1
恐竜の卵……じゃなくて。水晶です。買ったお店では、グランド(グラウンド)・タンブルと呼ばれていました。水晶といっても、ご覧の通り、結晶の形はどこにもなく、まあるくなっています。ただ、写真で見て想像する「エッグ型」ではなくて、やや平べったい感じ。ほかにもたくさん仲間石がありましたが、たいてい平べったい感じでした。人為的に磨いたものと違って、表面は細かな縮緬じわ状。オレンジ色に見えているのは、酸化鉄によるもののようです。これは何かといえば、大地が作ったタンブル。人為的にではなくて、自然に磨かれてタンブル状になってしまった水晶なのです。水晶(石英)は、比較的硬く風化に強い石ですが、川に流されたりして長い年月のあいだごろごろ転がっていれば、角が取れて丸くなります。川に流され丸くなった水晶を「川流れ水晶」「リバー・クォーツ」と言うことがあります。しかし、グランド・タンブルは川から採取されたのではありません。地面の中、ポケット・ピットと呼ばれる地層のくぼみからまとまって見つかるのだそうです。それを聞いて、石屋さんに尋ねてみました。川の中の、岩盤のくぼみに石が入り込むことがあり、流れの具合で抜け出ることなく穴の中をころころ転がり続けることがあるのだそうです。すると石が岩盤の穴を削って大きくし、石自体も転がって丸くなっていく。ところによっては川に丸い穴があいていて、中には丸い小石がころころ入っているのだそうだ……という話を聞いたことがあるので、グランド・タンブルも、今は地面の中でもかつては川で、岩盤の中をころころして丸くなったのではないのか……と思ったのです。石屋さんによると、その可能性は高い。だけれども穴の中をころころした石は、丸(球状)に近くなるものなのに、グランド・タンブルは平べったいものが多い。なぜ、平べったいのかが説明できない……というのです。そういわれれば、私の買ったこの石も、球状と言うよりも平べったい。実はこの水晶はとても古い時代のもので、結晶した地層が地殻変動で移動していくのに巻き込まれ、水ではなくて地層の動きで長い時間をかけて丸くされたのではないか……という説もあるのだそうです。だとすると、とてつもなく古い時代の水晶だということになりますが……。個人的には、なぜか平べった川流れ水晶説に一票投じますが、ものすごく古い、地層で磨かれた水晶だったらいいなという思いも捨て切れません。ともあれ、自然の力で長い時間をかけて磨かれた水晶は、ひびが入っていたりして割れるべきところは残らず割れてしまい、一番丈夫な部分が残っているのだそうです。言われてみれば、写真の石も、表面こそ色づいて磨りガラス状ですが、中身はかなり透明で内包物なし。大地が生み出し大地が磨いたこの石、なんだか手になじんで気持ちいいです。
2008/07/23
閲覧総数 321
2
毎度毎度の繰り返しで恐縮ですが、私は「変な石」が好き。自他共に認める「変な石」好きの私が「いい!」と言う石には、いくつかのパターンがあります・●「KUROさんらしいね~」と言われる石 →するに「またまたこんな変な石選んじゃって~」という、 他人から見れば変でよくわからない石。●「あ、これおもしろいね」と言われる石 →きれいではなくて「変」ではあるけれど、 その変さ加減が他人にもわかってもらえる石。●「うん、これいいよ、いい石だよ」と言われる石。 →他人から見ても「いい」と思える石。変な石好きの私でも、他の人も「いい」と思う石を選ぶことはあるのです。さて、このような「他の人もいいと思う石」というのは、当然、お店の人も「いい」と思う可能性が高いので、石を並べれば、目立つところに置かれたり、きれいにディスプレイされたり、もちろん、ひときわぬきんでた値段がつきます。つまり、素直に「あ、いいな」「すごい」と思う石は、やはりきれいで、値段も高い石……と言う可能性が高いのです。しかし、パワーストーンについてのやりとりで見かける「価格が高い石の方がパワーが強いのか」という質問についてはきっぱり「否」と申し上げましょう。前述した理由で「いい石」は、お店の中で高価格帯に位置することが多くなりますが、価格そのものには石のグレードによる差のほかに、人件費や店の場所代、仕入れたときの円相場など、石には直接関わりのない状況が大きく影響しています。それなのに、価格が石のパワーに直結しているとは思えません。石の判断基準を、そんなものに直結させないでいただきたい。