インディー(150)




窓の外は、雨


「今年は良く降るねえ」


「ほんまに・」

「くまのぷーさんの大将、遅いなあ」

「もうすぐ、きはると思います。なんせ夜が遅い人やさかい」

「くまみたいな人?」

「ふつうの人どす」

「ヘヘヘッ」

「そんなおかしいどすか?」

「ルーンに来るひとは、おかしな人ばかりやから」

「ほらきはった」

「なんでわかるん?」

「階段登る足音が違うんどす」

「ふうん」

「いらっしゃいませ」

「こんにちは」
「はじめまして」


なんとなくぼうようとした、つかみどころのないタイブ。

確かに
くまのぷーさんという雰囲気。

「ビールください」
とぷーさん。


「いやあ、良く降りますねえ」
と親しげに話しかけて来た。

「そうですねえ」
とあいづちを打つ。

「これだけ降ると客足も遠のいてしまう」

「その通り」
とぷうさん。


「どんな料理がメインですか」

「はちみつ味ですね」

「はちみつ味?」

「ええ、甘いものが好きなひとは多いですから」

「じゃあ、女性中心?」


「そうですね」

「それじゃ、オカチャンにぴったりですね」
とキヨミ。

相変わらずチャチャの入れ方がうまい。


「調理師の免許なんて持ってないけどOKですか?」

「大丈夫です。うちはカウンターだけの店なんで接客が上手な人がいいんです」

「料理の腕は自信ありますよ。学生時代は飲食店のバイトを転々としてましたから」

「そうですか」

「勤務条件などを教えてもらえますか?」

「とりあえず時給1000円からのスタートでどうですか?」

「OKです。勤務時間は?」

「3時から11時まで」

「片付けを入れて12時まで、週末は2時ごろまで、じゃないですか?」

「良くわかってらっしゃる」

「それじゃ、自転車かスクーターを買わないと」

「お買いください」

「ともかく、お店を拝見させてください」


「わかりました。ビールを飲み干したら、行きましょう」

と言って、ぷうさんは半分ほど残っていたビールを一気に飲み干した。


(つづく)


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