2004/09/28
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なんと、3日間にわたってしまいました長石ネタです。
昨日は、続きを書き込もうとしたら、ログインできませんでした。
区切りも良さそうなので、続きは今日の分ということで……。

長石2

今日の話はアルバイトからはじまります。
名前が名前だけに思わず「アルバイト(曹長石)」と、
カッコ書きで付け加えたくなっちゃいます。
お間違えのなきよう……。

さて、アルバイトはほぼ純粋なナトリウム長石です。
純白の結晶で、さまざまな岩石に含まれていたりします。

特に原石好きの石好きさん、鉱物系石好きさんは可能性大です。
アクアマリンやトルマリンなどの結晶にくっついている、
雪のような真っ白な石……そういうものがあれば、たぶんアルバイトです。

ここでちょっと覚え書きです。
オーソクレースとアルバイトにまたがるアルカリ長石のグループは、
ほどんどがオーソクレースの成分の石が多く、アルバイトが混じっていても、
薄い層状に分離していましたが、
アルバイトとアノーサイトにまたがる斜長石(プラジオクレース)グループは、
さまざまな割合で混じり合い、いろいろな鉱物を作ります。

先に紹介したアルバイト(曹長石)は、成分の90%以上がナトリウムの長石ですが、
もう少し割合が下がって70~90%になるとオリゴクレース(灰曹長石)になります。

アノーサイト(灰長石)との割合が逆転すると、名前にも「灰長石」が出てきます。
アルバイト(曹長石)の割合が30~50 %だと、おなじみラブラドライト(曹灰長石)、
10~30%のものはバイトウナイト(亜灰長石)、
ほぼ純粋な灰長石(アルバイトの割合が10%以下)がアノーサイトです。

ちょっとうっとうしく漢字の名称も入れてしまいましたが、


さて、アルバイト(曹長石)成分70~90%のオリゴクレースは
塊状態で産出し、とうめいなものはカットされることもありますが、
よく知られているのが、
レピドクロサイト(鱗繊石)がインクルージョンされて
キラキラと輝くアベンチュレッセンス(アベンチュリン効果)を持つサンストーンです。
(写真5。6は拡大)

もっとも、サンストーンはムーンストーンと同じように
「アベンチュレッセンスを示す長石」に対して付けられた名前です。
(アベンチュレッセンスとは、細かいインクルージョンに光が当たって
キラキラ輝く効果のこと。
そのため、オリゴクレースではなく、透明なラブラドライトに細かい銅のインクルージョンが含まれた
アメリカのオレゴン州産の石もサンストーンと呼ばれます。

写真の7はロシア産、8は産地は不明なのですが、サンストーンとして売られていたものです。
ロシア産のは、インクルージョンの色が銅色に見えます。
ベースになる石も長石かどうか、ちょっとわからないのですが、
こういう効果のある石は「サンストーン」としてくくられてしまうようです。
(ロシア産で、ムーンストーンにヘマタイトの小片のインクルージョンが
はいったものがあり、「サン&ムーンストーン」「サンストーン・ムーンストーン」
と呼ばれています)

アンデシンは世界中で産出しますが、
宝石としてカットできるような美しい石は少ないそうです。

お次がいよいよラブラドライトです。
メキシコ産で、ほぼ透明でわずかに黄色がかった
ゴールデンラブラドライトという石がありますが、
調べていて意外だったのが、
ラブラドライトの本来の姿はこちらだということです。

虹色のラブラドレッセンスと呼ばれる光を持つ
(ラブラド光線とも言うそうです。こういうとなんだかあやしい感じです)
この美しいラブラドレッセンスのメカニズムは、
やはり層状の構造です。

……ところが、ここでちょっと迷ってしまいました。
この層状の構造を
「曹長石よりの層と灰長石よりの層とに分離して、層状に積み重なっている」
とする説明と
「ラブラドライトが(つまり一種類の石が)繰り返し双晶して層状になっている」
とする説明の二つがあったのです。

ムーンストーンについて調べてきた経緯からすると、
前者の説をとりたくなります。
ところが、ラブラドライトが属する斜長石(プラジオクレース)グループは
アルバイトとアノーサイトがさまざまな割合で混じり合い、
「固溶体(こようたい)」というひとつの鉱物となっているのだそうです。
で、この「固溶体」の定義はというと
「異なる物質が互いに均一に溶け合った固体の状態」だそうですから、
後者も正しいように思えます。
いったいどちらなのでしょう?

