「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
100万ポイント山分け!1日5回検索で1ポイントもらえる
>>
人気記事ランキング
ブログを作成
楽天市場
681493
ホーム
|
日記
|
プロフィール
【フォローする】
【ログイン】
浜松オフ2002(前)
オレには帰属意識というものがない。
学校には仕方なくいっていたような気がするし、夜中に仲間で騒いでるときも、
いつも冷めたもうひとりの自分がいて、心から騒いでいる感じではなかったように思う。
働くようになってからも、自分が会社員であるという意識はこれまでなかった。
今はサラリーマンと同じような仕事をしているが、肩書きは「フリー」だ。
「会社の利益」を追求することに、喜びを感じない。
オレが感じる仕事への喜びをしいてあげれば、ただ自分のスキルと、
自分のギャラの額面が、向上することだけなような気がしている。
健全だとは思わない。ただ、オレはいままでそう思ってきたし、
これからもたぶんそうなんだろうということだ。
なぜこんなことを書いたかというとつまるところオレには、
2ちゃんねるに属しているという意識がない、ということだ。
2ちゃんねる自転車板のユーザーとしてオフに参加するが、
オフのときもオンラインのときも、なにか得体の知れない
心細さが常につきまとっていた。
ところが春風亭は違う。
彼は「荒川ズ」というコミュニティーを創り上げ、
ともすれば個人主義になりがちな自転車乗りをまとめ上げ、
集団としての連帯感を共有し、帰属意識を植え付けた。
レースや遠征オフには進んでクルマを提供し、
遠方からの客にはリビングと寝床を用意した。
誰とでも気さくに話し、気を使う。
彼がいなければ今日の荒川ズはもとより、
自転車板全体がオフに向かう風潮はない。
2001年12月、東京組を関西オフに連れて行ったのは春風亭。
そして浜松オフ。春風亭は惜しげもなくクルマを出す。
7人乗りに6人と、自転車5台を積んでいく。
浜松オフ~中村不思議~
目覚ましより先に、雨の音で目がさめた。集合は春風邸6時。まだ4時だ。
2度寝できない。オレは少しわくわくしていたようだ。
春風邸まで自転車で行くつもりだったが、未明から降り続いている雨は、
止みそうにもなかった。傘を差して、電車で行くことにした。
旅行かばんには着替えと、ビンゴの景品を詰め込んだ。
春風邸の最寄駅に降りると、目の前には見慣れない街並みと、大粒の雨。
小さいビニール傘からはみ出したジャケットの肩が濡れた。
タクシーに乗ろうと思ったが、行く先がわからない。
まさかタクシーに「春風邸」と言うわけにもいかない。
雨に打たれて見慣れない道を進んだ。10分も歩くと、左手に酒屋が見えた。
もちろんまだ開店前だ。
春風邸で宴会があるときに、いつもビールを買う酒屋だ。
腰のまがった顔の丸い老人が店番をしている。
ところが困ったことに、その酒屋は夜9時で閉店だ。
宴会が盛り上がりビールが足りなくなる時間には決まって店は閉まっている。
老人の夜は早い。
酒屋を見つけたところで数メートル引き返し、春風邸。
クルマの周りはもうすでににぎやかになっていた。
オレンジ色のでかい奴が目についた。ヤングチャーハン。
雨だからか、黄色い帽子をかぶっている。あまり似合っていない。なぜ黄色か。
初めて見る顔がいた。タクシーのトランクから、クラインの派手な自転車を降ろしていた。
とたんにオレは心細くなった。知らない奴だけだったらどうしようかと思った。
おそるおそる春風邸に近づいた。
「うーっす」
眠そうな低い声で、朝の挨拶をした。顔見知りであるヤングチャーハンや、
家の中でどたばたしているであろう春風亭に向けた挨拶にみせかけて実は、
初めて会うクラインの赤いジャケットへの虚勢だった。
「中村不思議」というブランドの、威厳のようなものを、見せつけたかったのかもしれない。
いずれにしてもつまらないプライドではある。が、
虚勢をはらなきゃいけないほど、オレにはなにもない。
クラインを担いだ赤いジャケットはすれ違いざま、「茶飲んでるで~す」と
おどけたふうに名を告げた。
知っている。荒川スレでよく見かけていた。
先を越されたオレはあわてて「あ、中村っす」とつくろった。
するとクラインのフレームをかかえたままの「茶飲んでる」は立ち止まり「え?」
とおおげさに聞き返してそのメガネの奥の大きな目をしばたかせた。
「ぜんぜんさわやかじゃないですか!」
オレもっといかつい奴と想像していたらしく、オレはしげしげと見つめられた。
一人歩きしている「中村不思議」というイメージに辟易としたが、
少しだけ虚栄心を満たされた。
オレはもはやこの名前にしがみついてるだけの、ただの小男かもしれない。
浜松オフ~ヤン~
「あれ、ヤンは?」
去年オレが、自転車板東京オフ開催にやっきになっているころヤンは群馬の高校生だった。