(パワーストーンに限らず)「いい石」は価格も高いことが多いけれど、何事にも例外というのはあるものです。2007年12月の池袋ショーの白眉。私が「いい!」と思い、自慢し、見た人も「いいね」といってくださった石。それは、これ。おなじみ、インドはマニカラン村産のアイス・クリスタルです。長期継続中の溶けた水晶マイブーム中の私は、やっぱりアイスクリスタルを見てしまいました。最初の頃から比べると、人気に伴って高騰しているので、なるべく安くていいものを……と、籠に山盛りにされた石を「掘って」いました。籠に入れられた石は、ぶつかって欠ける可能性とも隣り合わせ。言ってみれば「B級品」。棚や台にきれいに並べられた石に比べると、一段格下の扱いであることが多いです。この石は、そんな中から見つけたのです。最初に目を付けたのは大きさでした。写真の石の大きさは約5センチ。小さなものが多い籠盛りアイスクリスタルの中では、ちょっと目をひく大きさでした。それにつられて手に取ってみると、緑の色合い。「あ、緑泥入り。珍しい」アイスクリスタルは鉄分でピンクになっているのが多く、中にはピンクを通り越して鉄さびに覆われかけているものもありますが、緑泥入りは初めて見ます。この特徴で、心の天秤はほぼ購入決定に。一応、いろいろチェックしてみます。大きな欠けはなし。籠盛りでは欠けチェックが欠かせません。表面も程よく溶けていて、先端もアイスクリスタルらしく平らに溶けています。よく見ると先端の溶けたところが年輪のようになっています。これもアイスクリスタルの特徴で、この特徴がきれいに出た石が欲しいと思っていたので、この点も○。先端が溶けているものでは、錐面の部分がまるっきりなくなっていて柱面だけの場合もありますが、この石には錐面が残っているので、ここもチェック。予想以上の▽連打。最初こそトライゴーニックだ~!と騒ぎましたが、このときにはすでに騒ぎは終了。しかし、これだけたくさん、重なり合うように現れた触像は、なかなかよろしい。後で写真のように拡大してみると、大きな▽の中に▽がさらに現れたりしています。緑泥入りで、形も特徴が出ていて、しかもはじめて見る緑泥入り。程よい大きさ。良いではないか、買いましょう!……と早速購入。買ってから、休憩がてらに座り込んで再びじっくりと見ていたところ……。これは!「それ」を見つけたときには、内心狂喜乱舞。まず、緑泥入りと見えていた部分は、ファントムでした。表面の触像による凸凹のせいで、見えにくいけれど、これは確かにファントム。緑泥入りでも初めてみたのに、ファントムとは!さらに。この石には柱面に大きなくぼみ、溶けてできた穴がありました。矢印の所です。触像水晶であるアイスクリスタルに溶けて穴が開いているのは珍しくもありませんが、この穴はちょっと変です。中が平面のように見えます。いろいろとひねくり回してみると……これは。写真ではどうしても移らないので、図示します。横から見ると、ファントムのラインと穴の中に見える平面部分とが一致している。ファントムの表面、つまり、かつての錐面が溶けて露出しているのです。錐面である証拠に、この穴の中の面にもトライゴーニック!形よし、特徴よし、▽良し。はじめて見る緑泥ファントム入りで二重の錐面持ち。これだけいろいろてんこ盛りの石が、籠の中にあったとは。まさしくラッキー!……ということで、「いい石」との出会いとは、びっくりするところにもあるものなのです。「いい石と出会うには?」そんな質問があったら「1に運、2以下が同率で気合いと根性と努力」と答えましょうか。運というのは確かにあると思います。私がたまたま石や巡りやミネラルショー通いができる環境にあるのは運かもしれません。「いい石」がある店にたまたま足を踏み入れたのも運かもしれません。しかし、そこから探して見つけるという課程には、気合いと根性と努力が影響します。いい石は自分で見つけるのだという気合い。時にはお昼を食べるのも忘れて籠の石を掘る根性(?)店の隅のラベルのない石から探すために石を見分けたり、どんな石があるのかの情報を得たり、素人なりにがんばります。好きなことに労力を使うのを「努力」というのは、ちょっとおこがましいかもしれませんが、自分では何もせずに「いい石が欲しい~」「安く買いたい~」と言っていてもそれは無理なことなので、やはり「努力」なのです。こちらではもうすぐ新宿ショー。どんな石との出会いがあるか、わくわくそわそわ。同時にそれは日頃の努力と石を見る目が試される場の到来でもあります。
