Over The Moon.

Over The Moon.

2006年05月20日
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カテゴリ: *能関係の日記*
早朝にBOXへ。


声慣らしもかねて
明日私が地頭をやる仕舞
『嵐山』『紅葉狩』を謡う。
ツヨギンとヨワギンの、結構対照的な謡だけど
どちらも定番なので覚えてはいる。


「おはようございます」


そのうち1回生の 犀ちゃん(仮名) がやってくる。




鞄から取り出したのは白い長襦袢。

犀ちゃん「これ使えますか?」

私「うんばっちり」

犀ちゃんは明日が初舞台。
入部して1ヶ月も経ってないけど、
もう素謡『鶴亀』シテ、仕舞『紅葉狩』という役が当たっている。
初めて袴も履くわけだ。

私「足袋もあるし、紐と肌襦袢もあるし、
  明日はこれ持って来れば大丈夫だよ」

犀ちゃん「そうっすか。良かったー」

私「よし、じゃあ


犀ちゃん「はい。
     よろしくお願いします」


うちの宝生会では
最初に入った新入生には『紅葉狩』という仕舞が割り当てられることになっている。
その次が『船弁慶クセ』、次が『熊野クセ』。

出す1回生仕舞は『紅葉狩』のひとつだけ。


「されば仏もいましめの・・・」

1回生のときはとにかく
覚えるのに苦労する。
扇を持つこと。すり足で歩くこと。
構えから何もかもが初めてなことがほとんどだから。

私「いや、そこ扇つまむから」
犀ちゃん「あっ、はい」

一週間前の時点では順番すらおぼつかず
1人で舞うことも出来なかった犀ちゃんだけど、
今こうして、なんとか舞えているから
それだけでも褒めるべきことだ。

私「うん
  昨日よりずいぶん良くなったね」

犀ちゃん「ありがとうございます」


昨日の稽古始め、
犀ちゃんは全然舞えてなくて
上回生として、OBさんにしかられてしまった。

 「1回生は何も分からないんだから
  ちゃんと舞えるようにしてあげないと可哀想だよ。
  初めてで不安なんだから。
  安心して舞台に立てるようにしてあげないと」

1回生が舞えるようにするのは
上回生としての役目。
初めての舞台を「ちゃんと舞えた」と思ってもらえるように。

1回生の頃は全然気づかなかったけど
1回生のために、上回生はかなりの配慮をしてくれていた。
そのおかげで私も無事上回生になれたから
同じことを下の子に返す。


私「本番は間違えても、
  これが正しいんだと思って、のびのび舞えばいいから。
  ゆっくり落ち着いてやるだけで
  周りからちゃんと舞えてるように見えるからね」

犀ちゃん「はい。
     頑張ります」



稽古が終わったら、2人で扇屋さんへ。
犀ちゃんの稽古扇を買いました。

犀ちゃん「紺がいいんですけど」

店の人「紺は男物ですから駄目ですねぇ」

犀ちゃん「・・・
     じゃあ緑にします」

真新しい緑扇が一本増えました。



さあ
明日は久々の舞台です。
私もみんなの頑張りに負けないように
しっかり、やってこようと思います。





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Last updated  2006年05月20日 21時02分47秒
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