ヤフーのチャットでそのころヤンはオレに「オフいきたいです~」を呪詛のように繰り返していた。
オレは「くればいいじゃん」と無責任にも東京のオフに群馬の高校生を引っ張り出そうとしていた。
ヤンのチャットは絶妙でオレはいつもヤンが「ふふふ」と話し掛けてくるのを楽しみにしていた。
しかしヤンはいつもヤフーのチャットが不可抗力によりダウンして立ち上がるたび
「すみません」といい、話を切り上げるときにはいつも「夕飯たべてきます」と礼儀正しい。
タメ口でいいし礼儀などいらないとも思うけどもヤンはきっといつまでたっても折り目正しいだろう。
ヤンは春風邸のリビングの、ふすまの陰に隠れていた。俺が外でいった「あれ、ヤンは?」が
聞こえていたのだろう。オレを迎えるためにふすまの陰に、立って隠れていた。
ヤンはでかかった。「おい、でかいなあ」オレは見たままを口に出した。
ヤンは両手を前にやり股間をおさえるようにしてでかくニコニコとたたずんでいた。
「おい、ヤンなのか?」とオレが言ってもヤンは一言も発せずただ股間をおさえてもじもじしながら
にやにやしていた。仕方がないからオレはヤンのそのふわふわした腹に膝蹴りを入れる真似を
してじゃれて去った。実は少し、照れていた。
浜松オフ~出発編~
赤いBD-1を駆るはねは、寡黙な坊主頭だ。
いやそれはオレに対して寡黙なだけかもしれない。
あまり言葉を交わさない。もしかしたらオレは嫌われているのかも知れない。
そういえばオレは自転車板において、あまり素行がよろしくない。
オレのことを嫌いなやつがいても不自然じゃないということを忘れていた。
ヤングチャーハンが見送りに着ていた。雨の中朝6時に、彼はヤンに会いにきていた。
はねと茶飲んでる、ヤンとオレを乗せたクルマは春風亭が運転する。
まろと、春風亭の会社で合流する。
春風邸から、株式会社春風まで約1キロ。ヤングチャーハンは雨の中、
春風亭のエスティマに追走した。
陸橋の登り坂でエスティマのメーターは50km/hを指した。
バックミラーにはオレンジ色の黄色い帽子がぴったりとはりついていた。
オレは思わず助手席の窓を開けて外に半身を乗り出して後ろ向きにカメラを構えた。
株式会社春風について、「アイボク速いよ」というと、「はやいっしょ」と彼はいう。
アイボクは謙遜しない。時には挑発的に自分の速さを誇張し憎まれ口を叩く。
しかしそれは決して遅い人間を見下してるわけじゃなく、
自分自身への鼓舞ととれるから、誰もその憎まれ口を、本当に憎いと思ってる奴はいない。
まろとまろの自転車を載せて、浜松行きエスティマは完成した。
朝7時前。混み始めた環七を南下し、東名自動車道。
浜松オフ~東海道中~
浜松へ続く東名高速はいつも小雨がぱらついていて、
やがて日が差したと思ったらすぐに豪雨に変わった。不安定な天気だ。
茶飲んでるは「いやこれ晴れても結構ぬかるんでるでしょ、それにいつ降るかわかんないし」
とぐずった。浜松が近づくにつれ雨脚は強まり車内は消沈した。
いよいよ浜松が近づくと、大阪から向かってくるジャージのクルマとの合流が気になった。
大阪から来るジャージのクルマには、こすりつけが乗っている。
あと一人乗っているとしたら、フランスだ。
こすりつけには何度も会っている。ジャージとは、3度目だ。最初は国際自転車展。
こすりつけと一緒に、シューズをカタカタ鳴らしながら、東京ビックサイトを歩いていた。
東京国際自転車展は、雨に見舞われた。雨の中、ジャージのタイヤは空気が抜けていた。
こすりつけは11月の雨の中、真っ赤なサエコのジャージと、キャノンデールの赤いロードで、
尻をぷりぷりさせていた。ジャージのタイヤに対してこすりつけは、「だいじょぶなん?」と心配した。
ジャージは関西弁のイントネーションで、「いや、わからん」と短くいって腰を浮かせて、
自転車の具合を確かめるようにして千葉のじいちゃんちへ向かって走り出した。
オレがこすりつけの横につけて「彼、千葉までいくの?」と驚くとこすりつけは、
「ああ、かまへん」といった。そんなことを思い出した。
フランスに会うのはこれが2度目だ。1度目は関西オフ。実はあまりフランスの顔を覚えていない。
こすりつけとジャージに杖レを加えた大阪の3人に、自転車でさんざん引きずりまわされた挙句、
しこたま飲んだ。こすりつけは泥酔していた。オレも記憶はあやふやだった。
そこでフランスは登場し1時間半だけ一緒にいた。盛り上がったことは覚えているが実のところ、
詳細は覚えていない。
関西オフの昂奮も冷めたころ、オレは仕方なくフランスを石橋凌だと思うことにして、
当のフランスも何を勘違いしたのかオレを「しゃくれ」と呼ぶようになった。
前日、実はフランスがだだをこねた。
「馬鹿不思議!!おまえ自転車持ってくるん?!!」
フランスはオレを馬鹿不思議と呼ぶ。馬鹿と呼ぶなといっても無理だからあきらめている。
「わからん、春風亭のクルマに積めたら持ってく。」 とオレ。
「はっきりしないやつだな!!今決めろ!!」
「なんでだよ、おまえは持ってくるの?」