2008/06/01
閲覧総数 168
3
タンザニア産の石です。グリーン・クォーツということで売られていました。天然の水晶(石英)で透明緑というのはありません。それは、鉄やアルミニウムが水晶の成分である二酸化珪素の一部と置き換わり、そのことによって電子の状態が変化して、特定の光を吸収する仕組みを作る……という、アメジストやシトリン、スモーキー・クォーツの色の仕組みとは違って、緑水晶は、緑の鉱物が内包されることによる色だからです。緑色の内包物で、水晶全体が緑に見える鉱物と言えば、まずは緑泥。続いてクロム雲母、あるいは雲母が緑泥化したものだというセラドナイト。緑泥は、アクアマリン色から黒に見えるものまでさまざまな色合いがありますが、写真の石のような緑は見かけません。クロム雲母(またはセラドナイト)入りと言われる水晶も若草色系緑が多いように思います。ちょっと珍しい緑かも……と思って買って、手に取ってみてちょっと疑問。これは、水晶(石英)なのでしょうか?水晶(石英)でなくて長石のような全く別の石、というのではなくて、石英質ではあるようなのですが、水晶(石英)とは思えません。理由は肌合い。写真の石は、結晶面を持たない塊状です。石英でも塊状の石はあり得ます。……が、割れた破断面はもっとなめらか。比べてみます。こちらが石英。(オーロ・ヴェルディ。メタモルフォーゼスを変色させたもの)こちらが今回の写真の表面。……ざらざらです。内包物によるいろなのだから、内包物のためにザラザラしてしまう可能性はありますが、一番上の写真くらい光が透けるならば、ここまでザラザラしないと思います。これはむしろ、クォーツァイトっぽい。これは、「アベンチュリン」ビーズですが、全くキラキラしていないので、むしろグリーン・クォーツァイト。石英が風化して細かな砂状になったものが地殻変動による熱や圧力を受けて固まったつぶつぶ構造の石。さざれに磨かれていても、微妙に表面がザラザラです。丸玉などのようにきっちり磨けば、石英と区別が付かないくらいなめらかになりますが、軽く磨いた程度では、もともとのつぶつぶ構造のために、若干なめらかさに欠けるものがあるようなのです。よって、個人的には石英というより、クォーツァイト。で、なぜこれが「グリーン・クォーツ」と呼ばれていたか……想像ですが、現地でそのように呼んでいたのでしょうね。アベンチュリンも少し前までは「グリーン・クォーツ」とかクロム雲母が内包された水晶(石英)と説明されていましたし、ジラソルも見た目がオパール(乳白色光を帯びた)っぽいというので、海外では「オパール・クォーツ」と呼ばれていて、某バイブルではこともあろうに「オパール」の項目に入れられていたりします。クォーツアイトがクォーツと見なされていた時代があったのか、鉱物としての厳密な区分けとは別に、石英っぽいからまとめてクォーツというそういう分け方なのか。日本でも名前がいろいろあやしいですが、海外サイトでもそういう例を見かけることがあります。
2008/04/15
閲覧総数 1535
4
2日間もさぼってしまいましてごめんなさい。最初は、「レインボームーンストーンってラブラドライトの一種だったのか~。んじゃ、ちょっとそのあたりを調べてみよう」くらいの気持ちだったのですが、みごとに返り討ちにされてしまいました。ラブラドライトの和名は曹灰長石(そうかいちょうせき)。大きいくくりでみれば「長石(フェルドスパー)」の仲間です。そのほか、おなじみの石では、アマゾナイトも、ムーンストーンも、サンストーンも長石の仲間。ちょっと耳慣れない名前ですが、カットされることもある石では、サニディン、オーソクレース、オリゴクレースなども含まれます。ずいぶんいろいろな石が含まれていると思ってしまいますが、それも道理、長石グループの鉱物はさまざまな岩石に含まれている、最も主要な造岩鉱物なのだそうです。このように、とても大きなグループである長石というものに行き着いてしまったので、何をどうまとめてよいやら……。頭を突っ込めば突っ込むほど、訳がわからなくなりそうなので、普段よく目にする石を中心に頭を整理してみました。まず、長石なのですが、主にアルミニウム、珪素、酸素が主成分で、そのほかにカリウム、ナトリウム、カルシウムのいずれかを含みます。