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2008年12月03日
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カテゴリ: 時事



(1)強制認知の問題

認知には、父親が自発的な認知に応じない場合、裁判所に訴えて強制認知をしてもらう場合があります。
で、もし外国籍の母親から生まれた子供に対しては日本国籍取得にあたってDNA鑑定が必須だということになると、この強制認知の場合には、訴えられた男性には強制的にDNAを提供してもらうことになります。だってそれが必須であるにもかかわらず、提供拒否を認めるということは、国家が可否を決めるべき国籍取得について、一個人の裁量で門前払いできるということなのですから。
そして、自分には全く身に覚えが無いと主張してもそんなものは通らない。DNAで調べればわかることでしょと言われておしまいです。

ということは、ある人物のDNA情報が欲しかったら、これを逆用すればいいということになる。鑑定の結果親子ではないとされても「勘違いでした、ごめんなさい」で済む話です。で、目的のものは手に入ると。
そのうち、日本人がやたらに外国籍の女性から認知を求められて、いつのまにかDNA情報のデータベースが出来上がってしまうというのは、そう突飛な想像ではないでしょう。

(2)現行法よりも後退

現在は、胎児認知されていたり両親が婚姻関係にあれば、外国籍の女性から生まれた子供でも日本国籍が取得できます。

ただでさえその閉鎖性が諸外国から指摘されている日本の国籍取得の要件を、今よりも厳しくするというのは明らかに時代遅れでしょう。

そして、パートナーや母親が外国籍というだけで子供や父親がDNAを「登録」しなければならないというのは、新たな法の下の不平等であることは明白ですし、優生思想的な差別主義を助長することにもなるでしょう。

(3)胎児のDNA鑑定のリスク

上述のように、胎児認知でもDNA鑑定が必要となる以上、外国籍の女性は妊娠したら胎児のDNA鑑定をやらなければならなくなります。でも、これは羊水や絨毛を採取する必要があるためリスクがあり、パーセントオーダーで流産を引き起こします。
つまり、この鑑定により年間に数十人の子供の命が失われることになるということです。その責任は誰が負うのでしょう。母親が外国籍だという理由だけで殺される子供がこんなに生まれるような政策を強行するのは、他民族との混血を抑制したいという優生思想によるものだと、世界から批難を受けても仕方ないのではないでしょうか。

まあ一つの方法としては、たとえ胎児認知していても結婚していても、母親が外国籍だったら出産後にDNA鑑定の結果が出るまで、国籍も与えず戸籍も作らせずって手はあるとは思いますが。でも、それでは現行法より後退してしまう。多くの日本国籍が取れない子供を救済するために最高裁が下した違憲判決が、これまで日本国籍が取れていた子供が取りにくくなる、一種の「悪平等」を生み出したとしたら本末転倒だし、立法がそんなことをやるようじゃ、日本の三権分立なんて名ばかりってことです。

(4)体外受精差別の可能性

かつては、女性が産んだ子供とその女性の親子関係を疑う必要など全くありませんでした。
でも、生殖医療技術の進化により体外受精により産まれる子供が年間1万人を超えるようになった現代では、実際に産んだ母親との間に遺伝的な関係はない子供というものが存在する可能性は十分にあります。
今回の改正にあたってDNA鑑定を主張する人々は、母親が日本籍であるケースについては全く疑問の余地は無いと決め込んでいるかのようですが、実はそんなことはない。その場合でも遺伝的な両親がどちらも日本人ではないということが有り得るわけです。
となると、血統を重視するあまりDNA鑑定なんて持ち込めば、体外受精で産まれた子供に対してもそれを義務付けなければおかしくなる。そしてこれはまた新たな差別を生むということです。


加えて、仮にもしその鑑定結果が予想外のものであった場合、体外受精の場合は「浮気」のような要素が入る余地がないので、病院のミスという可能性が高い。もちろんそんなことが起きてはならないのですが、それが必ずあからさまに、これはまた病院側にも大きなプレッシャーとなる。となれば、病院側も体外受精はやりたがらなくなり、やはり日本の出生率は下がる。

DNA鑑定義務化は日本をますます縮ませるだろうということです。

(5)新たな認知ビジネス

DNA鑑定導入を主張する人々は、偽装認知を防ぐのだといきまいておられる。
でもそれを導入するなら、逆にDNA鑑定でOKなら親子関係のお墨付きを得られるということであり、それを逆手に取った、新たな日本長期滞在ビジネスが興せるのですけどね。



それが認められて、子供が日本に根付いてから、怖れながらと本当の両親が名乗り出て、DNA鑑定を盾に自分達は日本人の両親なのだから、日本に滞在すべきだと主張する。
あるいは外国籍の代理母が、自分がこの子の監護をしなければ誰が面倒を見るのだと主張する。

生まれた子供に一旦与えた日本国籍を剥奪することが困難であり、本当の両親と代理母の間の関係を証明できない限り「偽装」と認定するわけにも行かない以上、代理母とDNA上の両親の間の接点にさえ気をつければ通用しそうだし、またリスクもそれほど大きくない。

今回の改正案で偽装認知を企てるよりも、DNA鑑定が義務化されてからの方が、ずっと確実な日本滞在方法を構築できそうってこと。

まあ、そこまで考えてはいないでしょうね、闇雲に反対している人々は。

以上、DNA鑑定は新たな問題を生むだけという点に関する補足でした。







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最終更新日  2008年12月04日 03時18分34秒 コメントを書く
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