とにかく、ラブラドレッセンスは、この層の劈開で光の干渉がおこって
虹色の光が生まれたものです。

写真は9がインド産のレインボームーンストーン。
何度も言ってきたように、名前はムーンストーンでも
ラブラドライトの仲間です。
10がインド産ラブラドライト
11と12がフィンランド産ラブラドライトです。
フィンランド産のラブラドライトは、よりゆっくりじっくりと結晶したため、
層状の構造が整然としていて、強いラブラドレッセンスを示すので、
「スペクトロライト」と呼ばれることもあります。

……ちょっと余談なのですが、
ラブラドライトというと、オレンジ~金~黄緑~緑~青と
さまざまな色合いがあるなかで、
青~緑の輝きが人気ではないでしょうか。
たしかに青~緑の輝きは熱帯の蝶の羽根のようで美しく、
私も大好きなのですが、
珍しさで言えば、紫やピンク、赤など暖色系の輝きの方が上!
実はスペクトロライトでピンク~オレンジのを持っているのですが、
ピンク系はどうしても輝きが暗くなってしまうようです。
なので、今度はインド~マダガスカル産でピンクのを探したい!
珍しもの好きの方はぜひ探してみて下さい。
一部ではなく、広範囲にピンクや紫の輝きが出る石は少ないです。

さて、残るはバイトウナイトとアノーサイトです。
この2つについては資料がほとんどなくて、あまり書くことができません。
検索してみたら、
バイトウナイトは、わずかにクリーム色がかった透明で美しいカット石が出てきました。
アノーサイトはまっ黒なカボションと、ワイルドな感じの結晶が見つかりました。
せめてどういう特徴があるのかぐらい書きたかったのですが……。
ここでギブアップです。

……とやたらに種類の多い長石についてたらたらと書いてきたのですが、
最後に、一番はじめの疑問に答えるべく
「ムーンストーンとラブラドライトはどう違う」 のか
についてまとめておきたいと思います。

まず……
成分が違う
ムーンストーンはカリウムを含むオーソクレース(正長石)と
わずかにナトリウムを含むアルバイト(曹長石)が
薄い層状に重なったアルカリ長石グループの石ですが、
ラブラドライトは
ナトリウムを含むアルバイト(曹長石)と
カルシウムを含むアノーサイト(灰長石)が混じった
斜長石(ブラシオクレース)と呼ばれる石です

輝きのメカニズムが違う
どちらも層状の構造が輝きのもとですが、
ムーンストーンの輝きは光の拡散によるもので
ラブラドライトは光の干渉によるものです。
つまり、
ムーンストーンの輝きは
空が青く見える原理と同じ

ラブラドライトの輝きは
シャボン玉の虹色と同じ

……と言うことができます。
確かに見た目はそっくりですが、中身がこれだけ違えば、
レインボームーンストーンとムーンストーンは別の石だとわかります。

また、ムーンストーンには、
白っぽく輝くムーンストーンと
青い光が浮かぶブルー・ムーンストーンがありますが、
厳密には、ブルー・ムーンストーンは、
透明な石にブルーの光が現れるものをいい、
不透明に近い、乳白色の石に青っぽい光が現れるものは、
単にムーンストーンと言うのだそうです。

そして、このブルームーンストーンとレインボームーンストーンは
たいへん見分けにくいものです。

青い光が出ていても「レインボームーンストーン」として売られているのであれば、
それを信じて「ラブラドライトの仲間」と考えればよいと思います。

表示がなく、どちらかわからない場合は、
まずは、お店の人に聞きましょう!

しかし、「ブルームーンストーン」として売られていても、
肉眼でさまざまな角度から見たとき、
緑やオレンジなど白~青以外の光が少しでも見えれば
レインボームーンストーンの可能性が大です。

写真の1と2(2は拡大)は、比較的透明度も高く、光もブルー一色なので
ブルー・ムーンストーンだと思うのですが……。

いずれにせよ、美しい石なので、輝きが気に入った石を買えば
それでよいのではないでしょうか?

