インディー(8)




ピッチの中の詩のサイトを渡り歩いているときに、ちぬるを発見した。

ちょうど、林檎にはまりかけたときと同じ時期だった。


彼女の作品には、必ず


復讐
ということばが、登場した。


ひとことで言えば、
暗い

呪いの気持ちが込められたような作品ばかりだった。

だが、彼女の作品は、ただただ美しいとしか形容しようがない独特のリズムをたたえていた。

以後、ピッチの世界や、PCのホームページワールドで様々な詩を眺めて来たが、ちぬるの作品ほど、美しいリズムを持った日本語の作品には出会ったことがない。


私は、さっそくちぬるに対して賞賛のメールを送った。


すぐに謝辞が返って来て、過去の自分の作品を次々と送りつけてくれるようになった。


札幌の居酒屋で働いていること。

清春 の熱烈なファンであること。

実家は、札幌から更に飛行機で行くしか交通の手段がないような最果ての漁師町で、おとうさんは、海産物加工工場を経営していることなどが少しずつわかって行った。


彼女の勧めで 黒夢 のCDをレンタルして聴いたりしたが、ピンと来るものはなかった。

正直に感想を伝えると
いくらか落胆した様子だった。

清春のことを少しイイナと感じたのは、
IWGP のテーマを手がけたときくらい。

IWGPは作品そのものが、私の感性にピタピタ来ていたし、清春の歌も含めて、今でも全部大好きだ。


さて、ちぬる


彼女が送りつけて来た作品の中に、全く毛色の違う作品が紛れ込んでいた。


眠れない

眠れない


というフレーズで始まるその作品は、
暗く美しいオホーツクの海の風景を彷彿とさせ、

私は、一読みでその作品の虜になってしまった。


(つづく)



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