「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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イノ×シカ(サク×シカ)
ごめん。忘れていいから」
私は 貴方にそんな顔をさせてあげられなかった。
そろそろ 気持ちに整理がつくころかな。
「変なんかじゃないわ。
恋ょ。シカマル。しっかりしなさい」
あんたも上忍なんだから。
照れて笑う貴方。
「頑張んなさいね」
「おぅ」
もう 涙なんかでなかった。
『Best Friend』
カーテンの外側では新しい朝の世界が広がっているんだろうな。
きっと 気持ちのいい朝なんだろうけど。
「仕事があんのょ。私には」
昨日 飲んだ酒がまだ体内に残っているのが分かった。
「....頭 痛い;」
ベッドから体を起こす。
もう 気持ちのいい朝なんて 迎えられるはずもなく。
顔を洗って目を覚まし 歯を磨いた。
髪をとかしながら 鏡をふと見ると 見つめ返す自分と目があった。
「髪 のびたなぁ」
「切ろうかな」
「ぇ?!イノ先生 髪の毛きっちゃうの?!」
....しまった。授業中だったか。
「もったいないょ。きれいな長い髪の毛 切っちゃうの」
そう言ってその生徒は私の髪の毛に指を通した。
『お前の髪の毛って 案外 きれいなんだな』
あいつもそう言って同じ様なこと したっけか。
それから 一度も切ってない。
「そぉねぇ」
生徒の持っていたプリントに目を通し 丸を付けていると
のぞき込む 愛らしい横顔。
思わず 笑みがこぼれる。
「あのね」
私がペンをとめると 生徒は私を見上げて「何?」と聞いた。
「女はね....」
「潔いのがいいの!」
引き際をちゃんと悟らなきゃ。
人差し指をピンとたてて 私は言った。
「潔いって何?イノちゃん」
翡翠色の瞳が不安の色を交え 私を見つめ返してくる。
私も ウッと言葉に詰まってしまった。
「つまり....つまりね?
もし 仮に好きな人が出来たとして。
その人が他の人を好きだと知る。
そうしたら もう引き下がるしかないってことょ」
「何にもしないで?何もいわないで?」
「それが潔いって言うのよ?分かった?」
納得のいった表情が浮かぶはずだと期待していた。
けど....
「それは その人のこと そんなに好きじゃないって事なの?」
「違うわ。サクラ。それは・・・」
「じゃぁ 何で?」
「その人の 困った顔を見たくないから。
今までの関係を保っていたいじゃない」
私ももう中忍なんだょな。
月日って どうしてこうも早く進んでしまうのかしら。
少しは私に泣かせてくれる時間があってもいいのに。
「イノ。私 どうしょう」
サスケ君の告白 断っちゃった。
おどおどしながらサクラは私の部屋を行ったり来たりしてた。
「あんた それ 嫌味?」
「もちろん違うわよ。そんな余裕があるように見える?」
....確かに 今のサクラは特別上忍になったばかりの頃と変わりなく。
「じゃぁ 何で断ったの?」
前から好きだって私と張り合っていたじゃないの。
「イノは。。。シカマルのこと どう思う?」
そっか。そぅなんだ。
「...いい奴よ?って 私が言わなくてもあんたは分かってるか」
もう苦笑するしかなかった。
「ありがとう」
微笑むサクラを送った後 涙が止めどなく流れた。
夜空だけが私の味方をしてくれていた。
「お前の髪の毛って 案外 きれいなんだな」
ようやくのびてきた髪の毛にシカマルは指を通した。
「案外って なんなわけ?」
勝手に触らないでよと睨む私の視線を軽く流し
「誉めてるんだから 嬉しがれよ」
あぁだから 女ってめんどくせぇ なんてほざいた。
「けなしも同時に入ってたように感じたけど?」
私が心から喜んでいるなんて こいつは気付かない。
「イノ先生 さよぉならぁ」
「気を付けて帰んなさいね」
生徒達が私の横を走りすぎていく。
子供達も忙しないんだから。全く。
うつむいて私は自分の笑みを隠した。
「電柱にぶつかるつもりか?山中」
はっと顔を上げると漆黒の瞳に出逢った。
「あぁ サスケ君。久しぶり。元気・・・?
ちょっと疲れているんじゃないの?」
「あぁ 長期任務から今 戻ったんだ」
そのときにあんたが電柱にぶつかろうとしてた。
「そんなつもりはこれっぽっちもないんだけど?」
サスケ君ったらって笑う私をサスケ君はじっと見つめてきた。
「何?どうかしたの?」
「いや 昔と変わったなぁって思った」
昔・・・懐かしいな。
「そりゃ もう中忍で?
生徒もいる立場柄 サスケくぅんwとか言ったりして
追いかけ回したり 抱きついたりないわよ」
本当は 違う意味の変わったってことぐらい私もわかってた。
だけど....
ふれてほしくなかった。
「そうか」
じゃ 気を付けて帰れよなんてさっき私が生徒に言った言葉を
サスケ君は私に同じように繰り返した。
「ホント サスケ君は変わってない」
優しいところとか。
「ありがとう」
あれ以上 聞かなかったサスケ君は 相変わらず優しいまんま。
「みんな サクラのおかげかしら」
公園の横を通り過ぎると声が聞こえた。
別に気になったわけでもない。
誰がいても私には関係のないこと。
いつも そうして通ってきているのに....
「お前が好きなんだ」
私が一番言ってほしかった相手の声。
通り過ぎかけていた公園を振り返る。
夕方に良く映える 桜色の髪の毛。
1つに結わえた黒い髪。
上忍のベスト。
「付き合ってくんねぇかな?春野が嫌じゃなかったらの話だけど」
頷くサクラを見届けて
私はいつものように公園を通りすぎた。
その日も....
