あゝ平凡なる我が人生に幸あれ

京都顔見世殺人事件

京都絵馬堂殺人事件 ~京都顔見世殺人事件~    【京都絵馬堂殺人事件】所収


師走の南座は、歌舞伎の顔見世興行で賑わっていた
歌舞伎好きのキャサリンは、恋人の浜口とともに歌舞伎見物にきていた
というのも、顔見世興行が終わった翌日に行われる京都の著名人たちの素人顔見世に、キャサリンが出演することになったのである
素人顔見世は、舞台の同じ出し物、同じ衣装を使うので、キャサリンが観ておきたいと言ったのだ
キャサリンは、独特のセリフの言い回しを覚えるために、テープレコーダーを忍ばせておいた
公演中の録音は禁止されているのだが、キャサリンはそんなことお構いなし
念のためにもうひとつ録音しておきたいとキャサリンに言われた浜口も、渋々自分の服にテープレコーダーを隠して録音した

キャサリンが素人顔見世で出演する演目は「大和往来冥土飛脚」で、遊女梅川を演じる
主役級の役どころである
それを聞いた浜口は心配したが、当の本人は熱心に稽古に参加しているようだった

いよいよ素人顔見世の日
美しい花魁姿に着飾ったキャサリンの梅川は、なかなかの熱演で、客席にいた浜口は写真を撮ったりして夢中になって舞台を観ていた
順調に舞台は進行していき、梅川と忠兵衛が絡み合うシーンになったとき、突然忠兵衛を演じていた男性がよろめいたかと思ったら、そのまま倒れてしまう
慌てたキャサリンが、倒れた男性の傍へ寄ると、「死んでる!」と大声をあげるのだった

忠兵衛を演じていたのは、島信太郎という京都でも有数の西陣織の社長
キャサリンの目の前で事件が起き、しかも控え室が島と同室だったことで、顔見知りの京都府警の狩矢警部から疑われるが、キャサリンは自分は関係ないと、ありのままを答える
その後の調べで、島の会社は繊維不況のあおりを受けて倒産寸前だったこと、カプセル入りの毒を嚥下したことにより亡くなったという点から、自殺という見方が強まっていた

それから数日後、折原ナナ子という女性がマンションの自室で死亡するという事件が起きる
夕刊の片隅に小さく載った記事だったが、それを見たキャサリンは興奮をする
なんと、ナナ子は素人顔見世「大和往来冥土飛脚」の出演者の一人だったのだ
素人顔見世に出演していた人物の相次ぐ怪死に興味を持ったキャサリンは、ナナ子の死の詳細を知るために京都府警へと出向く
応対した狩矢によると、毒を飲んで死亡していたナナ子は、数日前に恋人の男性が交通事故で死亡し、だいぶ落ち込んでいて、現場が密室状態だったこともあって自殺と断定したとのことだった

その話を聞いても納得がいかないキャサリンは、ナナ子の恋人の事故死に疑問を抱き、管轄の伏見署に向かう
そこで、顔見知りの石田部長刑事に話を聞くことができた
ナナ子の恋人の黒木は、大型トラックに衝突して死亡したのだが、車を調べたところ、ブレーキの油圧器の管に小さな穴が開いていて、その事が原因でブレーキが効かずに事故を起こした可能性があるというのだ
ただ、それが人為的なものなのかは立証できていないとのこと

素人顔見世に出演した二人の相次ぐ死、そして交通事故死、この3つの事件は繋がるのだろうか?

キャサリンが素人顔見世に出演したときに浜口が撮った舞台写真が出来上がったので、二人は写真を眺めていた
そのなかの1枚の写真にキャサリンは注目する
その写真には、犯人を示す手がかりが写っていたのだ…



~感想~
物語の流れ、事件解明に繋がるキッカケ、犯行の動機と、すべてが不自然なまでに偶然に頼りすぎているところがある
犯人が犯行を犯す理由も全く納得できないし、全体的に消化不良といった感じ

という事で、私的評価は星【★★☆☆☆】2つです



◆この原作のドラマ化作品◆
ありません



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