「俺はもっていかない!!宴会に全てをかける!!」
どうやらフランスは、昼まで寝て自分のクルマで行くか、
浜松1周に備えて早く発つジャージのクルマに便乗するか決めかねているようだった。
フランスがジャージのクルマに便乗した場合、オレが自転車を持っていって浜松1周に参加すると
フランスは、一人でチェックインまでの数時間をつぶさなければならない。
オレは、自転車を持っていけなかったら本でも読んで時間を潰そうと思っていた。
そこへフランスからの打診。フランスの、時間を潰す相手を探してる風なニュアンスを察したオレは、
「じゃあランチビールでも飲もうぜ」とへりくだったカタチでいったのはオレの優しさだった。
しかしフランスは「考えておく!!」とかわいげない。
売り言葉に買い言葉で「今決めろ。付き合ってやるといっている。」なような意味のことを言った。
フランスは「やっぱり自分のクルマでいく!!」とごねた。
ともあれ、ジャージのクルマからフランスが降りてくるかどうか、その時点ではまだわからなかった。
こすりつけに電話した。出ない。何度も何度も電話した。出ない。
いつまでたってもこすりつけは、電話に出なかった。
浜松オフ~到着編~
浜松北だったか浜松西だったか、とにかく浜松からふたつみっつ先のインターで降りたエスティマは、
「猛爆」という名のパチンコ屋を左手に見ながら館山寺温泉へと急いだ。
こすりつけのケータイはまだつながらない。「パルパル」という遊園地を目指した。
オレがクルマを運転するとき、高速を出ると決まって現われる分岐点で必ず迷う。
目的地へ行くために、右へ行ったらいいか左かどうか必ず迷うのだ。
これは土地感がないから当然だと、オレは自己弁護しながら半ばひらきなおっている。
しかし春風亭は、地図を見るでもなく軽々と分岐を判断し先に進んでいった。
土地鑑があるふうでもないのに春風亭は、自信満々に道を決めた。
「自分の向かうべき所は知っている」
助手席でオレは、運転席の春風亭の横顔が、そう語っているように思えた。
春風亭は、少し遅れそうなことを憂い、ついでに立ち寄る予定だった仕事の得意先への
約束をキャンセルしてまで、ホテルへと急いだ。
約束の11時少し前に、着いた。
時間配分、臨機応変さ、休憩の頻度、すべてにおいて春風亭の運転は、完璧だった。
休憩の頻度について少し付け加える。
オレも運転すると感じるが、運転者は、実はそれほど休憩しなくても平気だ。
それは運転に集中しているから、時間の経過がそれほど苦にならないからだ。
春風亭は、それほど休憩したいわけじゃないはずだった。
同乗者は、ただ単にぽけーっと座っているだけだ。運転者とは異なる疲れが襲ってくる。
そこで春風亭は、オレらが休憩したいと思うだろう時間帯を見計らって、
「じゃあ次はどこそこで休憩しよう」と入れてくる。
座ったままの姿勢で何時間もクルマの中にいるのは辛く、パーキングで外の空気を吸って
カラダを伸ばし、タバコを吸うと生き返る。しかも休憩地点を示されると同乗者は、
長い道中こまめに目標を設定できて気がまぎれる。
春風亭絶妙。これにより、東京-浜松間は思いのほか短く感じられた。
ホテルのロビーでガラ悪く待機していると、こすりつけ側から電話がきた。
何度も何度も電話したオレのケータイではなく、東京組の顔役である、
春風亭のケータイが鳴った。こすりつけは、筋を通した。
浜松1周に向かうオレ以外の東京組は駐車場へ急いだ。
暫らくすると、白いハイエースが坂を上り旋回してきた。
ハイエースはエスティマを見つけ、速度を緩めることなく近づいてきて、
白い枠線の中に、くるっと器用に停車した。
雨はあがっていた。
東京組は、自転車を組み立てる手を止めて、白いハイエースを見つめた。
不安をごまかすためにニヤニヤしながら、スライド式のドアが開くのを、待った。
浜松オフ~フランス登場~
雨はすでにおさまって、わずかな雲の切れ間からは日差しがそそぎはじめている。
助手席からサンダル履きのこすりつけが降りてきた。
膝から下を大胆にカットし短パンにした色の落ちたジーンズから
たくましく生えているふくらはぎは黒く焼けていて、
サンダルから見える足首から先だけ白いままだった。自転車焼け。
ジャージのハイエースを囲むようにして彼の第一声を待つ東京組をよそに、
そのまま後部座席のスライドドアを勢いよくヴンと開き中へ入ると、
前輪だけ外したまま積んでいた自転車を抱えて降りてきた。
挨拶もなにもない。ただぼそぼそと小さい声で横柄に「おう」とか、
「あれ、誰なん?」とか「どれがヤン?」とか、再会を喜ぶ風でもなく
いたって素のままただニヤニヤと自転車を組み立てる準備をはじめた。
運転席からはジャージが降りてきて、同じように自分の自転車を降ろした。
ジャージはひとしきり東京組を見渡し、目や首の上げ下げで静かな挨拶をした。
ジャージは腕組みをしながら、細い体躯からひょろひょろと伸びた細長い首で、
