ゆうさんの日記

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2026.05.31
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カテゴリ: まこととかおり
2Kの小さなアパート。その中心に置かれたダブルベッドの上で、香織(18)と紗季(18)は、お互いの鼓動を一番近くで感じていた。
社会人としての生活を始めた香織の愛撫は、日に日に頼もしさを増していた。ビルクリーニングの仕事で培われた確かな体幹としなやかな指先は、紗季の身体の甘い境界線を過不足なく捉える。女の子同士だからこそ分かる、最も愛おしいスピードと深さ。二人の身体の相性はバッチリで、ひとたび肌を重ねれば、部屋の中に溶けてしまいそうなほどの極上の快楽が、いつも二人を待っていた。
しかし、至福の余韻に包まれるベッドの中で、紗季は時折、悲しげに眉をひそめることがあった。
「……ねえ、香織」
「ん? どうしたの、紗季」
「私さ……やっぱり、申し訳ないなって思っちゃうんだよね」
紗季はシーツを胸元まで引き上げ、小さな声で打ち明けた。
「香織は毎日朝早くから仕事に行って、この部屋の家賃も光熱費も、ほとんど払ってくれてるでしょ。私は専門学校に行きながら、コンビニのバイトで月に数万入れるのがやっとだし……。なんだか、私ばっかり香織に甘えて、負担になってるんじゃないかって」
それは、二人の生活が落ち着くにつれて、紗季の心の中で膨らんでいった大きな「引け目」だった。

香織は少しだけ驚いたような顔をした後、ふっと優しく微笑んだ。そして、紗季の華奢な肩を引き寄せ、自分の胸元に抱き込んだ。
「何言ってるの。そんなこと、私は一ミリも気にしてないよ」
「でも……」
「いいの。私たちはもう、普通の友達同士の同居じゃないでしょ? 私は紗季と、一生一緒にいるつもりでここにいるんだよ。世間でいう『事実婚』みたいなもんだよ。だから、どっちの収入が多いかなんて関係ないの。紗季は今、将来のために学校を頑張って、できる範囲で家にお金を入れてくれてる。それで十分だよ」
香織の迷いのないまっすぐな言葉に、紗季の胸の奥の塊が、すうっと溶けていく。
「事実婚……」
「そう。だから、お互いに支え合えばいいの。私が仕事で疲れて帰ってきたとき、紗季が『おかえり』って笑顔で迎えてくれるだけで、私はそれ以上のものをもらってるんだから」
香織は紗季の額にそっとキスをした。
かつて親たちの歪な結婚生活を見てきた香織だからこそ、形にとらわれない、自分たちだけの確かな「愛の城」を、この部屋で築こうとしていた。
その一方で、もう一人の「かおり」である長男・**薫(23)**の城には、別の嵐の予感が漂っていた。
「……よし。戻った。完璧」

流石はかつて薫をプロの道へ引っ張り出した執念の女である。一度火がついた彼女のダイエットは、凄まじい成果を上げていた。
ゴロゴロ生活で蓄えた余分な脂肪は綺麗に削ぎ落とされ、ジムでのトレーニングによって、以前よりもさらにメリハリのある、目を見張るほど艶やかな「極上の身体」へと進化を遂げていた。
これなら、薫が帰ってきて股間に顔を埋めようとしても、窒息させる心配は100%ない。それどころか、以前よりもずっと締まりのある極上の時間を約束できるはずだった。
しかし、ここで新たな問題が発生する。
「あーあ、今週もまたツアーの延長かぁ……」

売れっ子サポートドラマーとなった薫は、家に帰ってくるどころか、地方から地方への移動が続き、今や月に数日しかマンションに戻らない生活になっていた。
せっかく薫のために身体を仕上げたのに、肝心の見せる相手がいない。
広すぎるマンションに一人、美しくなった身体を持て余す毎日。史華の胸の中に、強烈な「寂しさ」と不満が澱(おり)のように溜まっていった。
さらに、美しくなった史華の身体を、周囲の男たちが放っておくはずもなかった。
暇つぶしと体型維持のために毎日通っているジムで、露出の多いウェアを着た史華は、明らかに目立っていた。
「あの、よかったら、この後ちょっとプロテインスムージーでも飲みに行きませんか?」
「今度の週末、もし時間あれば、パーソナルトレーニングのフォーム、僕が教えますよ」
ガタイのいい若い男や、小綺麗なインストラクターから、頻繁に声をかけられるようになったのだ。
以前の史華なら「私には世界一のドラマーの彼氏がいるから」と一蹴していただろう。だが、今の彼女は猛烈に寂しかった。暗い部屋で一人、薫からの返信を待ち続ける夜の孤独が、彼女の理性を少しずつ蝕んでいく。
(薫は私のこと、本当に必要なのかな……。ただの都合のいい家政婦だと思ってない?)
ジムの更衣室で、声をかけてきた男の連絡先画面を見つめながら、史華の指が微かに震える。
仕事に夢中で自分を見てくれない年下の彼氏への当てつけのように、ほんの少しだけ、変な気を起こしそうになる自分。
かつて誠の留守中に別の男の腕に飛び込んでいた、あの母親・真琴と同じような危うい影が、寂しさに震える史華の背後に、静かに忍び寄ろうとしていた。
それぞれの愛が深まり、それぞれの孤独が試される、二つのアパートの夜。
小田切家の子供たちの物語は、大人のビターな現実を孕みながら、さらに交錯していく。





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Last updated  2026.05.31 04:53:03
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