どれをどのくらい含んでいるかによって、カリウムかナトリウム、またはその両方を含んでいるアルカリ長石類と、ナトリウムかカルシウム、またはその両方を含んでいる斜長石類のふたつに大きく分けることができます。さらに、アルカリ長石類と斜長石類の中でも、成分の割合によって細かく分かれていくのですが、言葉で説明するとこんがらかってしまいます。ちょうどよい図があったのでそれを利用させていただくことにしましたただし、図を無断で借用することはできませんし、図に出てくる用語も難しく、いちいち頭で「翻訳」しなければならなかったので、自分なりにアレンジして、回りに対応する石を並べてみました。 なるべくわかりやすくと言うか、自分の頭にはいるようにまとめてみたのですが……右上の図を順番に説明していくと、正長石(オーソクレース)が、カリウムを成分とする長石、曹長石(アルバイト)がナトリウム、灰長石がカルシウムを成分とする長石です。そして、カリウムとナトリウムの両方を含む長石はアルカリ長石、ナトリウムとカルシウムを含む長石は斜長石と呼ばれます。正長石(オーソクレース)は褐色から透明の石で、マダガスカルからは、透明で黄色い美しい石が出ます。このオーソクレースの変種となるのが、アデュラリアン・ムーンストーンで知られるアデュラリアとサニディンです。アデュラリアは、スイスのアデュラー山脈にちなむそうです。漢字で書けば氷長石。サニディンは玻璃長石です。この二つの違いは、アデュラリアが低温で結晶したのに対し、サニディンが高温条件で結晶したということにあります。ここで、ムーンストーン(月長石)はどうなるの?アデュラリアン・ムーンストーンと普通のムーンストーンの違いは?……と思われた方もいらっしゃると思います。私も思いました。ところが、さすが大きな長石グループ、なかなか複雑でよくわかりません。うーんうーんとうなりながら、整理してみると……まず、ムーンストーンの神秘的な輝きの秘密はその結晶の構造にあります。正長石は、カリウムを含む長石ですが、わずかにナトリウムを含んでいるものがあります。この場合、高温下では一つの結晶なのですが、温度が下がっていくと、別の安定な2つの鉱物つまり、カリウムを含む正長石(オーソクレース)とナトリウムを含む曹長石(アルバイト)に分離してしまいます。(これを離溶(りよう)といいます)その結果、正長石の中に成分の違う曹長石の薄い層ができ、2種類の長石の薄い層が何枚も重なる構造になります。(このような薄い2種類の鉱物からできた構造をラメラといいます)この層状構造に光が反射して、ムーンストーンの輝きが生まれます。ちなみに層状構造で、曹長石のほうが薄いと青みをまし、厚いと白みが増すそうです。つまり、(私が理解したところによると)ムーンストーン(月長石)というのは、アデュラリア(氷長石)のような、特定の鉱物につけられた名前ではなく、正長石の中で層状構造による輝きを持つ物につけられた名前なのです。(アデュラリアでもムーンストーンではない石もありますし、サニディンでもムーンストーンのような効果を持つ石があります)この、層状の構造によって石に浮かび上がり、石を動かすとそれにつれて大きくゆっくり移動して見える光の現象をアデュラレッセンス(またはシラー、シーン)といいます。ここで、ちょっと話がずれるのですが、シーンやシラー、アデュラレッセンスなどの用語についてメモしておきたいと思います。ムーンストーンについて調べていて困ったことのひとつがこの用語です。ある資料では、ムーンストーンの光の効果をアデュラレッセンスと言い、アデュラレッセンスはシーンやシラーとも呼ばれるようですが、違うところではイリデッセンスはシーンやシラーと同義であると説明されています。かと思うと、ムーンストーンはオパレッセンスを示す長石であるとする資料も出てきます。ひとつの効果を表すのに、こんなにたくさん言葉があるなんて変です。そこで、推測と独断を交えつつまとめてみました。まずわかったのはオパレッセンスです。ちょっと見るとオパールの虹色を表す言葉かと思ってしまいますが、オパールの虹色のことは、「遊色効果(プレイ・オブ・カラー)」と言います。オパレッセンスは、結晶中の微細なインクルージョンによる光の散乱(ミー散乱)効果で、メキシコオパールの一部やミルキークォーツの一種であるジラソルに見られるように、石全体を包むような柔らかな白い輝きを指します。