精悍なまなざしをたくわえたアタマを不安定そうにささえている。
丈が短めのズボンにサンダル履きのそのジャージのいでたちは、
近所のパチンコ屋にでかけそうなおっさんのように軽軽しい。
黒いスモークに被われた後部座席のウィンドウの中に、
落ち着きなくあたりを見渡している影が見える。おそらくフランスだ。
オレがジャージに「フランスは?」ときき、ジャージは「おる」と短く答えた。
外で自分の噂が始まったことを察したであろうフランスは心を決めたのか、
ハイエースの扉をひらき、少し伸びをする真似をしながらけだるそうに登場した。
金髪に近い茶髪の短髪を後ろに流し、銀縁の派手なサングラスをかけている。
ややたくましくなりすぎた胸板から腹部にかけてのラインは威風堂々としている。
濃紺のTシャツにジーンズ。ナイキのシューズはなぜかトレイルランニング用のものだ。
リバーシブルのブルゾンは、カーキとオレンジのツートン。
ファッションセンスは、微妙なアンバランスさを醸しだしている。
しかし奇妙なことにフランス独特な絶妙の均一さも感じられるのは漂うその威厳のせいか。
こすりつけたちと荷物はどうするかとかいうような事務的な会話をひとしき終えたあとも
フランスはサングラスを外さずにただ腕組みしてたたずんでいた。
フランスと目が会ったオレは「お前はない!!」を覚悟して歩みより近づいて、
「よう、ヤクザだな」と声をかけ腹を小突いたが、フランスから出てきた言葉は
「あほか!!ロックロールやっちゅうねん!!」だった。
そして彼は少し照れくさそうに、はにかんだ。
浜松オフ~浜名湖~
自転車浜名湖ツアー組はオレとフランス以外全員だ。
それぞれが色とりどりの自転車を組み立て終えていて、
あとは空気圧のような最終チェックをしてみたり展望のいい高台にある広い駐車場で、
ぐるぐると試走を繰り広げていたりした。
とりあえず食事できる場所を探すことになったのかあるいは1周に向けてのスタートだったのか、
出発しようという段になったとき、オレはオレとフランスにだけ足がないことに気付いた。
ホテルの入口に置いてあったレンタサイクルのことを思い出したオレは、
「じゃあ自転車借りて途中まで一緒にいってみようか。」といった。
まだ試走や空気圧のチェックをしている浜名湖ツアー組をしりめにオレはフランスと二人で
駐車場からロビーへと続く道のりを歩き始めた。
フランスと二人っきりになったときに、話す言葉に窮し気まずくなることを少し危惧したが
それは全くの杞憂だった。
フランスは「何時ごろついたん?」と全くもって普通の会話を始めた。
オレは面くらって「ん、11時少し前」と普通に答えた。
前に一度しか会っておらずしかも一度目のことは酔っぱらっていてほとんど覚えていない。
オレがフランスに抱いていた印象はいいほうに考えて「役員クラスの石橋凌」だし、
おそらくフランスはオレを「きもい関東弁のしゃくれ」ぐらいにしか思っていないはずだった。
「そういやおまえしゃくれとちゃうやんけ!!」
フランスは、自分が勝手に作り上げたオレへのイメージ「しゃくれ」の間違いを、
まるでオレがしゃくれじゃないことが悪いような言い方をしてオレを笑わせた。
しゃくれじゃないオレはずっと、しゃくれじゃないことを説いてきたが、
フランスには受け入れられなかった。
「だからしゃくれじゃないって何度もいったじゃん」
「『じゃん』ゆうなきもい!!」
いつものやり取りに事務的な会話も含め、いたって自然に会話をした。
おそらくフランスも気を使ってくれていたのだろう。似合わず人がいいことだ。
ただオレはおそらく、何も会話がなかったとしても気まずくなるようなことはなかったと思う。
掲示板やチャットでは酒を飲みながらくだらない話をさんざんしている。
不思議とよそよそしい感じがしないのだ。
あるいは、古い飲み友だちに、久しぶりに会ったような感覚さえする。
ロビーでレンタサイクルの鍵を借り受けた。フランスにあてがわれた自転車は黄色で、
かたやオレの自転車は青だった。
フランスは「わし黄色かい、黄レンジャーみたいやんけ」といい、
オレの青い自転車をうらやましがった。
かまわずオレはママチャリのサドルを高くし、駐車場へと急いだ。
フランスはまだサドルの位置が決まらない。
駐急な坂を立ち漕ぎで登り、先にオレは駐車場にいる浜名湖組と合流した。
浜名湖組の準備はすでに整っていて、まろと茶飲んでるは地図で行く先を確認していた。
オレはママチャリのサドルのやわらかさに感激して駐車場をぐるぐる廻った。
「あれ、フランスは?」
しばらくしてもこないフランスを心配して春風亭がいった。
「もう来る」とオレ。
「あの坂で死んどるんとちゃうん?」とジャージ。
するとフランスはゆっくりと坂から姿をあらわした。
遠くからこちらに向かってくるフランスの足はがに股になっていて、
「ママチャリに乗るヤクザ」的姿があまりにもサマになっていることから、
ギャラリーの嘲笑を誘った。
ママチャリのオレとフランスを含めた総勢9名の浜名湖ツアーがそろそろとスタートした。
