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エッセイ、及びおもしろ時事談。

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10日ほど前のことだった。
台風のドン真ん中での露天風呂は、どんなもんだろうかと奇異なことを思い浮かべさっそく支度に取り掛かった。
女房が、嵐にさらわれて運転を誤るから止しなさいと顔を膨らしていた。
どう言う訳か、そんな悪天候になると何となく出て歩きたくなる。
昔から、「へそ曲がり親父」と家族や周囲から言われっぱなしであったから今さら気にもならない。
「遣りたいときにはやる」と言う、ただそれだけのことだ。
何時も行くサウナ付き温泉は、街外れのちょっと小高い山の傾斜面にある。
と言ったところで、がけ崩れが起きる様なそんな危険な場所ではない。

なだらかな、ゆるい 山間 ( やまあい ) になっていて周囲には畑もあり今がそのリンゴの収穫期でもある。

この小高い丘の温泉から眺める前方には、果てしなく田んぼが広々と永遠に続いて見える。あまり変わり映えしない風景だが、これがまたのんびりして気持ちが良い。

実の詰まった金色の稲穂が、重そうに ( こうべ ) を垂れてこれもまた果てしなく続く。

ちょっとした、絶景でもあり解放感この上ない。雨が降ろうが風が吹こうが、温泉には休みは無いはずだと思い余り雨の降り出さない間にと思い、先ず外へ出た。

と思い気や、もう降り出してきた。テレビからの報道からしても、どうやら台風到来の影響とのことでそう簡単に止む様な天候ではないようだ。

そこで、こうも鬱陶しい天候であるならばどこに居ても変わり映えはしない気がした。そうであるならば、雨の中の露天風呂にお盆でも浮かべての一杯も悪くもあるまいと友人に電話を入れた。

案の定お相手の大将も、暇を持て余していたとのことだった。「じゃ~、温泉にでも行くか~」となり、めいめいその目的地に向かうことにした。

連休の中日でもあるから、きっと混雑するのではと思い気や案外と客足が薄いようだった。やはり、雨が祟ってのことのようだ。

温泉に着くなり、先ずもって一風呂浴びるのが通例である。湯船に浸かりながら、相棒のことや四方山話をしているうちにいつしか最近のテレビ関係の話しになっていた。

「そう言えやぁあれだな、相撲も始まったな。となるとあれか、当分は温泉もガラ空きかな」と、相棒。

「いや、反対に混むかもな。孫どもに、テレビが爺ちゃんに独り占めされると文句も出るだろうからな。

そうなると、ここが一番さ。なんたってよ、二階のお座敷にゃご老体用のお座敷にテレビがセットされているもんな。

だ~れにもよ、気兼ねすることなく満喫できれゃ~な」。「それもそうだな、臨時の敬老会になるかもな」と、相棒。

「そうなるとあれかな、連続物のテレビドラマもお休みと言うことになるな」と、小生。「あ~ん、連続ドラマ~?

そんな、俺たちが見るようなドラマがあったけか?」。「なんだ、おめぇ(あんた)さんは、見ておらんのか?」。

「見ておらんと言うよりも、真昼間にそんなもの見ている暇がねぇさ」。
「まぁ~な、茄子だそれキュウリだと畑仕事じゃ~な。
毎朝よ、市場へ持って行くんかいな?」と、相棒。

「毎朝と言うわけじゃねぇがよ、二、三日に一度は行かんとな。

頼むから、 ( ) らないでくれと言う訳にも行かんしな。

捥ぎ採らんことにゃよ、変色してさ、土地が痩せたような気がしてどうもシックリしねぇんださ。もっともさ、もう終わりに近づいては来ているがな」。

「そう言えやぁ~さ、 ( なすび ) の花と年寄の話しにゃ無駄がねェと言うからさ、霜降っても咲くそうじゃねぇか、茄子は、の?」と、相棒。

「まぁ~な、寿命がある限り実が生るな、もっともさ、小さくなった実だがな。食べて美味しいもんじゃねぇがさ。

だからよ、早めに耕耘機で掻き回して土地を休まさせる訳よ」。「休ませる、土をか?」。

「あ~ぁ、そうよ、連作もいかんしな、毎年畑を替えて植えんことにゃの」。
「そうなんだ、じゃ~、水戸黄門様のようなわけにゃ行かんと言うわけか」。
「なに~っ、水戸黄門?
なんだ、そりゃ、・・・・・・・・?」。
「連続テレビ番組よ。
あれだってな、あの放送番組がさ、徳川幕府260年の間によ、任命された全国の代官のさ、5倍以上の代官様の放送になっているらしいぜ。
もうそろそろあれだろうて、平成の代官様を派遣せんといかんのと違うか?」。

「なに~っ、平成の代官・・・・・・・だ~?代官と言ったって、そんなのこの平成にゃ存在せんだろうて、な?」。

「いや、おる。知事がそれだろうて、の?」。

「バカ言え、ご老公様にお叱り受けんでもよ、選挙と言う市民の ( こぶし ) で首に出来ら~ぁな、そこへ直れーっとさ、印籠を出されなくともよ。

あの印籠でよ、実際に居た代官の5倍以上も首にしているんだぜ、物語はさ。テレビにさ、生かされている黄門様さ」と、小生。

その彼が、お猪口と小瓶をタオルに押し隠し風呂場へと消えた。「風呂へか?」。


暫くして、わたしも後を追うようにして露天風呂へ。
その彼が露天に浸かりながら、
「願わくば 黄門様の 如くに慕われて

        生きて見たし 夢の夢」 都都逸 ( どどいつ ) 風に鼻唄を唄っていた。

しかも、お盆の上にお猪口と徳利を載せて露天風呂に浮かしていた。

大雨の中だけに、頭だけはタオルで ( おお ) っていた。

「雨水で割って飲んで居るんかいな、日本酒をさ。
のう、代官殿?」。

風情 ( ふぜい ) じゃよ、風情・・・・・・・な?」と、相棒。    

まさに、言うこと無しの感じだった。     








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Last updated  2013.09.26 18:50:50
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