インディー(22)


と私。

「今夜は、衣装、ムチャクチャ決めまくりやん!」


「今日は、ヒロトに北京料理をごちそうしてもらったんです」と嬉しそう。


「食事に合わせて衣装もチャイニーズって事か・・」


「このチャイナドレスもヒロトに買ってもらったんです」
と顔を赤らめながらナオミ。

ヒロト
「誕生日のプレゼントに買ってやったんスヨ。バイトして金貯めて」


「どんなバイトしてるの?」


「引っ越しとかガードマンとか、いろいろッス」


「オレも学生のとき、いろんなバイトしたなあ。」
「トンネル火災実験のデータ取りとか、悪臭の官能テストとか、ウナギの養殖場とか・・」


「大学はどちらだったんですか?」


「東の方」


「スカイラークのキッチンとか、定食屋とか、失恋して失踪して、松本に潜伏してたときは、松本の駅前商店街の肉屋兼食堂で働いてたよ」

ヒロト
「失恋して失踪してはったんですか?」

「2回生の春休みに。真剣やったから。彼女が長野出身の農家4人姉妹の末っ子で、上のおねえさんたちは皆、東京に嫁いでしまってたから」

「何としても結婚して農家を継ぐ!っていう気持ちやったんやけど、向こうは遊び盛りやったんやね。束縛を嫌った。こっちの気持ちは空回りで大喧嘩」


ヤベ
「良くあるパターンッスよねえ」


ヒロト
「やっぱり、男の方が束縛したがるもんなんすかねぇ」


ナオミ
「ヒロトは焼き餅焼きやからねぇ」


「かわいい子を彼女にした男の宿命だよ」


ヒロト
「やっぱ、そうッスカー」
と、しみじみ。


「大仏なんてひどい事言ってたら、すぐに逃げられちゃうよ」

「エッ!」
とヒロト。

「そんなん、冗談に決まってるやないですかぁ。マジで言ってないッスヨー」

「冗談でも言うもんやない」


3人のためにそれぞれ違うカクテルを作りながら
ヤベが、お得意の
「グアッハッハ」笑いを繰り返し始めた。


ヒロト
「ヤベさんは、失恋しはったことありますか?」


「グアッハッハ」とヤベ。


「何アホな質問してんのよー」とナオミ。


「オカチャン、ヒロトって田舎もんで言うことが下らないでしょ?」

「こんなんやから、あたしはいつも満たされないんですよー」
「バレエの話しても全然うわの空やしー」

「体育会系のアホなんッス!」と自虐のヒロト。


「もしかしてヒロトもサッカーやってたん?」

(つづく)

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