あゝ平凡なる我が人生に幸あれ

京都白梅寺殺人事件

恋の寺殺人事件 ~京都白梅寺殺人事件~     【恋の寺殺人事件】所収


大木夏彦は、恋人の水上明子を避けていた
それは、勤めている会社の重役の娘との縁談がおこり、結婚を決めたからである
しかし、明子は簡単には別れてくれそうにもないことは大木は知っていた

一年前、明子と知り合ったとき、彼女は人妻だった
それが、五ヶ月あまりまえ、大木と結婚したいがゆえに、明子は夫と離婚してしまったのである
離婚後六ヶ月経ったら提出しようと約束した婚姻届は明子がしっかりと持っている
重役の娘との挙式は一ヵ月後に迫っている…
最近、自分と会ってくれない明子は、不安に感じているのか
『もし結婚できないなら、あなたへの恨みの手紙を残して自殺する』
と言う

“明子を殺すしかない”

そう決意した大木は、京都旅行へ明子を誘い、白梅の咲く寺で殺害し、遺体を埋めてしまう

これで重役令嬢との結婚に支障は何もなくなった
挙式の二日前、重役の山岡が脳出血で倒れるも、令嬢の由美との式は予定通り行われる
これからは順風満帆な生活が待ち受けている筈だった
しかし、次第に大木の思惑とは違う歯車が動き始めることとなる
由美は、ただの世間知らずのお嬢様で、新婚生活は早くもうまくいかない
さらには次期社長と目されていた山岡が病死し、山岡と対立していた派閥の磯田が次期社長に就任するらしい

“なんの為の結婚だったのか…”

家に帰ると、妻の由美が実家から久しぶりに戻っていた
由美は、明子という女性から手紙が届いていると手紙を大木に差し出す
彼女を殺してから、二ヶ月ちかくが経とうとしていた
半信半疑で手紙を受け取る大木
それは、まぎれもなく明子からの手紙だった…



~感想~
愛より、打算で結婚を選んだ男が堕ちていく物語のこの作品
最後に、明子の正体が明らかにされるが、主人公の大木はただ卑しい男にしか描かれておらず、なぜ明子が大木に惹かれたのか理解できない為、どんでん返しが効果的ではなかったような気がした
しかし、内容的には面白かった


という事で、私的評価は星【★★★☆☆】3つです



◆この原作のドラマ化作品◆
ありません



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