左手には壮観な浜名湖を仰ぎながら5月の潮風に煽られて心地よい。
集団のほとんどが青い2ちゃんジャージを着ている。
オレとフランスは途中で抜けて昼食を摂るはずだったが、
行けども行けども食事が出来そうな場所は見つからなかった。
道が分岐したあたりで先頭が立ち止まった。先に食堂がありそうにもなかったから、
浜名湖組とはここで別れることにした。
集合写真を撮ったあと、オレとフランスは着た道をママチャリでゆっくりと引き返した。
フランスの背中はしっとりと汗ばんでいた。
浜松オフ~蕎麦や~
またもとの今日泊る予定のホテルのところに引き返してきたオレとフランスはまず温泉街を探した。
草津やら有馬やら那須やら蔵王やら、典型的な温泉街がきっとこの館山寺にもあるはずだ。
そう思ってあたりを見回したが、オレらを案内してくれる「ようこそ館山寺温泉へ」とかなんとか
いう類の看板は見当たらなかった。オレは交差点に設置された区画地図を見つけ覗き込み、
温泉街の場所にあたりをつけた。「たぶんね、こっち」とフランスを促して自転車を漕ぎ始めた。
進行方向右側の歩道をきょろきょろしながら、後ろにフランスを従えて進みはじめた。
向こうから買物帰りとおぼしき地元の女性が軽装でやってきた。
すでに向かう所は決まっていたがオレは確信を得るために女性に道を尋ねた。
「温泉街は向こうでいいんですかね?食事できるところとか、あります?」
少し声のトーンを高くして紳士的に言った。
ただ道を知りたいだけならオレは地図を見てまず行ってみる。間違えていたら引き返せばいい。
いつもそうしている。ならなぜ道を聞くのか。相手が女性だから「じゃあちょっと案内しましょうか?」
とかあるいは「どちらからいらしたんですか」とかから始まる出会いの会話を実は期待している。
オレは旅行へ行っても、風景や観光名所をみても楽しめない。何を楽しむかというと、もちろん
酒や料理も楽しむ。しかしもっと楽しいのは、その土地土地に住む人との会話だ。
ただ道を聞いて教えられて別れるだけでもいい。店員に、料理についてたずねてみるのもいい。
あるいは地元のスナックの、女の子を口説くのも悪くない。地元に住む人と交わることでオレは
やっと、旅をしていることを実感する。
女性に道を聞いても、会話がはずまないだろうことは最初からわかっていた。
なにしろオレの後ろには、サングラスをはめたヤクザがひかえている。
青と黄色のレンタサイクルに乗ったオレとフランスは、見るからに時間をもてあました観光客だ。
オレらには決して邪まな気持ちはなかったが、彼女はきっと不穏なものを感じ取ったのだろう。
彼女は少しおびえながら「あ、食事できるとおもいますよ」といって家路をいそいだ。
向かったところには確かに温泉街があった。道の中央を横並びになり2台の自転車が走った。
左右にはうなぎ屋と蕎麦やが間を隔てず建ち並んでいた。200メートルもするとつきあたり、
温泉街は終点になった。途中パチンコ屋を見つけた。おばちゃんが2人掃除していたが、
客は一人もいなかった。オレらが温泉街を端から端まで往復するうち、クルマは一台も
通らなかった。にわかに晴れだした浜名湖の日差しは温泉街のアスファルトを焼き付け、
蜃気楼でも漂う勢いだ。人ひとりいない。小鳥の鳴き声がやかましい。
この閑散としたざまにフランスも心細くなったのか、オレが「ちょっとここ1周して店きめようぜ」
というとフランスは、「そ、そうやんな、最後までいって決めたらええな?」と迎合のような同調をした。
オレは居酒屋を探したが見つからなかった。もとより、こういうところの居酒屋は夜開く。
オレとフランスは、看板とショーケースが一番キレイな割と大きめの蕎麦やに入ることにした。
店のたたずまいは都会にあるそれとさほど変わりはない。温泉街独特のこじんまりとした店よりも、
ファミレスのような店がまえのほうが落ち着くあたり、まだオレらは旅人になりきれていない。
蕎麦やなら酒のつまみぐらいだしてくれるだろうし、いざとなったら蕎麦をつまみにビールでも
飲めばいい。うなぎが苦手なフランスも、親子丼なりカツ丼なり食えるだろうし両者の利害が
一致したところで店に入った。
おかしかったのは、フランスがママチャリにしっかりカギをかけていたことだ。
それを見てオレも自転車にカギをかけた。どうあがいても盗まれるはずはない。
店に入り、一番奥の座敷に座ったところでオレは、自転車の前カゴに、
上着を忘れたことを気付いた。上着には財布もケータイも入っていた。
自転車にカギをかけることに気をとられすぎていた。
店に入り気をとりなおした。フランスと向かい合った。生ビールをたのんだ。
オレは「う~」とか「あ~」とかいいながら乾杯して、一口目を流し込んだ。
浜松オフ~パチンコ屋~
空腹で飲むビールが一番美味いと思っている。
オレは空腹を持続させるために焼き鳥と枝豆だけ頼んだ。
フランスはカツ丼を注文した。飯を食いながら酒を飲む習慣らしかった。
