あゝ平凡なる我が人生に幸あれ

呪われた密室

ミス振袖殺人事件 ~呪われた密室~    【ミス振袖殺人事件】所収


ホテル住まいのキャサリンは、正月は日本的に過ごしたいと思い、方々の旅館に電話を掛けていたが、年の瀬も迫っている時期もあってか、どこも断られるばかり
そんななか、「桔梗屋」という旅館だけは、正月を過ぎれば考えさせてもらうという返事を貰った

その話を恋人である浜口一郎に伝えると、浜口はあまりいい顔をしなかった
桔梗屋には不吉な噂があったからである
それは、一年前の正月に、宿泊客が首を吊ったというものだった

元旦の朝早く、八坂神社に初詣に出かけたキャサリンと浜口は、帰り道の途中、たまたま桔梗屋の近くを通ったのでちょっと立ち寄ってみることに
すると、旅館の前には数台のパトカーが止まっていた
顔馴染みである京都府警の狩矢警部の姿を見つけたキャサリンが声を掛けると、宿泊客が亡くなったという
その宿泊客も、去年の正月に亡くなった客も、西陣の織元の主人である石宮の紹介で桔梗屋の水仙の間に宿泊していて、首を吊って亡くなったのである

果たして、これは偶然なのだろうか?
それとも、この旅館が呪われているのだろうか?
事件に興味を抱いたキャサリンは、嫌がる浜口を同行させて、水仙の間に宿泊してみるが…



~感想~
呪われた旅館といい、密室の謎といい、興味が惹きつけられる題材が揃った作品
作品全体に京都の匂いが立ち込めている
謎の提議から推理へと、展開の運びがよかっただけに、後半の畳み掛けるような話の運びは少々バタバタした感じ
が、ラストのオチが洒落ていて、小気味よかった

という事で、私的評価は星【★★★☆☆】3つです



◆この原作のドラマ化作品◆
平成2年4月10日放送
京都水仙の宿殺人事件山村美紗サスペンス
『京都恋の宿殺人事件・呪われた密室』
出演/津村薫…田中美佐子/峰岸節子…范文雀/山辺開…柳沢慎吾/石宮…横内正/タキ…千石規子 ほか


…ドラマの内容
弓道をたしなむ薫は、京都で開かれる弓道の大会に出場するため、ちょっとした偶然から知り合った節子が女将をしている旅館「梅むら」に宿泊していた
そのことを、薫の後輩である山辺に話すと、「梅むら」には、水仙の間に泊まった客には呪いがかかって死ぬという薄気味悪い噂があることを聞かされる

数日後、水仙の間に宿泊していた男性客が密室状態の部屋のなかで首を吊っているのを、薫と節子は発見する
それは、奇しくも一年前の自殺事件と同じ状況であった

水仙の間は、はたして本当に呪われているのだろうか?
事件に興味を抱いた薫と山辺は、節子に無理を言って、水仙の間で一晩明かすことにするが…


…ドラマの感想
原作の主人公がアメリカ人女性ということで、役柄の設定は変わっているものの、ストーリーや密室のトリックは原作に忠実に作られている
犯行の動機は原作と同じだが、ドラマではちょっとした脚色がされているので、原作とは違った余韻の残るラストとなっている



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