あゝ平凡なる我が人生に幸あれ

平家伝説殺人ツアー

平家伝説殺人ツアー ~平家伝説殺人ツアー~


石田桃子は、会社の同僚らと共に、四国の平家伝説の地を訪れていた
旅行参加者は、桃子のほかに、園梨花、谷口萄子、上野秋彦、若木二郎、池陽介の全員で6人
男女3人ずつのこのグループは、今までにも旅行を何回か重ねている
そのせいか、最近では男女を意識して、そろそろカップルが成立しそうな雰囲気がメンバー内で漂っていた
皆は皆口には出さないが、そろそろ適齢期でもあるので、この旅で決着をつけたいようだった

梨花は誰を狙っているかわからないが、萄子は果敢に池にアタックしている
桃子はというと、ハンサムな上野か、実家が資産家の若木のどちらかを狙っていた
そんなそれぞれの思惑が静かに渦巻いた旅で、事件が起きた
祖谷渓に着いたその日の夜、食事の時間になっても現れない池を心配していた
5人だったが、その池が、死体で発見されたのだ
池は、かずら橋から転落して死亡していた

地元警察では、転落死ということで事故と他殺の両面から捜査しているようだが、不自然な点が多いことから、他殺と睨んでいるようだ
桃子たち旅行同行者が疑われるが、池の死亡推定時刻の頃は、丁度自由時間でそれぞれ別行動をとっていたので、皆アリバイは無いに等しかった

一体、誰が池を殺したのだろうか?
萄子は池に好意を寄せていたが、池は、梨花を愛していた
ふられた萄子が思い余って、犯行に及んだのか
池と同期入社で、出世争いに敗れて地方支社に飛ばされた細川良夫
池と以前に交際していて、中絶までした過去を持つ小橋恵子
と、池を快く思っていなかった人物が次々と浮上してくる

そんななか、四国旅行から帰ってきてからというものの情緒不安定気味だった
萄子が、ホテルの一室で服毒死体となって発見されたという報せを、桃子はニュース番組で知った
萄子は、四国旅行で撮影した写真のなかに変なものが映っていて、「平家の祟りかもしれない」と怯えていたというのだ
しかし、捜査を担当している京都府警の狩矢警部によると、そのような写真は発見されなかったという

旅行メンバーの相次ぐ死…
果たして、平家伝説の祟りか
それとも愛憎のもつれか
事件の解決の糸口が一向に見出せないなか、今度は、事件の容疑者のひとりである小橋恵子が、密室状態の自宅マンションで服毒死体となって発見される
さらには、桃子にまで犯人の魔の手が…!

二人の男の狭間で揺れ動く女心
そして、相次いで起こる連続殺人
京都府警の狩矢警部の協力を得て、事件の真相に迫る桃子を待ち受けていたのは、意外な事実だった…



~感想~
折角の平家伝説と言う題材を得ていながら、小道具のひとつにしかなっておらず、事件に絡めただけで、話をうまく活かしきれていないように思えた
とはいえ、平家伝説の謎が物語のなかに随所に散りばめられていて、歴史に疎い自分としては、勉強になった

物語の展開は、疑っては推理して…の単調な繰り返し
そのせいか、いまいち盛り上がりに欠けた
また、事件に巻き込まれていながら恋愛を楽しむ主人公の心理が理解できず、現実味が薄すぎなのも、白けさせた

そして、この作品を読んでいて、一番に気になったこと
それは、京都府警の狩矢警部の行動が、どうも腑に落ちないという点
とにかく不自然すぎる
最後の最後で、その理由が明かされるのが、それにしてもかなり疑問が残る
警察が、一市民に対して、あそこまで感情移入するものなのだろうか
とにかく現実味に欠けた作品だった

という事で、私的評価は星【★★☆☆☆】2つです



◆この原作のドラマ化作品◆
平成5年12月25日放送
土曜ワイド劇場
山村美紗サスペンス
『京都―徳島、平家伝説殺人ツアー・妖しい読経の声に密室トリック』
出演/沢木麻沙子…伊藤蘭/杉野プロデューサー…田村亮/狩矢警部…若林豪/石田桃子…松本友里/若木二郎…赤羽秀之/立花秋子…山村紅葉/平林浄子…森恵/朝田アナウンサー…山内としお ほか


…ドラマの内容
推理作家であり、ニュース番組のキャスターも務める沢木麻沙子
出演している番組で平家伝説を特集することになり、麻沙子は、プロデューサーの杉野ら番組スタッフとともに、徳島へと飛び立つ

麻沙子たちは、ロケ先で、会社の同僚たちと旅行に来ていた石田桃子たちと出会う
その桃子たちのグループのうちの1人、池陽介がかずら橋から転落して死亡した
桃子たちが京都在住ということもあり、麻沙子らは池の死をニュース番組で取り上げた

後日、麻沙子のもとに、四国旅行のメンバーの一人、谷口萄子から連絡が入る
池の死について話したいことがあるという
麻沙子は、ホテルで会うことを約束する
出演している番組終了後、萄子と会うために約束したホテルの部屋に向かう麻沙子
そこには、床に横たわる変わり果てた萄子の姿があったのだった…


…ドラマの感想
本来は原作に登場しない人物が物語の主役に据えられるという大胆な脚本になっているものの、その辺りはうまく脚色されていて、まったく違和感を感じることはなかった
ちなみに、主役が変更されているものの、物語の展開や動機はほぼ原作通りとなっている


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: