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いくら何でも今日はおとなしく自宅待機(笑)中です。いつもならば、石を手に入れたら、「KURO流お近づきの儀式」とばかりに写真撮影なのですが、新宿ショーのように、「石好きのお祭り!」のようなことがあると舞い上がった頭は、なかなか元には戻ってくれません。初日こそゴホゴホして、皆さんにご心配いただいた風邪も、2日目からは、アラ? というくらい良くなりました。頭(心)も体も、どれくらいほくほく興奮状態になっているかわかろうというものです。そんな状態なので、最終日に「あ~、終わっちゃったァ……」と、一息つかないことには、落ち着いて写真も撮れやしません。そのため、戦利品の撮影本番は、ショーの後。しかし、見つけたとたん、顔がにやけた「掘り出し物」があったので、まだまだ正常に戻らぬ頭をなだめなだめ、写真を撮ってみました。ファントムやルチルの磨きものが箱にどっさりで、いつもいつものぞいてしまうおなじみのお店で見つけた一品。アメシストのファントム入りエッグ。長さ約3センチ、濃い色合いが美しいアメシストの中に、「くっきり」ファントム。そのくっきり具合たるや、かつての結晶の面の形だけでなく、面と面の合わせ目のエッジもくっきり、なんと、かつての結晶面が光を反射するほどのくっきりさ。写真に撮れば、まるで紫たなびく中にそびえる、雪を戴いた霊峰!うはー、美しい!ファントム(幻影)という名前に似合わぬ存在感と実体感です。いつもお世話になっているお店の人に見ていただいたところ、このようにかっちりと実体感のあるファントムのことを「ソリッド・ファントム」と呼ぶ場合もあると教えていただきました。ソリッドとは「固体の、硬質な」というような意味なので、ファントムという単語とくっつくにはいささか不釣り合いですが、なるほど、かっちりくっきりファントムという感じです。普通のファントムでは、結晶の途中で表面に不純物が付着し、それがかつての結晶の形を縁取ってファントムとなります。そのために、付着した不純物の粒の大きさや密度によってはぼんやりした形になりがちで、まれにしっかりとしたファントムになっても、かつての面の形がわかるものは少なく、その面が光を反射するようなものは皆無です。クリアな水晶の中にアメシストのファントムとか、スモーキー・クォーツをよく見ると色の濃淡がファントムになっている場合もありますが、この場合はまさしくファントム(幻影)で、立体感はあまりありません。今回の写真のファントムのような「ソリッド」なファントムは、かなりの少数派なのです。近いものと言えば、ファントムよりもむしろ貫入水晶。水晶に別の水晶が食い込み、食い込んだ様子が内部に見えているものです。このばあいは、面の形もくっきり、接合面では光の反射は虹が見えることも珍しくありません。では、今回のファントムは、ファントムに見えて貫入水晶では?……私は違うと思います。理由は2つ。ひとつは、観入水晶で小さな結晶が丸ごと飲み込まれたマニフェステーションではなく、食い込み型の貫入水晶の場合、貫入、つまり食い込んだ部分が綺麗にポイントになっているものは少ないこと。もう一つは、結晶の成長方向の一致です。このエッグをファントムの先端方向から見ると、アメシストの色が斑に見えます。このまだらは、単に無秩序に濃淡があるのではなくて、エッグに磨かれる前の結晶が「ブラジル式双晶」と呼ばれるタイプであったことを示す特徴を示していて、その濃淡から判断する限り、元々の結晶とファントムの成長方向は一致しています。貫入水晶の場合は、全く別の結晶が食い込むので、食い込んだ水晶とそれを飲み込んだ(包み込んで成長した)水晶の成長の方向は別々です。完全に一致することはないでしょう。成長の方向が一致していると言うことは、貫入ではなく同一の結晶であることを示していると思います。何より、この石の他にもくっきりファントム入りエッグがいくつかあったので、貫入水晶ではあり得ません。もちろん、ファントム入りもなしも同じお値段。見つけ得のお買い得♪ もしかしたら、いったん結晶してから再び結晶が再開されるまでかなり間があいていたのではないだろうか、という話も伺いましたが、それは真偽を確かめようもありません。しかし、間があくことで結晶が一度かっちりとかたまり、そのためにこのようなくっきりファントムになるというのなら、層ではない普通のファントムの場合は、「一度かっちりと固まらなかった」と言うことになるわけで、水晶の成長具合と速度を考える上では、おもしろい題材になりそうです。
2007/06/03
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……実は、集めていたりするんだろうか、私。
2007/08/29
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石です。掌の上に乗ります。でも、人間の背丈くらいに大きく拡大して公園等に置いて、「現代美術の作品です」と言っても、誰も疑問に思わないのではないでしょうか。念のため申し上げますが、自然の形です。人工的に作った形ではありません。でもってこれはオパールです。……少なくともオパールの一種。メニライトといいます。和名は珪乳石。綴りはMenilite。ジュディ・ホール氏の「クリスタル&癒しの石」にメナライトとして掲載されているのと同じ石です。実は、この本を見たとき、メニライトの誤植? と思ったのですが、最近出た「クリスタル百科事典」でもメラナイト。しかも綴りが「Menalite」。これならメラナイトと呼んでも仕方がないですが……検索してみると、Menaliteでもヒットしますが、ヒット数だけなら「Menilite」の方が断然多いです。なので、やっぱりメニライト(Menilite)ということで。不純物が多いオパールであるとか、プランクトンの一種である珪藻の殻が溶けてコロイドとなり脱水してオパール質の珪乳石となったとか、珪藻土の珪酸成分が分離し沈殿したのだとか説明されています。生き物めいた形をしているので、別名を「こぶり石」「仏石」「菩薩石」とも言うそうです。手触りは、オパールと言うより石膏(鉱物のじゃなくて「石膏像」の)っぽい。石だと思って持つと、予想よりは軽いので、その点はなるほどオパールかもと思えます。でも……オパールどころか、石にすらみえませんねえ……この形。誰も見ていない間にぐにょ~ん、でろ~んと動いていそうです。動いていそうというよりも、いっそ動いて欲しい。動いても驚きません。そんな感じの、変な石。気持ち悪い?……私はどちらかというと好きですね。この形。このライン。この質感。よくぞ自然でできあがったものだと感心します。
2008/03/27
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国産の高温型水晶です。高温型水晶については、ハーキマー・ダイヤモンドのところでふれましたが、簡単に言えば、摂氏870度から573度のあいだで結晶した水晶のことです。錐面だけを上下にくっつけたソロバン型の結晶になることから、ソロバン水晶と呼ばれたりします。573度以下の温度で結晶した水晶は、おなじみ「普通の水晶」です。高温型水晶に対して低温型水晶といいます。高温型水晶は、マグマの中で高温の状態で結晶したと言われ、成分は同じSiO2であっても、低温のものとは原子の結びつき方が違うのだそうです。しかし、その後温度が下がってしまうと、結晶の形はそのままながら、原子の結びつきは低温型になってしまいますつまり、形は高温型で中身は低温型……というわけ。ところが、外の形と内部の原子の結びつき方がくいちがっているために、結晶の内部にひずみがたまり、そのひずみのためにクラックがたくさんできてしまうのだそうです。ハーキマー・ダイヤモンドのところでは、ハーキマーが低温型水晶か、高温型かと悩みましたが、このことがわかっていれば即解決でした……。写真の石は、5ミリほどながら、クラックだらけ。高温型水晶って、こういうことなのね、と根性マクロしました。
2006/03/29
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