カザクモのことば

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カザクモ

カザクモ

2005年12月04日
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カテゴリ: 自由人
ある日の出来事.....

パンクしたチャリを近くのスカイサイクルショップに持っていく少年カザクモ。
その昔、「E.T.」という映画があったそうだ。ハリウッドにある『20世紀BOX』という名の映画記念館では今だに連日上映されてるらしい。映画の中で主人公の少年はチャリのかごに宇宙人を乗せ、空を飛ぶシーンがあるみたく、今や当たり前となったその光景も、100年以上前の世界では夢のまた夢であったと、ショップの親父は言う。

「これは先祖から受け継がれている大切な宝物だ。」

彼は『E.T.』のスカジャンを誇らしげにカザクモに見せた。
カザクモは眉間にしわを寄せ、ロゴをよ~く見たのさ。

”『E.T。』.....最後のピリオドが丸になってるじゃん...。”

カザクモは気付かないフリをして、笑いを堪えては、親父がチャリを直す後ろ姿をじっと見ていた。

「お兄ちゃん、もう今じゃ、チャリをいじれるやつぁ、全国にも



親父が言うには、みんな直せるけど、恥ずかしくて触れたくもないってショップの人がほとんどらしい。

「よしっ!終わり!

 アンタ、いいチャリ乗ってんなぁ。これからも大事にしなよ。

 じゃぁ、1200円。」

カザクモはマジカルポケットから財布を取り出し、差し出す親父の手の平にお金を置いたのさ。

”ん? 親父、手が真っ黒じゃねぇ~か!”

岩のように堅くなった手の平。
爪の中には黒い油が詰まっていた。
たかだか1200円、されど1200円...カザクモは親父のチャリに対する愛情の深さに胸が熱くなった。

「親父さん、ありがとう!



「おいおい兄ちゃん、何を言い出すのさ!

 俺なんか、ひよっこよ~~~わぁっはっはっはっ!!!」


帰り道、池尻大山道を歩くるカザクモ。ふと見上げると空飛ぶほうきが独りでに飛び回っていた。

「お~~~~い!!!こらっ、待てぇ~~~~~!!!」

走り回るはげ頭のおじちゃん。


「お~~~~い、気を付けろ!!!そっち、行く!!!!!」

カザクモはふいにチャンネルを変え、瞬間移動し、ほうきを捕まえた。そして、すぐさま時間を元に戻した。

「あっ!何でわしゃ持ってるっ???!!!」

はげ頭のおじちゃんの目は点になってた。

”あんま使いたくねぇんだよなぁ.....”


午後6時、一仕事を終えたスカイサイクルショップの親父はショップの奥の扉から我が家の食卓に戻り、スカジャンを特製のハンガーに掛けました。

「あんた、このスカジャン、いつものと違うように感じるんだけどさ~。」

「おいおい、何言ってんだよ!

 いつもと同じに決まってるじゃねぇ~か。

 あ、それにしてもさ~、今日、今だにチャリ乗ってる少年が

 お客さんで来てさ~。

 少年が俺の事、最高のチャリ職人だって

 褒めてくれたのよ~!

 なぁ~? 嬉しいんじゃない?!」

「.....だって...あんたは最高の、

チャリ...職人でしょ?」

2人は目を合わせ、しばらくすると声高らかに笑った。

食卓に香り立つ肉じゃがの匂いは、2人のささやかな幸せを
彩っていた。
そして、ジャンパーの背中の『E.T。』は、今にも空へと飛び出しそうなほど、光り輝いていたのさ。





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最終更新日  2005年12月04日 14時32分56秒
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