あゝ平凡なる我が人生に幸あれ

花嫁衣裳殺人事件

恋人形殺人事件 ~花嫁衣裳殺人事件~    【恋人形殺人事件】所収


キャサリンの家で、知り合いである京都府警の橋口警部補の誕生パーティーを開いていると、“千本釈迦堂で事件発生”の報せを受けて、橋口は現場に急行してしまう
パーティーの主役がいなくなった為、キャサリンは同席していた浜口とともに千本釈迦堂へと向かう
現場に到着した二人は、ドサクサに紛れて殺人現場に潜入するのであった

二人が見た地面に横たわる死体は、高島田を結い、白無垢の打掛け姿の顔を真っ白に塗られていた女性であった
殺人現場は黒い泥状の砂であったが、死体のまわりには足跡はひとつもなく、被害者の女性が履いていた足袋、打掛けに着物の裾はまったく汚れていなかった

自殺か?他殺か?
どちらにせよ、足跡一つもつかずに死体はどのようにして運ばれてきたのか?
この奇妙な事件に、キャサリンは!?



~感想~
正直言って、かなりの駄作としかいいようがない
その原因はトリックにある
かなり、実現性の低いトリックで無茶苦茶
そこまでトリックにこだわらなくても、白無垢姿の女の死体…という冒頭のシチュエーションだけで十分だったと思うのだが…
無謀ともいえるトリックに加え、犯人の犯行動機も、そこまで駆り立てる感情がわからず、いまひとつハッキリしなかった

という事で、私的評価は星【★☆☆☆☆】1つです



◆この原作のドラマ化作品◆
平成20年2月7日放送
京都花嫁衣裳殺人事件金曜プレステージ
山村美紗十三回忌追悼
『新・祇園芸妓シリーズ3・祇園芸妓VS京都女優~京都花嫁衣裳殺人事件・女の嫉妬が亡霊を呼ぶ・白骨化した手首の謎』
出演/市駒…牧瀬里穂/麻生夕子…東ちづる/秀太郎…船越英一郎/九条霞…藤真利子/加代…山村紅葉/橋爪修…津田寛治/吉本雄一郎…IZAM/徳丸刑事…鈴木ヒロミツ/花園万里…濱田万葉/中森かおる…遊井亮子 ほか


…ドラマの内容
祇園芸妓の市駒ら芸妓衆と、麻生夕子ら太秦撮影所の女優陣が、友禅作家九条霞のブライダルファッションショーで競演することが決まった
ショーのリハーサルが進むなか、芸妓の着付けを担う男衆の秀太郎が現場に到着しないことに市駒はヤキモキする
そんななか、ショーに出演する筈だった女優の中森かおるが死体で発見されたという一報が舞い込んできた
さらには、秀太郎の車のトランクから死体が発見されたため警察に連行されたという一報も飛び込んできた
なんと、秀太郎のトランクの中にあった死体はかおるだったのである

秀太郎を信じる市駒、後輩女優を殺された夕子
はじめのうちは対立していた2人だったが、事件の謎を解明すべく互いが協力し合うことに
そして、辿り着いたさきに見えた真実とは…!?


…ドラマの感想
同枠で放送されている山村美紗サスペンスの『新・祇園芸妓シリーズ』と『京都女優シリーズ』の主人公を出演させるという企画
祇園の世界に、撮影所の世界と、なかなか覗くことができない世界を描いていて、とにかく画面は賑やかで華やか
そこに殺人事件が起きるわけだから、内容的にはとにかくテンコ盛り
が、肝心のミステリーの部分がお粗末過ぎていただけなかった
番組最後に流れるエンドロールで、原作は「花嫁衣裳殺人事件」と出ていたが、まったくもって原作の片鱗すら無かった
そもそも、芸妓シリーズも女優シリーズも、山村氏の小説には無いオリジナルの設定
長年脚本を務めている峯尾基三氏が創作したキャラクターなのである
そのうえ、原作の原形も留めていないような話の筋の流れで、これのどこが“山村美紗サスペンス”なのだろうか?と疑いたくなってしまう
とはいえ、この華やかな世界観は好きでこれはこれで独自の世界観を作り上げているので、あえて山村美紗と冠づけしなくてもいいと思うのだけれど…



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