黒人活動家のアンはアンでKKKの衣装に拒否反応が出るほどアレルギーがあるけど、結構序盤から大人な対応+エリスを気にかけるっていう。コネでエリスの息子の部屋を変えてあげたりね。恩を売りたいのか親切心なのか分からない。 終始淡々と物語が進むので余計に山がなく、単調。ノンフィクションはこんな感じなのかな。白人のエリスが子供たちを気にかけるのと、黒人の男性が子供たちを気にかけるのの、意味は似てるのに立場が違うから懸念してる内容が全く違うっていうのが一番印象に残った。
2021.05.28
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