書き下ろし小説「インディー」





都心のビルの谷間

風が通り抜ける陸橋の上

イスラエル系の若い露店商

黒人の帽子売り

日本人らしいカップルのアクセサリー屋



路上の物売りたちとの干渉を避けるように
間隔を取って演奏を繰り広げるミュージシャンたち



いつもの夜の光景

こんな風物はいつごろから始まったのか?

少なくとも、20年くらい前には、見かけた記憶は無かった。



3,4年前からだろうか、 一つのバンド には、注目してコンタクトは取っていた。

何をしようとしていたのか?

当時から、自分自身、理解できないまま、やみくもに、しかし、随分と気楽に行動していた。

一人のアーティストが、自分の中で眠っていた衝動を遮蔽していた厚い扉を破ってくれたと言っても良い。

アーティストの名は、 椎名林檎。

恥ずかしげもなく言う。

彼女の作品たちは、私のエモーションを刺激し、強い啓示を与え、私の行動様式を変えて行った。

ともかく、再開させたのがアコギ。高校以来の再挑戦。

弾きはじめたのは、 山崎まさよし クラプトン など。

最初は、指が痛くて、まともに演奏できなかったが、次第にスムーズにプレイできるようになって行った。

(つづく)

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