「いつも 夜だけが私の味方よね」
星が空に輝き始めていた。
星は 幾重にも重なって見えた。
「でさ。もうすぐサクラの誕生日らしいんだけど」
何 プレゼントした方がいいのかわかんねぇんだって。
居酒屋で隣に座ってきたシカマルはそう言った。
「何で 私なのよ?
サクラ本人にきけばいい事じゃない」
別にめんどくさいわけでもないけど。
随分素直になっていないと もうすっかりいたに付いたって感じで。
「あいつの喜ぶ顔がみたいじゃん?」
あいつの笑顔は俺の空だからな。
「サクラはきっとあんたのくれるもんだったら何でも喜ぶと思う」
この際 指輪でもどうょ?
冗談で言ったつもりが シカマルの横顔は真剣そのものだった。
「それが一番 喜ぶことか?」
「もちろん?」
だって
愛している人からの指輪は。
そぉか。
シカマルはニッと笑った。
「私ね」
シカマルが好きだったの。昔から。
「イノ 飲み過ぎたか?」
私は何も答えなかった。
うって変わった表情は 直視しなくても分かった。
シカマルが私を傷つけないように何か言おうとしていることも分かった。
ったく。
どいつもこいつもどうしてこんな....
「優しいんだろう」
「ちゃんときいてた?ずっと 好きだったって言ったのよ?」
グラスの中の焼酎を一気に飲んだ。
「言うつもりもなかったけど。
ごめんね。私の気持ちの整理 つかせるために言っちゃった」
ワガママだよね?
ごめんね。
あんたのその顔 見たくなかったよ。
「今は あんたの幸せを一番に祈ってる」
もちろん サクラの幸せの方が優先されるけど?
って言ったら シカマルは笑った。
「やっぱ お前ぇ」
「幸せにしてやんなょ」
私は 居酒屋を後にした。
後ろ髪も引かれなかった。
家路をたどる途中 サクラにあった。
「イノ・・・?」
「サクラ あんたこんな時間になにやってるの?」
「イノこそ・・・ほろ酔い気味で」
私は仕事だったのに いいご身分ねっていたずらに微笑むから
あぁ こいつのこの顔もシカマルは好きなんだなって思ったりして。
「ん?ちょっと昔のことを思い出して飲んでたのよ」
「昔?」
「サクラ」
「ん?何?イノ」
「潔いって....」
ちょっとあの頃 違ったかも。
あとで辞書で正確にひいてみて?
そう言ったらサクラは
「ぇ?うん?」
って。
「で 今はどう思うの?潔い」
逆に聞いてくるもんだから。
「潔いって言うのはさぁ
引き際を悟ってさ 黙って引き下がる事じゃないんだね」
気持ちを伝えて
それで。
「幸せを一番に願ってやること。
たとえその相手が自分じゃなくとも」
「イノ・・・?」
共通点は。
困った顔を見たくないってこと。
「シカマル あんたのことサクラって呼ぶようになったんだね」
「そうなの。つきあい始めてから」
なんだか今だになれなくてってはにかむサクラは嬉しそう。
「そう」
「じゃ私 帰るわ。
明日の予定表 仕上げてないし」
もちろん可愛い私の生徒達のね?
サクラは相変わらず 微笑んでいた。
「イノは 変わらないね」
昔も今も
優しいんだもん。
「ったく。どっちなのかしら?私 変わったの?」
サスケ君の嘘つき。
それともサクラ?
サクラが嬉しい知らせを持ってきたのは
それから1ヶ月後のサクラの誕生日だった。
「私とシカマルは下忍の時 同じ班でした。
サクラとは 幼なじみで....」
「幸せになって下さい」
「ったく。仲人なんて柄じゃないわょ!」
幸せそうな顔の2人を小突いてやった。
「ありがとう イノ」
「本当きれいだったわ サクラ」
「サンキュ イノ」
「あんたも少しはましに見えたわ」
「ましってなんだょ!ましって!」
「誉めてやってるんだから少しは嬉しがんなさいょ」
笑うシカマルを見ているのが好きだった。
でもね
「その笑顔 サクラにいっぱい見せてやんな」
にっと笑うとシカマルは一瞬目を見開いた。
そしてあのときと同じように言ったんだ。
「やっぱ お前ぇは」
『最高のダチだょ』
「イノ先生!!髪の毛 忘れて来ちゃったの?」
「バカね 切ったのよ」
「どうして?!あんな長い きれいな髪の毛」
幾度と季節は巡り
生徒達の顔ぶれもまた 変わった。
私も上忍になった。
「女はね」
変われるのよ。
髪を切ったのは
「変わるためにね」
少しは潔いかしらって微笑んだら
分からないって 生徒は首を傾げた。
その生徒は
黒のきれいな髪の毛を持っていて
瞳は翡翠色。
「先生 潔いってなに?」
笑った顔は お母さんそっくりねって言うと
「ありがとう」
って 本当 そのままの顔で微笑むから。
「お母さんがしってるわ。
聞いてごらん。家に帰って・・・」
サクラお母さんに。
「お父さんじゃダメなの?」
「そぉねぇ。あんたのお父さん」
頭はいいけど
潔いの意味を知らないと思うわ。
「それってバカって事じゃないの?先生」
「かも知れないわね」
私たちは 笑った。
「先生は お母さんと幼なじみなんでしょう?
お父さんとは?」
「ん~?」
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