Over The Moon.

Over The Moon.

2009年07月12日
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カテゴリ: *能関係の日記*
ということで
富山を舞台にしたOB会、1泊2日。


幹事さん「明日は6時起きですんでねー」

昨日そう言われながらも
昨晩フツーに宴会をしていた、にもかかわらず
OBの方々は、しっかり6時に起きてご飯を食べられておられた。
凄いパワーである。


そして富山が舞台の能『藤』にゆかりのある
「藤波神社」と「田子の浦」「阿尾の浜」を回ってから


その車中

山羊さん(仮名)「『班女』の欄干に~の節ですけど・・・」
犀ちゃん(仮名)「ここ引き音は3音で合ってますか」

何とも怪しい、仕舞地の節の最終確認。
それぞれ試験前の暗記のように悪あがく。


だってこんなに
前の舞台から、期間の少ない舞台はない!
1ヶ月だ。1ヶ月。
稽古不足が不安となってのしかかる・・・。



幹事さん「準備でき次第始めますよー」

能舞台に着くと、早速会が始まる。

その後だだだっと、現役・我々若いOBの出番だ。


犬さん(仮名)「出る順番は・・・」
熊さん(仮名)「まずシテ2人、それから五月さんで・・・」
OBさん「準備いいですかー」
熊さん「はい」




1回生の『紅葉狩』、犀ちゃんの『竹生島』。
それぞれ短いので、ぱっぱっと終わって
気づけばもう、私の仕舞『嵐山』!


シテ「和光利物の御姿・・・」

あわただしかったこともあり
近年の中では、比較的緊張が薄く
(でも現役のときより格段に緊張しているけれど)
まだ“マシ”と言える心持ちだった。


地「蔵王権現・・・」

で、しっかりふんばり

「光明を放って」

で、勢いよく放つ、とか
型について考える余地がまだあった。


うーん、あー
でもマシなだけであって
別に上手くはない・・・のは分かる・・・。



そして、仕舞が終われば立て続けに
『女郎花クセ』『班女クセ』『東北クセ』。


・・・悪あがいた結果としては
間違えはしなかったけれど
引き音の怪しさ、言葉のあやふやさは覚えきれず
ただひたすら、不安だった。
何事もなく無事に舞台よ終われと祈っていた。



それで、思っていたのだ。
こんな舞台は嫌だなぁと。

びくびくしながら謡を謡ったり、
ちゃんと出来るか不安な仕舞を舞ったり、
そんなの、本当に嫌なもんだなぁと・・・。



そんな心境だったもんだから
舞台が終わったときの打ち上げで出た、大先輩のお言葉が
胸にしみいった。



幹事さん「それではご講評を頂きます」

打ち上げの席。

卒業して、笛の玄人の先生にもなられた
御年70~歳の大・大・大先輩から
全体へのご好評をいただくことに。


「講評という程でもないですが・・・」

大先輩は苦笑しつつも
やおら立ち上がられる。

「何を言おうかと考えていて
 言おうと思ったことが1つ。
 仕舞について、
 『どうやって上手く見せるか』ということについてです。
 若い人には、特に聴いて欲しい」

興味深いところを突いてこられた。
思わず居住まいを正す。


「まず、我が宝生会の
 弱点だと思っていることがあります。
 それは、仕舞をするときに『上手く見せよう』とするあまり
 あれこれ考えすぎる節があることです。
 役について解釈しすぎて、仕舞を面白くしようとしてしまう」


今日の仕舞が思い起こされる。
「光明を放つ」自分が出てくる。


「でも本当は、宝生の舞なんて面白くも何ともないんです(笑)。
 以前私は、金春流と宝生流の『鷺』を
 それぞれ1週間以内の短期間で、偶然見たことがあります」


『鷺』。
名前の通り、シテが“サギ”である変わった能だ。


「金春の鷺は、足をばたばたさせて動きが面白くて
 本当に鷺らしい。
 ところが宝生はというと、何もしないんです。ただ立ってるだけ。
 でも、そのたたずまいが
 本当に美しかった」


柔和で、ちょっと楽しげな
大先輩の笑み。


「それが宝生の能、型です。
 ただひたすら、無心になって型をやる。
 変に意識をしない。
 『どうやって上手く見せるか』、そのためには
 型通りの型を舞うこと。
 ただそれだけなんです」



きっと、若ければ若いほど
気負って仕舞をしてしまう。
そしてなまじ色々考えるだけに
型より先に、例えば「シテは天狗だから勇ましい」とか
自分のイメージが先行してしまう。

それが、型が持つ本来の美しさを妨げる。


ただひたすらに稽古を積むこと。
丁寧に型を追っていくこと。

型に対する純粋な姿勢、
それが見る人に、時にハッと息をのむような
感動を催す。


その姿勢が
今日の私の仕舞にあったか?
謡についても、出来ていたか?

・・・



・・・次の仕舞は何にしようかなぁと
考えていたけれど
もっかい、嵐山をやろうかと思う。


最近本当に、
「上手くできた気がしない」舞台ばかりなのだ。

型の順番は覚えられても、
どの型も、言ってしまえばどこか適当で
「型と真摯に向き合う」姿勢とはほど遠い。

「間違えずにさらっと舞えました良く出来ましたじゃあ次」なんて
そんな舞台ばかりが積もっていっても
空しいだけだ。


どんな舞台も一度きり。
仕舞も型も、謡いも節も
その一つひとつが一期一会。


時間はなくても、
ちゃんとやることは出来る。

だからもっとちゃんとやろう、と
思ったのでした。



よーし
また稽古するぞ!
頑張ろう!





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Last updated  2009年07月13日 00時04分06秒
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Re:OB会富山大会  
高峰 さん
意味の深い、大切な気持ち・本質ですね。
私は役の気持ちまでも考えられなくて、次はあっちいって、こっちいって…の状態です。
型の美しさに、ただ無心にやるつもりで頑張ろうと思います。
(2009年07月13日 23時34分47秒)

コメントありがとうございます~  
五月渡理  さん
★高峰さん
 >役の気持ちまで考えられてなくて・・・
 きっと、普通はそうなんだと思います。
 私も最初は型を覚えるのに精一杯で、「左右」ですら出来ませんでしたから(笑)。
 それがちょっと慣れてくると、型を磨くのを怠って
 分かった風にアレコレ考えるようになってしまうのかもしれません。

 お稽古頑張りましょう!
(2009年07月14日 20時51分30秒)

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