インディー(53)


「このコーヒー、おいしい!」
という感嘆の声をどれだけの人たちに上げさせて来たことか!


振り返っても、数え上げることさえ困難だ。

さて、おおさきさん


「暮れに送っていただいた勝駒、うまかったですわぁ」

「そうでしょう、そうでしょう」


「それと、一緒に買ったドメーヌ・ガショ・モノ、コート・ド・ニュイ・ビラージュ!」

「あれは、私がブルゴーニュまで行って買い付けて来たんですよ!」

「実はね、ぼくはもともとボルドー党なんですよ。最初に、はまったのが、ポムロルのムエックスもの。で、ずっとメルロー街道まっしぐらだったんです。」

「ブルは、あの酸が嫌いで、刃のように感じられて・・」


「でも、ガショ・モノは、全然違いましたね。甘くってイチゴみたいな感じで、少し酸っぱくて、それで舌にまとわりつく感じがとてもエロティックで・・」


「97年のガショ・モノは飛びきりデキが良かったみたいですよ」

「さぁ、こちらへどうそ゛!セラーにご案内させていただきます!」


おおさきさんは、すぐ隣のビルの地下を借り切って、空調機を入れ、大きなセラーにしていた。


ワインの入った木箱は、壁際に積まれており、中央部は、がらんとしていた。


「これだけ広いと、まだまだ、買い付けしても大丈夫ですね!」


「そうですね!今年も夏にフランスに買い付けに行きますよ。よろしければ、ご一緒にいかがですか?」


「そうですねぇ。でも、今年はいろいろと予定が入っていまして・」


歯切れ良く
行きますッと叫びたいところだった。

「こちらが、残り少ないガショ・モノ、ニュイ・サン・ジョルジュ97。一本買ってかえられませんか?」


「もちろん!」


結局、おすすめのスーサのシャンペン、プロバンスの新鋭ドメーヌ・リショーム、勝駒の生しぼりなど十数本を買い付けて帰ることになった。


これで、花見酒の準備は万全!

FM富山がどこまで聴けるかを確かめながら、鼻歌まじりに暗やみをすっ飛ばして帰った。


(つづく)



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