インディー(57)



キヨミ
「予想以上におしゃれなお店!」

「そうやろ?ヤベにはもったいないな」


キヨミ
「ヤベさんがオーナーさん?」

「ンナワケないやろ?まだ駆け出しやで」
と私。


「グアッハッハ」

「おっと出ましたヤベのガハハ笑い!」


「さっきまで眠たそうにしてたのが、嘘みたいね」
とナオミ

「それにしても八坂神社の姥桜って、いつ見ても不気味やなあ。さっき、みんなの写真を撮るとき、背中に寒いものが走ったよ」


「ションベン、ちびりそうになっただけちゃうんか?」


酔いが回るとジョークがきつくなる。


ヤベに向かって
「ハセさん、ええ感じやろ。彼の下で仕事できるやつは幸せ者や」

「ハァ・」

「ハセさんに自分を売り込めよ。さっき名刺をもらっただろ?」


「エエ、いただきました」


「まぁ、空きがないと雇ってもらうのは無理やけどな。あの人はイロイロと事業展開を考えてはるんや。確かニューヨーク進出も計画してはったと思うで」

「マジッスカ?」
と急に反応が変わるヤベ。


「西海岸を飛び越して、なんでいきなりニューヨークなんかは、ようわからんのやけど・」


「ニューヨーク、行ってみたいッスねぇ!」
と目を輝かせる。


「アレ、そういえばヒロト君、どこに消えたんやろ?」


「エッ、ホンマや」

「トイレとちゃうの?」


「ウワッ、便器にかぶさって寝てる」


「うわ、汚い!」

「ヤベ!今日は、もう閉店や!こんなんでは、商売にならへん」

客はいつでも無責任。


「ナオミ、ヒロトを介抱してやり。さぁ、みんなでトイレ掃除や」

「いや、それはバーテンの仕事ッスから・」

「エエカラ、エエカラ」

ナオミもヒロトも伯爵も私も調子に乗って、飲みすぎていた。
シレッとしていたのは、キヨミだけだった。

この人、酒豪。


「もう、終電車ないわぁ」

とナオミ。


「ホンナラ、今からみんなでヤベのマンションで雑魚寝や!エエヤロ?、ヤベ!」


「もう、しゃあないですわ。そやけど、部屋がゲロ臭くなるの嫌やから、ヒロトはちゃんときれいにしてから連れて来て下さいよ」


「ワカッタ、ワカッタ。ナオミ、ヒロトの服脱がし!ヤベ、おしぼり10本」


ロゼ・シャンペンでエレガントにスタートした花見酒だったが、予想通りと言うべきか?エンディングはグダグダ、ズブズブ。


だが、この日の宴会をきっかけに、私達の間で、比較的強い連帯感のようなものが、醸成され始めたのは、間違いなかった。

(つづく)



© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: