あゝ平凡なる我が人生に幸あれ

京都離婚旅行殺人事件

京都離婚旅行殺人事件 ~京都離婚旅行殺人事件~


中村亜美は、人気女優の沖田カオルの付き人をしている
学生時代、京都で友人の石田リカと食事をしていたとき、京都に撮影に来ていたカオルが京都弁の指導をお願いしてきたのがきっかけだった

カオルには監督の藤田雅也という夫がいたが、最近仕事のしない雅也にカオルは愛想を尽かし、色々な男性と浮名を流し、夫婦の仲は冷え切っていて離婚は時間の問題であった
カオルの撮影の仕事が京都であり、そのついでに二人が知り合った京都を旅しようとカオルが持ちかけ、雅也もそれに同意する
それは二人にとって離婚旅行であった

嵐山での撮影終了後、ホテルに戻って、ファンから貰ったバラの花束を亜美が活けようとしたとき、バラの棘が指に刺さり、直後彼女は絶命してしまう
どうやら、バラの棘に青酸カリが塗られていたらしい

テレビのニュースで亜美の死を知ったリカは、なぜ亜美が死んだのか知りたくて、カオルの宿泊しているホテルへと向かう
カオルはリカのことを覚えていて、京都にいる間だけ付き人をしてほしいと頼まれ、リカは亜美の死の真相を探るべく承諾する

リカの恋人である京都府警の橋口警部補には、カオルの付き人の件を話したら猛反対されたが、カオルの身辺での様子を話していくうちに、二人は色々な推理をはたらかせる

そんななか、藤田監督の恋人で、藤田を追って京都へ来ていた若手女優の野口鮎子が、毒入りのウイスキーを飲むという殺人未遂事件が起こり、さらには、カオルと親密な交際が噂されていた俳優の北上邦彦が宿泊先の京都の旅館で、密室状態の部屋から服毒死体となって発見される

離婚旅行に訪れた夫婦の周辺で起こる謎の連続殺人…
いったい犯人の狙いは?
友人の死の謎をさぐる為、事件の渦中にいる女優の付き人となったリカは、恋人である橋口警部補の力を借りながら、事件の真相を追求していく…



~感想~
次々と関係者が死んでいくので、犯人は検討ついてしまう
動機は自分勝手なもので、ひとりよがりなものなのだが、そこまで犯罪を成し遂げる為に労力を使うのであれば、もっと違う解決策があったような気がしてならない
そもそもは自分中心の我がままが引き起こした結果
もう少し人の立場に立ってみて物事を考えられれば、こんな悲劇は起きなかったのではないかと…
つねにスポットライトを浴びて、第一線で活躍していると、廻りや足元が見えなくなってしまい、なんでも自分どおりになってしまうと錯覚してしまうのだろうか
一見、華やかな人生に見えるけれども、ある意味悲しい人生だったのかもしれない

という事で、私的評価は星【★★★☆☆】3つです



◆この原作のドラマ化作品・1◆
昭和62年5月9日放送
京都離婚旅行殺人事件土曜ワイド劇場
『京都離婚旅行殺人事件・嵐山-太秦映画村、バラの花束が死を招く!』
出演/沖田カオル…伊東ゆかり/石田リカ…斎藤慶子/狩矢警部…山城新伍/藤田雅也…田村亮/野口鮎子…蜷川有紀/さおり…山村紅葉/北上邦彦…石田信之/万田社長…有川博/中村亜美…河野美地子/橋口警部補…伊庭剛 ほか


…タイトル前のナレーション
『東京で女優沖田カオルの付き人をしている親友の中村亜美が沖田夫妻の旅行のお伴をして一年ぶりに生まれ故郷の京都に戻ってくるという。私も亜美も、そして次々と死んでいった人たちも、その後都で起こる事件を全く予測できなかった…』


…ドラマの内容
女優沖田カオルと夫で監督の藤田雅也の夫婦関係は冷え切っていた
京都で撮影の仕事が入ったカオルは、二人が知り合った京都を訪れ、楽しい思い出をつくって別れたいという離婚旅行を提案し、藤田も承諾する

嵐山でのカオルの撮影を見学していた、亜美の親友のリカとさおりは、木陰から撮影風景を覗き込んでいる俳優の北上邦彦を発見する
北上は、カオルと恋仲にあった男性であった
亜美から、沖田夫婦の内情を聞いていたリカは、只ならぬ気配を感じる

ホテルに帰り、亜美はファンから貰ったバラの花束を活けていると、棘が指に刺さり、そのままもがき苦しんで絶命してしまう
どうやらバラの棘に毒が仕込まれていたらしい

亜美の死に疑問を感じたリカは、バラの棘は自分の命を狙ったものではないか?と怯えるカオルに頼まれ、京都にいる間だけの約束で付き人となる
そんなリカを待ち受けていたのは、連続殺人であった…


…ドラマの感想
小説に比べると、リカと恋人である橋口との関係や重要な容疑者の部分が削られていて、だいぶすっきりとした筋運びになってはいるものの、物語の展開的にはほぼ小説どおり
藤田雅也役の田村亮氏が優柔不断だが、どこか憎めない男を好演している



◆この原作のドラマ化作品・2◆
平成15年6月1日放送
京都離婚旅行殺人事件水曜女と愛とミステリー
山村美紗ミステリー
『京都離婚旅行殺人事件・死を呼ぶミステリードラマの女王?連続殺人ロケの謎!・真紅のバラに秘められた最悪の密室殺人が…』
出演/石田里香…田中美里/沖田薫…秋吉久美子/沖田雅也…前田吟/狩矢警部…船越英一郎/野口鮎子…大沢逸美/橋口警部補…前田耕陽/石田民江…山村紅葉/中村亜美…越智静香 ほか


…ドラマの内容
サスペンスドラマの女王の異名を持つ沖田薫のマネージャーを務める中村亜美の紹介で、石田里香が薫の付き人となって半年近くが経とうとしていた

里香は沖田家に住み込みでいるので、薫と夫の雅也が不仲であることは重々承知していた
テレビドラマの記念作品に主演することになった薫は、京都ロケへ雅也も同行させる
どうやら、雅也に離婚を同意させるつもりらしい
今回の作品の監督、共演者の俳優は薫と噂がある人物で、京都行きはタダでは済まされない気配を帯びていた

久しぶりに京都へ戻ってきた里香は休日をもらい、実家へと戻る
その間の薫の面倒は亜美が見ることとなった
撮影も無事終了し、ホテルに戻ってファンから貰ったバラの花束を亜美が触っていると、棘が指に刺さり、直後に亜美はもがき苦しんで絶命してしまう

“自分が休みさえ貰わなければ亜美が死ぬことはなかった”
そう自分を責める里香は、事件の真相を追求する


…ドラマの感想
物語の中心人物である女優役に秋吉久美子氏はピッタリなのだが、彼女独特の醸し出す雰囲気に他の共演者の方々が合っていなかったような…
そして、小説では自分本位の犯罪なのだが、このドラマでは被害者を中途半端に悪役にしてしまった為に、犯人の悪が強調されずにぼやけた印象になってしまっていた
物語の筋運びも平坦で、ただ女たちの業を見せつけただけで、小説の持ち味が殺されてしまったように思えた



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