※資料によるとジラソル(ジラゾール)はオパレッセンスの同義語だと言うことです。※ジラソルのことをオパールの輝きを持つ水晶とする説明がありますが、 これは、オパレッセンスを示す水晶であるという意味でしょうか?次にアデュラレッセンスです。これは、ムーンストーンで観察される特殊効果であると説明されています。オーソクレースとアルバイトからなる層状構造によっておこる光の散乱で、層が薄ければ青い光となり(レイリー散乱)、厚い場合は白い光となります(ミー散乱)。宝石業界では、青い光を放つ方が良質とされるそうです。お次。ややっこしいのがシーン(sheen)とシラー(schiller)、そしてイリデッセンスです。シーンは英語、シラーはドイツ語だと言うことなのですが、ムーンストーンの白・青の光をシラー(シーン)と表現している例がたくさん見られる一方、複数の宝石用語のサイトでシーン(シラー)をイリデッセンスと同義の言葉であると説明していました。では、イリデッセンスがどういう意味かというと、結晶の内部構造によって光の干渉が起こった結果現れる、虹のような遊色効果……ということになります。石の種類で言えば、ファイヤーアゲートやアイリスクォーツなどです。アイリスクォーツというのは、水晶の内部にカコクセンナイトなどの鉱物が薄い膜状に結晶し、虹色の効果を見せるものです。アンモナイトの化石の一部で見られる真珠貝のような虹色もイデリッセンスだそうです。ここで疑問です。ちょっと話が先に飛んでしまうのですが、この雑記の一番最初でも書いたように、「レインボームーンストーンはラブラドライトの一種」なのです。実は成分も違うのですが、見分け方は『白か青以外の光が見えればレインボーラブラドライト』です。……ということは、ムーンストーンの光の効果を現すのに使うシーン(シラー)がレインボーの色合いを意味するイリデッセンスと同義では変です。おっかしいなあ……と調べたところ、この言葉は、特殊効果(phenomenon)の類義語で、狭い意味ではアデュラレッセンスと同義として用いられるとする資料がありました。特殊効果とは、結晶のインクルージョンや構造によって起こる光学的効果のことで、キャッツアイ効果や、オパールの遊色効果などいろいろなものを含む言葉でした。これなら納得できます。つまりシーン(シラー)は、構造やインクルージョンによって石の表面に現れる光を広く指す言葉で、その中で虹色の効果をイリデッセンス、オパール特有の構造による虹色を遊色効果、同じ微細なインクルージョンによるものでも光が拡散して石全体が淡い光に包まれるような輝きをオパレッセンス、正長石の層状構造によるものを特にアデュラレッセンス、先に飛びますが、もう一つラブラドライトに見られる虹色の輝きをラブラドレッセンスと呼ぶのだ……と考えれば、とてもスッキリするのですがいかがでしょうか?長くなったので続きは27日の日記へ
2004/09/26
閲覧総数 1132
5
水晶玉です。レムリアンシードを削ったものなんだそうです。この石は、たくさんの方にご参加いただいた参加型実験企画「そっくり博覧会」にも登場した石。レムリアンシードといったら、あの「外見」が最大の特徴であって、それを削り取ってしまったら、どう見たってふつうの透明水晶玉。石を判別するのにはかなりの部分を視覚に頼る私にとって、これはかなりの難関!自分自身で「コレはレムリアンシードだ」とわかって買い、同じサイズの透明水晶玉はこれだけという状況によって、やっと「これはレムリアンシード玉」と、出題することができた……という代物なのです。なのに。名前なし・説明なし・写真のみの「意地悪・ブラインドテスト」の「そっくり博覧会」において、石の名前当てチャレンジで寄せられた5回答中4回答までが「レムリアンシード」残るひとつも「水晶玉」という結果はオドロキ!石の名前候補にはレムリアンシードのほかにも、ヒマラヤ水晶やブラジル水晶、ロシアンレムリアン、パキスタン水晶など、透明な丸玉がとれそうな水晶があがっています。レムリアンシードの名前が候補にあっても、「この中にレムリアンシードはない」という選択肢もあるはずです。写真でもほかに丸玉が何個もあり、透明なガラス玉、内包物入りのガラス玉もそろえました。なのにこのレムリアン一致率はなにごと。