テレビ・新聞が報じないお役に立つ話

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2022.02.19
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下記の記事はプレジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。
同じ年齢でも老けて見える人と若々しい人では何が違うのか。自治医科大学分子病態治療研究センターの黒尾誠教授は「老化の原因はさまざまだが、『リンの摂りすぎ』も無視できない。特にスーパーやコンビニで売られている加工食品には大量の無機リンが含まれている」という――。
※本稿は、黒尾誠『腎臓が寿命を決める 老化加速物質リンを最速で排出する』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。
写真=iStock.com/bhofack2
※写真はイメージです
年齢より老けて見える人は「リン」の摂りすぎ?
みなさんが高校や大学の同窓会に出席して、ものすごく久しぶりに級友と顔を合わせたとしましょう。
もちろん、いろいろな要因があるのでしょう。食事、運動、睡眠、仕事や生活の苦労、ストレス……、多くの要因が複合的にからみ合って、その人の老けやすさや若々しさに影響をもたらしているのだと思います。
ただ、こういった多くの要因のひとつとして、私は「リンの摂りすぎが与える影響」も無視できないと思うのです。もちろんまだまだ想像の域を出ない話ではあるのですが、もしかしたら、日々リンをどれくらい摂っているかが、その人の見た目の若さにもバカにできない影響を与えているのかもしれません。
リンは老化加速物質です。普段からリンを必要以上に摂っていれば、リンを排泄する腎臓に負担がかかり、腎機能がより早く衰えるようになってしまいます。そして、腎機能が落ちるとともに血液中にリンがたまるようになってくると、細胞毒のCPPが増え、血管や細胞に障害をもたらして老化や病気をどっと勢いづけるようになっていくのです。
「味がない」「においもない」「見えない」という隠れ物質
つまり、こういった悪い流れを招いてしまうもともとの始まりは「リンの摂りすぎ」にあるのだということ。だとすると、「もともとリンをたくさん摂っている人」と「もともと少しのリンしか摂っていない人」とでは、その後の人生での老化進行スピードに差がついてきたとしてもおかしくはありません。
いまのわたしたちの食生活は、明らかにリンの摂りすぎです。日本に暮らして普通の食生活を送っている人であれば、誰も彼もが必要量をはるかにオーバーしていて、不足している人などひとりもいないと言っていいでしょう。
リンはいろいろな食品に入っているのにもかかわらず、「味がない」「においもない」「見えない」という“ないないづくし”。このため、ほとんどの人が日々知らず知らず口に入れてしまい、知らず知らずのうちに大量のリンを摂りすぎてしまうことになっていくわけです。これだけでも糖分や塩分を制限する場合とはだいぶ勝手が違うということがお分かりいただけるでしょう。
すなわち、リンを食事制限のターゲットにするとなると、味もにおいもしないし、姿すらろくに見えない「透明な相手」を敵に回して戦っていかなくてはならないことになるのです。
たんぱく質食品に多い有機リン、加工食品に多い無機リン
では、こういう「見えない敵」とどう戦っていけばいいのか。それには、リンというターゲットがどんな特徴を持った物質で、どういった食品にとくに多いのかを知っておく必要があります。
まず、押さえておいていただきたいのが、リンには「有機リン」と「無機リン」の2種類があるということです。
有機リン――肉類、魚介類、卵、乳製品、野菜、穀物などに広く含まれているリン。食品中の有機リン含有量はたんぱく質含有量に比例することが多く、このため、肉、魚、牛乳やチーズなどのたんぱく質食品に多い傾向がある。ただし、体内への吸収率は20~60%と食品によってかなり違いがある。無機リン――食品添加物として使用されているリン。ソーセージやハム、ベーコンなどの加工肉、干物や練り物、スナック菓子、インスタント麺、ファストフードなど、ほとんどの加工食品に含まれている。体内への吸収率は90%以上で、口から入った添加物の無機リンはすべて吸収されてしまうと思ったほうがいい。
「食べてもいいリン」は大豆食品
じつは、有機リンには「吸収されやすいタイプのリン」と「吸収されないタイプのリン」とがあります。一般に、肉や乳製品などの動物由来の有機リンは吸収されやすく、野菜などに含まれる植物由来の有機リンは吸収されにくい傾向があるのです。なかでも、とくに覚えておいていただきたいのは、「リンが多いとされている食べ物」であっても、人の体にはまったく吸収されないタイプの食品があるという点です。
その「吸収されないリン食品」が「大豆」です。
大豆の有機リンは「フィチン酸」というかたちで含まれていて、このフィチン酸は人間の腸からは吸収されません。たくさん摂ったとしても、吸収されないまま便と一緒に排泄されていくことになります。つまり、「吸収されないタイプのリン」なら、別に食べても構わないということ。大豆は「リンが多い食べ物」とされているのですが、これは「食べてもいいリン」だということになります。
