温故知新

2004.07.22
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思えば、彼女とは出会いからして最悪だった。
娘の言語聴覚士。

今年の4月から担当になって、まだ3ヶ月。
毎回、毎回、療育の度に胃が痛くなるほど、彼女との時間が苦手だった。

娘との家での関わり方を24時間、会えない日数分、詳細に記述して提出してください、と言ってきた 初回

療育の場とは何か、を考えさせられ続けた 日々

ちょっと改善の兆しが見えはじめた 前回

そして、この日。

私の彼女への評価は、前任者を軽く越え、出会った、どの療育担当の人より上になった。

きっかけは前回。

娘がストローをいつまでたっても使えない、という話になり、では、コップは?という話になった。
コップを持って飲む、ということは、周囲を見て学んでいるのだが、
食べることがまともに出来ないため、それは猿真似でしかない。

両手でコップをつかみ、口にもつけずに顔からかぶる。
口につけたとしても、舌が先にでて、コップを口から出した舌の上に乗せる。
口から飲めたとしても、口の中に入った液体を、口を開けたまま飲みこもうとする。

そんな話をした際、彼女がちょっとした課題を出してくれた。

私は、療育の場がやるべきことは、こういった課題を見つけてくれることだ、と、思う。


私はそれを分かっていながらも、
ではどうやってこの壁を越させたらいいのか、親だからこそ熱くなってしまって分からない。
次第に、
普通だったらこんなことは考えなくてもいいのに、
と、腐ってきてしまう。


そんな母親のマネージャー的存在こそ、必要なのだと思う。

私は、見つけてくれた、この小さなステップなら出来そうな気がして、気軽に娘にやらせてみた。
その気持ちが良かったのだろうか、娘は容易くそのハードルを越してくれた。

そんな達成感だけで、私は結構満足だったのだが、この日。
いつも通りに療育に行くと、彼女が自腹でジュースを3種類買ってきており、
紙コップやら、マグカップ(おそらく自分が普段使用しているのだろう)を用意していた。
そして、少し飲み方を見させてほしい、と言ったのだ。

彼女がミルクを拒否してからこっち。
私は本当に孤独だった。

食べ方を少しみてくれた言語聴覚士も、入院した病院も、
私が何度も声を枯らし涙を流して訴えて、ようやく手にしたものたちだったし、
摂食障害を専門にされている管理栄養士さんや歯科医師さんに出会えたのも、ネットの波を何度も越え、方々の管理人さんの厚意を受けることが出来て、
ようやく出会えた方々だった。

それが、彼女は当たり前のように、私の一番の悩みを察し、娘の問題点に鼻をきかせ、
こうやって、私に寄り添ってくれたのだ。

恩知らずにも娘はどのジュースも拒否し、持ってきたお茶をマグカップで飲んだ。
その飲み方をみて彼女は、
正常な過程を経ていないから、このまま何もしないで上手に飲めるようになるとは思えない、
この時間でみていきましょう、
と、言い、彼女が娘にお茶をマグカップで飲ませはじめた。
その飲み方をみて、次のステップを作ってくれたのだ。

このステップが絶妙で、家でやらせたら、ほどなくできるようになった。あとは、定着すれば成功である。

ただ、ステップを作ってくれただけではない。
あげているときの注意点、
失敗した時の親の心理の持っていきかた。
失敗した娘への対処のしかた。

お茶を飲ませる練習をしながら、そんなことも教えてくれた。

お利口だね。
うっわぁ、上手!
可愛いね。可愛いね。
こんな可愛い顔で得意げにされたら、うれしくなっちゃうでしょ、お母さん!
うわうわ!上手!じょう~ず~!!
やる気は誰よりもあるんですよ~あとは技術だけですよ~。
きゃあ~可愛い!本当に可愛いなぁ~。

娘に顔を寄せて、本当に愛おしそうにマグカップを動かしている彼女を見ていたら、
もしかして、彼女とだったら、あの大きな壁を越せそうな気がしてきた。





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Last updated  2004.07.24 21:18:58
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Re:大きな壁を越えるための、小さなステップ(07/22)  
こんばんは。
お嬢さんがコップを使えるようになったようですね。
本来力を持っていて、どれだけ引き出して伸ばしてあげられるかが重要なんですよね。失敗した時の対処なんかはカーってきちゃうけど、教えてもらってあるとそんなこともないんだろうな…と思います。
摂食も少しずつみていただけるといいですね。
熱心な先生に出会えて、大きな壁、越えてくださいね。 (2004.07.24 23:51:26)

チャンネル4285さん へ >Re[1]:大きな壁を越えるための、小さなステップ(07/22)  
pms  さん
チャンネル4285さん

>こんばんは。
>お嬢さんがコップを使えるようになったようですね。
>本来力を持っていて、どれだけ引き出して伸ばしてあげられるかが重要なんですよね。失敗した時の対処なんかはカーってきちゃうけど、教えてもらってあるとそんなこともないんだろうな…と思います。
>摂食も少しずつみていただけるといいですね。
>熱心な先生に出会えて、大きな壁、越えてくださいね。

ありがとうございます。
そうなんですよね。
汚されると、一瞬、目の前の汚された光景しか見えないので、カーッと頭に血が登っちゃうんですけど、少しでもその先に光が見える、と、確信できれば、怒りも緩和するんです。

何もない子供であれば、当たり前のように、そのうち出来るようになる、と、信じていれるから、怒りも少ないでしょうし、素晴らしい障碍児の母親であれば、子供の可能性を信じてあげることが出来るのでしょうけど、どちらにも属していない私には出来なくて…。
この先生のようなマネージャーが必要なのです。
一緒に壁を乗り越えられるといいなぁ。

(2004.07.30 22:03:49)

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