南トルコ・アンタルヤの12ヶ月*** 地中海は今日も青し

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2006/01/11
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テーマ: 海外生活(7812)



糞のこびりついた毛皮もまだ完全に剥がれていないのに、解体できるところから解体していったせいで、筋や脂などにたくさんの汚れが張り付いていて、脂を切り落とし、よくよく洗ってからでないと使い物にならないのだった。
数時間前に屠られたばかりのクルバンの肉は、ほんのりとまだ温かかった。

早速セラップが夕食のために細切れにし、塩コショウとケキッキ(オレガノ)だけで、ごくごく当たり前にカヴルマ(炒めもの)にしてくれた。
新鮮な肉は硬く、なかなか軟らかくならないので、1日は寝かせてから料理するといいそうだが、今日はクルバンを屠ったどの家庭でも、早速マンガル(バーベキュー)にしたりカヴルマにしているはず。私たちも習慣通りカヴルマにしていただいたのだが、歯の間に必ず引っかかる肉の硬さ加減が子供たちに不評で、半分は残る結果となってしまった。

夕食後に、同じアンタルヤ市内に住むエルカンの弟一家の家に、子供たちも全員一緒、総勢8人でバイラムラシュマ(バイラムの挨拶)に行くことになった。
羊の糞で汚れた車内は、箒で簡単に掃き清めはしたが、服が汚れるのを避けるため、応急処置として座席に新聞紙を敷きつめるより他になかった。
半日クルバンのために気力を使い果たした私は、午後10時を廻った頃からあくびがついて仕方なくなった。が、初めて顔を合わせたエルカンの弟や従兄弟には、日本に関して訊きたいことが山ほどあったようで、暇乞いして自宅に戻れたのは午前0時半にもなる頃だった。


クルバン・バイラム(犠牲祭)2日目。

軟らかそうな部分はクシュバシュ(鳥の頭)といわれるサイズの細切れにし、ふくらはぎ、太腿など筋ばった部分はミンサーを使って挽肉にし、肉の若干付いた骨はハシュラマ(茹でたもの)やエトゥ・スユ(ストック)をとるために残しておくのである。

セラップは、我が家にある最も頑丈な包丁―といっても、ただの出刃包丁だが―で、長い大腿の骨をふたつに叩き折り、かさばっていた後足を小さく解体していく。出刃包丁は哀れにも刃が欠けてしまったが、セラップの文字通り「骨折り」のお陰で、ようやく鍋に入るサイズにまで小さくなった。
一方私には、脂や筋に張り付いている怪しい汚れや毛を洗い落とす作業があった。洗っても落ちない汚れは包丁で切り落とし、再度入念に洗ってザルにあげる。旨みを失い水っぽくなるので、普段なら肉を洗うなんてもってのほかだが、そのままでは到底、家族の口に入れることなんてできない。
メフ兄の解体作業をつぶさに見ていた私は、ことのほか恐ろしくて、目を凝らしに凝らして肉を洗い続けた。

余分な水分が切れたところで、セラップが細切れにしたクシュバシュを、私がビニール袋に小分けしていく。1袋300~350g。およそ料理1回分ずつに分けたもの4袋を冷凍庫に貯蔵する。
次にミンサーでの肉挽き。 昨年、夫がプレゼントしてくれたミンサー は、あれ以来頻繁に使ってはいたが、クルバンの肉を挽くために、これが大活躍してくれるとは予想外だった。
大きなボウル一杯に挽肉ができ、こちらも300gずつに小分けしてビニール袋に詰め、昼食のキョフテ(ミニハンバーグ)用に500gほど残して、6袋は冷凍庫行きとなった。

昼食にはこの挽肉を使い、中にジャガイモや人参の擂りおろしや玉ねぎ、パセリのみじん切りをいれたセブゼリ・キョフテ(野菜入りミニハンバーグ)を作り、今度は子供たちに大歓迎された。

骨との格闘で疲れきり、寝入ってしまったセラップに代わり、夕食はクルバンの骨で出汁をとった野菜入りスープを私が作った。
冷蔵庫に残っていたセロリ、人参、玉ねぎ、ジャガイモをほぼ同量ずつみじん切りし、レンズ豆も同量、トマト、ニンニクのみじん切りも適量加えて鍋に水を張る。骨を1本、そのまま野菜と一緒に鍋に入れて、直に出汁をとる。灰汁をきれいにとり、野菜が軟らかくなったら、別の小鍋でオリーブオイルを熱し、トマトのサルチャ(ペースト)、小麦粉を適量炒め、ストックで伸ばしてスープに加える。あとはトロミが出るまで煮立たせる。

「モロッコのラマダンスープ、ハリラ」 のトルコ風アレンジである。ヒヨコ豆は切らしていたし、骨からいい出汁が出るので、今回ヒヨコ豆や肉は抜きにした。この場合バーミックスがあれば、軟らかく煮えたところで攪拌して野菜の形をなくした方が、たぶんトルコ人には好まれると思うが。


こうして、これから数日は、クルバンの肉、骨をあますことなく使ったメニューが続くことになる。
残ったカヴルマを人参やグリーンピースと一緒に炊き込んだエトゥリ・ピラフ(肉入りピラフ)
ハシュラマ(茹でたもの)
クイマル・マカルナ(挽肉入りマカロニ)

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あまり肉らしい肉の好きではない上の娘のエミは、「私、食べない!」「なんで、毎日羊を食べないといけないの!?これも、あれも羊の臭いがプンプンする!」と不満を漏らす。
それに私は答える。
「それが“責任”なのよ」「クルバンを切ったものは、肉もきちんと残さず食べてあげなくちゃいけないの。それが責任でしょ?」と。
それを聞いたエミは、口をつぐみ、納得したかのように小さく頷いた。









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最終更新日  2006/01/14 08:05:46 AM
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