食品添加物中のリンは90%以上吸収される
しかし、無機リンのほうは違います。
無機リン、すなわち、食品添加物に入っているリンは、日々意識して減らしているかどうかで摂取量にかなり大きな差がついてしまうことになります。むしろ、リン制限を成功させられるかどうかは、この食品添加物中のリンをどれだけ減らせるかにかかっていると言ったほうがいいでしょう。
要するに、リン制限でターゲットにすべきは有機リンよりも無機リン。「食品添加物中のリンを減らすこと」にターゲットを絞って力を注いでいくほうがずっと効率がいいし、リン制限がうまくいきやすいと考えられるのです。
食品添加物中のリンが体内に入ってきたときの吸収率は90%以上です。しかも、わたしたちは毎日さまざまな食べ物から食品添加物を摂り、結果、途方もない量のリンを口にしてしまっていると思ったほうがいいでしょう。こうした大量のリンがいったいどれだけわたしたちの腎臓に負担をかけているのか、いったいどれだけわたしたちの老化を加速させることにつながっているのか。この点は、これからしっかりと研究すべき課題です。
写真=iStock.com/Hakase_
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「食品添加物が多そうなもの」を減らしていく
では、わたしたちは、こうした状況の中、どうやって食品添加物中のリンを減らしていけばいいのでしょう。
なにしろ相手は「見えない敵」ですから、広めに網を張っておいて“これは危なそうだな”と思ったものはできるだけ摂取を控えるようにしていく。そうすれば、かなりの量の「見えない相手」を網にかけることができ、その分のリンを口に入れずに済ませられるようになるでしょう。そうやって、食卓から意識的に食品添加物を遠ざけていくのが、もっとも効率的・合理的ではないかというわけです。
すべてを断つのではなく、まずは週1回から
たとえば、「せめてジャンクフードを買うのはやめよう」とか「せめてファストフード店で食べる回数は控えよう」とか「加工肉を買うのはせめて週1回にしよう」とか「スーパーのお惣菜に頼るのはせめて週に1回程度にしよう」とか、そういうカットの仕方でもリンの摂取量はかなり減らすことができると思います。
とにかく、自分が食べたいものを食べずに我慢するのではなく、“これなら自分にもできそうだ”という簡単な部分からカットしていくのが長続きのコツです。
この「食品添加物カットによるリン制限」、ぜひみなさんも、自分なりの基準を決めて、無理のないところからスタートするようにしてみてください。そして、一歩一歩着実に口から入るリンを減らしていくようにしましょう。
ハム、ソーセージ、かまぼこに練り物…
日々の暮らしの中でどういった基準で食品添加物をカットしていけばいいのか。参考までに12条の具体例を示しておくことにしましょう。
①ハム、ソーセージ、ベーコンなどを減らす
加工肉は調理も簡単でついつい便利に使ってしまいがち。ただ、これまでも述べてきたようにリン添加物が使われているケースが少なくありません。ソーセージなどはメーカーによってもリン使用量がだいぶ違うようなので一律にNGとも言えないのですが、普段から「加工肉はリンが多めだから気をつけよう」という意識を持っているだけでもかなり摂取量が違ってくるはずです。
②魚肉ソーセージ、かまぼこ、練り物などを減らす
加工肉と同様に、魚肉ソーセージ、かまぼこ、ちくわなどの水産加工食品にも添加物が多めに含まれています。それに、はんぺんやつみれ、さつま揚げなどのおでんの具にも気をつけるべきでしょう。たまに食べる程度なら問題ありませんが、やはり「水産加工食品は添加物多めだ」ということを頭の隅に置いておくようにしてください。
③なるべく「元の素材が分かる食品」を買う
野菜、きのこ、果物などは、「元の素材やかたち」のままで食卓に上るケースが多いもの。一方加工食品には、いったんすり潰してから別のかたちに整えるなど、元の素材が原形をとどめていないことが多いものです。こうした「元の素材やかたち」が分からないものには添加物が含まれているケースが多いので、食品を買い求める際のひとつの目安にしておくといいでしょう。
「とんでもなく日持ちがするもの」は避ける
④カップラーメンを減らす
お湯を注ぎさえすれば食べられるカップ麺はたいへん便利ですが、添加物も多く使用されている食品です。しょっちゅう食べている人は、その「しょっちゅう」を「たまに」に変えるだけでもだいぶ添加物摂取量が減ってくるはずです。
写真=iStock.com/kuppa_rock
※写真はイメージです
⑤「とんでもなく日持ちがするもの」は買わない
スーパーやコンビニで売られている加工食品には、たまに消費期限がびっくりするくらい長いものがあります。何か月も何年も日持ちがするということは、それだけ保存料や防腐剤など多くの添加物が使われている可能性があります。食品は時間が経てば腐っていくのが普通です。とんでもなく日持ちするものやいつまで経っても腐らないものは、なるべく買わないほうがいいでしょう。