寝不足と長距離移動で疲れた神経に、生ビールはことごとく行き渡りオレらは弛緩した。
フランスは、旅先で昼から飲むビールの美味さに感激して「ホリデーって感じやな」
を連発した。アルコールがほどよく体内に行き渡り、話も盛り上がってきたころフランスは、
「あれやんな、チャットでさんざん話しとると、会っても全然普通にしゃべれるな。
もっと身構えなあかんおもとったけど、わし今、まるっきり素やで。」
となかなかうれしいことを言ってくれた。
フランスの会話は、チャットや掲示板の書き込みとは一線を画し、知性すら窺えた。
ネット上における書き込みについての言及に始まり、仕事のことやプライベートについても、
二人はあらいざらい本音で話した。やがて話は政治経済や芸能まで多岐に及び熱を帯びた。
フランスが、ここまで自分を曝すことなど普段なら考えられない。
彼はいつもオレのことは洗いざらい聞き出した挙句、さて自分が語る番になるといつもごまかす。
オレがチャットでフランスにしつこく本名を聞かれ仕方なく答えたとき、
オレも同じように本名を聞き返したらそのときフランスは「正直と書いてマサナオだ!!」
と答えてオレを翻弄した。ネット上でのフランスは、ほぼいつもそうだ。
彼の数ある書き込みのうちの真実を見極めるには、莫大な時間と根気を要する。
ところが目の前のフランスは、聞いていないことまで自らあらいざらい喋りまくっている。
そのスタンスはまるで「ネットは信用でけへん」と語っているようだ。
あるいは、「本当のフランスは、生身で会ったときだけや」とも。
フランスはカツ丼を食い終わっていたが、オレの枝豆はまだ残っていたからもう少し飲もう
と思い「じゃ小にしようかな」といった。「小」とは生ビールのサイズのことだ。
するとフランスは「なんや小って、中でええがな中にしいや」と促した。
やがて酔いもまわり腹もくちた二人は蕎麦やを出て、先ほど見つけておいたパチンコ屋へと、
自転車を走らせた。
さびれているにもほどがある。
最初にこの温泉街に着いて偵察のため1周したときにパチンコ屋を発見したフランスは
「これやこれや、こんなパチンコ屋がええな、お菓子とかぎょうさん抱えて帰んねん」
とうれしそうにはりきっていた。
オレはというと、実はこの2週間ぐらい前に蔵王温泉へ旅行していて、同じように場末の
パチンコ屋を見つけると何よりも先に駆け込んでいた。蔵王温泉のパチンコ屋には、
スマートボールが設置されていた。ガラス台から降ってくるビー球はじくシステムの
古いゲーム機がめずらしいこともあってオレはだいぶ堪能した。
羽根物も何種類かあった。型は古いがフィーバー機もあった。看板には「遊技場」とあった。
一通り遊んだが、玉が出てくる気配もないまま100円玉だけ飲み込まれていった。
それでもいいのだ。ただ日常にはない温泉場での「場末」の雰囲気を堪能し、
「ああ出なかったねでも楽しかったね」という思い出を作るための儀式なのだと思えばいい。
しかしこのパチンコ屋はどうだ。
客どころか店員すらいない。金を扱う商売の中でもっともデリケートなセキュリティーを
要するはずのパンチコ屋に、店員がいないという緊張感のなさに加えて、羽根物、一発台、
チューリップというバリエーションのないラインナップ。入るなりオレはいやな感じがした。
勝てる裏づけもなにもないままチャッカー付近の釘が比較的開いているように見えた台に座った。
いやな感じはそのまま「出るはずがない」という自己暗示に変わったが、
酔いの勢いも手伝ってオレは無造作に球を放出しつづけた。
ここで一番恐るべきパターンは、フランスが出してオレだけひたすらこの出ない台へ向かって、
100円玉を投入しつづけなければならなくなる事態で、オレはそれを避けるために役物に
祈りを込めて打ちつづけた。
結局5000円ほど使ったところで見切りをつけたオレは「飽きた」といってフランスを見た。
フランスは笑いながらひっきりなしに台を替えていて、そろそろ潮時そうな顔をしていた。
オレらは店を出た。
パチンコ屋の前で出ない台への悪態や次の行き先についてだらだら話しているとパチンコ屋の
店主とおぼしき50男がでてきた。背中の丸まった小男はなれなれしげに話してきた。
パチンコ屋勤務のくせに小男は板前のような白い割烹着を着ていてオレは路地をはさんだ隣の
うなぎ屋も兼ねていることを察した。小男は「どこからきた」だの「どこへいく」などという
意味の言葉を吐いていているようだったがオレは聞いていなかった。
フランスはひとなつっこい人の良さそうなその小男に、話せばわかると踏んだのか
「ええからもうちょっと玉だしてえな」とごねていたが小男はニヤニヤしてあいまいに流した。
小男は浜べりのサイクリングロードを紹介した。オレらはまた自転車を漕ぎ出した。
暗く細い路地の先の赤い鳥居をくぐると一気に視野は広がった。浜名湖。
射し始めた日に照らされて近くの水面はきらきらと光っていて、遠くに小さく見える対岸は
