つんつん~のらりくらり記~

つんつん~のらりくらり記~

食べ物の恨み

義父が亡くなってからは、
夏はお盆に休みを取り、
大阪に帰省するようになった。

ある年のお盆、
帰省した翌日に義妹の家に1泊で遊びに行った。

義妹は2人目を妊娠中で、つわりがひどく
ご飯作りもあまり出来ない様子だったが、
その夜は近所に住むご主人の実家に招かれ、
ごちそうになった。

翌朝は軽くパンを食べ、みんなで買い物に行き、
昼食の用意はあんびりがしてくれた。

豚肉の生姜焼き風…
義妹夫婦と2歳の子ども、あんびり、
夫、私、子ども3人。
この人数に対して、
焼いた肉の量は200~300gのパックひとつ。
それに残ってたご飯、足りない分はそうめんで補った。

義弟、夫の男達は遠慮もなく肉をパクつく。
つわり中の義妹はのど越しがいいと言って、
そうめんをツルツル。
あんびりもパクつき、向こうの孫だけに食べさせる。
私は…まだ3歳のズッキーに食べさせたり、
上の子2人の食べるのを手伝いながら、
自分が食べるのは後回しにしていた。

あんびりに「早よう、食べや~」って言われたって…

おかずもご飯もそうめんもあっという間になくなった。
私の口にはほとんど何も入らなかった。

「あれぇ!もう食べるもんないで。どうする?」

んなこと言われても…

「ダイエットになりますぅ…」としか言えなかったわ。

前日のあちらのお姑さんの料理、おいしかったなあ…

私の実家じゃ料理好きのおばあちゃんが
人をもてなすときは、余るくらいの料理を作ってたから
遊びに行った先で、こんなにひもじい思いをするとは…

おまけに帰り道は渋滞に巻き込まれて、
もうお腹がペコペコ…

大阪に戻った翌日、
仏壇の前で供え物の整理をしていたあんびりが

「つんつんさん、果物が腐ってしもてるわ」
と声をかけてきた。

「あれれ…この暑いのに、
家閉め切って泊りがけで出かけてましたもんね」と私。
「そうやなあ」…
と返事が返ってくると思いきや、

『初めから腐ってたんと違うかぁ!?』

その果物は、帰省の前日、
私が名古屋で買って持って帰って来たものだった。
わざわざ誰が腐った物を買ってくるだろうか?!

私は素直な気持ちで、
仏様に…と思ってお供えしたのに、
こんなことを言われるとは思ってもみなかった。

私の周りにはそんな人今までいなかった。
親も、物事は何事もいい方に考える人だったから。

翌年から、お供え物は腐らないものにした
…っていうか、
お土産も持って帰るのがイヤになった。

同居してからは、
お盆用の仕度の手伝いも全くしていない。
あんびりが納得する物を供えてくれたら、
それでいい。
ご先祖様には申し訳ないと思うが、
義妹も仕度の手伝いをしているようだから、
私がしなくてはいけなくなったときに、
いろいろ聞こうと思っている。


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