詩人たちの島

詩人たちの島

Homecoming


ホームカミング



         石ね、木の立ち、青水沫も事問ひて(出雲国造神賀詞)


海は汚れていた
空も汚れていた
(違う、違う)
「いまだかつてなかったほどの勇気、消耗」
そうだったのか、劣化する砂漠に打ち込まれる砲弾の音
村人たちは犯人を祝福し、車列はあたたかく迎えられる
帰還はかくまわれるというより、玉座にのぼるためにあるようだった
(違う、違う)
「謝るしかない」
(なにもかも逆だった、突きつけられた刃の向きが逆だったように)
みんな帰って来た
衣錦還郷を夢見て
帰ってきた(ここからはエズラの詩句だ)
 嘘の待つふるさとへ
 おびただしい欺瞞
 古い嘘や新しい欺瞞
 …
 公共の場の嘘つきどもが待ち構える故郷へ

耳鳴りの底にあるなつかしい母音
腐りかけた足を引きずって
勇気を出して
この首は木切れで作られている
「お父さん、やっと会えましたね。もう離しませんよ。」
ピノキオのような勇気があったならなあ
鯨のような鮫のような鱶のような腹に閉じ込められた君を救うのに
その腹は言葉で一杯だ
 おびただしい欺瞞
 古い嘘や新しい欺瞞

(当然です、その意見は当然です)
ラップスターの犬を愛し
猫のヒップホップを聴く
仕事の合間に煙草を
当然です
(それぞれにそれぞれの砂漠とストリートがある)

(比較の好きな
(責任の好きな
(腹の中の好きな
(首の好きな
犬たち、猫たち
ファック!ファック!ファック! ノーウェイ!

ここに帰る
ここから帰る
ぼくは一人で勉強している、犬のスタイルで、劣化する砂漠の樹
私は一人でセックスする、犬のスタイルで、木切れの子供たち
おまえは僕らを何度でも映せばよい、拷問のスタイルで、嘘の木立
ファッカー

イラクも東京もミシシッピも
コイズミもブッシュもイシハラもビンラディンもミンシュもジミンも
帰れ
帰れ
それぞれの古臭いトーテムの腹中に
母のセックスの中にいて二度と産まれるな
お前たちが信じている嘘の担保にしないでくれ

「私はPOWだ」
「私は邪悪な白人だ」
「私は劣化した黄色い禍を派遣する人種の一人だ」
だから真実の言葉で私を断種するな
映像の中の首は野蛮な邪悪な白人の報復を担保し、それは更なる断首を担保し
ここに帰る
ここから帰る
砂漠もニューヨークもパン屋もテロリストもフリーターも劣化ウランの惨状を調査することもロストチルドレンを助けることも仕事にも世界にも軽重はない
そのことが失われる
真実の民主主義や真実の言葉!

なつかしい楡の木
手垢のついたドアのへこみ
いたるところ黄色いリボンが結ばれ、「私たちをイブルホワイトメンなんて」
清潔なニューイングランドの古い町並みで
初老の紳士が絶句する

狂言である
自作自演である
自己責任である、金を払え
悪代官のような議員が口汚く罵る
担保にされたものたち、私たちが故郷に帰る
私たちを担保にしたものたちが空港でふるさとで私たちを罵る
アンポンタンの日常の中で
私はただうなだれる私のなくした首を捜している

喋る木切れが砂漠の喋る木切れを救いたかった
喋る木切れとして砂漠の不毛な戦いを報道したかった
喋る木切れが喋る木切れと戦わされている意味のない意味を探りたかった
作られて行く、加工されていく、おびただしい嘘の木切れになる前に
耳鳴りの底にある風の母音や
川のせせらぎから切り離される前に
真実の言葉や真実の民主主義の母音を教え込まれる前に

私たちはだれにも見えないままに深く回収される それが帰ることの意味だ
私たちはアブグレイブで拷問される アブグレイブはここに帰るということ
The rain in Spain stays mainly in the plain.
In Hartford, Hereford and Hampshire, hurricane hardly ever happen.
私は一人のイライザだ
正しい母音と子音の発音を多くのヒギンズたちが教えてくれる

Aaaaaaayyyyy.  Aaaaaaayyyyyy! 

(連作詩の試み「楽府」6)


       「すてむ」29号発表予定

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