Over The Moon.

Over The Moon.

2005年10月22日
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カテゴリ: *能関係の日記*
今日は朝からスーツに袖を通し
全身モノクロの状態で
現地へ。


「どうもありがとう。今日はよろしく」

ご家族の方にお会いしてから駅へ向かう。
私は駅での誘導係。
電車で来られた方をバス・タクシー乗り場へと案内する役だ。


改札からあふれてくる人の波。
私は辰巳家の札を手に、そこにひっそりとたたずむ。

誰しもが必ず目を留め、去っていく。


その中から浮き出るように、
喪服の方がやってくる。
本来なら目立たない気がするその黒が
今日は自然と目にとまって、
目が合うと「ああやっぱり」と確信を持つ。

「この度は・・・」

近くに来られてお辞儀を交わす。
そうして次のポイントに立つメンバーの場所を指し示す。

そうやって淡々と、仕事をこなしていく。



OGさん「今師匠から電話があって


2人ずつほど入れ替わりで葬儀の場へ向かう。
けれど私が行ったときは既に、葬儀が始まる直前で
私を含め何人かは、一般の方に混じって御焼香をすることとなった。


参列者は100人程か。
流れに沿って進んでいくと



あたりを埋め尽くす花々の中に
辰巳師の御写真が飾られていた。


ビデオで拝見したときと同じ、能楽師独特の表情。
この方によって、
多くの人々が能楽の世界へと入り込んでいったのか。
・・・なんと凄いことだろう。


私は前に進み出て
その遠くの御写真に一礼する。
御焼香をしている間
煙が目にしみて
まぶたがきゅっとなる。



式場には入りきらないため、あとは外にいた。
風が冷たい。
でも一般の方も、外でじっと待っていた。

中の様子がスピーカーで聞こえてくる。
弔電は家元から府長、市長、財界の人など実に様々。


「最後に謡の発声を致します」


そして最後に謡が聞こえた。

「名残惜しの面影や・・・」



・・・辰巳師。

私は最後まで、貴方にお会いしたことはなかったけれど

貴方がおられなかったら

確実に今日の私はないでしょう。

・・・本当に感謝しています。



お棺が外に運ばれてきた。
宝生会みんなでそれを見守る。


出棺前のご親族の方のお話。

「辰巳孝は
 玄人も素人も分け隔てなく、厳しく教える人でした」


・・・辰巳先生は厳しい人でしたわ。

師匠の話が思い出される。

・・・でもだから、よう伸びるんですわ。


そうして出棺を見届け
一般の方はお帰りになる。

私たちは片づけを手伝い、ご飯を頂いてから、ようやく帰途に着いた。



「あの最後の謡は何だったのかなぁ」

「ああ、あれは『融』ですよ。
 『江口』と同じ、こういう席で謡われる謡です」

帰りに鴨くんが教えてくれた。

向こうでは猫さんと犬さんが

「『箙』、頑張らないといけませんね」「ええ」

と話しているのが聞こえる。



舞台まであと1ヶ月をきっている。
さあ、また
頑張らないといけないですね。





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Last updated  2005年10月22日 20時24分25秒
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■コメント

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Re:告別式。(10/22)  
やるまいぞ  さん
 お疲れさまでした。私は先代井上菊次郎師と井上禮之助師のお葬儀/お通夜に行ったことがあります。菊次郎師のときは、ビデオで「奈須語」がずっと流されていました。地下鉄の駅での「駅狂言」で「萩大名」の大ボケ大名がメチャクチャかわいかった・・・。禮之助師のお通夜は大雪でした。「唐人相撲」の皇帝演っていただくはずだったのに・・。先生、私たちを置いてくなんて。
 誰にもある別れなんですけどね。・・はぁ~。 (2005年10月22日 23時40分59秒)

ありがとうございます。  
五月渡理  さん
今回も小雨が降ったりやんだりの、肌寒い天気でした。
そんな中で参列者が集まり、静かに淡々と式は進行していきました。
葬儀が「しめやかに」営まれるってこういうことなんだと実感しましたね。
残された者は、残してくれたものを受け継いでいく必要がある。
そう思いました。
(2005年10月23日 07時50分37秒)

Re:告別式。(10/22)  
papiyonnkun  さん
生きていく中で本当に自分に大きな影響を与えてくれる人はそんなに多くはないと思います。
その人が逝去されるたびに、自分の歴史も一幕ずつ変わっていくんだなと、最近よく思います。
貴方もその死の意味を乗り越えていってくださいね。 (2005年10月23日 10時21分51秒)

歴史の一幕。  
五月渡理  さん
ほんとにそうですよね。
世界には何十億もの人間がいるのに、
自分に関係するのはそのうちほんの一握り。
更に友人になるとか、尊敬できる存在になれるっていうのはもっと限られてくると思います。
大切な人は大切にすべきなんだと、当たり前のことを思いました。
(2005年10月23日 19時53分45秒)

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