あゝ平凡なる我が人生に幸あれ

赤い霊柩車

赤い霊柩車 ~赤い霊柩車~


京都生まれ京都育ちの石原明子は、東京の大学で薬学部を専攻し、卒業後は病院に勤めていた
しかし、葬儀屋を営む父親が交通事故で急死し、家業を継いだ
若くして、葬儀屋の女社長である

ある日、大学教授の小笠原信一郎から、妻の葬儀の依頼が入る
ベテラン社員の秋山と邸を訪れる明子
風邪をこじらせて亡くなったという小笠原の妻の加代子の遺体が、ピンク色のセーターを着ていることに明子は不審に思う
翌日、加代子に死化粧を施す明子は、彼女の首に蒼ずんだ輪ができていることに気づく
昨日見たときにはなかったものである

東京で内科医を勤める黒沢秋彦は、恋人である明子に会う為に京都を訪れていた
久しぶりの再会もつかの間、明子は黒沢に遺体の首筋にできた死斑のことを相談する
すると、真綿のような物で首を絞めれば、すぐには索溝は出ず、時間が経過してから出ることを知る

加代子は、何者かによって、病死に見せかけられて絞殺されたのだろうか?
確かな証拠もなく警察に通報するわけにはいかない
しかし、明日には加代子の遺体は火葬されてしまう
一体どうしたらいいのだろうか?
すると、黒沢がある妙案を思いつく
『僕を信じてくれないか』
という黒沢に、明子はただ黙って頷くのであった



~感想~
ドラマ『赤い霊柩車』に出演されている役者の方々、毎度ドラマの中で繰り広げられるコメディータッチのシーン(原作が殆ど短編な為、話を膨らませる為の処置かと…)の印象が強いだけに、小説を読むと物足りなささえ感じてしまう
それでも、葬儀屋が主人公というシチュエーションは、なかなか面白かった
この作品は、特に派手さはないものの堅実な内容で、最後のオチがなんとも洒落ていた

という事で、私的評価は星【★★★☆☆】3つです

ちなみに、タイトルの『赤い霊柩車』だが、なぜ赤色なのか小説のなかでは一切触れられていなかった
謎だ…



◆この原作のドラマ化作品◆
平成4年3月6日放送
赤い霊柩車金曜ドラマシアター
『赤い霊柩車・京都豪邸密室殺人の謎!?・葬儀社の女社長が見た遺体に隠された真実とは』
出演/石原明子…片平なぎさ/黒沢春彦…美木良介/狩矢警部…若林豪/秋山隆男…大村崑/小笠原信一郎…大出俊/内田良恵…山村紅葉/矢野涼子…比企理恵/小笠原正子…立石涼子/橋口警部補…伊庭剛/山崎教授…平野稔/小笠原加代子…志乃原良子/大村彩子…三沢明美 ほか


…ドラマの内容
東京の出版社に勤めていた明子は、京都で葬儀屋を営む父が亡くなった為、跡を受け継いでいた
不慣れな事が多いが、ベテラン社員の秋山や事務員の良恵に支えられながら、なんとか社長業を全うしている

ある日、大学教授の小笠原信一郎から、妻の葬儀の依頼が入る
葬儀の打ち合わせの為に小笠原邸を訪れた明子と秋山
もともと病弱で、風邪をこじらせて亡くなったという小笠原夫人の加代子の遺体は、なぜかトックリのセーターを着ていた
小笠原家のお手伝いの涼子に聞くと、亡くなった時はネグリジェを着ていたが、肌が透けるからと、夫の小笠原が、妻が生前気に入っていたセーターに着替えさせたという

翌日、加代子に死化粧を施す明子
そのとき、首筋についた紫色の索溝を見つける
昨日遺体を見たときには無かったものである

なにか腑に落ちない明子は、東京時代からの恋人で、医師の黒沢に相談する
すると、真綿のような柔らかいもので首を絞めると、時間が経ってから稀に索溝が浮かび上がってくることを、黒沢から聞かされる

加代子は病死ではなく、首を絞められて殺害されたのだろうか?
しかし、明日には遺体は火葬されてしまう

明子と黒沢は、事件の真相を知る為に、一か八かのある計画に出る…


…ドラマの感想
言わずと知れた人気シリーズで、回を重ねるごとに、どこかコメディー色が強いモノになっている作品の、記念すべき第1回目
この作品は、なぜか登場する人物の名前が変えられているものの(恋人の名前が小説では秋彦なのに、ドラマでは春彦など…)、ストーリー自体は原作にとても忠実で、しっかりとした作品に仕上がっている



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