48枚の写真の中には見た目でわかってしまうもの(モルダバイト)とか、一生懸命そっくりに撮ったので、だまされてますね~とほくそ笑んだものとか(Vidro na Terraなど)、予想範囲内の回答もあるなかで、このレムリアン一致は「もしかして、やっぱり何か感じるんだろうか?」と思わせます。お答えくださった皆さんに、「なぜ?」「どうして?」「どこらへんが決め手でしたか?」とインタビューしたい気分。「そっくり博覧会」の前書きで書いたように、「石のパワーなんて、あるわけない」と頭から否定するよりも、あった方が楽しいと思っているので、希望コミで「ある」ということにしておきたいですし、できることなら自分で感じられたらもっと楽しいと思ってます。ちまたでいわれているような「石の意味」や「石のパワー」のようなものではなくて、「気配」や「雰囲気」のようなものであったとしても、それらが存在するのなら、それも石の表情の一つだと思うので、是非とも感じてみたいと思うのです。お寄せいただいた回答をみながら、改めて見てみましたが……。うーん。
2008/10/23
閲覧総数 252
6
先日の雑記で、レムリアンシードの話が出ました。繰り返しになっちゃいますが、レムリアンシードの特徴は、ほんのりピンクと柱面の横筋です。ピンク色の正体は、どうやら酸化鉄らしいと言うことになっているようですが、「レムリアン・リッジ」とか「バーコード」とか呼ばれている、あの横筋はどうやってできるのでしょう?うちのレムリアンの横筋は、{筋」どころではなくて「階段」みたいになっちゃっていますが。これもどまでにくっきりはっきり刻まれているのに、柱面の一面置きに刻まれているのは何故でしょう?うーん、うーんと考えていたら、面白い説明を見つけたので、ちょっと考えてみたいと思います。保育社の「カラー自然ガイド 鉱物~やさしい鉱物学~」(益富壽之助著)と言う本に載っていた説明です。諸般が昭和49年なので、もしかしたら新しい説が出ているかも知れませんが、柱面の横筋のメカニズムが説明されているのを初めて読んだ本です。引用を交えてその節名をご紹介します。まず、柱面の横筋を専門的には成長線」(横条線)といいます。成長の痕跡が残るなんて、まるで年輪みたいですね。さて、そもそもの疑問は、なぜ、成長線ができるのか……ということ。この本によると、「柱面とその上下にくる菱面体とが、細かく繰り返しているため」……だそうなのです。ちょっと説明を加えますと、「菱面体」とは、錐面、つまり水晶の先端部分の斜めの面のことです。柱面と錐面が細かく繰り返すとはどういうことなんでしょう?頭をひねって私なりに理解をしてみました。(なので、正しいかどうか自信がありません)ファントムなどでわかるように、水晶はタケノコの皮のように一層一層重ねるように大きくなっていくと考えられます。また、水晶が成長する熱水の濃度によっては、スケルタル(層状のエレスチャル)のように結晶の角の部分がより成長しやすいようです。このことを踏まえて、一層一層成長する結晶が、微妙な熱水の濃度によって、錐面と柱面の境がわずかに余分に成長したと考えたらどうでしょう。余分に出っ張った分、下向きの錐面の一部が形成され、それが重なれば「柱面とその上下にくる菱面体とが、細かく繰り返す」ことにならないでしょうか。つまり、こんな感じ↓でソロバン型水晶がたくさん積み重なってその縁だけが現れている……という感じにならないでしょうか。それが、横筋になったと考えると、なんとか納得できそうな。でも、横筋は、一面おきに現れます。これはどう考えればよいのでしょう?そこで引っ張り出したのが「ブラジル式双晶」です。水晶には結晶の向きによって右水晶と左水晶があり、一見ひとつの水晶でありながら、実は右と左という向きの違う水晶がひとつになっているのがブラジル式双晶です。右と左とがどのように混じっているかというのが上の図の右側です。これはブラジル式双晶を横にスライスしたものの図で、黄色ところが右か左いずれかで(つまり、この部分は双晶ではない)、紫色のところが、右と左が交互に年輪のように重なっていることを表しています。さては、この年輪状態が横筋を作っているのかと思ったら、どうやら、レムリアンの横筋面は図の黄色い部分になるようです。ともあれ、一面おきに筋が現れる謎は、ブラジル式双晶で考えるのが一番ぴったり来るのですが、レムリアンシードには、ブラジル式双晶特有の面が無いんですよねえ……。困った。
2005/07/31
閲覧総数 1796