薄くもやがかかっているようにぼんやりとしている。広い湖だ。
浜名湖1周組は、今ごろどのあたりだろう。
端から端まで1キロもない。サイクリングロードと呼ぶにはおそまつな道だった。
そろそろ飽きてきた。2時半。ホテルへと向かった。
浜松オフ~客室~
混沌とした無意識から解放された。血液が濁ってるような手足の重さを感じながら目を開けた。
風の音と水の匂いが心地よい。ふと、隣にはフランスが寝ている。音もせず動かない。
起こしたら気の毒だと思いオレはベッドから降りるときに衣擦れの音や足音に気を使いながら
椅子に座りタバコをくわえた。
オレとフランスが場末の温泉街に飽きたのは、チェックインの3時より少し早かった。
フランスは「これでみんな来るまで昼寝できらええねんけどな」といっていた。
オレも少しだけ仮眠したいと思っていた。なにしろ3、4時間ほどしか寝ていない。
体内のアルコールも冷め、急激に睡魔が襲ってきていた。
ホテルの入り口には制服のおねいちゃんがいて「おつかれさまでした」といわれながら自転車を
返しそのままフロントへ向かったオレはフロントのホテルマンに「今日泊る予定になってる者
なんですが、ちょっと時間早いんですけどチェックイン、しちゃだめですかね?」と慇懃に問うた。
「お客さま、ご予約のお名前は・・?」とさらに慇懃なホテルマンの質問に返す言葉を考えていると
フランスが「えーと、がまかつ?やったと思うんですけど」といってしゃしゃりでてきた。
ホテルマンは台帳をめくりながら「がまかつ様、がまかつ様、、、ございませんが」と当惑した。
周到ながまかつがハンドルネームでホテルを予約しているはずがない。
オレはフランスにかまわず、このツアーのタイトルを思い出そうとしていた。
しばらくしてフランスも察したのか「あれ、がまかつの本名なやったっけ?本名、な?」
と少しアタマを回転させた。
フランスを無視してツアーのタイトルを思い出そうとしていたオレはふとひらめいた。
「自転車、スス板、から始まる名前ないですか?」
フランスは、「あ、それや!それそれ」とオレに追従した。
しばらく台帳を眺めていたホテルマンは「、、、自転車、、ございます自転車スス板合同・・」
と自信なさげに聞きなれない集団名を口にした。
そうしてようやく、オレらはチェックインの運びとなったのだった。
タバコをくわえながらオレは部屋に用意されたお茶や茶うけの菓子や冷蔵庫をチェックした。
フランスはまだ寝ているからテレビをつけるわけにもいかず静かすぎる部屋で手持ち無沙汰を
もてあましてしばらくしたとき、部屋の外がにわかに騒がしくなった。若い集団の音だ。
オレは時計を見た。3時半。チェックインの時間は過ぎている。
オレはどこかの若い団体客が来たのだろう、ぐらいにしか思っていなかったが、外で騒がしい音
がして目を覚ましたタイミングのはずのフランスは、「なんや、全然ねられへん」と意外なことを
言って半身を起こした。
そういえばフランスは昼寝をしないといっていた。しかしちゃんとベッドがあれば眠れるとも
いっていた。「意外に神経質なんだな」というと「そうだ!!デリケートだ!!」ともいっていた。
オレも神経質な性質で、よく夜眠れない。しかし、昼寝は大好きだ。夜起きて、昼寝るという、
背徳的なスタイルが性にあっているのかもしれない。
ともあれ、フランスは起きた。そして二の句を次のようにつなげた。
「スス板の連中、来たんとちゃうか?」
「そうか?」
とオレはいった。いくら騒がしい若者の集団とはいえ、このフロアにある20以上もの客室に
来るのがスス板の連中である確率のほうが、圧倒的にすくない。するとフランスは
「あいつらがな、下(受付)で本名ばれたとななんとか話しとってたのきこえたん。
あれはな、きっとそうやで。スス板の連中やで。」
と確信したように重く言い、自分の言葉を裏づけた。
静かにただ寝ているだけだったはずのフランスは実は、部屋の外にも神経を配らせていた。
全然眠れなかったというのは、あながち嘘でもなかったらしい。
浜松オフ~がまかつ~
部屋の外が断続的に騒がしくなったりし始めたころ、フランスはまたベッドに横になり目を閉じて
静かになった。オレが2本目のタバコに火をつけて一息するとノックの音が聞こえた。
カギはかけていないはずだから入って来たいのなら勝手にドアを開けるはずだと思ったオレは
ノックに対して返事をしなかった。ドアの外で躊躇し返事を待っているような気配を感じ、
しばらくして「開いてるよ」と答えた。オレは扉に対して背を向ける位置の椅子に座りタバコを
吸っている。ノックの主がゆっくりと扉を開く気配は背中で感じ、「どうも、がまかつです。」
という声を聞いたオレはそこで初めて振り向いた。
がまかつとは1度会っている。正月に行われた「史上最大オフ」でだ。
そのときがまかつはマングースのマウンテンを駆り、メッセンジャーさながらのファッションと、
持ち前の目鼻立ちのはっきりした甘いマスクでオレを魅了した。冷たい風が身体を突き刺す
