インディー(123)



「あぁ、あそこね。わかった。何時?」

「3時ごろ」

「遅れるかも知れないけど・」

「いいよ。いつものことだから」


高瀬川沿いのオープンテラスのカフェ。

今にも降り出しそうな天気。

「お待ちー!」

なんだかユキは上機嫌だった。

「これ、でき上がったばかりのフリペ」
と言って差し出す。

「なんか変なイラスト」

「オレは気に入ってるんだけど」

「誰が描いたの?」

ユキは既に何かを感じ取っていたようだった。

この先、ユキはどのような出方を示すのか・・

「ハイ、デモテープ」

バッグから数枚のMDを取り出して、ポンとテーブルの上に置いた。

「一緒に行くつもりなんだけど・・」

「バイトが入ってる日は行けないってば」

「そうだね。それじゃ、ユキのつごうに合わせるけど」

「今度の日、月なら、あいてるけど」

「よし、それじゃ、日、月ね。まずは京都のベータステーションから行こう!」

「あたしは、なんにもしゃべらないよ」

「いいよ。その代わり、目いっぱいファンキーにメイクしてドレスアップしてきてくれ」

「わかった」

「また、ここで3時ごろ落ち合おう!」

「いいよ」

「ところで、組長から連絡ない?」

「ぜんぜん」

「そうか、やっぱり足抜けはうまく行ったんだな」

「そうみたいね」

「やっとヤクザと縁が切れて、ほっとしてるよ」

「そんなの気にしたって仕方ないじゃん」

「オレは今までヤクザとかかわったことがなかったからね」

「ヤクザ、ヤクザって言わないでよ。あたしがいたとこは、一応、芸能プロダクションだったんだからさ」

「スマン」

「あたしの才能に最初に目をつけてくれたのも、社長なんだし」

「そうだったね。でも、オレはスピードの売人なんてやるのは、まっぴらごめんだね」

「コーチ屋の手伝いやるのは、楽しんでたけどね」

「まあね」

「スピードかぁ。なつかしいなあ」

「エッ!まさか、売人やってたの?」

「まさかー」

いつものようにたばこの煙をプーッと吹き上げてフフッとユキは笑った。


「ヤベとさぁ、付き合ってたとき、少しやってた」

「ふうん」

「クラブでうろついてたら、あんたみたいなオッサンがドリンク瓶下げて売りに来るんだよね」

「ふうん。気持ち良かった?」


(つづく)

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