あゝ平凡なる我が人生に幸あれ

京都花見小路殺人事件

京都花見小路殺人事件 ~京都花見小路殺人事件~


高名な日本画家の沢木潤一郎は、鳥取砂丘へのスケッチ旅行を計画していた
奇しくも、沢木の恋人で舞妓の小菊もビールのCMの撮影で鳥取砂丘に行くというので同行することにした

今回のCMは、小菊・豆雪・小君の三人の舞妓に若手タレントが出演するという
もともとは俳優の長田克彦夫婦が出演予定だったのだが、夫婦が離婚することになり、降板した為に広告代理店の高矢洋二が企画変更したものだった

同じくして、少し離れた砂丘ではドラマ撮影が行われていた
出演は、円山麻里に若手俳優の杉陽一
麻里は、昔は名が売れた女優だったが、最近では活躍の場が無く、忘れられている存在である
麻里は長田と不倫関係で、離婚原因の要因をつくった張本人でもあった

小菊たちのCM撮影は順調に進んでいたかのように見えたが、小君が休憩中に用意されていたビールを飲んだ途端、苦しみだして倒れてしまう
が、なんとか一命は取り留める
その後の調べで、ビールには農薬が混入されていた

京都へ帰ってきてから日も経たぬうちに、花見小路で豆雪が何者かによって絞殺されてしまう
CM撮影に出演した舞妓への嫉妬か?
ライバル企業の嫌がらせか?
疑惑の目は、CMのオーディションで最終審査まで残って落ちた、花千代・豆竜までにも向けられた

そして、今度は長田の別れた妻の秋子が花見小路で絞殺死体となって発見される
事件の夜、現場近くでは舞妓と歩いている秋子が目撃されていた…



~感想~
著者が、『密室トリックは、私のトリックの中でも、特に気に入ったものなので、お楽しみいただければ幸いである』と語っている
手の込んだ密室トリックという訳ではなく、実際にその仕掛けを見たことが無いので判らないのだが、その当時(昭和63年発行)では流行つつあるものだったそう
その着眼点はさすがトリック・メーカーと呼ばれるだけはある

で、物語だが、CM絡みの殺人事件に舞妓の世界を絡めた話
犯人の動機があまりにも自分勝手すぎて『そんな事で罪を犯すの?』と納得できなかった
ただし、主人公の舞妓・小菊と画家の沢木潤一郎のコンビぶりはなんとも微笑ましい

という事で、私的評価は星【★★★☆☆】3つです



◆この原作のドラマ化作品◆
昭和63年10月18日放送
火曜スーパーワイド
『京都花見小路殺人事件・舞妓さんは名探偵!』
出演/小菊…酒井法子/沢木潤一郎…田村亮/円山麻里…白都真理/狩矢警部…横内正/葉子…山村紅葉/長田克彦…荒木しげる/小君…松岡由美/高矢洋二…伊東知則/花千代…木之原賀子/橋口警部補…伊庭剛/河西秋子…鈴川法子/杉陽一…武井三二 ほか


…タイトル前のナレーション
『いやぁ、もうビックリ!知らんかったんどす、これが思いもよらへん連続殺人の始まりやったとわ』


…ドラマの内容
舞妓の小菊・豆雪・小君の3人は、嵯峨野で外車のCM撮影をしていた
休憩中、弁当を食べていた小君が突然苦しみだしてしまう
何者かが農薬を混入したらしい
続いて、豆雪が花見小路の路地で絞殺死体で発見されてしまう

CMが事件に関係しているのか?
事件の渦中に巻き込まれた小菊と、恋人で日本画家の沢木が真相解明に乗り出す


…ドラマの感想
この作品がドラマ初主演の酒井法子氏がなんとも初々しい
内容は、コンパクトにまとめられているものの、ほぼ原作通りに作られていて、密室トリックも事細かく忠実に再現されていた



◆この原作のドラマ化作品・2◆
平成16年12月8日放送
水曜女と愛とミステリー
山村美紗サスペンス
『不倫調査員片山由美6~京都花見小路殺人事件・閉じ込められた死体!鍵と水晶と毛の謎・W不倫が招く悲劇の結末とは!?』
出演/片山由美…池上季実子/片山俊作…神田正輝/矢野麻子…萩尾みどり/岩田亜紀子…大島さと子/矢野信彦…小倉一郎/岡島乃梨子…山村紅葉/岩田義雄…五大高之/立田進一…ルー大柴/坂巻…丹古母鬼馬二 ほか



◆この原作のドラマ化作品・3◆
平成19年4月7日放送
土曜ワイド劇場
山村美紗サスペンス
『京都・花見小路殺人事件、華やかな祇園の舞妓と芸妓の裏の顔…密室に三匹の猫トリック!』
出演/狩矢和美…藤谷美紀/狩矢警部…田村亮/夏目利彦…原田龍二/三上陽子…酒井和歌子/白川貴絵…中原果南/山野美野里…山村紅葉/狩矢澄江…中野良子/飛鳥井誠司…中原丈雄/中山清志…渋谷天外/藤乃…今村恵子/西勝彦…鶴田忍/橋口刑事…池田政典 ほか


…ドラマの内容
編集プロダクション『唐竹企画』カメラマンの和美は、着付け教室のパンフレット作りの仕事で、講師の白川貴絵と知り合う
和美はこのあと、祇園のお茶屋で行われる私立医大病院の飛鳥井教授の学部長就任祝いの取材に向かうことを貴絵に話すと、自分も呼ばれているという
和美と貴絵が連れたってお茶屋“よし乃”に向かうと、そこで和美の恋人である夏目と出くわす
夏目も、取材でお座敷に呼ばれているとのこと

宴席が盛り上がるなか、和美は中座して廊下に出ると、芸妓の藤乃といち香が口論しているのを目撃してしまう
なにやら険悪のムードを察する和美だった

今日から芸妓に襟かえした挨拶をしたいち香が舞を披露していると、突然いち香は苦しみだし、そのまま絶命してしまう
検視の結果、トリカブトの毒による中毒死と判明
さらには、いち香は妊娠していたことが判る
いち香を殺したのは誰なのか?
いち香の妊娠相手は誰なのか?
事件に興味を持った和美だったが、祇園のお茶屋連中は口が堅くて思うように調査が進まない
そんななか、藤乃といち香が、よし乃の女将・三上陽子の一人息子である悟をめぐって三角関係だったという噂を知る

数日後、トリカブトの毒について調べるために植物園に出向いた和美と夏目は、藤乃と悟がそれぞれ別の日に訪れ、トリカブトについて質問していったことを職員から聞かされる
三角関係のもつれから、どちらかがいち香を殺害したのだろうか?
和美と夏目は、藤乃の自宅を訪ねるが、藤乃は密室状態の部屋の中で遺書を残して死んでいたのだった…


…ドラマの感想
原作は舞妓の世界を描いているとはいえ、ストーリーは全くの別物
密室トリックだけを頂戴したという感じ
ストーリーは原作を無視していて、ほぼオリジナルといってもいいぐらいなので、犯行の動機などかなり説得力に欠けていたが、狩矢警部親子シリーズとしてのほのぼのとした面白みは楽しめた



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