詩人たちの島

詩人たちの島

夏のアルバム




「この夏を持ってくれるかしら」
持ちこたえられなく見える夏の老人を
夏の娘とその夫が気遣う
優しい夏の家庭

明治という時代があった
昭和という時代もあった
その次の時代はもう忘れた
たぶん父たちはそう囁くだろう
だから死の国の
できるなら忘れたくない時代の友人たち
「お先に」と笑った死者たちが呼んでいると考えたがるのだ

「墓石にはこうも書きたかったのだが、
わたしは世界と痴話喧嘩をしたと。」
強さかしら?
妻に私は問う
ボケているのよ、詩人になったのよ
お父さん、いつ?
ロバート・フロストになったの?

強い目にビジネスの光をたたえて
母を蔑ろにし、狂わせ
自分はどこまでも穏健であった
怪物たちの父の時代は終わった

この夏を/この夏も「持っている」
そうやって生きてきた
息の長いソロ
「道路も橋も、壊された谷間の村も、会社や社会のうるさい笛を
血がめぐる機械のように、生きてきた、杭は打つもの、
心に杭は打たなかった」
うるさい反省は抜きにして
使い古された機械が
ベッドを濡らしている

ここにはどんな階段もないから
お父さん、水平に寝ていなさい、息をゆっくり吸って吐くんだよ
その目はまだ登るべきステップを見つめている
乱打しなよ
この夏の暑さを一身に受けて
おしめのフリージャズを

この夏を/この夏も
父たちの肖像に見捨てられた極道たちの襟から
ただネクタイだけが捨てられて
なめらかな口   血にまみれた口が
新しい支配の機械に虐げられることの歓びに夢中になっている
ブーブーの誕生日には
お似合いのクールビズ

貨幣を貯蔵することには興味はなかったようだ
「お金で買えないものもある」を無意識に貯蔵していたから
何よりも「労働」を何かの代価にせずに
お父さん
そんなに仕事が面白かったのですか?
マルクスは嫌いでしたね
あなたは労働のフェティッシュであって、金の亡者ではなかった

いっこうに「世界」はここに立ち現われないとしても
あなたはそれを創ったのだよ
強い目にビジネスの光をたたえて、労働の光をたたえてだね
母を蔑ろにし、狂わせ
自分はどこまでも穏健であった「世界」

この夏を/この夏も
妻と私は、あなたを誰よりも気遣う
あなたは「持ちこたえる」この夏を
トイレへの2メートルの距離があなたの世界だ
あえぎながら、その世界と痴話喧嘩をしなさい、元気に

交換できない
この夏
交換できない
あなたのBody and Soul
壊滅に向う
花々
谷間から見る緑は深い

8/6/2005


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