ぷはーっ、
やっと終わりました。
しんどかった……。
長石は侮ってはいけない鉱物だったのです……。










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Last updated  2004/09/28 11:34:11 AM
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Re:迷宮の先は長く……(09/28)  
lovely linda  さん
すっきりしました。レインボームーンストーンは、ラブラドライト、ブルームーンストーンは、ムーンストーンなんですね。レインボームーンストーンと呼ばれていても、青い光しか確認できなければそれは、ムーンストーンと言うわけですね。いつもながら、素晴らしいです。ありがとうございました。 (2004/09/28 04:42:40 PM)

すみません。ちょっと不適切でした  
lovely lindaさん

>レインボームーンストーンと呼ばれていても、青い光しか確認できなければそれは、ムーンストーンと言うわけですね。

すみません。ちょっと書き方が不適切でした。
書き直しましたので、もう一度最後の方を読み直していただけるとありがたいです。

文末にまとめたように、ムーンストーンとラブラドライトは成分も輝きのメカニズムも違う、異なった石です。

なので、青い光しか出ていなくても、
レインボームーンストーンはラブラドライトです。

お店で「レインボームーンストーン」と表示されていれば、
まずはそれを信じられてはいかがでしょう?

もし、そこにある石が「レインボー」といいながら
青ばかりだったら、
じっくり見て青以外の光があるかどうか確かめて下さい。
ラブラドライトの虹色の輝きは、層の厚さによるものなので、
ある程度の大きさがあれば、層の厚みにばらつきが出て、青一色のように見えていても、他の色が混じる場合が多いのだそうです。

それでも青しか見つからなければ、お店の人に確認されることをお勧めします。

私はブルームーンストーンもレインボームーンストーンも好きですが。


(2004/09/28 05:05:51 PM)

Re:迷宮の先は長く……(09/28)  
こんばんはぁ♪

KURO-Mさんパワーアップしてますねぇ^^
それにしても

>ラブラドライトの輝きは
>シャボン玉の虹色と同じ

なんだか納得できますねぇ~
9番の写真を日にカザシタラ
きっとシャボン玉みたいに見えるでしょうねぇ~
(2004/09/28 06:16:47 PM)

ありがとうございます!  
lovely linda  さん
わざわざ丁寧に、ご説明いただきありがとうございます。ブルームーンストーンやレインボームーンストーンって、お店によって呼び名が違っているので、戸惑います。どちらにしても、わたしも、ムーンストーンもラブラドライトも両方大好きです。 (2004/09/28 06:29:04 PM)

すごいですねぇ・・・2  
更紗@MIO  さん
こんばんわぁ~
またまたすごいですねぇ~
鉱物図鑑を読んでいる様です。超ビックリ。
ホントに石が好きなんですねぇ・・・

長石にはその成分によって色んなタイプがありますが、
感覚的なお話をすると長石の種類の石達は今日の様な満月の日に
ものすごぉくキレイに光ります。月が出ていても出ていなくても、
満月のエネルギーを一緒に感じてみると新たな発見があるかもしれませんよぉ~

我家のアデュラリアの原石がビッカビカに今輝いています。>^_^<

MIO (2004/09/28 09:20:10 PM)

Re:迷宮の先は長く……(09/28)  
るちるねこ  さん
又々お疲れさまでした♪
‥と昨日お外からkuro-mさんに書き込みをしたのですが、サイトエラーに引っかかって文章はおじゃんと成ってしまいました。ラブラドは好きな石です(^^)因みにある本に因りますと、虹のような数々の色が出るのをスペクトロライトと呼ぶようです。その中でも、ピンク色=いわゆる桃色は、ホントに出にくい色、中々探しても見つけにくい色です。ほのかな紫色も見つけにくいかな(^^;;
一般に水色~深い碧に至るブルー系を日本人は好むと云われています(^^) (2004/09/29 12:29:04 PM)

カキコありがとうございました♪  
シアワセな葦さん
9の石は、実は直径8ミリくらいの小さなカボションなんですよ。
ラブラドライトも、ムーンストーンも、丸玉だと今入り輝かないような気がしませんか?

lovely lindaさん
いえいえ、こちらこそ書き方がいいかげんでした。
ムーンストーンといえば、白い光のきれいな石、最近見かけないような……。

更紗@MIOさん
アデュラリア……持ってないんです。
写真のブルームーンストーンは、青いことは青いのですが、長石のどのあたりの石だか不明。
和名も洋名(……というか英語の名前?)も両方かっこい石ってなかなかないですよね。
しかも実物がきれいだなんて……。いつか欲しいです。ムーンストーンになっていなくてもいいので、原石が(笑)

るちるねこさん
フィンランド産、ちょっとオレンジっぽいですがピンクのを持ってます。
だけど輝きがちょっと暗め。
インド産だったら、鮮やかな暖色系があるでしょうか? (2004/10/01 01:28:33 AM)

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