インディー(148)



「そんな甘くないよ」

「そうかなあ」

「そ!アイドル路線ならすぐに上行くチャンスあるけど、もう21だしね」

「そう・」

「なんか、歌以外にネタがないとダメなんだよ」

「珍しい病気と戦いながらミュージシャンやってますとか?」

「そうそう」

「まあ、気長にやっていこ!」

「そういうこと」


ユキが
「今晩、泊まって行きなよ」
とか言ったら、どうしようかと悩んでいたが、そんなそぶりさえ見せなかったので、別れ際、少し強引に抱き締めて、軽くひたいにキスをして、サッと突き放した。


ユキは照れたように
ニッと笑って、右手の中指だけを立てて突き上げるポーズを作った。


(つづく)



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