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ふるっぴ@ Re:時は流れても、私は流れず(08/26) もうすぐ2016年の夏です。みんな元気…
ヤンスカ @ Re[1]:時は流れても、私は流れず(08/26) furuさん ふるっぴ、お久しぶりです! よ…
ヤンスカ @ Re[1]:時は流れても、私は流れず(08/26) gate*M handmadeさん うお~!お久しぶり…
furu@ Re:時は流れても、私は流れず(08/26) 勝手に匿名コメントを残し、怪訝にさせて…
furu@ Re:時は流れても、私は流れず(08/26) やっぱり元気やったな!? 良かった。
2012.08.30
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カテゴリ: カテゴリ未分類
ボクは、自分でいうのも何だけれど、
あっ!ってときめいた出会いを、自分に引き寄せる才能があると思うんだ。

ネコみたいな目、だなんて言われるけど、
ボクは、もっと大きなネコ科の仲間さ。
恋多き男とも言われるけど、
ボクが、恋人にしたいと思った男があらわれないかぎり、
簡単に恋にはおちたりしない。

今のボクには、素敵な彼がいて、
お互い同業者だからね、なかなかデートの時間を持つのは難しいけど、


ボクの仕事は、ある貴婦人のプライベートジェットのキャビンアテンダント。
愛しのオーナーは、ボクがこれまでに出会った女性の中でも風変りだけど、
ボクの嗜好や、感性や、何もかもを認めてくれていて、
複雑だけど、ボクを男として欲しがってはいない、不思議な人だ。
たいていの女性はね、ボクを獲物のように見つめてくる。
まあ、ボクは、男であれ女であれ、称賛してもらうことは嬉しいし、
自分の姿かたちが、周りに感銘を与えてるってことも自覚してるからね、
ペットのように、ボクを求めるオーナーとは、とても気楽な関係だよ。

さて、このオーナーは、贅沢な乗り物をたくさん持っていて、
中でもピカイチなのが、彼女の妄想列車なんだ。
ぼくの乗務する小型ジェットも素晴らしいんだけど、

速度も自由自在だし。
なんといっても、素敵な男が列車を管理してるんだ。

ウィリアム。
英国系のアメリカ人なんだけど、
ちょっと、若い頃のキアヌ・リーブスに似てるなって思うこともある。

テンションの高さなんて、まったくないんだ。
生真面目で、堅苦しい。
でも、ボクは知ってる。こういう人ほど、内側に秘めた情熱は激しいんだって。
オーナーにとことん忠実で、ふりまわされていて、でも、彼女のことが好き。
決して口に出さないけれど、余計に思いは拡散してるのにね。



ボクは、最近ふらふらになっているリーアムをお茶に招いたんだ。
彼はね、オーナーが少し彼に休暇を与えて、留守にした間、
心配と愛がまじった妄想に苦しみ、
自分の妄想列車を生み出してしまったんだ。

これは、イタイ出来事だったよ。
信じられない、不細工なおもちゃみたいなミニ列車なんだ。
しかも、きかんしゃトーマスって、わかる?
あれみたいに顔がついていて、またベラベラしゃべるんだ。
美しいものをこよなく愛するボクとしては、許しがたい存在だけど、
これも、彼の一部なんだから、面倒みてあげなくてはいけないわ、と
ボクらのオーナーが言うもんだから、
今は一緒に、過ごしているんだ。
でも、リーアムが、妄想しなければ、ミニ列車はカゴの中で寝ているからね。


「イワン、いい器だ」
ボクの自慢のオールドノリタケのティーセットを眺めて、彼は褒めてくれた。
「リーアム、あなたも日本の陶器が好きでしょ?」
「私は、古伊万里の、小さな器に目がないんだ」
「いつか、見せてくれる?あなたの私室って興味があるなあ」
ボクは、フツーに会話として言ってるだけなのに、
なぜかリーアムは顔を赤らめる。

