あゝ平凡なる我が人生に幸あれ

京都鴨川殺人事件

京都貴船川殺人事件 ~京都鴨川殺人事件~    【京都貴船川殺人事件】所収


鴨川に幼女の全裸遺体があがった
亡くなっていたのは、郷田真奈美という4歳の幼稚園児
真奈美は、3日前に母親と一緒に時代祭りを見ている最中にはぐれてしまい、捜索願が出されていた
京都府警の狩矢警部は捜査に乗り出したが、地道な捜査からはなかなか収穫を得ることはできないでいた

真奈美の事件がなんら進展をみせないなか、新たな事件が発生した
またしても鴨川で、幼女の全裸遺体が発見されたのである
被害者は市瀬梨花という4歳の女の子
梨花は、前日の夕方、近所の境内で遊んでいるうちに行方がわからなくなってしまったという

二つの事件は、鴨川で全裸死体を遺棄していること、被害者が4歳の女の子であることなど、類似点が多いことから、同一犯による犯行の可能性が高いと睨む
しかし、捜査の結果、郷田家、そして市瀬家に話を聞いたところ、お互いに面識がないことが判明
無差別殺人という見方の一方、なんらかの怨恨によるものも考えられるので、郷田昭一、久美子夫婦、市瀬勇一、まゆみ夫婦の身辺の捜査も進める
すると、市瀬には藤沢リツ子という愛人がいることが判明する
そして、地道な捜査のなかで、真奈美が行方不明になった時代祭りの日、真奈美に話しかけている長い髪の女性の目撃情報が見つかる
しかし、その長い髪の女性は、事件関係者のなかで似ている人物はいなかった

一向に捜査の進展が見られず、捜査陣からは焦りが見え始めていた
捜査線上になかなか有力な容疑者が浮かんでこず、捜査は行き詰りかけている
刑事たちからはロリコン犯による性目的の犯罪と言う声が挙がっていたが、狩矢は、今回の2つの殺人は無差別ではなく、郷田家か市瀬家に何かしら関係する人物による犯行と見て、再度両家の関係、さらには人間関係を洗い出す
すると、3年前から両家それぞれに「KAMOGAWA」という人物から年賀状が届いていることが判明する
住所も何も書かれておらず、ただアルファベットで名前が書いてあるのみ
ようやく両家を結ぶ手がかりを見つけた狩矢たちだったが、その年賀状のことを郷田、市瀬のそれぞれに話を聞いても、心当たりはないという返事だった
しかし、鴨川で事件が起きていて、KAMOGAWAと名乗る人物からの年賀状がそれぞれの家に届いているというこの事実を無視するわけにはいかなかった

そんななか、狩矢は、一人娘である和美との会話のなかから、事件のヒントのようなものを得る
はじめは半信半疑で聞いていた狩矢だったが、そこから思わぬ事実を掴み、事件解決への突破口を見出すのであった
犯人が鴨川にこだわった訳とは?
無関係と思われた2つの幼女の死を結ぶ意外な接点とは?
事件の陰には、意外な事実が隠されていた…



~感想~
山村美紗作品ではお馴染みの、京都府警・狩矢警部を主役に据えた作品
捜査が主体で物語が進んでいくので、展開に華やかさが欠ける
事件の捜査は地道なものだろうから仕方ないのだが、如何せん物語に弾みがつかない
また、事件の動機は意外なものではあるのだが、その展開は、強引にこじつけているとしかいいようがない
しかもかなり偶然に頼っているところが多々あり、読んでいてなんだか白々しくなってきてしまった
しかしながら、事件の背景に潜む、犯人が抱いた感情には同情する余地があり、読み終えた後にはほろ苦い余韻が残った

と言うことで、私的評価は星【★★☆☆☆】2つです



◆この原作のドラマ化作品◆
ありません



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