インディー(151)



入り口は引き戸になっていて、背をかがめないと通れなかった。


中はカウンターのみ10席くらい

意外に清潔で隅ずみまで、掃除が行き届いている感じだった。

「ここに二人で立つわけですね」
と私。

「そうですね。最初のうちは」

「と、言うと?」

「2軒目を出すことを考えていましてね。その準備でこれから忙しくなるんですよ」

「そういうことですか」


「そうです」

「ワインでもあけましょうか?」

「そうしましょう!」


ぷうさんがあけてくれたのは、オーストラリアのシャルドネ。ごくごく普通のハウスワインタイプだったが、トロピカルフルーツのニュアンスを持っていた。

「これなかなか行けますね」
と、少しよいしょしておいた。

ぷーさんは、ただにこにこしている。


「いつから店に入りましょうか?」

「あしたからでどうです?」

「わかりました。それじゃ今から、さっそく自転車を買いに行って来ます」

「それじゃ、これからよろしく」


「こちらこそ」


特別、心踊るような出会いではなかったが、もしかしたら店を任せられることになるかも知れないと言う期待感が、胸を膨らませていた。


(つづく)



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