そう、そういう、彼のシャイなところ、そのくせ妄想炸裂なところが好きでさあ、
いじめたくなるんだよね。

ボクは、ショートケーキを用意していた。
本当はひとつづつ、好きなものを食べきればいいんだけど、
つい、からかいたくなってね。

「リーアム、半分こしようよ」
と言いながら彼のモンブランをボクの銀のフォークでつっついた。
「あ、あ、ならば、私がカットしよう」席を立ちあがるもんだから、
彼の手をつかんで、
「だーめ」と見つめてやった。
くにゃ~んと席に腰をおろす彼を見て、心底残念だなあと思うボク。

かなり、好みなんだよね、リーアムは。
こういう人って、おとすには超難しいタイプだけど、
恋人になったら、きっと、ボクだけをみてくれて、
ずっと一緒にいてくれるはずって、わかるんだ。

それに、彼は男との恋愛には興味はないし、
何といってもオーナーへの思慕があるからなあ。
まあ、ボクには、彼氏もいることだし、裏切ることはないけれど、
リーアムは、かなり、そそるんだよね。

ボクばかりが、リーアムのモンブランを手前から崩していって、
固まってる彼が手元をぼうっと見ているから、
ボクは、ひとすくい、ケーキを彼の口におしこんだ。
ふふ、間接キッス。

完全に動かない彼をみてるのは、楽しいね。
ボクって、残酷なネコ科の生き物。

ここで、彼のへんな妄想列車の汽笛がなると思ったんだけど、鳴らないや。

つまり、ボクとの間には妄想もありえないってことだろうね。

「リーアム、ねえ、ごめんてば」
「イワン、君といると、なんとも(以下むにゃむにゃ)」
「ねえ、オーナーは今どうなの?」
「ああ、今はね、他人様の妄想でご多忙だよ」
「他人の妄想???」
「あのお方は、変な勘が備わってるだろう。誰が誰を好きだとかそういう類の」
「ああ、縁結び、好きだよね~オーナーは」
「自分の恋愛は、すっかり横において、夢中になっておられるのだ」
「でもさ、けっこう、ちゃんと見てるのさ、オーナーは。
 自分はね、高速で行くくせに、他人の応援は徐行でね」
「ご自分も、そのように、慎重にふるまえばよろしいものを」
「リーアム、本命には、そうかもよ」

ハッとして、彼がボクを見たよ。
その、単純さ。すぐ自分だと思っちゃうんだからさあ~。

「愛しのオーナーはね、ボクがみても、かなり二面性があるじゃない?」

パーッと、思いのままに行動したり、一目ぼれしたり、にぎやかだけど
彼女は反面、怖がりで、本当に壊したくないものには、神経質になるんだ。
さっと通り過ぎる付き合いの人なら、オーナーを浮気性な人だと錯覚するだろうね。
だけど、彼女は雰囲気を楽しんでるだけ。
彼女は、深い魂を持つ人しか、本当に愛さないんだよ。

「イワン、オーナーに対して言葉が過ぎるぞ」
「リーアム、わかってるはずだよ。彼女はね、心から、魂の恋人を求めていて
 そのために、色んな可能性を見つけようと積極的なんだよ」

空気を変えようと思って、
ボクは、まだ手をつけてない自分のシブーストをリーアムの前に差し出す。
「食べてよ、リーアム。いたずらしないから」

彼はね、オーナーと一緒。
自分の考えにはまったら、周りが見えないんだよ。
いや、見ないんだね。
ボクの存在なんか忘れてるかのように、ケーキを食べる彼。
あ、リーアムの口のはしに、ケーキのかけらがついてる。かわいいなあ。
彼のうすい唇はね、冷淡そうではなく、揺れ動く感情がね、
瞳以上にあらわれるんだよ。

そんな事を本人に言ったら、また固まるし、警戒されるじゃない?
だから、ボクは無言で指をのばして、クリームをぬぐい、
彼に見せつけるように、自分の口に運ぶのさ。

「イワン!何をするんだ、よせよ」
「いたずらはしないって言ったけど、あなたがかわいいから手が出たんだよ」

ピーっ!きたきた、汽笛。
「やあ、呼んだ?ご主人様~」

「呼んでないよ」ボクと彼はぴったりと声を合わせてヤツに言う。

でも、今回は内心嬉しいボク。
一応、このボクに妄想してくれたんでしょ?リーアム。





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Last updated  2012.08.30 11:14:57
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