ただし、缶詰に関しては賞味期限が長いからといってそれほど添加物の心配はしなくてもよいかもしれません。保存料や防腐剤なしで腐らないのが不思議だという人も多いと思いますが、缶詰は空気に触れないように中身を密封して詰めてから高温高圧の蒸気で完全滅菌しているので、長期間保存をしても腐らないのです。
つい食べ過ぎてしまうスナック菓子は…
⑥「いかにも着色料を使っていそうな食品」は買わない
不自然なくらい鮮やかな色をしていたり、およそ食べ物と思えないようなどぎつい色をしていたりする食品は発色剤や着色料などの添加物を使用している可能性大です。そういった「いかにも」という食品はなるべく買わないようにしましょう。
⑦スナック菓子はなるべく個別包装してあるものを買う
スナック菓子は全般的に添加物が多めです。なるべくなら「ついついつまんで、いつの間にかひと袋空けちゃった」といった行為はしないほうがいいでしょう。ただ、最近は少量タイプのスナック菓子も売られているし、チョコやおせんべいにも個別包装してあるものが多くなってきました。あらかじめそういったタイプを買うようにしておけば食べすぎを防ぐことにもつながります。お菓子類が好きな方は「少量タイプを買って、ちょっとだけ食べる」を習慣づけていくといいのではないでしょうか。
⑧なるべく手作りのものを食べる
スーパーやコンビニのお惣菜やお弁当には添加物が使われているものが少なくありません。だから、普段から「なるべく家で手作りのものを食べよう」と心がけているだけでも添加物摂取量を減らすことにつながります。たとえばサンドイッチであれば、食パンを買って、レタスを買って、卵を買って、ツナ缶を買って、自分でサンドして食べればいい。それだけでもだいぶ違うはずです。
加工肉やラーメンは先にゆでるのがおすすめ
⑨ファストフードを食べる機会を減らす
ずいぶん前から「ファストフード店で提供している食品には添加物が多く含まれている」ということが指摘されています。もちろん、以前に比べればかなり改善もされてきているのでしょうし、すべてのファストフードがNGというわけではないでしょう。ただ、やはりあまりにしょっちゅう利用するのは考えもの。利用機会が多い人は意識して減らしていくほうがいいでしょう。
⑩「下ゆで」「ゆでこぼし」などの工夫をする
ハムやソーセージ、ベーコンなどの加工肉は、炒めたり焼いたりする前に熱湯に10秒ほどくぐらせるとだいぶ添加物を落とせるそうです。また、インスタントラーメンは、麺をゆでたお湯にスープを加えるのではなく、麺とスープを別々の鍋でつくってスープの鍋に麺を移すようにするのがおすすめ。そうすれば、麺をゆでた鍋のほうで添加物を落とせるというわけですね。
それと、カップラーメンの場合は、かやくと麺が別々のタイプを選び、麺にお湯を注いだらそのお湯をいったん捨てて、改めてお湯を入れ直すといいそうです。
調理の際、こうしたひと手間を加えるよう習慣づければ、それだけでもけっこうな添加物削減につながるはずです。
「○○料」「○○剤」…表記が多い商品は注意
⑪値段が安すぎるものには注意する
同じ種類の食品であっても、値段にかなりの差があるものは少なくありません。値段が安いものは、コストを安く仕上げようとしている分、安易に添加物に頼ってしまっている傾向があるようです。
黒尾誠『腎臓が寿命を決める 老化加速物質リンを最速で排出する』(幻冬舎新書)
一方、値段が高いものは、なるべく添加物に頼らずに「自然のまま」「素材のまま」に近いかたちで食卓に届けようという努力をしているケースが多いもの。このあたりは、値段に正直に反映されていることが多いので、あまりに安すぎるものには注意を払ったほうがいいかもしれません。
⑫食品表示ラベルを見て「○○料」「○○剤」という表記の多いものは買わない
先ほど述べたように、「○○料」「○○剤」と一括名表示されている成分には、何種類もの添加物が含まれていることが多いもの。それらのどこにリン添加物が混じっているか分かりません。ラベルをパッと見て、「○○料」「○○剤」という記載の多い食品はなるべく買わないようにするというのもひとつの手ではないでしょうか。
  • 黒尾 誠(くろお・まこと)
  • 自治医科大学 分子病態治療研究センター 抗加齢医学研究部 教授
  • 1985年に東京大学医学部医学科卒業。91年、国立精神・神経センターでの実験中に見つけた突然変異マウスを発端に、余分なリンを腎臓から排出させる老化抑制遺伝子「クロトー」を発見。脊椎動物の老化抑制遺伝子の発見は世界初の快挙となった。98年、米テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンターの助教授に就任、2012年に教授に。帰国後、現職。腎臓とリンから老化の仕組みを解明する研究を続けている。





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最終更新日  2022.02.19 15:30:05
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