1月に、台場の公園のレストランの、オープンテラスで震えながら一緒にビールを飲んだことを
思い出した。
幹事として部屋割りの調整のためにあらわれた目の前のがまかつは坊主頭になっていて、
はっきりとした目鼻立ちに、より精悍なコントラストが加わったような印象を受けた。
オレは親しげに「おー久しぶりー」といって薄ら笑いを浮かべながら彼の坊主頭をなでた。
しかしがまかつは「おまえは誰だ?」というような目をしてオレをいぶかしんだ。
実はオレも最近、割と長く伸びた髪を切っていてだいぶ印象を変えていた。
それでがまかつはオレが誰なのかわからなかったらしく、察したオレは「中村です」と
改めて自己紹介した。するとがまかつは「え?え?」と狼狽し「だってこの間会ったときは
もっと大人っぽい印象だったけど」といった。
するとオレは髪を切ったことで少し若くなったということだ。
オレは気をよくして、寝ているふりをしているフランスを起こし、がまかつを紹介した。
フランス軍団の官房長官ともいえるがまかつに初めて対面したフランスは彼を見るなり
「そうか、おまえががまかつか!そうか、会いたかったで、ありがとう、ありがとう」といって
感激を表現した。
がまかつも、それほど感情を表に出さないように見える風貌でありながら、声のトーンは
あがり少し取り乱したように言葉をつまらせ、フランスを食い入るように見つめて応えていた。
そんな2人の初対面のやりとりを見ながらオレは、あることを思った。
がまかつはフランスに対して、たとえば「思ったよりでかかった」とか「想像どおりだ」とか、
「イメージと全然違う」とかいったようなフランスへの印象に関することを一言もいっていない。
がまかつに限らず、浜名湖1周をしている東京組も、生のフランスを見ることをこのツアーの
楽しみのひとつにしていたはずだ。それなのに、彼に対する印象を口にした者は一人もいなかった。
あれほど目立つ書き込みをしているフランスに対して、フランスに興味を持つ人間が実物の
彼のイメージを想像していないはずはない。当のフランス自信も、実物の自分が、ネット上で
勝手に造られたイメージとどう違うか、その評判を誰よりも気にしているはずだった。
しかし誰もそのことにふれようとはしなかった。
オレは、去年の12月に実物のフランスに初めて会った。いわゆる「関西オフ」でである。
そのときのオレのフランスに対する印象は、「想像以上」だったと思う。
焼酎が好きなことや、酒を飲んだ時の暴れ方はチャットで話して知っていた。
オレなりに豪放磊落なイメージを作り上げていたが一方では、執拗にネット上でのプライバシー
暴露をいやがっているフランスのそのデリケートさが不可解でもあった。
しかし会うなりフランスは初対面のオレに対して「おまえわけわからん」とか「関東弁きもい」
だとか「おまえは無い」だとか、散々なことを言った。オレはただ笑うしかない。
関西オフのときオレは、目の前にいるフランスがテレビ番組の司会をしているようなクラスの
関西芸人に見えて仕方なかった。
そのときのフランスは、完璧に、オレらの中にあるフランスというイメージを、演じきっていた。
そして彼は今も「フランス」を、演じつづけているのかもしれない。
ジャンル別一覧
出産・子育て
ファッション
美容・コスメ
健康・ダイエット
生活・インテリア
料理・食べ物
ドリンク・お酒
ペット
趣味・ゲーム
映画・TV
音楽
読書・コミック
旅行・海外情報
園芸
スポーツ
アウトドア・釣り
車・バイク
パソコン・家電
そのほか
すべてのジャンル
人気のクチコミテーマ
ニュース関連 (Journal)
懐の深い方だと思う。
(2024-11-26 05:59:16)
まち楽ブログ
ロボット活用人材育成研修(第4回)…
(2024-11-26 17:26:30)
たわごと
長野県上田市へ行って来ました。続編…
(2024-11-27 07:00:09)
© Rakuten Group, Inc.
X
共有
Facebook
Twitter
Google +
LinkedIn
Email
Design
a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧
|
PC版を閲覧
人気ブログランキングへ
無料自動相互リンク
にほんブログ村 女磨き
LOHAS風なアイテム・グッズ
みんなが注目のトレンド情報とは・・・?
So-netトレンドブログ
Livedoor Blog a
Livedoor Blog b
Livedoor Blog c
楽天ブログ
JUGEMブログ
Excitブログ
Seesaaブログ
Seesaaブログ
Googleブログ
なにこれオシャレ?トレンドアイテム情報
みんなの通販市場
無料のオファーでコツコツ稼ぐ方法
無料オファーのアフィリエイトで稼げるASP
ホーム
Hsc
人気ブログランキングへ
その他
Share by: